2008年5月22日
日本寄生虫学会用語委員会
これまで日本寄生虫学会のホームページで公開されてまいりました「寄生虫和名表」は,佐藤淳夫用語委員長の下で編纂され,寄生虫学雑誌第44巻10号439~512頁(1994年)に掲載されたもので,出版後すでに10年以上が経過しております.用語委員会では,寄生虫学における新知見の蓄積,寄生虫研究及び本学会員の活動分野の多様化に鑑み,本年(2008年)を目途に「寄生虫和名表」を見直し,「新寄生虫和名表」を作成すべく活動してまいりました.
ここにお示しします「暫定新寄生虫和名表」では,これまでの「寄生虫和名表」に収録されている種について見直すだけでなく,「人体寄生虫を主体に,医学研究に用いられる寄生虫,実験動物などの寄生虫を収録し,日本産の種のほか外国産の種でも医学教育・研究上重要なものは収録したが,獣医関係のものは一部の代表種に限定し,水産関係のものは割愛した」とする従来の選定方針を拡張し,野生動物を含む獣医学領域で扱う種に若干の水産関係の種を含めて収録しました.その結果,以下にお示ししましたとおり収録種数は大幅に増加しました.
寄生虫和名表 | 暫定新寄生虫和名表 |
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原虫類 | 71種 | 235種 |
真菌類 | 0種 | 1種 |
ミクソゾア類 | 0種 | 2種 |
吸虫類 | 47種 | 75種 |
単生類 | 0種 | 3種 |
条虫類 | 32種 | 67種 |
鉤頭虫類 | 2種 | 10種 |
ヒル類 | 4種 | 8種 |
線虫類 | 78種 | 240種 |
ハリガネムシ類 | 2種 | 4種 |
甲殻類 | 0種 | 10種 |
合計 | 236種 | 655種 |
「暫定新寄生虫和名表」では「本学会員の先生方が,研究をはじめとしたあらゆる現場で扱うであろう寄生虫を極力収録する」ことを目標としましたが,少人数の委員と実質2年間という限られた期間での作業のため,十分に検討されたとは言い難い部分も多々あろうかと思われます.そこで,この「暫定新寄生虫和名表」をご覧頂きました先生方には,それぞれご専門の分野におきまして以下のことにご留意いただき,ご意見を頂きたいと存じます.
・収録すべき種が抜けておりませんか.
・学名,記載者名,記載年をはじめ高次分類名,分類学的位置などは適切でしょうか.
・和名は適切でしょうか.また「和名ナシ」としているものの中に,提唱されるべき適切な和名はないでしょうか.
・その他のご意見もお寄せ下さい.
なお,「暫定新寄生虫和名表」をご覧頂くにあたり,以下のことを申し添えます.
・原虫類の高次分類が今日大きく変更されておりますのはご承知のとおりです.「暫定新寄生虫和名表」では新しい高次分類群名を用いましたが,今後のさらなる変更が予想されることと,未だ不確かな部分も多々あることを考慮して,多くのものを「分類階級不明」としました.
・従来の「寄生虫和名表」で提唱されていた和名は基本的に踏襲しました.
・「暫定新寄生虫和名表」で新たに提唱された和名に限り,(新名)と記してあります.
・動物名が和名に用いられる場合は獣医学の教科書に則り,牛,馬,豚,山羊,羊,犬,猫,鶏は漢字表記とし,その他の動物名(ヒトを含む)はカタカナ表記としました.
次回78回大会(2009年)までのおよそ9ヶ月間にわたり先生方からのご意見をいただき,それらを反映したものを以て「新寄生虫和名表」といたしたいと考えております.どうぞご協力いただけますよう,よろしくお願いいたします.なお,ご意見等は下記委員までお寄せ下さい.先生方のご意見をお待ち申し上げております.
暫定新和名表のダウンロード |
委員長 | 倉持利明(国立科学博物館)kuramoti@kahaku.go.jp |
委員 | 今井壮一(日本獣医生命科学大学)somai@nvlu.ac.jp |
奥 祐三郎(北海道大学)oku@vetmed.hokudai.ac.jp |
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小川和夫(東京大学)aogawak@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp |
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長谷川英男(大分大学)HASEGAWA@med.oita-u.ac.jp |
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佐藤 宏(山口大学)sato7dp4@yamaguchi-u.ac.jp |
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担当理事 | 名和行文(メキシコシナロア州立自治大学) |