2018年度 夏期理事会議事録

日本寄生虫学会 2018年度夏期理事会 議事録

日時 2018年7月30日 12時30分〜16時30分
場所 東京大学医学部教育研究棟第5セミナー室
出席者:岩永史朗、金子 修、川合 覚、河津信一郎、玄 学南、野崎智義、濱野真二郎、久枝 一、平山謙二、美田敏宏、由井克之、吉川正英(五十音順)

オブザーバー:名和行文(機関誌編集長)、渡邊洋一(庶務委員)

欠席者:狩野繁之

 

1.報告事項

(1)会員動向

事務局より、物故会員、会員動向について報告があった。

(2)財務関係

事務局より、会費請求作業の遅れのため、会費の納入状況については次回の理事会にて報告する旨説明があった。

(3)Parasitology International (PI) 編集刊行状況(名和編集長)

インパクトファクター(2017年)が2を超えた。引用回数の高い論文・総説が紹介された。Special Issueに掲載されている文章は、総説や論文のみならず、”SI: Kazuyuki Tanabe’s Gedenkschrift”に掲載されたエッセイや、”Current Manual for Parasitological Research”に掲載された寄生虫実験プロトコールも正式な「論文」扱いとなり、インパクトファクターを算出する際の対象となる旨説明があり、今後刊行されるSpecial Issueの内容についての吟味が重要であることが強調された。Editorial boardの見直しのため、過去5年間の論文審査員についての資料が提供されることになった。2019年からPIを含むElsevierの全ての学術雑誌は年1巻から、1冊1巻(「号」という定義がなくなる。PIの場合、従来は年間1巻6号出版から来年は6巻出版予定)となることが報告された。

(4)次期大会準備状況報告(平山理事)

次期88回大会は、平山理事を大会長とし、長崎大学坂本キャンパスにて2019年3月15日(金)~16日(土)に開催予定、タイトルを「寄生虫学最前線」とする。3月14日は理事会、各種研究会、17日にICDの講習会を開催予定。400名程度の参加者を見込んでいる。口頭発表とポスター発表の数を各90演題ずつに振り分ける。口頭発表時間を「7分発表3分討論」から「8分発表6分討論」に変更する。ポスター発表については、初日に全てのポスターを掲示してもらい、初日は奇数演題番号、2日目は偶数演題番号についてそれぞれ1時間討論してもらう。参加登録はuminシステムを利用する予定。(3月14日には日本熱帯医学会の理事会、評議委員会の開催も予定されている。)

(5)次々期大会について

玄理事(代理河津理事)より、次々期大会は2020年5月30日(土)~5月31日(日)に帯広・とかちプラザで開催予定であると報告があった(理事会などは5月29日(金))。

(6)各種委員会報告

<1>国際交流委員会(濱野理事)

2018年8月下旬に開催される韓国のテグで開催予定のICOPA 2018に関して、Travel Awardの選考について説明があった。濱野委員長、狩野繁之委員、丸山治彦委員、金惠淑委員、金子修委員で選考した。学会員で、発表予定者で、博士課程の学生または学位取得後10年以内の方を対象に3月末募集開始、5/7(その後5/15まで延長)締切までの28件の応募から、奨励賞受賞歴、PI掲載論文の筆頭著者経験者、Best Presentation Awardの発表経験者などを考慮し、19名を選出した。6/19に受賞者に連絡し、このうち、1名(理事会当日にさらにもう1名)が辞退した。選考から漏れた人には理事会終了後連絡する。

<2>プログラム委員会報告(美田理事)

大会での発表方法について口頭発表の時間配分、ポスター討論のやり方に提案があった。

<3>情報処理広報委員会(由井理事)

「寄生虫学雑誌」のオンライン化について報告された。昨年度までに雑誌のpdfファイル化が終了し、今年度は検索システムの構築をすすめている。キーワード、年、巻号での検索が可能になることを目指しているが、現在、pdf化が大まかな単位でされているため、これを細分化する作業の見積を依頼している。データは寄生虫学会のサーバ(長崎大に設置中)に保存される。

<4>教育委員会(川合理事)

教育用寄生虫標本化事業について経過説明があった。2017年度に、2018年度予算30万円が計上された。2018年2月の募集に対し、19件の応募があった。3月の理事会、評議会・総会にて予算の承認、事業の推進が認められた。6月に協力機関目黒寄生虫館、長崎大学熱帯医学研究所との話し合いがあり、6標本の作製依頼候補が決定された。幅広い応募者から採用した。目黒寄生虫館は作製された標本の保管と有償配布の窓口となる。長崎大学熱帯医学研究所はナショナルバイオリソースプロジェクトの一環として、病原性原虫の標本と凍結保存株の有償提供を実施していたため、本事業との重複を避けるため、両機関所有の標本のリストと連絡先を寄生虫学会ホームページに併記する。

<5>倫理委員会・利益相反委員会(河津理事)

日本医学会主催の研究倫理教育研修会(2018年5月開催)について報告があった。雑誌編集に関する内容が含まれていたので、次回以降は機関誌運営委員の参加が勧められた。研究発表に関する倫理ガイドラインの共通化について、今後、用語の定義を日本医学会所属の学会間で共有することが求められるだろう。また、研究発表の内容(ヒトを対象としない研究、ヒトゲノム・遺伝子解析研究、観察研究、症例研究など)によるカテゴリー化、それぞれのカテゴリーに必要な法的措置をフローチャートにてチェックすることが、学会発表の演題登録前に義務付けられる見通しである。

 

2.審議事項

(1)PI編集関連

理事長(担当理事)に加え、久枝理事を担当理事補佐とすることが提案され承認された。機関誌運営委員のメンバーおよびEditorial Boardメンバーの見直しを行い、必要に応じてeditorを通じてElsevierに連絡し、メンバーリストを更新することになった。現editor-in-chief の一人Karl Hoffmann博士の任期が2019年12月末までのため、次期editor候補者を検討していくことになった。

(2)次期大会関連

Karl Hoffmann博士の講演およびPIのeditor-in-chiefとしての貢献に対する表彰式を次期総会にておこなうことが理事長より提案され了承された。招聘費用については、まず長崎大学による負担を検討し、もし不足する場合は学会が補助する方向で検討することとなった。

(3)名誉会員

理事長の提案により、PIのeditor-in-chiefとして貢献のあったKarl Hoffmann博士を名誉会員に推薦することが了承された。

(4)学会出版物等の編集に関する委員会関連(野崎理事長→吉川理事)

担当理事である野崎理事長より、担当理事を吉川理事に交代することが提案され、了承された。吉川理事より、本委員会名を「図説人体寄生虫学」編集委員会と変更し「図説人体寄生虫学」の改訂および編集に関する事項に特化して協議する行う委員会とするか、従来どおりの「学会出版物等の編集に関する委員会」の下にワーキンググループを設け「図説人体寄生虫学」の改訂を行うかの二つの形が提案され、前者が承認され、委員会名を「図説人体寄生虫学」編集委員会とすることが認められた。また、「図説人体寄生虫学」編集委員会の細則案が提案された。委員会を組織するにあたり委員以外にも協力を求めることができるとする細則案が提案され、その変更を含む細則案が理事会後メール会議で承認された。吉川理事より委員候補として松本芳嗣(東京大)、山田稔(京都府立大客員教授)、中村ふくみ(東京都保健医療公社荏原病院)、前田卓哉(埼玉医大)各氏が推薦され、細則の承認をもって、承認された。さらに必要に応じて学会内外に協力を求める。改訂作業について、ニューモシスチスの分類上扱い、見開き2ページを単位とする構成の維持(出版社の希望)、古い資料の差し替え、症例統計情報の更新、英語版の出版の可能性、などを検討していくことが提案された。

(5)国際交流委員会

ICOPA 2018 Travel Award受賞者の中に、応募時の指導者(推薦者)や実際の所属に齟齬がある者がいることが指摘されたが、今回は不問とすることになった。応募用紙に「professor」を記載させることに疑問が呈された。「若手研究者」の場合、「推薦者」とするべきではという指摘があった。金子委員より、他の委員会委員との兼任を避けるため、Award選考終了をもって、国際交流委員を辞退したいとの申し出があり、了承された。

(6)情報処理広報委員会

一般公開後の寄生虫学雑誌掲載の論文のインターネットでの周知について議論されたが、既存の検索システムによるアーカイブ化に任せることになった。

(7)教育委員会

教育用寄生虫標本化事業について、2018年度については1件5万円、計6件を助成する。来年度も本年度と同程度の30万円を計上する。規定等の詳細は委員会でさらに議論する。委員の定年に伴う辞任による欠員補充について、細則の改訂により、次期選挙による委員から、同様の欠員が出た場合、選挙で次点の者が残り期間委員となることが提案され、了承された。同様の改訂はプログラム委員の選挙についても行われる。

(8)COI規則・様式の改訂(河津理事)

2018年3月に改訂されたCOI関連の規則と様式に、すでに存在しない「編集庶務委員」という役職が記載されたままになっていることが指摘された。理事会後のメール会議により、該当規則と様式から「編集庶務委員」を削除することが承認された。

(9)学会総会・評議員会の議事録について

本学会会則で「総会は本会の最高議決機関であり、会務会計その他の重要事項を議決する。」とあるにもかかわらず、理事会の議事録が公開されているのに対して、近年、総会・評議員会の議事録が公開されていない。そのため、何が最終的に議決されたのかが不明確である。来年春の総会の際、過去3年の総会・評議員会の議事録を同時期の理事会の議事録の内容をもって代えることを理事長より提案することになった。

(10)学会の法人化について

日本医学会の基礎部会の中で法人化しているのはいくつあるかなどの情報を収集しながら、さらに検討する。

(11)学会事務運営について

学会事務を担当する人件費を、学会運営費より数十万円程度当てられないかとの理事長からの提案があった。また、法人化をにらみ、事務局をどこかに固定化できないかとの提案があった。これらの点について、検討することになった。

(12)会費(長期)未納者について

長期の会費未納者を積極的に退会処分にするかどうかについては、法人化を本格的に進める段階で改めて検討する。