2022年度 夏期理事会議事録

日本寄生虫学会 2022年度夏期理事会 議事録

 

日時 2022年9月27日 13時00分~15時30分
場所:Zoomによるリモート会議

出席者 岩永史朗、金子修、川合覚、玄学南、辻尚利、永宗喜三郎、西川義文、前川洋一、丸山治彦、吉田裕樹(50音順)
オブザーバー:由井克之(機関誌編集長)、菊地泰生(庶務委員)、吉田栄人(次期大会長)

 

報告事項

  1. 会員動向

(1)会員数 

事務局より、前回(2022年春期理事会)から会員数に大きな増減がないことが報告された。

(2)年会費納入状況

 事務局より、2021年度および2022年度の年会費納入状況がそれぞれ金額ベースで77%と66%で、ほぼ例年通りであることが報告された。

 

2. 2023年大会の準備状況

 吉田栄人・第92回大会大会長より、2023年の大会を3月30日~31日に金沢市会場:金沢歌劇座にて実施予定であることが説明された。現地開催を考えているが、状況によってはハイブリッド形式も考慮に入れながら準備していること、企画はベストプレゼンテーション、特別企画、シンポジウム、大会長講演、一般演題口頭発表、ポスター発表を予定していることが説明された。懇親会はCOVID-19 が収束することを条件に近隣ホテルでの開催を検討していることが報告された。

 

3.  Parasitology International (PI) 編集・刊行状況

由井編集長より、近年のPIへの投稿状況、出版状況が報告された。2022年度は投稿数が減少していること、インパクトファクター(IF)等の指標が他雑誌に比較してやや減少傾向であることが報告された。また、分野別の論文数と引用数の紹介がなされ、分野ごとに引用数の偏りがあり、IFの増加のためにはAims&Scopeの改編も視野に入れるべきではないかと提案された。また、Editorial Board Memberの交代作業を進めていること、ElsevierのPI担当者Lucyが来年度の日本寄生虫学会大会への参加意向があることが報告された。岩永理事より、オープンアクセスの必要性について質問がなされ、日本の投稿者には積極的にオープンアクセス料を支払うことを推奨したいとの回答がなされた。辻理事より、PRISMA等を利用したSystematic Reviewに対するPIの考え方について質問がなされ、今後の機関紙運営委員会での検討事項とされた。

 

4. 各種委員会報告

(1)プログラム委員会

 前川理事よりプログラム領域の再編に関する提案がなされ、現在の4領域から5領域への変更提案がなされた。永宗理事から以前の演題を割り当てるシュミレーションした後に再検討すべきだとの指摘、金子理事から以前の議事録からこれまでの変遷を確認すべきとの指摘がなされた。次期大会から新領域を採用するのは、時間的に困難ということで、次期大会では現行4領域をもちいることが確認された。

 

(2)学術委員会

 今年度の日本医学会の若手リトリートについて、日本寄生虫学会から5名を推薦することが報告された。今後は推薦者の決定の透明化を目指すことが報告された。また、蠕虫類バイオバンク国際基準(ISO)策定に関して、日本寄生虫学会として意見を提出したことが報告された。金子理事より、国際基準によって標準株指定など研究への様々な制限がなされる可能性がないのか、すでにISOが策定されている細胞株や生物種について、具体的に問題が生じているのかどうか確認することが必要であるとの意見が示され、理事長から検討するとの回答があった。

 

(3)情報処理広報委員会

 金子理事より、ホームページデータを長崎大学サーバーから外部レンタルサーバーに移す必要があり、「学会バンク」のレンタルサーバーを第一候補としていることが説明された。また、日本医学会総会に展示するポスターについて準備を進めていることが説明された。

 

(4)教育委員会

 辻理事より、教育用寄生虫標本整備推進事業についての提案がなされ、本事業の予算措置について来年度総会で承認を得る予定であることが説明された。金子理事から現在の予算計上について質問があり、川合理事から令和3年度まで予算計上があったが、今年度は計上がなく、来年度から再開するために予算措置の承認を得たいという趣旨であることが説明された。一方、令和3年度に計上された30万円の予算の内、20万円が令和4年度に繰り越されていることがわかり、それを使って今年度も行うことができるのではないか、との指摘があった。

 

審議事項

  1. 終身会員の推薦について

 福本宗嗣評議員の終身会員への推薦(推薦者:大槻評議員)があり、理事会の承認が得られた。

 

2. Elsevierとの契約更新について

 理事長から、Elsevierとの Parasitology Internationalに関する契約を1年間延長すること、12月までに新契約を結ばない限り自動更新条項により3年間自動更新されることが説明された。また、理事長から「冊子体の廃止」についての提案があり、学会財政改善のため廃止の方向で検討することが、理事会により承認された。また、契約形態(オンライン版のみ、全編オープンアクセス化など)ごとの支払・収入額および著作権分配等についてのシミュレーションをElsevierに依頼することが必要であるとの認識が確認された。

 

3.  大会補助金の増額について

 吉田次期大会長から、COVID-19の影響により、大会をハイブリット形式行うこと必要があり、現在の補助金(100万円)では不足するため120万円への増額の要望が示された。金子理事より学会の財政状況について質問があり、事務局から財政には余裕がなく、今後増額を継続するには会員費納入率の向上などの努力が必要なことが回答された。理事長より第91回大会からの返金額を、数年の間、増額分(COVID-19対策費として)に充てることが可能であるため、金沢大会についてはとりあえず認めたいと提案され、理事会により承認された。一方、金子理事から、学会誌の契約変更だけでなく、業務委託・外部サーバー利用の開始、教育用寄生虫標本整備推進事業の再開、大会補助金の増額など、財務に関係する事案が多数出ているので、今後数年間についての学会全体での財務状況のシミュレーションをしておくべきであるとの意見があった。

 

4.  法人化にむけた調査と事務局業務委託について

 事務局より、学会の社団法人化に向けて、まずは事務局業務のスリム化とデジタル化を進めたいとの提案がなされた。具体的には一部の事務局業務(会員情報管理・年会費徴収・選挙)について、「学会バンク」クラウドサービスを利用することが提案された。学会バンクは自身で作業をすれば初期費用・年間維持費を無料にできること、セキュリティーポリシーが堅牢であること、各会員が個人会員ページから会員情報確認・編集が可能なことなど、学会員にもメリットがあることが説明された。移行した場合の大きな違いは、年会費支払いがクレジットカード決済がメインになることが説明された。クレジットカード決済手数料が現行の郵便振替よりも高額になるデメリットがあるが、未納者には催促メールの自動配信も可能であり納入率向上が期待できることが説明された。オンライン選挙を行うシステムもあることも説明された。由井編集長より英語対応について質問があり、現状は日本語のみだが、今後対応予定であることが説明された。前川理事より会費納入率向上の実績について質問があり、学会バンク運営からは他学会で納入率向上に成功しているとの説明を受けていると事務局から回答された。

 また、学会バンクではレンタルサーバー事業も行っており、ホームページデータを学会バンクサーバーに移すことも可能であることが説明された。サーバーの移転の初期費用および年間保守費用について事務局より示され、金子理事から情報処理広報委員会としてもこちらを利用を進めたい旨が説明され、学会バンクへのサーバー移転について理事会により承認された。また、学会バンクの会員管理システム試用を開始すること、問題なければシステム利用を推進することについて、理事会により承認された。