日本寄生虫学会会員各位
用語委員会
「暫定新寄生虫和名表」は2008年に前用語委員会によって作成され、会員の皆様におかれましては寄生虫和名の標準として活用されてきたことと存じます。「暫定新寄生虫和名表」では、「本学会員の先生方が、研究をはじめとしたあらゆる現場で扱うであろう寄生虫を極力収録する(前用語委員会)」ことを目標に収録すべき寄生虫種が選定され、その中から和名を付すべき種が選定されました。そのため多くの寄生虫種に新和名が付されました。その後10年近くが経過し、会員の皆様からは、新たに病原性が確認された寄生虫種を収録すべきであること、和名を付すべき寄生虫種を厳選すべきであること、学生教育上の観点から現和名の改変が望まれる寄生虫種があること、などのご指摘やご意見をいただきました。このような背景に鑑みて、用語委員会では「暫定新寄生虫和名表」を見直し、「新寄生虫和名表」として公表すべく検討して参りました。平成29年6月には「新寄生虫和名表(案)」を学会ホームページに掲載し、この原案に対する会員皆様からのご意見・ご要望等を広く求めて「新寄生虫和名表」に反映させることでより良いものと成るように鋭意努力して参りました。ここに「新寄生虫和名表」として公表致します。寄生虫和名の標準として学生教育等でご活用いただければ幸いです。
なお、「新寄生虫和名表」は以下の基本方針に従って検討したことを申し添えます。
1.「新寄生虫和名表」に収録する寄生虫種について
「暫定新寄生虫和名表」の収録方針に従ったが、シノニムであることが明らかになった寄生虫種や、種としての独立性が不明確な寄生虫種などは除いた。
2.和名を付ける寄生虫種の選定について
医学や獣医学、水産学等の分野で学生教育上、和名の必要性が認められる種や、社会通例的なニーズから和名の必要性が認められる種などに限定して和名を付けることとし、専門的な研究レベルで学名使用が通例となっている寄生虫種については和名を付けずに「和名ナシ」とした。ただし、既に和名があり、その和名が一般的に使用されている場合は現状のままとした。
3.和名の付け方について
- 既に和名が定着している寄生虫種についてはその和名を踏襲した。(複数の和名が同様に使用されている場合には併記する)。
- 学名を単にカタカナ読みした和名は基本的には付けない(既に和名として定着したものは除く)。
- 動物名を含む和名では、牛、馬、豚、山羊、羊、犬、猫、鶏は漢字表記、その他(ヒトを含む)はカタカナ表記とする。
- 新たに提唱した和名には「新名」と記した。
- 漢字表記の和名は読み方を付した。
平成30年3月
用語委員
板垣 匡(岩手大学)
巖城 隆(目黒寄生虫館)
小川和夫(目黒寄生虫館)
奥 祐三郎(鳥取大学)
倉持利明(国立科学博物館)
佐藤 宏(山口大学)
新寄生虫和名表:ダウンロード
(参考)
暫定新和名表について(2008年5月22日)
和名選定討議録(1995年)
寄生虫和名表(1995年)