日本寄生虫学会 2025年度春季理事会 議事録
日時:2025年3月17日 14:30~16:30
会場:大阪大学吹田キャンパス コンベンションセンター1階(E会場)
【出席者(敬称略・五十音順)】
石野智子、岩永史朗、後藤康之、佐藤宏、辻尚利、所正治、西川義文、野崎智義、野中成晃、前川洋一、丸山治彦(理事長)、見市文香、山本雅裕、由井克之(PI編集長)
オブザーバー:小久保美緒(庶務委員)、長安英治(庶務委員)
欠席者:河津信一郎
I. 報告事項
- 第94回大会(2025年度大会)概況報告
岩永史朗大会長より、第94回大会は大阪大学吹田キャンパスで開催され、プログラムはベストプレゼンテーションアワード(BPA)、シンポジウム、一般口演で構成されることが報告された。演題数は約130題で、例年とほぼ同水準、学会参加者は事前登録230名、当日参加を含めると約280〜290名になる見込みであるとの報告があった。 - 会員動向
事務局より、物故会員3名(藤﨑幸蔵、吉田幸雄、平井和光)について報告があり、出席者全員で黙祷を捧げた。
事務局より、会員数が約100名減少し、年会費納入率が82.5%であったことが報告された。会員数減少の主な要因として、会費未納者の整理を行ったためであるとの説明があった。 - 次期大会の準備状況
辻尚利次期大会長より、第95回大会は北里大学相模原キャンパスにて2026年3月21日~22日に開催予定であり、前日20日に関連集会を予定していることが報告された。 - 小泉賞・奨励賞審査結果報告
第72回小泉賞は帯広畜産大学 原虫病研究センター 西川義文博士に、第34回奨励賞は東京科学大学 馬場みなみ博士および愛媛大学 福本隼平博士に授与されることが報告された。 - 『Parasitology International(PI)』編集・刊行状況
由井克之編集長より、投稿数は順調に増加しているものの、リジェクト率が高いことが報告された。また、投稿の多くはアジア地域からであるが、近年はアフリカからの投稿も増加傾向にあるとのことであった。インパクトファクターについては低下傾向にあり、これはクラリベイト社による算出方法の変更が影響していると説明があった。平均査読期間は約80日であること、さらに査読者の確保が困難になっていることについても報告があった。 - 各種委員会報告
教育委員会(辻理事):寄生虫標本作製支援事業として3件承認され、実施されたことが報告された。
II. 審議事項】
1. 財務関係
2024年度の決算が報告され、会計監査により適正であることが確認された。
所理事より、2025年度予算案において標本作製支援事業の予算が20万円とされており、前年の30万円から減額となっている点について質問があった。これに対し、前年度の執行実績が3件・計15万円であったことから、このような予算設定となっている旨の説明があった。
また、野崎理事より、法人化に向けたコンサルタント費用を予算に計上する必要があるのではないかとの指摘があった。
2.『Parasitology International』の今後の契約・出版形態
会費収入の相当部分がエルゼビア社への支払いに充てられていること、また会費の金額設定が購読料との均衡を欠いていることなどが、懸念点として共有された。
エルゼビアとの契約更新に向けては、2026年春の総会で会員からの承認を得る必要があり、そのためには2025年度内に開催される次期理事会で契約内容を決定する必要があることが確認された。後藤理事を中心とするワーキンググループを設置し、エルゼビア社との交渉を進めていくこととなった。
3. 会計監事の推薦
吉田彩子評議員(宮崎大学)の任期満了に伴い、後任として見市文香理事を後任とすることが理事長より提案された。これに対し、複数の理事からは、併任を妨げる明確な規定はないものの、望ましい形態とは言えないとの意見が出され、人選は一旦保留となった。
(追記:翌日の評議員会・総会で、熊谷貴評議員会を新会計監事とすることが提案、承認された。)
4. ICD制度協議会代表委員交代
狩野繁之前代表委員の退任に伴い、久枝一評議員(国立感染症研究所)を後任とすることが承認された。
5. 終身会員・評議員の推薦
以下の推薦があり、審議の結果、承認された。
終身会員:宇仁茂彦(推薦人:木村大輔)、大西健児(推薦人:所正治)
評議員:熊谷貴、新澤直明、二瓶浩一、菊地泰生、三條場千寿、渡辺恒二、柳田哲矢(各推薦人略)
III. 協議事項
1. 桂田賞の扱い
桂田賞を学会賞として正式に位置づけ、会計管理を現顕彰委員会から日本寄生虫学会の一般会計に移行する方針が確認された。今後の課題として、賞金の支給の有無、小泉賞・奨励賞との関係を含めた賞の位置づけ、ならびに「日本寄生虫予防会」の名称の扱いについて検討を進めることとなった。
2. 日本住血吸虫の維持管理
石野理事より、日本住血吸虫の国内実験施設における維持管理体制が限界に近づいている現状について報告があった。今後の維持体制については、特に住血吸虫研究に関わる関係者を中心に、引き続き協議を重ねていく必要があるとの認識が共有された。
3. 法人化の進捗状況
事務局を帯広に置く案を含め、昨年度から継続議題として検討されている。野崎理事より、具体的な工程表を作成することが必要であるとの指摘があった。