「医療機関向けコンサルテーション」へ質問のあった項目のうち,よくある質問とその回答を掲載します。コンサルテーションする前に一度はご覧下さい。

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IDタイトル質問回答日付寄生虫分類寄生虫種
1蟯虫症とプール学校でお宅のお子さんは蟯虫症なので治療が終わる迄はプール水泳禁止と云われました。蟯虫症だとプール水泳はだめなのでしょうか。蟯虫に感染しているからと云ってプール水泳を禁止する必要はありません。蟯虫卵が感染児童のお尻から遊離して、他の児童の口に入る確率は極めて低いと考えられます。心配するなら、保虫児童は水泳のある日の朝に、良く肛門周囲をシャワーで洗い流しておくだけで十分です。アタマジラミについても同様で、厚生省統計でもアタマジラミの感染の場としてプールは極めて少ないとされています。むしろプール水泳を禁止することによる「いじめ」「差別」などの問題のほうがおおきいのではないかとおもわれます。_x000b_線虫蟯虫
2肝膿瘍 敗血症からショックを起こした70歳代の女性の患者が、ある大学のICUに搬送されてきました。_x000b_ 検査の結果、肝臓に5cm大の膿瘍が見付かり、赤痢アメーバの可能性も考慮して検査の依頼が保健所の方にありました(地元の大学の寄生虫学教室はつい最近消滅してしまっており、大学の中で検査できる体制にはないとのことです)。_x000b_ 肝膿瘍液の中にはアメーバの栄養型は検出できませんでしたが、鞭毛を持って活発に動く原虫が見られました。糞便検査では赤痢アメーバはもちろん、いかなる種類の原虫の栄養型も嚢子も見付かりませんでした。_x000b_ 赤痢アメーバの抗体を、血清と肝膿瘍液の上清を用いて調べたところ、IHAでは両方とも陰性でした。しかし、寒天ゲル内二重拡散法(抗原は慶応義塾大学製)で、血清抗体は陰性でしたが、膿瘍上清で沈降線が認められました。_x000b_ 患者はその後ショック状態から脱しました。このような症例につき、_x000b__x000b_(1)赤痢アメーバの抗原は他の原虫と交叉反応が見られるのか。_x000b_(2)見られないとすれば、抗体検査の結果をどのように解釈すればいいか。_x000b_(3)赤痢アメーバが見付からず、血清中の抗体も陰性にもかかわらず、膿瘍液中にのみ抗体が存在することは良くあることなのか。_x000b_(4)鞭毛を持った原虫が肝膿瘍の原因となることがあり得るのか。_x000b_(5)赤痢アメーバの治療は必要か。_x000b__x000b_以上よろしくお願いいたします。_x000b__x000b_(1)赤痢アメーバの抗原は他の原虫と交叉反応が見られるのか。_x000b_ あります。赤痢アメーバに対する免疫血清はIFAで Trichomonas vaginalis に反応します。_x000b__x000b_(3)赤痢アメーバが見付からず、血清中の抗体も陰性にもかかわらず、膿瘍液中にのみ抗体が存在することは良くあることなのか。_x000b_ 血清が抗体陽性で、膿瘍液が抗体陰性という、逆の例はしばしばみられます。しかし私の経験では、膿瘍液が抗体陽性で血清が抗体陰性という例はありません。_x000b__x000b_(4)鞭毛を持った原虫が肝膿瘍の原因となることがあり得るのか。_x000b_ トリコモナスが体内から検出された症例は2例経験しています。1例は頚部膿瘍から検出されたもので、T. vaginalis と推定されました。もう1例は髄液から検出されたもので、T. foetus と推定されました。_x000b__x000b_(5)赤痢アメーバの治療は必要か。_x000b_ 一刻を争う状態なら、とりあえず治療するという考え方もよいかと思います。しかし、5cm程度のアメーバ性肝膿瘍でショックに陥るとは考え難いようにも思います。急性期をのりきった現状では、診断を確認することの方が重要と思います。診断を確認する方法としては、他の血清学的方法で抗アメーバ抗体を確認する、膿瘍液を用いたPCRを行うといった方法があります。_x000b__x000b_4/18/1997原虫赤痢アメーバ
3サナダムシ さなだ虫に対する治療法及び選択薬剤について教えて頂きたいのですが..._x000b__x000b__x000b_回答に対する追加質問_x000b_  内視鏡検査にて、さなだ虫(推定)を患者の腸管から認めたようです。看護婦の話では魚介類をよく食べたとの患者報告があります。_x000b_ 主治医とはまだ連絡がついておりませんが何かコメントがありましたらお願いします。_x000b_ 当院ではアミノサイジンが採用となっております。_x000b_回答 _x000b_ 今一度寄生虫学会ホームページをご覧になり「学術・教育」の項の「寄生虫症薬物治療の手引き」をお読みになった上で再度ご投稿願えませんでしょうか?_x000b_ ご存じの通りさなだ虫にもいろいろ種類があり、治療法もそれぞれ少しづつですが異なったりもします。もう少し焦点を絞っていただけるとコンサルトしやすいと思いますので・・・。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答_x000b_  広節裂頭条虫の類の可能性が高いと判断なさっておられるようですが、とにかくまず確定診断をすべきでしょう。検便で虫卵を確認するか、便に虫体の一部でも排泄されていれば簡単に出来ると思います。_x000b_ 治療はそれからです。慌てる必要はありません。_x000b_ ほとんどあり得ないことですが、もし有鉤条虫であった場合は薬物治療は慎重に行う必要がありますので。_x000b_6/23/1997条虫裂頭条虫
4肺吸虫 医師会会員の先生より依頼があり、先日肺吸虫の抗体検査を行いましたところ、128倍の結果がでました。この128倍は既感染によるものなのか、現在感染中であるのかとの問い合わせをいただいたのですが判断できないでおります。文献等探すのですが寄生虫の抗体価について記載されたものがなかったものですから、ご教授いただけないでしょうか。_x000b_回答1_x000b_ 九州圏内の医師会臨床検査センターの方からの肺吸虫の抗体検査についての質問ですが、おそらくこの抗体検査はSRLから外注で行なわれたELISAあるいはRIAによるものではないかと思います。一応抗体陽性と考えてよいと思いますが、それほどtiterは高くないようですね。_x000b_ どのような免疫診断の方法をおこなっても、抗体価だけでは、既感染によるものなのか、現在感染中であるのかは判定できず、胸部の画像所見や好酸球、IgEなどの臨床所見と併せて、現在アクティブな状態かどうかを推定致します。_x000b_ もし、経時採血血清が保存してあれば、抗体価の推移から、現在の感染かどうかを推定することができる場合もあります。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 抗体検査はどの方法でされましたか? 私は以前にウエステルマン肺吸虫症の治療経過とゲル内沈降反応の推移について調査したことがあります。その結果、17例の虫卵陽性者のうち11例(65%)が治療後3-5カ月の間に反応陰性化を示しました。また、肺吸虫虫体摘出の症例では術後43日目に沈降反応の速やかな陰性化が観察されています。このようにIgG抗体に由来する免疫反応(ゲル内沈降反応、補体結合反応、ELISA)は虫体抗原の消失と共に比較的早期に陰性化することが確認されています。従って、肺吸虫症の場合こうした免疫反応で陽性に出れば現在感染中か、または虫体の死滅後まもない状態にあると考えられます。肺吸虫感染の有無や治癒効果判定には比較的感度の低いOuchterlonyなどのような検査法が適しているかもしれません。尚、治癒効果は肺吸虫の種類や虫体の寄生部位、さらには病態などによっても様々に変わってくるものと思われます。_x000b_10/1/1998吸虫肺吸虫
5マラリア治療 メフロキンの使用方法と適応_x000b_(1)メフロキン予防内服中にマラリアに罹患しハロファントリンを服用した場合、メフロキン非内服例と比べて有為に心電図上のQT延長を来しやすいとランセットに報告されるまで、小官は「メフロキンがだめならハロファンがあるさ」という論理で、マラリア患者にメフロキンを投与し、幸いにも一剤で治癒せしめた経験があります。しかし、ハロファントリンによるQT延長の副作用が報告され、しかもメフロキンを予防内服したのちハロファントリンを服用するとQT延長が生じ易いということが報告され、メフロキンは予防にも治療にも使いにくいという印象を持ちましたが、いかがでしょうか。_x000b__x000b_(2)メフロキンの予防的投与期間について。ラリアムの箱には予防的内服は8週間まで(だったと思います)と記載されており、群馬大学鈴木教授の成書、最新内科学大系28(中山)にはラリアム4週連続服用後は以後隔週とすべきと記載されており、某西アフリカ医務官は任期中3年以上メフロキン総量数千ミリグラムを服用し副作用はなかったと報告しており、メフロキンの予防内服期間に差があります。先生のお考えはいかがでしょうか。_x000b__x000b_(3)小児へのメフロキン投与_x000b_某派遣元からナイジェリアへ赴任した一家族全員にメフロキンの予防内服が派遣元より薦められており、このうち4歳児童には4分割、1歳児童には5分割して予防内服するよう薦められていたので、小官のところへ相談にきました。メフロキンは剤型上5分割は不可能なうえ、1歳児への投与適応の記載を見出せませんでしたので、この家族には全員プログアニールの服用に切り替えました。この判断に対する先生のお考えはいかがでしょうか。_x000b__x000b_ ファンシダールはそれでも良薬か_x000b_ファンシダールの予防的誤用によるStevens-Johnson症候群の発生は、我々現地で臨床に携わる医師にとっては、いつ遭遇するかもしれぬ恐怖ですので、私はファンシダールを治療にも用いませんでした。しかし、1995年当時の日本医事新報を読みますと、「昔は良かった的論調で、ファンシダールの予防的成功例がいまだなお報告されています。現在はファンシダールの予防的投与は誤用であるということはすべての論者に共通した認識となっているでしょうか。また、ファンシダールによるSJ症候群の発生は東洋系には比較的少ないといった論旨を読むことがありますが、西洋人とくらべてサルファ剤アナフィラキシーのリスクが低いというスペキュレーションは実証されているのでしょうか。また治療的に1回投与でSJ症候群を来した症例はあるのでしょうか。_x000b__x000b_ マラリア治療薬の耐性について_x000b_ハロファントリン、メフロキン、チンハオスなどのクロロキン耐性マラリア治療薬に対する現在の耐性度とその分布をお教え下さい。_x000b__x000b_ 長期滞在者のマラリア予防について_x000b_赴任地の識者によりますと、短期滞在者は予防薬内服、長期滞在者は蚊対策と予防法が別れているようです。ここでいう短期間とは識者の間で開きがあり、6ヶ月を短期間とする者や、一任期すなわち3年間を短期間として予防内服を継続させる者など、さまざまです。この点についてコメントをお願い致します。_x000b__x000b_ 流行地でよくある質問_x000b_過去にマラリアに罹患したことのない邦人が、マラリア汚染蚊1匹に吸血され、マラリア原虫が侵入した場合、例外なく(またはほとんど全例)発症するでしょうか。マラリア原虫が1個でも侵入すれば発症するのでしょうか。マラリア発症のためにはある程度の原虫個体数が必要なのでしょうか。_x000b__x000b_ チンハオスについて_x000b_ナイジェリア在勤当時、チンハオスは中国系企業を通じて流通していましたが、注射痛が強いこと、再燃しやすいことがネックになっており、隣国ガーナでは錠剤が流通しつつありました。現在チンハオスの流通剤型は主として内服でしょうか、それとも以前のまま注射製剤が主でしょうか。_x000b__x000b_ご質問を拝見すると、マラリア対策について何か勘違いされているように存じます。_x000b_マラリア対策とは、やたらにメフロキンを服用することではありません。_x000b_マラリア対策の基本は以下の2つです。_x000b_(1) 蚊にさされないよう注意すること。_x000b_(2) 熱が出たらマラリアの検査を受け、必要なら治療を受ける。_x000b_この2つが重要です。_x000b_そして海外に滞在する日本人なら、多くの場合、この対策で十分です。_x000b_この方針で防ぎきれない例外的な状況に限り、メフロキンを持ち歩くことになります。_x000b__x000b_-----------------------------------------------------------------_x000b_1.メフロキンによるQT延長について_x000b_2.メフロキンの投与期間について_x000b__x000b_メフロキンはクロロキンに次いで安全なマラリア治療薬です。_x000b_しかし、これを予防的に定期内服するよう薦めるのはいけません。_x000b_その理由は以下の通り。_x000b_(1) 日本の厚生省はメフロキンを認可していません。_x000b_  入手法も不確定で、薬害発生時の責任も不明確です。_x000b_  少なくとも建て前として、日本の医師はそんな薬を患者に薦められません。_x000b_(2) マラリア治療薬を渡すのは、マラリアの診断が前提になります。_x000b_  マラリアでないのに薬剤を渡すのは違法行為で、刑事罰の対象となります。_x000b_(3) 急性毒性に関しては、ご指摘の通り、心毒性が知られています。_x000b_ ご指摘のQT延長も、他剤と併用した場合の副作用も未知のものが多いです。_x000b_(4) 慢性毒性については、未だ詳細なデータが得られていません。_x000b_ 一般に、キノリン誘導体は組織への親和性が高く、ごく一部が排泄されるだけです。_x000b_ つまり、経口した薬剤のかなりの部分が死ぬまで体内に残ることになります。_x000b_ 将来、薬害事件が発生した場合、_x000b_ 「振り返ってみれば危険な薬剤であった」と言われるのは必至です。_x000b_当然、他の薬剤を予防に使うなど問題外です。_x000b__x000b_-----------------------------------------------------------------_x000b_3.ファンシダールは良薬か_x000b__x000b_はい、ファンシダールは良薬です。その理由は以下の通り。_x000b_(1) わが国で認可されたマラリア治療薬は、ファンシダールとキニーネのみです。_x000b_ 日本全国、広い範囲に渡って、入手可能な唯一の薬剤であるという点が最も重要です。_x000b_ ファンシダールが悪い薬と言うなら、日本ではマラリア患者の治療ができなくなります。_x000b_(2) 副作用ですが、薬剤の効用と比較すれば、大した問題ではありません。_x000b_ 確かに、SJ症候群は、致命率が高く、運よく助かっても失明といった後遺症が残る病気です。_x000b_ しかし、その発生頻度は決して高いものではありません。_x000b_ 一方、熱帯熱マラリアは放置すれば、高率に死に至る病気です。_x000b_ 熱帯熱マラリアの診断が正しければ、ファンシダールで治療することになります。_x000b_ この意味でマラリア治療には、ファンシダールが最良の薬だと思います。_x000b_ただし、上記の通り、予防内服はいけません。_x000b__x000b_-----------------------------------------------------------------_x000b_7.長期滞在者のマラリア予防について_x000b__x000b_マラリア予防で重要なことは、蚊の対策と発熱時の医療機関受診です。_x000b_この原則で予防できない状況でのみ、メフロキンを持ち歩くことになります。_x000b_長期でも、医療機関がない奥地に滞在するなら、メフロキンは必要でしょう。_x000b_短期でも、都市部に滞在するなら、医療機関で治療を受けるのが原則でしょう。_x000b_「短期だから必要で長期だから不要」という前提自体が間違っています。_x000b_以下、「なぜ長期滞在者は不要と言うのか」という説明です。_x000b__x000b_長期滞在者は都市滞在者が多く、奥地に滞在する場合でも現地の状況がわかっています。そこで、以下の理由から、予防内服は不要と判断する場合が多いのだと思います。_x000b_(1) 蚊が発生する季節を知っており、対策も立てており、感染の危険は少ないと判断している。_x000b_(2) 万が一、感染しても、治療を受けられる状況にあると知っており、安心している。_x000b_(3) メフロキンを長期間にわたって内服する場合の、潜在的な薬害リスクも気になる。_x000b__x000b_しかし、「長期滞在者が大丈夫というから、短期滞在者もメフロキンは不要」と思われると困ります。_x000b_なぜなら、マラリア感染者には短期旅行者が多く、背景に以下のような問題があるからです。_x000b_(1) 現地人も行かない危険地域(ジャングル等)に入り込む場合がある。_x000b_(2) 流行状況がわからず、蚊が大発生する時期でも、蚊の対策を行わない場合がある。_x000b_(3) 発症しても検査・治療を受けることができず、重症化する場合がある。_x000b_特に2週間~8週間マラリア流行地に滞在する場合、(3)の状況に陥る可能性は無視できません。_x000b_この確率が高い場合、発熱時に自己治療させる目的でメフロキンを持ち歩かせる以外ありません。_x000b_ただし、メフロキンを飲むことは単なる時間稼ぎです。_x000b_メフロキンが効かなかった場合、医療機関での検査・治療がやはり必要になります。_x000b_原則は、あくまで医療機関受診です。_x000b__x000b_なお、2週間以下の海外旅行者については、感染しても帰国後に発症します。_x000b_このため、国内で治療を受ければすみます。_x000b_2週間以内の短期旅行者には、メフロキンを薦めないで下さい。_x000b__x000b_8/20/1997原虫マラリア
6ブタ蛔虫移行症有機農業によると思われるブタ回虫移行症の取り扱いについてご教示頂ければ幸いです。_x000b_①重症化率および死亡率  _x000b_②好酸球増多(-)抗体(+)者の意義_x000b_ 既往のみと解釈して良いか?感染性は?_x000b_③野菜に付着した虫卵はどの程度の期間生存するか?_x000b_④充分な水洗いで虫卵はほぼ完全に除去できるか?有効な前処理法は? _x000b_⑤虫卵を死滅させるために必要な加熱処理の条件は?(温度、時間)_x000b_回答1_x000b_ブタ回虫による幼虫移行症についてわかっている範囲でお答えします。_x000b_①重症化率および死亡率  _x000b_ 死亡例は国内でも海外でも今の所報告がありません。_x000b_ 重症化率という用語の定義がわからないので、答えようがありません。_x000b_ これまでに明らかな呼吸器症状、肝機能障害を呈した症例は約40名です。_x000b_ 現在、住民検診を実施中ですが、抗体陽性者は地区によって非常にばらついており、数%から50%です。_x000b__x000b_②好酸球増多(-)抗体(+)者の意義 既往のみと解釈して良いか?感染性は?_x000b_ 必ずしも既往のみではないと思います。それよりも感染の程度を反映しているのではないでしょうか。_x000b_ 幼虫移行症ですから人肉を生食しない限りヒトからヒトへの感染はあり得ません。_x000b__x000b_③野菜に付着した虫卵はどの程度の期間生存するか?_x000b_④充分な水洗いで虫卵はほぼ完全に除去できるか?有効な前処理法は? _x000b_⑤虫卵を死滅させるために必要な加熱処理の条件は?(温度、時間)_x000b_ これらは全てヒト回虫と同様と考えてよいとおもいますので、教科書のヒト回虫の項を見て頂いたらよいと思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_質問の③から⑤についてはヒト蛔虫と同じと考えてよいのではないかと思います。_x000b_①の重症化率および死亡率ですが、少なくとも現在のところブタ回虫による死亡は実験感染、自然感染、国の内外を問わず報告がありません。重症化率については名和先生のおっしゃる通り何とも言えませんが、おそらく発生源の肥料が虫卵をごっそり含んでいたなら、重症患者の率は高くなるかと思います。しかしながら私の知る限りブタ回虫移行症はほとんどの場合自覚的には無症状です。仮に入院の必要があるほどの症状を呈するものを重症とすると、率としてはかなり低いようだ、としか言いようがないと思います。具体的な数字を出すのは控えたいと思います。_x000b_②の好酸球増多(-)抗体(+)者の意義ですが、これは私も既往のみではないと思います。何らかの理由で好酸球が増加しないこともあってよいと思います。_x000b_8/21/1997線虫ブタ回虫
7日本住血吸虫症僕は、まだ、医療従事者ではない(某大学医学部1年生)のですが、僕の祖父が、日本住血吸虫の疑いがあるらしいので、思い切って質問してみることにしてみました。_x000b_この前、祖父が定期検診を行ったところ、膵臓や肝臓に、白い影が見られました。はじめ、担当医は、膵臓ガンの可能性ありと診断しましたが、本人は、食欲もあるし、自覚症状は一切ありません。CTや、胃カメラなどの検査を進めていくうちに、その白い影は、ガンではなく、石灰質のものらしいのです。そこで初めて、日本住血吸虫の疑いがあると診断されました。また、肺に、うずらの卵ぐらいの穴が空いているようで、去年の暮れに、喘息で入院しました。_x000b_祖父は、昔から山梨県に住んでいます。_x000b_今は、某大学病院に入院しています。_x000b_75歳です。_x000b_祖父は、本当に日本住血吸虫なのでしょうか、またそうならば、治るのでしょうか。_x000b_お忙しいところ本当に失礼しました。_x000b_何か少しでも教えていただければと思います。_x000b_まず第一に、これだけの情報でこちらで日本住血吸虫症と確定診断することはできないことを申しておかなくてはなりません。担当医の先生が診断を下されるでしょうから、それをお待ちになるのが賢明だと考えます。_x000b__x000b_次に、もしそうならばということですが、もしそうならば現時点では恐らく治療の必要はないと思います。何故ならば、日本住血吸虫の成虫の寿命は最長でも(いままでの世界記録で)20年ほどと考えられているからです。虫の「平均」寿命は高々5年程度です。また、山梨県の住血吸虫は約20年前には事実上終息しました。その後の感染はありません。従って、今ではおじいさんの体内に虫が生存している可能性はほとんどありません。すでに自然治癒しているわけです。住血吸虫の治療はいまや不必要です。_x000b_肝臓などに見える影は、(もし住血吸虫によるものだとすると)後遺症に過ぎません。_x000b__x000b_最初に申し上げたとおり、もちろん、既に御高齢ですから他の病気の可能性は捨てきれません。_x000b_このコメントは住血吸虫に関することに限っていますので、その点くどいようですが申し添えます。_x000b_10/17/1997吸虫日本住血吸虫
8トキソプラズマ症私は獣医師です。教えていただきたいことがありますので、よろしくお願いいたします。_x000b_妊婦さんより、トキソプラズマに関してよく質問を受けます。_x000b_妊婦さんが受ける検査、結果の評価などに関して、教えて下さい。_x000b_また、医療現場では妊婦さんと、動物の関係に関し、どのような指導を行っているのでしょうか。_x000b_また、この様な内容のことが載っている書籍(人畜共通伝染病に対する指導の仕方)等がありましたら、ご紹介下さい。_x000b_よろしくお願いいたします。_x000b_先天性トキソプラズマ症に関する特別講演を、本年、日本産科婦人科学会千葉地方部会でしました。その時の抄録の抜粋を以下に示します。参考にしてください。_x000b_結論を先に言いますと、妊婦検診は必要で、早期診断早期治療によって先天性トキソプラズマ症の発症と先天性トキソプラズマ感染を防ぐ化学療法を行う。トキソプラズマ原虫の生活史からも理解出来るように、特にトキソプラズマ抗体陰性の妊婦は猫との接触は避けた方がよい。(但し、臨床経験例では、殆どの症例の母親は猫との接触を否定しております。)_x000b_医療経済の観点から先天性トキソプラズマ症の妊婦検診を不要との説もありますが、フェニールケトン尿症や他の先天性感染症より頻度が低いと言える根拠はありません。_x000b__x000b__x000b__x000b_講演題名_x000b_先天性トキソプラズマ症に対する妊婦検診の確立へ向けて_x000b__x000b_はじめに_x000b_ 我が国では先天性トキソプラズマ症の発症頻度は欧米に比較し極めて低いと言われてきたが、画像診断やPCR法による診断法などの進歩に伴い、欧米と同様の新生児感染率が考えられてきている。先天性トキソプラズマ症は早期診断早期治療で発症を予防しうる感染症で、先進国型寄生原虫症として欧米各国では行われている妊婦検診の日本での施行を目指し、最新の診断法を中心にして述べてみたい。_x000b_ トキソプラズマの母子感染を考える際に重要な点は _x000b_1)トキソプラズマ原虫が妊婦や胎児に感染した場合の殆どが不顕性である。_x000b_2)臨床症状を呈した先天性トキソプラズマ症の臨床症状は、流産、死産、水頭症、精神・運動障害、網脈絡膜炎、小眼球症、脳内石灰化など多様である。_x000b_3)出生時に臨床症状を呈さない先天性トキソプラズマ感染児の場合にも、成人までに網脈絡膜炎を起こす可能性が大きく、化学療法や経過観察が必要である。_x000b_4)胎児への感染は妊婦の初感染の場合に起きやすい。_x000b_5)早期診断、早期治療で胎児感染や先天性トキソプラズマ症の発症を防止でき得る。_x000b_6)先天性不顕性感染や先天性トキソプラズマ症の活動期が過ぎると慢性期に入り、脳やリンパ節や筋肉内に嚢子型虫体として終生感染し、日和見感染菌として存在する。_x000b_7)嚢子型虫体に対する化学療法は未確立である。_x000b_8)先天性トキソプラズマ症や先天性トキソプラズマ感染の予防のために妊婦検診が必要である。_x000b__x000b_1)トキソプラズマの生活史と感染経路_x000b_ 省略_x000b_2)先天性トキソプラズマ症と先天性トキソプラズマ感染_x000b_臨床症状_x000b_先天性トキソプラズマ症の症状としては、網脈絡膜炎、小眼球症、斜視、水頭症、小脳症、精神・運動障害、脳内石灰化像、肝脾腫脹、黄疸、リンパ節腫脹、発疹、発熱などである。典型的な先天性トキソプラズマ症の新生児は網脈絡膜炎による失明、小眼球症、脳内感染による水頭症や小頭症、精神運動障害など後遺症を残す場合が多い。妊娠初期の感染は流産や死産にいたるケースが多い。_x000b__x000b_病因論_x000b_ 先天性トキソプラズマ症を理解する上でいくつかの大切な問題点がある。その第一点は、先天性トキソプラズマ感染例の全てが臨床症状を呈するわけでないことである。筆者の経験では、早期診断により化学療法した全症例で臨床症状を呈した症例はなく、出生時の検査で先天性トキソプラズマ感染を認めないか、あるいは不顕性トキソプラズマ感染であった。また、最近の研究結果から、トキソプラズマ感染による病態像がトキソプラズマ原虫側要因および宿主(患者)側の要因によって決定されている。トキソプラズマ原虫側要因としては、弱毒性のものから強毒性のものまで存在することである。 第二の点は、出生時に不顕性感染の場合でも、思春期から20才頃までに網脈絡膜炎を発症する可能性が大であることである。トキソプラズマ原虫の細胞や組織傷害性の詳細な機序は現在のところ明らかでない。_x000b__x000b_疫学_x000b_ トキソプラズマ感染は、地域、年令によって異なるが、日本においても,年令 X (1-0.1)%(例えば30才では3-30%)の感染率を示す重要な原虫感染疾患である。経胎盤感染率はHIVが約20%といわれているのに比較し、トキソプラズマ原虫の経胎盤率はほぼ同程度かこれよりやや高い感染率がいわれている。日本においても、最近、先天性トキソプラズマ症の症例が数多く報告されてきており、厚生省「母子感染防止に関する研究班」(班長;川名尚東大産婦人科分院)の調査でも1992年に11例、1993年に7例を認めている。この背景には先天性トキソプラズマ症診断法の進歩、先天性トキソプラズマ症に対する社会的関心度の高まりなどが反映されているものと考えられる。_x000b_ 妊婦の初感染率と出産数から計算上、1万~1千人(120万出産 x ((初感染率;1-0.5)% x 10/12)の先天性トキソプラズマ感染新生児が生まれていることになるがその実体は不明である。今後の疫学的調査が待たれている。_x000b__x000b_先天性トキソプラズマ症の診断法_x000b_ トキソプラズマ症の診断法は、a)トキソプラズマ原虫そのものの同定による確定診断法、b)臨床診断、c)トキソプラズマ原虫の感染に対する患者(宿主)の抗原特異的免疫反応の測定による診断法、に大分される。_x000b_ 先天性トキソプラズマ感染の診断は、1)臍帯血あるいは末梢血中に抗トキソプラズマIgM抗体の同定、2)トキソプラズマ原虫の胎盤感染の確認(病理学的診断、PCR法、培養法、subinoculation法)、の二つの項目を検査し、両項目が陽性の場合に、先天性トキソプラズマ感染と診断している。先天性トキソプラズマ感染児は早急に化学療法を施行する。_x000b__x000b_診断_x000b_a)トキソプラズマ原虫同定法_x000b_ 1)形態学的同定法_x000b_ トキソプラズマ原虫が細胞内寄生体であることから、宿主細胞を破壊して脳脊髄液中に出た急増殖体などの場合を除けば、病理組織標本によって組織・細胞内にいるトキソプラスマ原虫そのものを形態学的に確定診断するのは一般的に困難である。_x000b_ 2)トキソプラスマ特異的遺伝子のPCRによる診断法_x000b_PCR法による診断法の長所は、増幅する標的遺伝子がトキソプラズマ原虫特異的なものであれば確定診断的になりうることであり、短所はウイルスや細菌などの感染症と比較してトキソプラズマ原虫が細胞内寄生原虫であることから、炎症組織や末梢血から採取されたサンプル採取での陽性率が低いことである。筆者は、先天性トキソプラズマ感染児の診断にはトキソプラズマ原虫は胎盤に易感染性を示すことから、分娩時胎盤のトキソプラズマ原虫感染をPCRによる判定を重視している。_x000b_ 今後、先天性トキソプラスマ症および先天性トキソプラズマ感染児の診断に、PCR法による抗原(遺伝子)診断法の重要性は確実に増えてくるものと考える。_x000b_b)臨床診断_x000b_ 前述したようにトキソプラズマ感染の多くは不顕性である。筆者が経験した先天性性トキソプラズマ症出産全症例の母親は不顕性感染であった。このことから、先天性トキソプラズマ症の胎児診断には近年進歩の著しい三次元超音波を始めとした画像診断による水頭症、小頭症など臨床診断が有用である。先天性トキソプラズマ症新生児および先天性トキソプラズマ感染時の診断にはCTやMRI、X線による画像診断、眼底所見や斜視など眼科領域診断、痙攣の有無など各種神経系診断を行う。また先天性トキソプラズマ感染児に対しては、定期的な検診、特に眼科領域および神経学的検診を勧める。_x000b__x000b_c)免疫反応を利用した診断法_x000b_ マススクリーニング、あるいは日常診療における実際的かつ有力な手法として血清診断がある。 日常診療的には、IgMやIgGなどアイソタイプ別抗体価測定法(ELISA法)である。前述したように、妊婦の初感染の場合に胎児への感染率が高いことから、抗体陰性者は最近の感染が疑われるIgM抗体陽性者と同様にハイリスクグループに属することが理解出来る。このことから、妊娠初期、中期および後期における抗トキソプラズマIgM, IgG抗体の測定を行う。最近、信頼できる国産のELISA測定キットが販売された。_x000b_IgM抗体陽性者やIgG抗体陽性者で臨床的所見のある患者では羊水検査を行う。また、出生時の新生児検診、検査を施行する。血清診断法に関する重要な点は、本診断法は補助診断であり、確定診断はa)の方法による原虫同定診断によるということである。_x000b__x000b_6)化学療法_x000b_治療方針 臨床症状のある患者、初感染妊婦、先天性感染児には積極的に治療する。それ以外では、感染の多くが不顕性であることを考慮し、臨床所見に対応して化学療法を行う。 先天性トキソプラズマ感染の診断は、1)臍帯血あるいは末梢血中に抗トキソプラズマIgM抗体の同定、2)トキソプラズマ原虫の胎盤感染の確認(病理学的、PCR法、培養法、subinoculation法)、の二つの項目を検査し、両項目が陽性の場合に、先天性トキソプラズマ感染と診断している。先天性トキソプラズマ感染児は早急に化学療法を施行する。以下に処方例を示す。_x000b_1) ダイメトン(500mg) 第1日2-4錠(1-2g)分2 2日以後1-2錠(0.5-1g) 分1-2_x000b_ フォリアミン (5mg)1-2 錠 分1-2 4-6週間_x000b_2)アセチルスピラマイシン(200mg) 4-25 錠(0.8-5g) 分2-3 4-6週間_x000b_3)ファンシダール(ピリメタミン25mg+スルファドキシン500mg) 第1-3日 2-4錠 分2、以後1-2錠 分1 4-6週間_x000b_  フォリアミン (5mg)1-2 錠 分1-2 4-6週間_x000b_3)化学療法に反応しない再発性網脈絡膜炎のとき_x000b_  上記 1), 2), あるいは 3)に_x000b_  プレドニン (5mg) 1錠 分1_x000b_妊婦への投与は2)が勧められる。_x000b_ピリメタミンは催奇性があり妊婦への投与は避ける。_x000b__x000b_治療効果の判定に抗体価の変動は必ずしも有用でない。また、既感染のトキソプラズマ原虫(シスト)を根治できる化学療法は確立されていない。_x000b__x000b_7)おわりに_x000b_ 先天性トキソプラスマ症の報告が最近増えている。その要因としては、診断法の進歩、先天性トキソプラスマ症の症例報告による啓蒙活動、日和見感染としてのトキソプラスマ症に対する意識の変化などが考えられる。遺伝子同定診断法により様々な疾患に関する胎児診断が進められているが、先天性トキソプラスマ症や先天性トキソプラズマ感染が先進国型寄生虫症として存在していること、早期診断早期治療により治療可能であること、日本以外の経済先進諸国では妊婦感染症検診のTORCHの中にその診断法が確固たる位置を与えられていること、などから先天性トキソプラズマ症や先天性トキソプラズマ感染に対する妊婦検診の導入は日本においても早急に実施されるべきものと考える。さらには単に現状の医療経済的観点のみならず、先進国のメンバーである日本の産科学臨床研究者、寄生虫学や免疫学の研究者にとっても、診断法さらには治療指針やワクチンの確立は自国のみならず開発途上国に対する責務と思われる。_x000b__x000b_参考文献_x000b_1、Yamakawa, R., Yamashita, Y., Yano, A., Morita, J. and Kato, H. ( 1996 ) Congenital toxoplasmosis complicated with central diabetes insipidus in a Down syndrome infant ( patient report). Brain Dev . 18, 75-77._x000b_2、神薗慎太郎, 山下裕史朗, 矢野明彦, 上田耕一郎, 西見寿博, 加藤裕久 (1995) 先天性トキソプラスマ症の1例 ーPCR法による迅速診断の有用性ー. 日本新生児学会雑誌 31, 533-537._x000b_3、矢野明彦 (1996)トキソプラズマ症. 今日の治療指針. 38, 189-190._x000b_4、糸数直哉、此元隆雄、井上忍、園田徹、杉本徹、矢野明彦(1996)先天性トキソプラズマ症患児治療後の髄液中に検出されたトキソプラズマ特異的DNA -quantitative competitive PCR法による評価の意義.- 脳と発達 28(3), 264-266._x000b_5、 鈴木保宏、竹本理、荒井洋、後藤めぐみ、山田淳二、森本一良、中山雅弘、二木康之、矢野明彦(脳と発達 印刷中) 胎盤より確定診断し得た先天性トキソプラズマ症の1例_x000b_6、矢野明彦 今日の診断基準 トキソプラズマ症 1251p 1997_x000b_7、 矢野明彦 (1993)トキソプラズマ症の最近の話題. 感染・炎症・免疫 23, 1-29. _x000b_8、矢野明彦 (1994)トキソプラズマ症診断法. 産婦人科の実際 43, 63-71. _x000b_9、矢野明彦 (1995)最近のトキソプラズマ症. Medical Corner 97, 25-28._x000b_10、矢野明彦 (1995)先天性トキソプラズマ症診断法. 産婦人科の実際 44, 1901-1908._x000b_11、矢野明彦、清水久美子、関谷宗英(印刷中)トキソプラズマの母子感染.産婦人科の実際_x000b_12/20/1997原虫トキソプラズマ
9異形吸虫先般、当院の給食職員の検便で、「異形吸虫」が検出され、加療した事がありました。_x000b_ところが、本日、その方のご主人(船員・厨房職員)が船員手帳の検査をしたところ、同じ「異形吸虫」が検出されました。_x000b_当然、加療しないと船員手帳は「合格」の判定をできないと思われるので、今後加療予定なのですが、(ヒトからヒトへの経口感染がなければOKか?)先だっての事を考えると、同一家族内の発生とゆう事になります。ちなみにご主人は船員手帳の検査の一週間まえに腹痛訴え、腸炎として加療しました。本日は無症状ですが、便潜血陽性です。_x000b_物の本によると、「ぼら」の生食によって寄生すると書いてありますが、ご本人たちはそのような覚えはないと言っています。_x000b_当地は、鹿児島県薩摩半島最南端の小さな半農半漁の集落です。_x000b_港には小さな河口もあり、汽水域もあります。_x000b_もし、地域的に問題があるとすれば、部落全体の事として対処しなければなりません。_x000b_そこで、インター・ネットで検索していたときにこのアドレスを見つけ、突然で、不作法とも迷ったのですが、ご相談申し上げる次第です。_x000b_本例のように「ぼら」の生食がなかった場合の寄生経路としてはほかにどのような経路があるのでしょうか?_x000b_また、その寄生経路に「ヒト」→「ヒト」とゆう場合があるのでしょうか?_x000b_どうもこの「異形吸虫」に関する文献が少な困っております。_x000b_ご多忙中大変恐縮ですが、よろしくご高配ください。_x000b_回答1_x000b_ 分類では異形吸虫と横川吸虫はどちらも異形吸虫科に属し,虫卵による区別は難しいために,臨床検査センター等に検査を依頼し検便で虫卵が検出された時には異形吸虫類卵の陽性として検査結果が届きます._x000b__x000b_ 従って,今回の患者さんは横川吸虫に感染していることも考えなくてはなりません.おそらくこの可能性の方が高いと思います.横川吸虫であれば,アユなどの淡水魚が感染源となります._x000b__x000b_ いずれの吸虫でもプラジカンテルで駆虫できます._x000b__x000b_1/31/1998吸虫異形吸虫
10食中毒食中毒の主なものは細菌性のものですが、クリプトスポリジュウムをこの食中毒の範疇に入れても良いでしょうか、またこれが認められるとすると、それ以外の寄生虫類についてどこまで入れても宜しいでしょうか。人によってはアニサキスまでも考えておられる方もおられるとの事ですが。また、食中毒の定義につき詳しい方に御教示を頂きたく思います。宜しくお願い申し上げます。_x000b_食中毒というのは、経口伝染病と対立する概念で、食品由来の疾患のうち、ヒトからヒトへの伝播が問題にならないものを指します。_x000b__x000b_中毒学 Toxicology の教科書では、食中毒を原因物質から、動植物による中毒、微生物による中毒、人工物による中毒、といったカテゴリーに分類しています。_x000b_サルモネラ腸炎については、「病原体が体内で増殖し、ヒトーヒト感染が起こる可能性がある」ので、伝染病として扱うべきとの説と、「ヒトーヒト感染の可能性はあるが、公衆衛生上、問題にならない」ので微生物による中毒として扱うのが適当という説があります。_x000b__x000b_この意味で、クリプトスポリジウム症を食中毒とするのは間違いです。_x000b_クリプトスポリジウムは、ヒト-ヒト感染する可能性があり、伝染病に該当するからです。_x000b_一方、アニサキスは、ヒト-ヒト感染しないので、含めてよいと思います。_x000b_この場合、アニサキスを毒、腹痛や好酸球増多を中毒症状とみなします。_x000b_(原因が生物か非生物かは問わない。乱暴な意見です)_x000b__x000b_単純に判断すれば、ヒト-ヒト感染する寄生虫は伝染病に該当します。_x000b_その他の寄生虫症のうち、中毒症状(消化器症状あるいは神経症状)が明確なものは食中毒としてよいかと思います。旋毛虫症などは該当するでしょう。_x000b_しかし、回虫症などは経口伝染病にも食中毒にも該当しません。_x000b__x000b_判断のポイントは「病原体の増殖(感染)」と「摂食に続発する症状(中毒)」です。_x000b_しかし、寄生虫学では、「病原体の発育」が重要です。_x000b_寄生虫症を、このような単純な概念で取り扱うのは誤解を招くばかりと思います。_x000b_2/10/1998その他
11疥癬1,患者より疥癬をうつされ10日前に発症しました。3日前に疥癬が確認され現在安息香酸ベンジルローションとオイラックスを塗布しています。しかし頭や後ろ髪の生え際まで小丘疹ができていますがここも上の軟膏を塗布すべきでしょうか。_x000b__x000b_2,また最初の2日間は町の皮膚科に受診しステロイド軟膏を塗布していました。これぐらいでノルエー疥癬に移行するものでしょうか。丘疹は赤色で灰白色ではありませんが。_x000b__x000b_3,家人にはどのような対応をすべきでしょうか。湿疹がでた約10日間一緒に生活しておりました。当院からは安息香酸オイラックスを2日間頚から下に塗布するように指導されました。また武藤はっぷで入浴をしてもらっています。_x000b_いつまで武藤はっぷの入浴を続けるべきなのでしょうか。また感染予防はこれで十分なのでしょううか。家の消毒はどのようにすればいいのでしょうか。_x000b__x000b_わたしは現在病院にとまって家に帰らないようにしています。いつになったら家に帰っても大丈夫なのでしょうか。_x000b__x000b_大変困っています。とてもつらいです。是非お教えください。_x000b__x000b_どなたも大変治療には苦労します._x000b_ 寄生虫学会ホームページの「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引き」によく記載されています.こつは ガンマーBHCの軟膏を作って,使うこと.購入方法の記載もあり.コーチソンはしばしば急激な悪化をさせます.この注意がされていないようです._x000b_3/17/1998衛生動物疥癬
12赤痢アメーバ原虫:赤痢アメーバ_x000b_経過:大腸粘膜生検の直接鏡検(ー) 生検の病理組織診断(陽性疑い)_x000b_   解剖後の組織診断において、肝及び大腸粘膜にアメーバ原虫多数。_x000b_   血清抗体価は解剖後に外注のため、結果はでていない。以上のよ_x000b_   うな症例において、臨床医より、生検の直接鏡検において、検出_x000b_   できなかった原因を、明確にして欲しいとのクレームがあった。_x000b_提出状況_x000b_  :生検材料1個を滅菌スピッツ中の生理食塩液に浸けた状態で提出。_x000b_   鏡検までの時間は約40分(保温なし)_x000b__x000b_質問内容_x000b_  :文献的には、糞便及び生検よりの直接鏡検での陽性率は3割程度_x000b_   と記載されている。しかしこの程度の陽性率では、検査の信頼性_x000b_   が得られず、臨床医のクレームと繋がってしまう。そこで、直接_x000b_   鏡検での陽性率を高めるためには、生検の個数を増やせば良いの_x000b_   か、それとも検査までの時間を可能な限り短縮せればようのかを_x000b_   教えてください。あるいは鏡検において、特別なこつというもの_x000b_   が、存在すれば教えてください。今回の質問は栄養型に限定した_x000b_   ものです。以上宜しくお願いいたします。_x000b__x000b__x000b_追加質問_x000b_大腸粘膜生検を直接鏡検して陰性となった理由は何故かとのことと思いますが、材料採取などについていくつか質問があります。_x000b_1)この症例は、最初からアメーバが疑われており、生検されたのでしょうか。_x000b_2)生検部位は、確実に潰瘍あるいは発赤などの所見のあるところから採取されたものなのでしょうか。_x000b_3)病理組織診断で陽性疑いとなっていますが、これは直接鏡検した部位と同一のものだったのでしょうか(biopsyした標本を2分割した片割れの意味)_x000b_4)生検は、生で観察しただけなのでしょうか、それともヨード染色や鉄ヘムを追加されたのでしょうか。_x000b_5)臨床経過中の、何時生検されたのでしょうか(死亡前、どれほどの期間があったのか)。_x000b_6)糞便検査による、アメーバの検索は行われたのでしょうか。_x000b_以上のような、要因により生検標本の陽性率は大きく異なってくるのではないかと思いますが、如何でしょうか。_x000b_病理(手術、剖検)標本を見ていても、特殊の例(HIV感染に伴う大腸皮膚瘻孔形成)を除いては、それ程多くの原虫を病巣の粘膜下(実際には潰瘍を形成している場合にはすでに粘膜上皮は消失しており、粘膜下層や固有筋板が採取されているものもある)に認めることはありませんので、わずか数ミリの大きさの標本でなかったことが、アメーバを否定する根拠にはなりにくいものと思います。また、原虫の増殖の基本が、あくまでも消化管腔にあることからしても、第1義的に生検標本から生きたアメーバを採取することを目的とするのは無理で、あくまでも糞便検査に頼るのが良いのではないでしょうか。_x000b__x000b_回答1_x000b_質問者と私の勤務先が同じ場所なので、状況を聞いてきました。_x000b_(1) 外科で赤痢アメーバ症患者の生検を行って、検査室と病理に検体を提出した。_x000b_(2) 検査室では、質問の通り、直接検鏡を行い、陰性と判定した。_x000b_(3) 病理では、定石通り、染色標本を作成し、陽性と判定した。_x000b_(4) 患者が亡くなって、剖検でアメーバ症と確定した。_x000b_という状況でした。_x000b__x000b_内視鏡では広範な大腸病変がみられたそうです。_x000b_(1) 典型的なアメーバ性潰瘍(タコイボ型)では虫体の集族部位にヒットしているため、多数の虫体が検出される。しかし、広範な粘膜病変を呈する症例では、生検で確認される虫体数が少ない。このため、検査室に回った材料には虫体がなかった可能性もある。_x000b_(2) 直接検鏡で運動性のある栄養型を検出するという発想は良いが、生理食塩水に入れて保存しておくことは好ましくない。なるべく早く検鏡を行うべきである。_x000b_(3) 切片作成と比較して、直接検鏡では感度が劣る。材料を固定しないメリットを活かして、PCR法の併用を検討した方がよい。_x000b_と返答しておきました。_x000b__x000b_回答2_x000b_(答え)_x000b_ 赤痢アメーバ腸炎の診断は便あるいは組織から赤痢アメーバの栄養型を検出することが最も確かであります。この場合、便(新鮮な便)は直接塗沫検査で、組織は病変部の生検組織を用いた病理組織検査でそれぞれ栄養型を検出することです。また、大腸内視鏡検査時に採取した粘液の直接塗沫検査で栄養型を検出する方法も有用です。生検組織の直接鏡検は通常行いません(検出率が低いため。生検組織の直接鏡検で病原体が検出されなくても、赤痢アメーバ大腸炎を否定してはいけません)。本症例では診断を生検組織の直接鏡検(しかも、時間が経過した検体)に頼ったのが誤りです。_x000b__x000b_(追加)_x000b_ 大腸内視鏡の肉眼所見でもある程度赤痢アメーバ大腸炎の疑診は可能です。大腸内視鏡検査を行った段階でどうして『赤痢アメーバ大腸炎の疑いがあり、病理組織検査を急いで依頼する』との検査依頼が医師から出されなかったのでしょうか。それよりも、大腸内視鏡検査を行った段階でどうして糞便の直接塗沫検査あるいは腸粘液を採取して直接鏡検することがなされなかったのでしょうか。このことは重要なことです。もっとも、肝からアメーバが多数検出されていることからすれば、肝膿瘍があったものと思われます。おそらく腹部超音波検査あるいは腹部CT検査でアメーバ肝膿瘍を思わせる所見が得られていたものとおもわれます。便性異常がありかつ肝に膿瘍があれば赤痢アメーバ感染症を考え、ますは新鮮な糞便の直接塗沫検査を行うことは医師にとって必須の知識です。_x000b__x000b_4/14/1998原虫赤痢アメーバ
13糸状虫 西アフリカ(ザイール人)で現地で5年前にフィラリアになった方です。注射の治療を受けたそうです。日本在住4年目です。_x000b_ 主訴は、全身の掻痒・眼の掻痒です。フィラリアと思うとのことで来院されました。発熱や象皮症はなし。昼間の採血でミクロフィラリアを見つけました。_x000b_ 有鞘。_x000b_ 尾端に膨大部なし。_x000b_ 尾端まで核を有する。_x000b_以上の特徴を有するためロア糸状虫と思うのですが専門家の御意見を伺いたくメールをおくります。_x000b__x000b_添付の画像ファイルは全てJPEGファイルです。_x000b_1.ギムザ染色全体像( 400倍)_x000b_2.ギムザ染色尾部像(1000倍)_x000b_3.無染色全体像(位相差顕微鏡 400倍)_x000b__x000b_画像ファイル:P01274_1、P01274_2、P01274_3_x000b_回答1_x000b_Mfの大きさが分かりませんので、明快な回答は出来ませ。また鑑別を要する物が多いですが、 A.perstans としては大きすぎると感じます。日本に2例のロア症の報告があります。文献を参照して下さい。_x000b__x000b_Tani, S. et al. (1985) An imported case of human infection with Loa loa. Japan. J. Exp. Med. 55; 71-74_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_今回のLoa loa症疑いのケースですが、塗沫標本の写真がいま一つですので、判定は難しいですね。_x000b_Mfは無鞘のように見えるのですが、実際に顕微鏡を見られた先生の判定はどうでしょうか。Loa loaのMfは有鞘のはずですので、もし今回の塗沫標本中のMfが無鞘であれば、それだけでLoa loaは否定されるのではないでしょうか。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加情報_x000b_いろいろな御意見ありがとうございます。_x000b_スパトニンを投与して原虫は消失しました。_x000b__x000b_なお、有鞘か無鞘の件ですが、フィラリアの生の標本で運動しているときの観察では有鞘でした。_x000b_6/10/1998線虫糸状虫
14コウガイビルトイレの中(便器外)に虫がいたとのことで、確認の依頼がありました。長さ約50センチ、幅約1センチ、厚みが約4ミリ程度で、偏平形です。活発に動きます。頭は褐色で、体全体はアイボリーですが、褐色の筋が3本尾まで走っています。裏側は頭部がアイボリーで体部に褐色の筋が2本あります。緻密な横皺がありますが、片節はありません。尾端は、細くなっていますが、特別な器官は見られません。この虫は、某保健所に住民の方が搬入したものです。どうぞ宜しくご指導お願いいたします。_x000b_回答1_x000b_ 同じ様な物を梅雨時に持ち込まれた経験があります。_x000b_結局 Myxomycetes (変形菌類、粘菌類、葉状体植物)でした。_x000b_私の場合は、便所にあったガラス版の上にのさばった綺麗な模様状の生物で、やはり動いておりました。植物学か農業微生物の方に見てもらっては如何でしょう。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_先のコメントでよいものと思いますが、素人的にはプラナリアかなと一瞬思いました。実は今朝、自宅の庭でゆうに50 cmを越す褐色のプラナリアに出会ったものですから。でも、きっとプラナリアだったらこの依頼者_x000b_も御存知でしょうから、先のコメントがより適切と思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_この動物は、多分ミスジコウガイビル(3本の縦条から)でしょう。_x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_私もプラナリア(コウガイビル)だと思います。_x000b_3本のスジが入っているということですし。_x000b_ずいぶん大きいし、色も気になりますが、可能な変異の範囲内だと思います。_x000b__x000b__x000b_回答5_x000b_この生物は、扁形動物門、渦虫綱、こうがいびる科に属するオオミスジコウガイビルだと思います。_x000b_この渦虫の頭部は扇のようにひろがり、昔の女性が髪に使用した、笄(コウガイ)の形をしているのでつけられた名前ですが、ヒルではありません。100cm以上にもなります。頭部には口はなく、体前端から1/4くらい後の腹側に咽頭があります。_x000b_体は粘液に富み、切れやすく、切れたら頭が再生します。_x000b__x000b_通常は庭のジメジメした所や側溝などにいて、梅雨どきに人目に触れるようです。風呂場やトイレにも出没するようです。_x000b__x000b_目黒寄生虫館ではこの虫の問い合わせが多いことと、扁形動物であることなどで、展示室で飼育して一般に公開しております。_x000b_ミミズを食べさせております。_x000b_今年はこの虫の問い合わせが特に多いようです。_x000b__x000b_6/29/1998衛生動物コウガイビル
15ランブル鞭毛虫某大学医学部小児科の医師です.留学生のお世話をしている方にFAXがあり,私の方に相談にきたのですが,私も困ってしまい,インターネットで検索してこのページを見つけメール致しました.宜しくお願いいたします.中国長春の患者さん(年齢の記載がありません)で,下痢を主訴に大学病院を受診して検査の結果,”ランブル鞭毛虫”が検出され診断が確定したそうです.metronidazoleで治療をしてきたようです.長期内服すると消化器症状があるので10日間単位で治療しているようです.治療するとランブル鞭毛虫は減少するが止めるとまた増加し,腹鳴,げっぷや下痢をするということを繰り返し,1年半が経過しているようです.主治医も経験に乏しく,文献的に治療しているようですが改善しないので困っているようです.何か良い治療法がありましたらご教授頂ければと思いメール致しました.宜しくお願い申しあげます._x000b_質問によりますと本症例では「metronidazoleで治療をしてきたようです」となっておりますが、通常では効果が期待できるものと思います。私は、数例しかジアルジア症の経験はないのですが、1例は海外青年協力隊隊員であったヒトで、治癒せず繰り返していた症例があります。多分このような症例では原虫が胆管内に寄生しているため、胆道内寄生の原虫に薬剤効果が無く、再発を繰り返すのではと思い、利胆剤との併用を主治医に御願いしたことがあります。その後、症状が再発したとの話は聞いておりませんので、これが良かったのかと思っております。_x000b_8/10/1998原虫ランブル鞭毛虫
16蛔虫 患者さんは67歳の男性で_x000b_既往歴:小児期に回虫で腸閉塞になったことがある_x000b_現病歴:_x000b_ 夏になってから全身倦怠感、労作時胸痛があるとのことで8月13日外来受診されました。_x000b_ 心電図では胸部誘導のT波がやや増高している以外に著変なく胸部X線写真では心拡大、肺野の異常は認めませんでした。_x000b_ 身体所見にも貧血、脱水兆候その他異常は認めませんでした。_x000b_ 血液検査で末梢血に異常無く(貧血無し、好酸球3.0%)血液化学検査でGOT80, GPT80, ALP230(WNL), LDH700, CPK1000, CPK-MB80という異常値を認めたため熱中症が慢性化しているのか?とも考え経過観察としました。_x000b_ しかし、入院後の心エコーにても下大静脈径は十分保たれており、その他に異常は認めませんでした。翌日、検査値はいずれもわずかに減少しましたが異常値は続いていました。その日黒色の下痢をしたということでしたので14日GIFを行いました。_x000b_すると十二指腸内に回虫を発見したのです。現在、当院にあったコンバントリンは期限切れだったので注文しましたが問屋がお盆休みで明日以降に入荷予定とのことでした。同日の血液検査でも異常値に期待したほどの改善無くCPKも含めて異常値が続いていました。自覚症状は全くなかったため15、16は外泊させ明日、駆虫を行う予定にしています。_x000b_ そこでお伺いしたいのですが_x000b_1.回虫症の経過として問題点は無いでしょうか_x000b_2.必ずしも好酸球増多はなくても良いのですか_x000b_ 好酸球が多い例と正常の例ではなにが異なるのでしょうか_x000b_3.コンバントリン1回内服治療に際し、本症例で特に注意すべき点は無いでしょうか_x000b_4.家人は妻一人なのですが妻には検便で確認後外来で投薬(同薬を)しただけで良いのでしょうか。やはり一通りの検査はしておくべきでしょうか。_x000b_5.当市は地方都市ではありますが検診もよく行っており、内視鏡で回虫が見つかるというケースはこの2年間で初めてです。潜在的に宿主となっている人がいると考えるべきでしょうか、それとも新たな感染なのでしょうか_x000b_以上について簡単で結構ですのでご教示頂けると大変助かります。_x000b_どうぞ宜しくお願い申しあげます。_x000b_回答1_x000b_1.回虫症の経過として問題点は無いでしょうか_x000b_ ヒト回虫の腸管寄生では肝機能異常やCPK、CPKーMの上昇は無いと思います。これらをあえて一元的に回虫症で説明しようとするならば、肝臓やその他の臓器への異所迷入も同時におこったと考えられます。_x000b__x000b_2.必ずしも好酸球増多はなくても良いのですか_x000b_ 最近のヒト回虫の消化管内寄生では好酸球増多を伴わないほうが多いです。好酸球増多を伴う場合は異所寄生を疑うか、ヒト回虫以外の動物の回虫による幼虫移行症が疑われます。_x000b__x000b_3.コンバントリン1回内服治療に際し、本症例で特に注意すべき点は無いでしょうか_x000b_ コンバントリンは殆ど血中に吸収されず、しかも屯用ですので、他の疾患に影響を与えることはないと思われます。_x000b__x000b_4.家人は妻一人なのですが妻には検便で確認後外来で投薬(同薬を)しただけで良いのでしょうか。やはり一通りの検査はしておくべきでしょうか。_x000b_ 一通りの検査というのが何を意味しているか良く判りませんので、答えようがありません。ヒト回虫症であるかどうかを判定するための検査としては検便虫卵検査で充分でしょう。虫卵陽性であれば駆虫薬内服ということになります。異所寄生や幼虫移行症を疑う場合には血清免疫検査ということになります。その場合には好酸球やtotal IgE、肝機能や肝、肺の画像検査なども必要になります。_x000b__x000b_5.当市は地方都市ではありますが検診もよく行っており、内視鏡で回虫が見つかるというケースはこの2年間で初めてです。潜在的に宿主となっている人がいると考えるべきでしょうか、それとも新たな感染なのでしょうか_x000b_ 寄生虫学的には大変重要な問題ですが、寄生虫予防法が廃止され、地域住民を対象とした検便虫卵検査が実施されていない今日では、答えようがありません。可能性としては、患者さんの居住地域で小規模にヒト回虫が維持されている可能性もありますし、どこか他所(海外も含めて)でヒト回虫が維持されており、そこから出荷された野菜類に虫卵が付着していて感染した可能性も考えられます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_1.回虫症の経過として問題点は無いでしょうか_x000b_内視鏡で回虫を十二指腸に認めたとのことですが、同部は本来の寄生部位ではないことより、膵胆道系に迷入していた可能性が強いのではと思います。そうだとすれば、肝機能検査の異常は説明つきやすいかと思います。患者さんに上腹部の痛みとか鈍痛は無かったでしょうか。本症例では、糞便中に虫卵を確認できたのでしょうか。_x000b__x000b_4.家人は妻一人なのですが妻には検便で確認後外来で投薬(同薬を)しただけで良いのでしょうか。やはり一通りの検査はしておくべきでしょうか。_x000b_ 問題となるのが、雄のみの寄生と思います。この場合にはいくら検便をしても虫卵は検出されません。その場合に、1)放置するか、2)あえて駆虫剤を投与するかの選択があると思います。患者さんの回虫の寄生数などとも関連して決めることになるのでしょうか。私は、大部分の例では、虫卵の検出されない家族には、その可能性を説明した上で、駆虫をすることはしておりません。_x000b__x000b_5.当市は地方都市ではありますが検診もよく行っており、内視鏡で回虫が見つかるというケースはこの2年間で初めてです。潜在的に宿主となっている人がいると考えるべきでしょうか、それとも新たな感染なのでしょうか_x000b_ 1の回答とも関連があるのですが、本症例のように内視鏡で発見されることは偶然と考えるのが良いと思います。また国内の回虫症例が増加しているのか否かは難しい問題です。1つは、回虫症すら診断できない医師が増加し、これら検体が大学の寄生虫学教室にまで持ち込まれてくるために、寄生虫学者が症例が増加していると思いこんでいる可能性があります(私もその一人かもしれません)。本当に国内で増加しているのであれば、サイクルがどのように回っているかです。有機農法がその原因として騒がれたこともありましたが、少なくとも我々の調査では人糞の使用は考えられませんでした。輸入野菜に疑いがありますが、これも難問です(多分、生の輸入野菜から回虫卵を検出された研究者は無いのではないでしょうか:ただ韓国から直接輸入したキムチに回虫卵を認めた報告はありますが)。その他、海外旅行により感染の可能性です。しかし、我々の症例の大部分は一度も海外旅行歴のない人です。以上のようなことで、何が事実かわからないのが私の持っている感想です。_x000b__x000b__x000b_回答3(回答2に対するコメント)_x000b_ 有機農法による回虫感染の可能性について。_x000b__x000b_・・・有機農法がその原因として騒がれたこともありましたが、少なくとも我々の調査では人糞の使用は考えられませんでした。_x000b__x000b_ 先日(確か6月頃),教室に回虫1隻を持参された埼玉県狭山市に在住の女性の方は,自宅で有機野菜の栽培と販売を生業にされており,ご自身の糞便を肥料として使っていると,直接本人から聞きました。そして,生産された野菜は東京方面に出荷していたとのことです。_x000b__x000b_ この方がどこで感染したかについては明らかではありませんが,人糞による野菜作りとそれを販売している方が首都圏に少なくとも一人はおられることは間違いありません。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加情報_x000b_月曜日に患者さんの奥さんが来院されました。_x000b_自宅の糞尿を野菜の肥料に使用されているとのことでした。_x000b_奥さんもGOT,LDH,CPKの高値を認めました。検便、腹部エコー、内視鏡を計画しました。_x000b_患者さんは検便では3回とも虫卵が検出されず検出した成虫は15~20センチと小さめでしたので雄の単独感染で膵胆道系に迷入していた可能性を考えています。_x000b_上腹部痛などは無かったのですが狭心症様の労作時の胸痛がありました。_x000b_昨日、コンバントリンをのませました。_x000b_とりいそぎお礼まで。_x000b_大変ありがとうございました。_x000b_その後の経過は改めてご報告いたします。_x000b_8/16/1998線虫回虫
17アニサキス 好酸球増多で入院している方のanisakisに対するIgE抗体がCAP-RAST法で57.3を示しております。特異性があるのか知りたいのですが?_x000b_ なお、皮疹は本年6月頃から、手に出現し8月より下痢と熱発を示し、全身に拡大しており、生検でも好酸球浸潤が特異的です。IGEは935程度で、皮疹からもアトピー性皮膚炎とは異なります。_x000b__x000b__x000b_アニサキス抗原を用いた免疫診断では、回虫類の抗体が程度の差はあれ、交差反応を示します。_x000b_ 質問にあるような臨床症状から推測すると、イヌ回虫、ネコ回虫、ブタ回虫などの回虫類の幼虫による内臓幼虫移行症の可能性が高いように思われます。_x000b__x000b__x000b_9/10/1998線虫アニサキス
18カラアザールカラアザールの血清診断するところありますでしょうか?_x000b_ この患者は残念ながら亡くなってしまったのですが、病理学的には強く疑われるということなのですが。_x000b_ 宜しくご指導のほどお願いいたします_x000b__x000b_確定診断が目的でしたら、この場合血清診断は、どの程度有効なのでしょうか? _x000b_むしろPCRのほうがbetter choiceと思いますが。_x000b_ある種のPCR primerは、脱パラ切片からも遺伝子増幅をします。_x000b__x000b_9/7/1998原虫カラアザール
19アメーバ性髄膜脳炎アメーバ性(acanthamoeba culbertsoni?)とみられる多発性の肉芽腫性脳脊髄炎の患者を診ています。診断法、治療法についてご教示いただけないでしょうか?お願い致します。_x000b_診断はどのようにされたのでしょうか。_x000b_Naegleria感染でしたら進行が極めて早いので、憂慮されます。_x000b_その他に Balamuthia の可能性も考えなくてもよろしいのでしょうか。_x000b_10/8/1998原虫アカンソアメーバ
20瓜実条虫17歳女子、犬とベッドを共にしていて、犬が虫体の分節を排出。獣医の診断は瓜実条虫。母親がシーツ上に虫卵らしきものを発見。この場合、中間宿主の存在は確認できませんが①この方に虫卵検査の必要性はありますでしょうか。 ②もし必要なら接触がわかってから何日後くらいに検査をすればよろしいでしょうか。_x000b__x000b_ 以上お手数ながらご回答頂ければ幸いです。_x000b_瓜実条虫の人体寄生例の殆どは乳幼児です。一般に健康な成人が中間宿主(イヌノミ)を誤って摂取しても、免疫不全などがない限りまず寄生が成立しないと思われます。本ケースでは17歳女子ということですから、感染の可能性は極めて少ないでしょう。仮に感染しても殆どの場合無症状で経過します。したがって慌てて検査をする必要はないでしょう。円葉目ですから、ヒトでの感染でも、イヌに感染した場合と同様に受胎体節が毎日のように排泄されます。心配ならば毎日自分の便を眺めていれば良いのではないでしょうか。イヌ、ネコでの感染から類推して、感染3-4週目あたりから体節の排泄が見られるはずです。どうしても検査を希望する場合、イヌとの接触から一ヵ月目と、二ヵ月目位でチェックすれば充分でしょう。但し、検便で虫卵が検出される確率が低いので、セロテープによる肛門周囲検査の方が良いかもしれません。_x000b_11/2/1998条虫瓜実条虫
21メニール鞭毛虫48歳の男性で他院の精神科病棟に長く入院していた患者さんです.足の形成手術のため当院に転院してきました.術後megacolon となり現在迄4週間絶食にして点滴しています.ブジーで排ガスをしています.2週前より 水様粘液便がでますので検便してみたところメニール鞭毛虫が見られ また便のヒトヘモグロビンおよび白血球も陽性でした.3日間38Cの発熱ありCRP10でした.熱は自然に平熱となりました。メニール鞭毛虫について治療法も教科書に記載ないのでFlagyl 250 mg 朝夕1週間投与しました。明らかに効果があったともいい難いのですが、ややいいかなという感じです。CRPは まだ4あります。ガスは 少し少なくなった印象です。_x000b__x000b_メニール鞭毛虫は病原性があるのでしょうか.治療法についても教えてください._x000b_メニール鞭毛虫 Chilomastix mesnil に病原性はありません。_x000b_少なくとも、血便をおこすような虫ではありません。_x000b__x000b_このヒストリーは、赤痢アメーバ症を疑わせます。_x000b_・ 感染経路: 精神病院にて感染(同じ病院で複数患者が発生しているかも)_x000b_・ 症状: アメーバ性大腸炎(大腸内視鏡を行えば、潰瘍が見つかるかも)_x000b_とりあえず、抗体検査を行ってみてはいかがでしょうか。_x000b__x000b_11/3/1998原虫メニール鞭毛虫
22蟯虫 蟯虫症の母と5才の娘の二人の治療を行っています.今まで他院にて,コンバントリン,メベンダゾール,アルベンダゾールなどの単回投与を行い,いずれも症状の上で無効であったと本人は言います.診断と治療効果の判定に関しては,一度虫体を確認したが,セロファンテープ法は何度も行って陰性であったとのこと.しかし,本人は蟯虫症が続いていると信じています._x000b_ このような経緯から,当方ではメベンダゾール100 mgを2週間間隔で計6週間行いましたところ,今までになく症状の改善が見られたと言いました.しかし,6週間の治療終了後,肛門部の痒みと外陰部の発赤が多少出始めたので,さらに6週間の治療を行いたいと言っております.もちろん,衣類の頻繁な洗濯,布団の頻繁な日干しな_x000b_ど強化して行っています._x000b_ そこで質問ですが,1) セロファンテープ法で出にくいこともあると言われているので,治療効果の判定などを,肛門部の痒みなどの症状で見ていくのはやむを得ないでしょうか? 2) メベンダゾール100 mgを2週間に一度服用する方法で(5才の幼児も),副作用の可能性を考えた場合に,どの程度の期間続けられるでしょうか?_x000b_ 特に,5才の娘に関しては,痒みのために落ち着きがなく,非常に深刻であると訴えています._x000b__x000b_ コンバントリン,メベンダゾール,アルベンダゾールなどの単回投与が無効で、セロファンテープ法は何度も行って陰性の蟯虫症というのは、考えにくいと思います。まして、メベンダゾール100 mgを2週間間隔で計6週間の治療終了後,肛門部の痒みと外陰部の発赤が多少出始めたというのは蟯虫症では説明できないのではないでしょうか。_x000b_ セロファンテープ法も、あまり頻繁に繰り返すと、粘着剤により皮膚に「かぶれ」が生じることが考えられます。メベンダゾールは肝機能障害などの副作用がありますから、投薬期間中、肝機能検査を実施する必要があり、そのために反復採血することは5歳の子供にとってはかなりの苦痛を与えることになるのではないでしょうか。また、5歳の子供であっても、あまり頻繁に外陰部の検査を行なうことは、メンタルに問題があると思われます。_x000b__x000b_ 本症例は、昨年、臨床寄生虫学会で報告された「妄想性寄生虫病」あるいは、精神神経科でいう「潔癖症」に該当するように思われます。_x000b_そのような観点から、この親子をもう一度見直す必要があるのではないでしょうか。_x000b_1/22/1999線虫蟯虫
23糞線虫 昨年、鹿児島県奄美大島に転勤でやってきました。ルーチンの検査でよく便の寄生虫検査があります。昨年も4名の糞線虫感染者がありました。直接塗抹法で4名ですので、培養法を実施するとまだ多くの感染があると思っております。_x000b_ そこで寒天平板便培養法を導入したいと考えており業者などにも専用培地の有無を確認しておりますがなかなか見つかりません。もしよろしければ寒天平板便培養法に使用する培地の会社名・培地名を教えていただけませんか?もしないのでしたら培地の処方をご教授ください。_x000b_寒天平板法を含む糞線虫症の検査法については、_x000b_「日本における糞線虫と糞線虫症」城間祥行・佐藤良也 編著 九州大学出版会 1997_x000b_に詳しく記載されております。_x000b_寒天平板法については_x000b_Arakaki T, Hasegawa H, Asato R, Ikeshiro T, Kinjo F, Saito A, and Iwanaga M.: A new method to detect Strongyloides stercoralis from human stool. Jpn. J. Trop. Med. Hyg. 16: 11-17, 1988_x000b_が原著ですので、これを参照されたらよいでしょう。_x000b_2/10/1999線虫糞線虫
24眼底の線上(白色)病変眼底に線状(白色)の病変を認める症例(蛆虫などの網膜内侵入疑い)のある患者についての御意見御示唆のお願い_x000b__x000b_下記の患者について診断に苦慮しておりますので,諸先生方のお知恵を拝借したくよろしく御指導御示唆の程お願い申し上げます。_x000b__x000b_患者: 52歳,男性_x000b_主訴: 左眼 霧視_x000b_現病歴: 平成10年12月26日ごろより左眼の霧視を自覚していたが,放置。平成11年1月10日より症状の増悪を認めたため近医受診。左眼ぶどう膜炎の診断でステロイド点眼にて加療されたが,精査加療目的で2月1日当科紹介受診。_x000b_全身倦怠感(-),発熱(-),皮疹(-),関節痛(-),_x000b_リンパ節腫脹の自覚なし_x000b_飼育:チャボ,ねこ,イヌ_x000b_平成10年12月初旬に鹿肉の生食_x000b_既往歴:花粉症あり_x000b_視力: 右1.5,左1.2_x000b_眼所見:_x000b_右眼:異常所見なし_x000b_左眼:前房中に強い炎症あり_x000b_   軽度の硝子体混濁あり_x000b_   網膜に線状の白線が多数みとめられ,増加傾向にある。_x000b_   また眼底造影写真により,検眼的に白線のみられない部分にも多数の線が造影されている。_x000b_血液所見:_x000b_ RBC 482_x000b_ PLT 21.6_x000b_ WBC 7300( NEUT 67.7, N-BA 0.0, N-SE 0.0, EOSI 2.7, BASO 1.8, LYMP 22.1, MONO 5.7 )_x000b_ IgE 2060_x000b_ 他に異常所見を認めず。_x000b__x000b_眼科的に左眼のぶどう膜炎との診断をくだすことができます。しかしその原因が細菌性,ウイルス性あるいは免疫原生などとは異なり,眼底所見から何らかのルートで網膜内に生物学的異物が混入しているのではと疑っております。眼底の網膜に多数の白線を認め,白線の幅は網膜血管くらいで約200um弱くらいかと考えられます。眼底所見を詳細に検討しますと一筆書きのようで,何かの生物が這い回っているのではないかと考えています。このような所見は今まで眼科的にあまり認められない所見ですが,白線がつながっており幅が一定で増加してきていること,眼内に炎症を生じていることから,寄生虫や蛆虫などが網膜内に侵入し動き回っているのではないかと考えております。現在は網膜の周辺部にのみ存在しており,したがって黄斑部は無傷で中心視力は保たれています。しかし,移動している可能性が強く,万一黄斑部に侵入すると視力が失われる可能性があります。外科的に除去する方法も考えられますが,手術侵襲による視力障害を考えるとまず何とか薬物療法を試みたく思います。_x000b_1) どのような寄生体によるのか診断するヒント(血液検査など)_x000b_2) 適当な有効と考えられる薬物_x000b_3) その他の御意見_x000b_など頂ければ幸いです。よろしくお願い申しあげます。_x000b_眼底所見およびIgE高値があることから、寄生虫の迷入によるぶどう膜炎の可能性はかなり高いと思われます。好酸球増多が見られませんが、IgEと好酸球のデータが解離するケースも時々ありますので、好酸球増多がないから寄生虫感染症ではない、ということにはなりません。特に、ステロイドを使用されますと、好酸球数は低値にな_x000b_ることがあります。_x000b_病原寄生虫としてはイヌ回虫が一番に考えられますが、その他、顎口虫などの可能性も否定はできません。_x000b_イヌ回虫症の免疫診断については、血清ならば1-2 mlで診断可能です。もし、硝子体液や前房水のサンプルがあれば、より信頼度の高いデータを出す事ができます。_x000b__x000b_2/16/1999その他
25トキソプラズマ症イランの病院の医師から尋ねられました。トキソプラズマ症の母子の患者さんんを診ておいでですが、日本でのトキソプラズマ症を治療するセンターを紹介して欲しいとのことでした。_x000b__x000b_お忙しいところ恐縮ですが、トキソプラズマ症を治療しているセンターがありましたら、ご紹介いただきたくお願い申し上げます。_x000b_なお、患者さんたちの病状等についての詳細は不明です。申し訳ありません。_x000b_日本で、トキソプラズマ症の治療センターを標榜している医療機関はないと思います。_x000b_先天性トキソプラズマ症の治療ということになりますと、産婦人科、小児科、(できれば周産期母子センター)、眼科、脳神経外科がそろっており、しかもトキソの免疫診断やPCR診断ができるところ、が条件でしょう。その意味では、千葉大学医学部附属病院、慈恵医大病院あたりが該当するのではないでしょうか。_x000b__x000b_日本ではありませんが、University of the Philippines, Manilaの大学病院脳神経外科は非常に多数のトキソによる水頭症のシャント手術を手懸けていることで有名です。_x000b_2/17/1999原虫トキソプラズマ
26食道全長にわたる静脈瘤様粘膜隆起70歳 男性 海外各地に渡航歴多数  吐血にて当科受診 胃カメラで、食道全長にわたって一本の巨木静脈瘤様の粘膜隆起を認めました。(色調は薄赤色で、直径10mm位)また、その隆起に沿って深い縦走潰瘍を認め、出血もみとめました。1週間ほどで潰瘍は治癒してきていますが、粘膜の隆起は残っています。_x000b_ この粘膜隆起が、まるで粘膜下を虫体が進んでいったかの様な印象を受けるため、このように消化管粘膜内ー下を爬行するような寄生虫がいるのか御教示頂ければ幸いです。_x000b_回答1_x000b_以前に報告された美麗食道虫の症例が似ているように思います。_x000b_胃カメラの画像でも見ることができれば、もう少し何か判るかもしれません。_x000b__x000b_もちろん、アニサキス、顎口虫、旋尾線虫などの可能性も否定はできません。_x000b_アニサキス、顎口虫ならば血清診断も役立ちます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ヒトでの症例ではありますが、獣医学科の講義を受け持っている関係もあって、真っ先に、既に指摘されている美麗食道虫 (Gongylonema pulchrum) や血色食道虫 (Spirocerca lupi) など旋尾線虫目に属する食道虫のことが頭に浮かびました。医学書では全くといっていいほど記載はありませんが、獣医学書にはそこそこの記載があります(但し、著者は殆ど同じようです)。_x000b_多分詳しいものとしては、_x000b_ 新版 家畜寄生虫病学(朝倉書店)ー板垣 博・大石 勇著ー _x000b_ 獣医臨床寄生虫学(文栄堂)獣医臨床寄生虫学編集委員会編_x000b_が挙げられるかと思います。_x000b__x000b_この他に、螺尾虫目に属する胃虫 (Physaloptera spp.) も視野にいれて調べられるのがよいかと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_症例についてですが,寄生虫以外の疾患も得られた情報だけでは除外できないと思われます.食道静脈瘤も1条だけできる場合があり,鉗子生検はこの場合禁忌となるかと思います.基礎疾患の有無と海外渡航の場所,食歴を詳しく聞いてみたいところです._x000b_ Clinical Parasitology1997年,P.120に美麗食道虫の症例報告がありますが,文献検索では口唇から顔面の寄生例が多く,症状としては反復する口内炎が多いようです.食道虫にとってはヒトは待機宿主にあたるのでしょうか._x000b_4/5/1999その他
27鞭虫症5歳女児です。回虫の成虫が出ましたので、コンバントリンを服用しまして回虫はいなくなりました。しかし、何度か駆虫剤(コンバントリン)を飲ませましたが、検便で鞭虫の卵が持続的に発見されます。_x000b_父、母にも一時回虫卵がみられたので、駆虫剤服用で消失しました。食事、環境面の指導もしているのですが鞭虫卵が消えません。(なま物は食べず、水洗トイレです。)症状はほとんどなく、若干便秘程度です。_x000b_1)この症例をどのように治療すべきか、このまま見ていいのかお教えください。_x000b_2)メベンダゾールという薬を飲ませるべきか、この薬剤の有効性などについて教えてください。_x000b_鞭虫症の治療_x000b_1)症状がほとんど無くても虫卵を排泄することで感染源になる可能性があるので、治療したほうが良いと思います。_x000b_2)文献的にコンバントリンは鞭虫症の治療には不適当だと思われます。_x000b_鞭虫症に対する第1選択はメベンダゾール 3-4 mg/kg/day (分2) for 3days、あるいはアルベンダゾール(エスカゾール)10-15 mg/kg/day(分2) for 3 daysです。_x000b_副作用は殆ど無いと思います。_x000b__x000b_回答1への追加コメント_x000b_感染者の糞便を肥料に使ったりすると、生野菜を介して他人に感染します。_x000b_しかし、幼稚園(?)の友人等に直接感染することはありません。_x000b_この点、誤解のないよう、付け加えたいと存じます。_x000b__x000b_以下、「人体寄生虫学提要・鞭虫・生活史」より抜粋。_x000b__x000b_卵は水中または湿潤した土壌内では徐々に発育して、卵殻内に幼虫を形成するが、外界で孵化することはない。好適な条件下では3~6週日で幼虫を完成する。感染はかかる幼虫包蔵卵の嚥下によるもので、・・・・。_x000b_4/19/1999線虫鞭虫
28肺吸虫症宮崎肺吸虫症、あるいはウェステルマン吸虫症を疑わせる症例がおられます。皮内テスト、オークタロニーテストなどの検査を行いたいと考えていますが、テスト液などの入手法につき御教示ください。_x000b_肺吸虫2種を含む12種の寄生虫について、(株)SRLでdot-ELISAによるスクリーニングが可能です。_x000b__x000b_皮内テストについては種々の理由から、予研(現 感染研)も供給を停止していますので、勧められません。_x000b_Dot-ELISAによるスクリーニングで肺吸虫に陽性の場合には、inhibition ELISAでウエステルマンか宮崎かを決める方が、オクタロニーテストよりもクリアに鑑別ができると思います。_x000b_4/23/1999吸虫肺吸虫
29旋尾線虫 昨日、比較的軽度の腹満感を主訴に50歳頃の男性が受診されました。腹部レントゲン上著明なniveauを認め、臨床症状とは少々乖離が見られましたが、腸閉塞と診断し入院していただきました。だらだらと水様の便汁の排出があり、重篤感に乏しくまた絞扼性イレウスの状況を呈しておりませんでした。手術歴の無いこと、病歴を聴取しておりますと症状の出現した2日前にホタルイカを生食されたとのことでした。また調べますと「旋尾線虫が腸閉塞を呈することがある。またその治療については一般的に保存的加療で十分である。」とのみ記載されておりました。やはり除外診断の一つとして考えておかねばならないと思うのですが、いくつかの疑問・質問があります。1.ホタルイカのわずか数匹(4~5匹)の生食で腸閉塞を招来しうるのか?2.線尾線虫が腸管内でいかなる状況を呈してイレウスを惹起するのか?3.またそれを積極的に診断しうるのか?(イレウス管造影?)またその形態的特徴は?4.診断は血清反応によらねば無理なのか?5.いかにして血清反応を依頼すれば良いのか?大学の寄生虫学教室?(コマーシャ?ル・ラボでは項目すらありません)_x000b_ 以上につき誠に不躾ではございますがご教授頂けましたら幸甚です。_x000b_回答1_x000b_1.ホタルイカのわずか数匹(4~5匹)の生食で腸閉塞を招来しうるのか?_x000b_ 感染がただちに発症とむすびつくものではありませんが,たとえ生食したホタルイカの量が少なくても,そのホタルイカに旋尾線虫typeX (ten)幼虫が寄生していれば発症する可能性は大いにあると思います。寄生率は時期によっても違いがありますが,ホタルイカ全体の数%です。しかし,1匹のホタルイカに3隻の幼虫が寄生していることもあるので,ホタルイカの生食数が少ないからといって感染の機会が少ないとは限りません。あくまで,目の前のホタルイカの内臓に旋尾線虫がいるかどうかです。_x000b_ また,寄生しているホタルイカを食べたからといって全員が感染するわけでもないようです。なぜなら生食されているホタルイカの数に比べて発症数が非常に少ないからです。このあたりの事情についてはまだよく分からない点が多々あると思います。_x000b__x000b_2.線尾線虫が腸管内でいかなる状況を呈してイレウスを惹起するのか?_x000b_ 消化器症状を呈する旋尾線虫症には自然に症状が消退するものと,腸壁の肥厚や腹水などより症状がひどいものとの二つの型があるようですが,その病態生理学的な違いや発症病理についての研究は全くありません。_x000b__x000b_3.またそれを積極的に診断しうるのか?(イレウス管造影?)またその形態的特徴は?_x000b_ アニサキス症のように,幼虫を直接内視鏡や造影法で描出するのは難しいと思います。なぜなら,この幼虫は体長が1センチメートル,体幅が0.1ミリメートルしかなく,今まで画像上で確認されたという報告はありません。_x000b__x000b_4.診断は血清反応によらねば無理なのか?_x000b_ 感染すると血清中の抗体が上昇することがありますので,補助的診断としては有用だと思います。現在までに,蛍光抗体法,酵素抗体法,immunoblot法などが試みられています。_x000b__x000b_ ところで,一時期生ホタルイカの出荷が自粛され,患者数は激減したのですが,2年ほど前から東京ではまた生のホタルイカが販売されるようになっています。今年のホタルイカは不漁年にあたり,昨年に比べそれほど漁獲量は多くないのですが,ホタルイカ生食後にイレウスや皮膚爬行症を呈する患者が増えているようです。_x000b__x000b_ ホタルイカの漁期はこれからがピークで6月末まで続きます。今回のような症例はこれからも続くのではないかと懸念しております。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_1.ホタルイカのわずか数匹(4~5匹)の生食で腸閉塞を招来しうるのか?_x000b_ わずか数匹のホタルイカの生食でも、その中に旋尾線虫幼虫を保有しているものがあれば、発症することはあり得ます。私共では一匹の顎口虫によるイレウスの症例を経験していますので(胃と腸 30:1337-1341、1995)、一匹の旋尾線虫でも、運が悪ければイレウスを起こし得ると推測されます。_x000b__x000b_2.線尾線虫が腸管内でいかなる状況を呈してイレウスを惹起するのか?_x000b_ 寄生虫が腸管壁に刺入しておこるイレウスには2通りの機構が考えられます。一つは腸管壁で肉芽腫が形成されることによる機械的閉塞ないし通過障害によるもの、もう一つは、アレルギー反応の結果としての腸管の攣縮によるものです。_x000b__x000b_3.またそれを積極的に診断しうるのか?(イレウス管造影?)またその形態的特徴は?_x000b_ 症状が落ち着いたところで腸管造影をすれば、肉芽腫によるものか、攣縮によるものかの区別はできるかもしれません。画像で虫体を確認することは不可能だと思います。_x000b__x000b_4.診断は血清反応によらねば無理なのか?_x000b_ 外科的摘出ー>病理組織診断をするのでなければ、血清診断に頼る以外、診断法はないと思います。あとは食歴などの状況証拠ということになります。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_アニサキスによるイレウスでは、腹水が微量ながら貯留する事があります。今のエコーの解像力では、微量でも検出できる可能性があります。 ダグラス窩から腹水をとってみたら、好酸球が多数みつかるかもしれません。_x000b_ホタルイカによるイレウスでも、同様の事が興っている可能性が予想されます。_x000b_4/25/1999線虫旋尾線虫
30肝病変72歳の女性です。両下腿の浮腫が高度にあり、腹部エコーで肝臓の左葉に2cm大に拡張した血管が蛇行している像があり、何らかの寄生虫が関与しているのではないでしょうか。_x000b_血液検査では汎血球減少があります。肝機能は正常です。宜しくお願いします。_x000b_回答1_x000b_ 肝に病変を来す寄生虫としては日本住血吸虫か肝吸虫ということになるかと思いますが、腹部エコーの所見からは門脈圧亢進症でみられる傍臍静脈の怒張、あるいは脾-腎静脈シャントが疑われるように思います。門脈圧亢進症といえば、肝硬変、特発性門脈圧亢進症(Banti症候群)、血栓や腫瘍塞栓によるものなどが挙げられます。いずれも脾腫を伴うのが特徴です。CTなどの他の画像診断も総合して診断されてはいかがでしょうか。_x000b_ 腹部エコーは腫瘍など部分的な病変はよくわかりますが、びまん性の病変に対してはやや弱いところがあります。また、肝硬変では壊れる肝細胞自体がなくなるために肝機能検査は見かけ上正常になることがあります。コリンエステラーゼ、血清コレステロール値、総蛋白など肝予備能を評価できる検査である程度評価可能です。_x000b_ また、高齢者でもあり、悪性腫瘍による門脈塞栓も鑑別診断にいれなければならないと思います。門脈塞栓をきたすのはほとんどが病気が進んだ癌なので、腹部超音波など画像でも写りやすく、腫瘍マーカーでも原発巣の推定が出来ます。高齢者の汎血球減少では血液疾患も考えられます。しかし、これで門脈圧亢進をきたす話は聞いたことがないので、あっても非常に稀と思われます。_x000b_ 肝吸虫症や住血吸虫症については日本住血吸虫症の陳旧例以外は症例の経験がないので、お役にたてませんが...。住血吸虫症であれば直腸粘膜生検で虫卵が検出され、典型例では腹部超音波検査で亀甲形の高エコーの紋理が確認できるようですが、先日コンサルテーションに来た例は腹部超音波所見は軽度の肝硬変のみでした。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_肝病変を示す寄生虫ということだけならば、回答1で挙げられた住血吸虫や肝吸虫以外にも、肝蛭がありますし、稀なものとしては顎口虫、肺吸虫、回虫など多くの寄生虫が肝臓を通過臓器、あるいは迷入の場所としています。寄生虫以外の疾患ということになりますと、malignancyを含めて、様々なことが考えられますが、与えられた情報が少なすぎて、推論不可能です。寄生虫疾患の可能性についてのconsultationということであれば、取り敢えずSRLのスクリーニング検査に出されるのが、手っ取り早いと思います。寄生虫疾患以外の話は専門外ですし、情報が少ないのでコメントできません。_x000b_5/14/1999その他
31ランブル鞭毛虫抗痛風薬の薬疹疑いの患者を診察していたところ,薬剤変更にも関わらず皮疹,好酸球増多が続き原因不明でした。数日前,腸管にランブル鞭毛虫を認め駆虫中ですが症状の軽快が見られ,同虫が今回の原因ではないかと疑っております。つきましてはランブル鞭毛虫特異的IgE測定や,同虫の皮内反応液で皮疹の再現をしてみたいと考えました。そのような検査をしていただける施設,もしくは試薬等の入手が可能であれば,御教示ください。_x000b_宜しくお願いいたします。_x000b__x000b_回答1_x000b_本症例はランブル鞭毛虫を駆虫後に改善しており、好酸球増多と何等かの関連があるのかもしれません。しかし、ランブル鞭毛虫など原虫の感染で末梢血中の好酸球増多をきたすことは一般的にありません。症例の詳細が不明ですが、ランブル鞭毛虫に感染しているのであれば、恐らく途上国に滞在されている方でしょうか。そうであれば、糞線虫や糸状虫など蠕虫の混合感染を否定する必要があると考えます。またスクリーニング的に蠕虫の感染をチェックする方法として、SRLの特殊検査で寄生虫(蠕虫)抗体検査が利用できます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_回答1の通りだと思います。_x000b_ランブル鞭毛虫症そのものの診断は検便が一番確実で免疫診断の対象にはなりません。_x000b_好酸球増多をあえてランブル鞭毛虫に対するアレルギーで説明しようとするならば、どこかから抗原を入手してIgE-ELISAでもやるしかないでしょう。抗寄生虫薬は多少とも免疫抑制傾向がありますので、薬剤投与により好酸球増多が改善されたからといって、ランブル鞭毛虫感染が好酸球増多の原因ということに直結はしないと思います。_x000b__x000b_5/14/1999原虫ランブル鞭毛虫
32心嚢水、胸水、腹水 循環器内科のドクターから、口頭により以下のような問合せがありましたが、疑われる寄生虫疾患が何かありますでしょうか?_x000b__x000b_ ケニヤの女性40才。当大学病院ハートセンターに入院中。平成2年に便中に鉤虫卵を認め、コンバントリン処置後、6回ほど検便して全てマイナス。_x000b_ 現在、主自覚症状、下腹部の痛み、ということで諸検査が始まったばかりであるが、心嚢水、胸水、腹水、卵巣シストを認める。卵巣シストのほうは放射線からは、特にマリグナントなものではない、という報告を受けている。_x000b__x000b_ 尿には異常はないそうです。ケニヤと行き来しており、鉤虫に関しては再感染の可能性はありますが、今回まだ検便は行っていないとのことでした。_x000b_回答1_x000b_本症例(心嚢水、胸水、腹水)で寄生虫疾患を疑う根拠としてはケニア出身の患者さんだからということでしょうか。以前に鉤虫卵が検出されたこともあるでしょう。確かに鉤虫の感染で強度の貧血をおこし、心不全となれば心嚢水、胸水、腹水を呈する可能性はあります。ただし、心嚢水、胸水、腹水は病態であり、もう少しその病態をおこした原因(心疾患、肝疾患、腎疾患、卵巣疾患)が明確になってから、可能性のある寄生虫疾患を考えた方が賢明だと思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_非常に短絡的な発想ですが、何故全身に水が貯まっているのでしょうか。腎臓機能には問題は無いのでしょうか。もしも腎機能に障害があるとすれば、ビルハルツ住血吸虫症に伴う腎機能障害が最も疑われるのではないかと思いますが如何でしょうか。慢性化していれば、尿中には虫卵は発見されないでしょう。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_回答1で指摘されているように、もう少し患者さんの病態に関する情報がないと、回答の仕様がないと思います。_x000b_質問の意図も不明です。鉤虫症で心嚢水、胸水、腹水、などが貯留することがあるか、という質問なのか、それとも心嚢水、胸水、腹水、などが貯留するような寄生虫疾患があるか、という質問なのか、それすらはっきりしません。_x000b_5/17/1999その他
33糞線虫症の診断現在当院に入院中の患者でケニヤ人の男性が原因不明の肺出血を起しており、皮フ所見もあり糞線虫症を否定したいと考えています。お手数ですが診断に有用と言われる方法が当院で経験がなく、是非お教えいただきたいと思います。_x000b__x000b_回答1_x000b_糞線虫症の診断は検便で幼虫を検出することが全てです。_x000b_補助診断として免疫診断も可能で、SRLの寄生虫抗体スクリーニングパネルにも含まれています。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 補助診断になりますが,播種性糞線虫症では,喀痰,髄液,胃液,腹水,生検組織からも糞線虫幼虫が検出されるようです。(私は幸いなことにそのような症例を経験しておりませんが),もっとも迅速にとれる検体で鏡検されてはいかがでしょうか? 回答1で述べられているとおり,便がもっとも検出確率は高いようです。(九大出版会の「日本における糞線虫と糞線虫症」を参考にしました)_x000b__x000b_5/21/1999線虫糞線虫
34赤痢アメーバ症例は50歳、男性。_x000b_4月30日、腹痛(右季肋部)と高熱にて入院しました。_x000b_同日のCTで、肝S8の充実性腫瘤と直腸壁の肥厚を認め、直腸癌の肝転移を疑い、同日CF施行しました。_x000b_CFにて、Ra~Rbに多発潰瘍病変を認めましたが、辺縁clearで、malignancyの所見に乏しいとのことでありました。_x000b_この時の生検結果で、アメーバー赤痢が疑われました。_x000b_(Aggregates of Entamoeba histolytica are found in the necrotic exudate.)_x000b_この結果を受けて、検便を3回行いましたが、アメーバーの確認はできず、治療的診断のため、フラジールの内服を開始しました。_x000b_内服開始二日目より解熱し、下痢も改善し、5月14日のCF再検では、直腸潰瘍は著明に縮小改善していました。_x000b_この時の生検では、アメーバーの所見はありませんでした。_x000b_5月21日、CT再検を行ったところ、肝S8の腫瘤は、やや増大し、膿瘍になっていました。(直径10cm程です)_x000b_現在、患者さんは元気で、症状もありません。_x000b_5月28日に3回目のCFを予定しています。_x000b__x000b_以上のような経過でありますが、お聞きしたい事は以下の3点です。_x000b__x000b_1.肝膿瘍のドレナージの必要性について。_x000b_  症状は軽快していますが、このまま経過観察して良いのでしょうか。_x000b_  早期にドレナージするべきなのでしょうか。_x000b_  またドレナージの適応は、どの様に判断すべきでしょうか。_x000b__x000b_2.内服治療の追加の要否について。_x000b_  フラジール6錠10日間の内服で、直腸病変は著明に改善していますが、_x000b_  このまま潰瘍消失すれば、追加の内服は不要なのでしょうか。_x000b_  また、改善が遅い場合、何をどの程度追加すべきでしょうか。_x000b__x000b_3.隔離と消毒について。_x000b_  検便でアメーバーが証明されていませんが、このような場合、_x000b_  患者隔離は必要でしょうか。(念のため隔離しました)_x000b_  また、消毒方法と、消毒範囲について教えてください。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加質問_x000b_早速の御指導、ありがとうございました。_x000b_いくつか追加事項を書かせていただきます。_x000b__x000b_ まず、検便ですが、当院では外注検査をしていますので、採便後ただちに提出していますが、時間が経ちすぎているのかもしれません。_x000b__x000b_ 血清抗体価ですが、一度測定しています。_x000b_ 200倍で、正常値の2倍でした。_x000b_ この価から、アメーバー感染と判断してよろしいものでしょうか?_x000b__x000b_ 家族歴等ですが、住所不定の浮浪者のような生活をしていましたので、感染経路などは不明です。 _x000b_ 同性愛歴については聞いていませんが、折を見て確認したいと思います。_x000b__x000b_ 5月28日の3回目のCFの結果ですが、直腸潰瘍は著明に改善し、瘢痕になっていました。今回は、硬くて生検できませんでした。_x000b__x000b_ 肝膿瘍ですが、CT上ruptureの危険はなさそうです。 _x000b_ 症状もありませんので、このまま経過観察しようと思います。_x000b__x000b_以上、追加報告させていただきます。_x000b_今後ともよろしくお願い申し上げます。_x000b_回答1_x000b_ 検便を3回行ったとありますが、『排便直後の便をアメーバを目的として』直接に顕微鏡で観察したのでしょうか?細菌培養検査とアメーバの検査を医師、技師ともに混同している場合が結構あるものです。_x000b_ 血清のアメーバ抗体価を測定されましたでしょうか?SRLで行っています。_x000b_ 家族構成はいかがでしょうか?男性同性愛歴があるのではないでしょうか?_x000b_ HIV検査を本人の承諾を得て行うと良いかも知れません。_x000b_ アメーバ肝膿瘍か否かはCTの所見で『大体の推測』が可能である場合が多いです。_x000b__x000b_1.この症例は肝膿瘍のドレナージを行っても良いと考えます。ドレナージを行ったならば、必ず細菌培養検査を行ってください。この場合、メトロニダゾールの投与を行った後ですが、通常の菌以外に嫌気性菌の検索も同時にオーダーしてください。また、膿汁から赤痢アメーバのDNAの検出を試みることをお勧めします。なお、アメーバ肝膿瘍の膿汁は教科書ではアンチョビソース様と書いてありますが、必ずしもそうとは限りません。_x000b_ アメーバ肝膿瘍とわかっている場合には、ruptureの危険性がないならば強いてドレナージを行う必要はありません。メトロニダゾールの経口投与のみで改善します。通常10ー14日の投与を行うと、薬剤中止後数カ月で徐々に縮小していきます。_x000b_ 私はruptureの可能性が強ければドレナージを行いますが、通常のアメーバ肝膿瘍ならば行いません。_x000b__x000b_2.追加内服は不要と思います。アメーバ肝膿瘍であれば、これから徐々に縮小していくと思います。膿瘍ドレナージ(あるいは穿刺)の結果赤痢アメーバのDNAが検出されるなどして、アメーバ肝膿瘍と判明し、しかもその後もそれが増大するようならば1,500mg/日のメトロニダゾールの7ー10日間追加投与も考えられます。なお、このような場合(ドレナージを行った場合)、ドレーンからの細菌感染を併発することも稀にあります。_x000b__x000b_3.隔離、消毒ともに不要と考えます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_赤痢アメーバ症診断のポイントは下記3点です。_x000b_(1) 症状: 血便を伴う慢性腸炎、大きな肝膿瘍など_x000b_(2) 感染エピソード: 男性同性愛歴(梅毒血清反応も確認)、精神障害者施設入所歴、_x000b_流行地滞在歴など_x000b_(3) 寄生虫学的検査: 糞便検査、組織検査(大腸内視鏡下生検、膿瘍ドレナージ)、血清抗体など症状としては、肝膿瘍と大腸潰瘍の合併、肝膿瘍の画像所見などからアメーバ症を疑わせます。_x000b_大腸生検所見も、PAS陽性物質ではなく、E. histolyticaと記載されていたのですね。_x000b_以下、その前提での話です。_x000b__x000b_1.肝膿瘍のドレナージの必要性について。_x000b_赤痢アメーバ症の場合、原則としてドレナージは不要です。_x000b_ただし、膿瘍が原因と思われる苦痛がある場合、ドレナージを行ってもかまいません。_x000b_この場合、_x000b_* 膿瘍の形状、サイズ、位置によっては、破裂を起こす場合がある ---> 一般的な適応に準じる。_x000b_* 一部の膿瘍では、排膿できない場合がある(Honeycomb abscess ?)。_x000b_* ドレナージ中あるいはドレナージ後に、腹壁あるいは腹膜にアメーバが病変を作ることがある_x000b_ ---> 十分な化学療法を行う。_x000b_* 排膿液(直接検鏡あるいはPCR)を用いて診断を確認することができる。_x000b_* ドレナージを行った場合、比較的早期に膿瘍が縮小する。_x000b__x000b_2.内服治療の追加の要否について。_x000b_Metronidazoleの追加内服は不要です。経過を観察してください。_x000b_* 腸炎: 下痢などの症状があれば、数日で改善します。_x000b_ 1ヵ月も経過すれば、内視鏡で著明な改善が確認されます。_x000b_* 肝膿瘍: 発熱を伴う場合、数日で改善します。_x000b_ ドレナージを行わなかった場合、画像上、肝膿瘍は1ヵ月以上残ります。_x000b_問題は、治療後の糞便からアメーバが検出される場合があることです。_x000b_この場合、Diloxanide furoate あるいは Paromomycin を投与します。_x000b__x000b_3.隔離と消毒について。_x000b_不要のはずです。今年度から施行された感染症予防法の記載をご確認ください。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答_x000b_1.まず、検便ですが、当院では外注検査をしていますので、採便後ただちに提出していますが、時間が経ちすぎているのかもしれません。_x000b_一口に糞便検査といってもいろいろあります。いずれの方法か、ご確認ください。_x000b_(1) 直接塗沫法 ---> 栄養型も容易に確認できる。これは外注ではできない。_x000b_(2) ホルマリン固定、直接検鏡 ---> 一応、栄養型も確認できる。_x000b_(3) ホルマリンエーテル沈澱法 ---> 嚢子のみ確認可能。栄養型は確認不能。_x000b_(4) 厚層塗沫法 ---> 嚢子も栄養型も確認困難。_x000b_外注検査は(4)が多いようです。これは赤痢アメーバの検査としては不敵です。_x000b__x000b_2.血清抗体価ですが、一度測定しています。_x000b_結果の読み方に関しては、検査依頼先にご確認いただくのが確実かと存じます。_x000b_一般論としては、_x000b_* 正常上限の2倍なら、一応、陽性と判断される。_x000b_* あやしい場合は、ペア血清で抗体価の変動を確認することが望ましい。_x000b_* 蛍光抗体法では治療後に抗体価が低下する場合が多い。_x000b_* 凝集反応では治療後も抗体陽性が持続することが多く、時に抗体価上昇が観察される。_x000b_といったことが言えるかと思います。_x000b__x000b_5/25/1999原虫赤痢アメーバ
35鉤虫院内にて、寄生虫であるこう虫による感染患者が見つかり、対応策を考えております。_x000b_寄生虫学会のHPを拝見し、薬物治療法やシーツ等の消毒方法を教えていただければ幸いと思います。突然のお願いで申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。_x000b__x000b_依頼者からの追加情報_x000b_早々にご返答ありがとうございました。_x000b_その後調べたところ、アメリカ鉤虫であることがわかりました。_x000b_駆虫法はホームページの「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引き」をご覧ください。_x000b_消毒に関して、_x000b_人の便に出現した虫卵には感染性がありません。_x000b_適当な湿度と温度下で発育して感染性を獲得します。_x000b_通常の環境なら、シーツの消毒は必要ないと思います。_x000b__x000b_さらにご不明な点がございましたら、お問合せ下さい。_x000b_6/8/1999線虫鉤虫
36横川吸虫人間ドッグの結果により「横川吸虫卵」があると診断されました。_x000b_どのような害がありますか?_x000b_感染源はどういったものが多いのでしょうか?_x000b_駆虫方法はどうすればよいですか?_x000b_また、普通の生活をしていると家族に感染しますか?_x000b_教えてください。_x000b_よろしくお願いします。_x000b_ホームページの「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引き」をご覧ください。_x000b_対応法は人間ドックを受けられた機関にお問い合わせ下さい。_x000b_6/12/1999吸虫横川吸虫
37疥癬 疥癬患者に対して患者退室後の消毒をどのように行っていいのか当院において経験がなく困惑しているところであります。_x000b_どのような消毒液を用いて、どのような方法で使用するのか、また他に対策がありましたら、助言をお願いしたいと思います。_x000b_よろしくお願いします。_x000b__x000b_回答1_x000b_ ホームページの「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引き」をご覧ください。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_疥癬の院内感染防止対策について、当方にもよく問合せがあります。_x000b_私の場合、下記の文献を紹介することにしております。参考になると思います。_x000b__x000b_大滝倫子:疥癬と皮膚毛包虫症.モダンメディア 36(10):557-585,1990._x000b__x000b_著者は東京医科歯科大学皮膚科(執筆当時)の先生で、「ノルウェー疥癬の感染予防上の注意事項」の項に具体的に記載されています。_x000b_6/13/1999衛生動物疥癬
38アニサキスアニサキスの治療法(内視鏡的除去)についてお教え下さい。_x000b_特に、薬物治療(予防、内視鏡的除去後のフォロー)についてお教え下さい。_x000b_また、腸アニサキスへの治療などがありましたらお教え下さい。_x000b_宜しくお願い致します。_x000b_1.アニサキスの治療法(内視鏡的除去)についてお教え下さい。_x000b_内視鏡下に生検鉗子でつまみ取るだけでけっこうです。後の処置はいりません。頭部はかなり強く粘膜に食い込んでいるので、切れそうになりますが、ゆっくり引っぱると全部が取れます。_x000b__x000b_2.特に、薬物治療(予防、内視鏡的除去後のフォロー)についてお教え下さい。_x000b_予防は生魚を食べないことだと思います。標準医動物学p.152では60℃で数秒で死滅すると記載されています(あくまでの虫体が、ということです)また、生魚は冷凍(-20℃で数時間)すると死亡するそうです。酢では_x000b_動きが活発になるようです。除去後の薬物は不要です。痛みは除去後すみやかに止まります。_x000b__x000b_3.また、腸アニサキスへの治療などがありましたらお教え下さい。_x000b_腸アニサキス症に有効な薬剤はなかったのではないでしょうか? 内視鏡でのアプローチが困難なので、予防が第一ではないでしょうか?_x000b_6/14/1999線虫アニサキス
39蛔虫某企業でで産業医をしているものです。中国大連の工場に家族と共に赴任している従業員の方から相談がありました。この御家族は生野菜が好きでよく水洗いをして食べているとのことです。奥様(40歳)が排便時に、約10cm、直径3~4mm程度の虫体を認めたとのことです。虫体は半透明とのことです。自覚症状としては6月に入り4回ほど下痢になった程度とのことです。メールでの相談でこれだけしか情報がありません。_x000b_ 私としては、回虫の可能性が高いのはないかと考えました。_x000b_今後の治療について相談があったのですが、中国で推奨できるような医療機関があれば御教示下さい。また、帰国して治療を受けた方が良いでしょうか(私としては日本の一般的な医療機関では近年このような寄生虫をみることが少なく、中国での治療が望ましいのではないかと考えたのですが)?  その場合に推奨できる医療機関があれば御教示下さい(御本人の御自宅は茨城県日立市です)。_x000b_ 誠に勝手なお願いですが、以上の点御教示いただければ幸甚です。_x000b__x000b_1. 私としては、回虫の可能性が高いのはないかと考えました。_x000b_私も蛔虫の可能性が高いと思いますが、念のため、排出虫体あるいは糞便の虫卵を確認する必要があります。_x000b__x000b_2.今後の治療について相談があったのですが、中国で推奨できるような医療機関があれば御教示下さい。_x000b_大連でしたら、大連市中心医院日本人医療相談室がよろしいでしょう。_x000b__x000b_3.また、帰国して治療を受けた方が良いでしょうか。_x000b_蛔虫症なら、 Combantrin  (Pfizer) で駆虫可能です。_x000b_この薬剤は、日本でも中国でも大衆薬として市販されています。_x000b__x000b_結論として、蛔虫の駆虫は中国でも日本でも可能です。_x000b_診断を確認する意味で、大連の医療機関を受診なさるようお勧めします。_x000b__x000b_6/17/1999線虫回虫
40広節裂頭条虫広節列頭条虫らしい患者さんがおります._x000b_入手可能な薬物・使用方法をお教えいただけるでしょうか._x000b_お手数おかけいたしますがよろしくご高配お願い申し上げます._x000b_ホームページの「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引」をご覧ください。_x000b_5/29/1999条虫広節裂頭条虫
41ノミ刺咬症 昨日,高齢者を対象にアニマルセラピーの活動をしている方からアニマルセラピーで活躍してくれる犬や猫のノミの問題相談がありました.ご本人やヘルパーさんにノミの刺咬症が発生し,それがアニマルセラピー活動の障害になっているということでした._x000b__x000b_ 教科書レベルでの知識はありますが,自分自身で犬や猫のノミ対策を行ったことはありません.できるだけ具体的に教えてください.よろしくお願いいたします._x000b_いまや高齢者を対照にしたアニマルセラピー(いまはアニマルセラピーという言い方は正式にはしません。ただしこの言葉は後述するように混乱して使われているのが現状です)は全国的な広がりを見せていて、この活動には獣医師、一部の医師、動物関係活動グループ、一般ボランティアの方々がそれそれのが任意的に団体としてかかわっています。しかし、活動内容は真の医療行為(これを正式にはアニマル アシステッド セラピーanimal assisted therapy, AATといいます)から、単なる(といってはいけないのかもしれませんが)動物に触れさせて1日を楽しく過ごしてもらうといったもの(これをアニマル アシステッド アクティビティanimal assisted activity, AAAと呼び分けます)までいろいろありまして、医師以外のものがAATのような行為を行いかけないというのが実状で、「セラピー」(AAT)と単なる「動物と過ごす楽しい1日」(AAA)の境界線を引くことが難しいというのが現状です。これではいかんというので医療行為と判断される活動内容には規則のアミをかぶせようという動きが進められていますが簡単ではないようです。_x000b_獣医師は、獣医医療の社会的貢献活動における重要な1活動分野と位置づけています。獣医師は、当然医師に協力して医師の指導の下で医師と共同で(医師は動物の扱い方や動物の病気のことがことがわかりませんから、患者さんの治療にどうしても獣医師の協力を必要としているのです)AATに参加しています。また獣医師側はこの活動に獣医師が関与している場合獣医師会組織でモニターしていますので医療行為に抵触するようなことは避けるようにしています。さらに医師、獣医師以外でも団体で活動していますから、医療行為には抵触しないように内部でちゃんとブレーキが効いているようです。この点に関していずれにしても表だったトラブルは生じていないということです。_x000b_ ところが、問題はむしろご質問にあるような、この活動に提供される動物の健康問題のチェックがおざなりな場合があるところに問題があるのです。当然提供される動物は完全に健康でなくてはなりません。提供される動物が不健康(外部内部寄生虫感染、皮膚病、口内炎、虫歯など)であると、ご質問のような問題が起きてくるわけです。もっとも、どこからみても病気であるといった動物が提供されることはさすがにありません。動物の病気は正式には獣医師でないとわかりませんので、獣医師が関与している活動現場においては提供動物の健康状態は獣医師が提供動物の適不適を管理しています。ので問題はでません。それ以外のグループだけでやっている場合、見かけが元気だからとしてAAAに提供されてしまう場合はあるかもしれません。もっともこの場合は掴みようがありませんが。また、獣医師以外の方々が病気でないことの判断を下していたり投薬したりすることがあるようで、これが獣医師にとって頭の痛い問題なわけです。もし、依頼者が問題にされているところではどうでしょうか。以上、AATやAAAの総括的現状をご説明しました。_x000b_ さて、最後に、ノミ対策についてご説明します。現在全国的にネコノミが蔓延していまして、イヌ、ネコから検出されるノミは大半がネコノミであることが知られています。その理由はまだわかっていません。動物のノミ取り薬は現在は、昔のような低毒性有機リン剤の仲間は使用していません。もっとも、まだそれらはまだ販売はされていますが、臨床獣医師はあの様な毒性の強いものはもう使っていません。ノミ取り薬は現在急速に研究が発展していて、卵発育阻害剤、キチン質合成阻害剤(幼虫発育阻害剤)、昆虫神経伝達阻害剤(GABAリセプターでの塩素イオンチャンネル遮断剤)など、安全性が高く効果が確実な薬剤がたくさん承認されています。剤型も、スポットオン剤、スプレー剤、経口剤、注射剤が販売されていて入手用意です(フロントラインスポットオン、フロントラインスプレー=日本全薬工業、アドバンテージスポット、ボルボカラー=日本バイエル、プログラム=三共など)。この薬剤はイヌノミでもネコノミでも効果に差異はまったくありませんで、確実に効きます。これで動物のノミ取り対策はOK です。_x000b_ 一方、かかってしまった患者さんの方ですが、ノミは、ネコノミでもイヌノミでも宿主特異性が低いので比較的容易にヒトに移ります。ネコノミの成虫は一応その一生を、宿主の体から離れずにほとんどを動物の体の上で過ごすとされていますが、宿主から離れる成虫もいます。産卵された卵は床面やタタミ上に落ちて孵化してウジは、家の中では、ソファーの隙間、タタミの隙間、また、絨毯の(絨毛の間ではなく)下側(裏側)の絨毯の縁から数センチのまでの間で繭をつくって成虫となり、また宿主に(動物やヒト)とりつきます。したがって、患者さん対策は、ヒトの体に対策をとるのではなく、生活環境内の幼虫殺滅対策ということになります。布団類は天日干しして(布団乾熱乾燥処置でもノミは死にますが死体が残りアレルギー喘息の元になってもいけませんのでやはり天日干しを毎週2ー3回繰り返すことをお薦めします)、絨毯も天日干しした上でしまってしまうことです。タタミには市販のタタミ用の殺虫剤を使い、その他の場所も市販の殺虫剤(ノミに効くものであることを確かめる)を噴霧しておきます。これを週に2ー3回行うのが良いでしょう。その上で、バルサン(またはアースレッド)を毎週1回3週間(3回)、間欠的に使用すると完全です。さて、いずれにしても、獣医師に相談されれば良いと思います。以上、参考まで。_x000b_6/30/1999衛生動物ノミ
42疥癬当院で疥癬が発生してしまいまして、患者への治療の手筈は整ったのですが、看護婦の予防衣等の消毒に殺菌ロッカーを使用したいのですが、如何なものでしょうか?_x000b_もし使うとすればどれくらいの時間にセットしたらよろしいのでしょうか。_x000b_ デスポ製品での対応には発生件数が多くて、コスト面で考えると日光消毒(殺菌等)で実施したいと思っていますので、ご指導のほどよろしくお願いいたします。_x000b_回答1_x000b_・リネンを熱処理する(50℃、10分間)。_x000b_・疥癬は、ヒトから離れると2週間以内に死ぬので、消毒困難なものは、しばらく人から離しておく。_x000b_でどうでしょうか?_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_全国的に疥癬で苦労されている医療機関関係者が増加していると理解しております。_x000b_さて、ご質問の殺菌ロッカー使用の件ですが、私としては、熱による処理をお勧めいたします。_x000b_疥癬の原因であるヒゼンダニは一般的に熱に弱く、55Cで10分間で死滅する事が知られております。 乾燥室等がありましたら、最高温度を確認の上処理すると良いと思います。 温水でも同様の効果があります。_x000b_なお、この方法はコロモジラミにも同じ効果がありますので、ホームレス、独居老人等のコロモジラミ対策に応用できます。念のため。_x000b_7/6/1999衛生動物疥癬
43有鉤嚢虫症 一過性脳虚血発作で発症した、海外旅行歴のない53歳の男性で、脳MRIで、Neurocysticercosis like lesionが、脳幹と、側脳室周囲に認められており、本症を疑っております。文献上EIA法での抗体測定や、immunoblot法での診断が報告されておりますが、SRLなどの商業的には、行われていないようです。もし、どこかの施設で可能であれば、教えていただければ幸いです。_x000b__x000b_宮崎大学医学部寄生虫学教室から技術移転してSRLが行なっているDot-ELISAでのスクリーニングの中に、Cysticercus cyst fluid antigenも入っていますので、SRLでプライマリースクリーニング可能です。_x000b__x000b_7/12/1999条虫有鉤嚢虫
44条虫症 外部の病院から消化管条虫症(日本海裂頭条虫症)の治療に関して問い合わせがあったので,熱帯病治療薬の開発研究班発行の「輸入寄生虫病薬物治療の手引き-1995-改訂第4版」の当該箇所をコピーしてお渡ししたところ,以下のような質問をされました。_x000b__x000b_手引き書の治療の項(43頁)には・・・_x000b__x000b_治療(成人量)_x000b_駆虫は頭節を含む全体節を一気に排出させることが重要である。前処置として前日タ_x000b_食,当日朝食は残渣のない軽食(牛乳,ジュース.パンなど)又は絶食がよい。最近_x000b_では,無残奄食(ボンコロン食,ベスビオン)を前日朝,昼,タ食とする。前日午後_x000b_8時マグコロール250mlを,午前l0時アジャストA4錠を服用する。駆虫当日朝排便させ_x000b_る。水分は自由に十分取らせる。_x000b__x000b_・・・とあるが,午前10時アジャストA4錠の服用は駆虫前日なのか,当日の10時なのかどちらでしょうか。_x000b__x000b_ 文脈から判断すると午前ではなく午後10時とも解釈できるのですが,いかがでしょうか。また,前日の下剤投与は駆虫をおこなうのに絶対必要なのでしょうか。_x000b__x000b_ よろしくお願いします。_x000b_回答1_x000b_我々が経験した日本海裂頭条虫症はプラジカンテル(ビルトリシド)15mg/kg内服のち,2時間後に塩類下剤(硫苦)30g(冷水1lに溶く)を服用して排便,頭節を含めて虫体が排泄されました._x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_裂頭条虫症の駆虫に関して、「輸入寄生虫病薬物治療の手引き」のように実施するのが理想ではありますが、一般の臨床医にはなかなか難しい治療法かもしれません。片節が既に一部排泄されており、裂頭条虫症の診断がついているのであれば、簡易的に治療してもいいのではないかと考え、私は下記の簡易法を患者さんの希望に応じて実施しています。_x000b_すなわち、外来に受診してもらった日にプラジカンテル15mg/kgと硫酸マグネシウム(20%液で100ml)を処方し帰宅させます。適当な日(一日家にいる日)の朝にプラジカンテルを、2時間後に硫酸マグネシウムをそれぞれ服用してもらいます。排便と虫体の排泄は下剤服用後にあるが、なくても心配しないように説明しておきます。また、下剤を服用するまでは絶食の方が望ましいでしょう。1カ月後に再診してもらい検便を行い、虫卵が検出されなければ治癒と判定します。_x000b_寄生虫学の立場からすると、虫体を回収し鑑定する必要がありますが、患者さんの負担や、医療費削減のためには一つの方法ではないでしょうか。_x000b_8/17/1999条虫裂頭条虫
45蟯虫 10才の女児ですが、蟯虫卵検出し、コンバトリンを通常量で、2回を1ク-ルとして、3回試したが、効果ありませんでした。どうしたらいいでしょうか?_x000b_ メベンダゾ-ルの使用がどうでしょうか? 御教示下さい。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの報告_x000b_ 先日は、御教示有り難うございました。早速、家族中で、メベンダゾ-ルを3日間投与いたしましたところ、陰性化しました。_x000b_ 結局、いままでに、コンバトリンを1週間おきに2回内服を5回施行しましたが、除去できなかったものです。_x000b_ 以上、ご報告まで。どうも有り難うございました。_x000b_回答1_x000b_以前、「コンバントリンを5回飲んだが再発を繰り返している蟯虫症」の一家(両親と兄弟3人)にメベンダゾールを使用しました。_x000b_駆虫後、検査したら陰性化していました。_x000b__x000b_兄弟が通う学校で蟯虫症が流行している(感染率7%だったかな)という背景があったので、後のフォローは保健所に頼みました。_x000b__x000b_再発を繰り返すなら、_x000b_・ 確実に蟯虫症である。_x000b_・ 家族揃って、確実にコンバントリンを服用している。_x000b_・ 寝具・タオルの消毒も実施している。_x000b_という点を確認の上、メベンダゾールを使われると良いと思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_相談の文面からは投与方法がはっきりしません。2回を1クールとはどのような投与方法なのでしょうか。以下、一般的な方法を書いておきます。_x000b_一般的には、コンバントリンを3回投与を薦めております。しかし、各回の投与間隔は2から3週間の間隔を置くこととしております。即ち、コンバントリンは成虫に対しては非常に有効であるが、幼虫に対しては効果が期待できないことによります。1回目の投与で成虫は殺せたとしても幼虫は生存していることを推測します。2から3週目に再投与しますと、1回目の頃に幼虫であったものが成虫となっており殺滅出来ます。さらに2-3週目に3度目の投与を行います。これは、それまでの経過をすり抜けるような現象を想定しての投与と考えております。コンバントリン耐性株の存在を、私も書き物には書いておりますが、本当のところは実態はしりません。現在までに、コンサルタントの経過では、投与方法の間違いが多かったように思っております。服用は正しくても、本当に治療を失敗しているのならば、他からの再感染を考えるのが適当ではないでしょうか。やはり、家族内再感染を考え、家族の協力で全員の検査を行い、一緒に駆虫剤の服用を薦めるのが良いのではと思います。それでも、問題があるとすると、感染源をもっと克明に調べてみることが必要なのではないでしょうか。_x000b_例えば、学校での蟯虫感染率が高いのかどうかなどが分かる必要があるのでしょうか。_x000b_勿論、回答1に書かれておりますように、メバンダゾールを使用するのも方法ではあると思います。しかし、ちなみにこれは保健適応外です。_x000b__x000b_9/6/1999線虫蟯虫
46小形アメーバ、ヒトブラストシスチス内科の医師からの問い合わせなのですが、小形アメーバ(Endolimax nana.)とヒトブラストシステス(Blastocystis hominis.)の治療法を教えて頂きたいのですが。_x000b__x000b_患者さんは、近くの個人病院からの紹介で立川病院へ来院された方で、前病院で検査された報告書を持参されています。報告書には前記虫体名が記載されており、小形アメーバはすべてシスト(嚢子)とのことです。この治療が完了しないと、受け入れ先の老人ホームに入所できないそうです。_x000b__x000b_特にヒトブラストシスチスはどのようなものか文献等もみつからず困っていますので、なにとぞよろしくお願いします。_x000b_回答1_x000b_小形アメーバは非病原性であり、治療の必要はありません。「これを治療しないと老人ホームに入所できない」というのは、「大腸菌(非病原性)が検出されるから入所できない」というのと同じで、ナンセンスです。_x000b__x000b_ブラストシスチスについては、「病原性あり(下痢を起こす)」とする意見と、「病原性なし」とする両説があります。_x000b__x000b_吉田幸雄先生の教科書「図説人体寄生虫学」第5版(南山堂)には簡単ですが概略と図・写真が載っています。_x000b__x000b_以下は私が医学生用にまとめた概説です。参考になれば幸いです。_x000b__x000b_■ブラストシスチス Blastocystis hominis_x000b_ブラストシスチス・ホミニスは古くから糞便に検出され、非病原性の酵母の1種と考えられていたが、最近になって原虫に近いことが判明。しかし、従来の原虫の分類ではどのグループの特徴にも合致せず、新しい門 phylum の創設が提唱されている。各種哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類から検出され、動物由来の株がヒトに感染するとの報告がある。現在、種の異同や病原性の有無についての研究が進められている。_x000b__x000b_1.疫 学_x000b_世界に広く分布。熱帯の衛生状態の悪い地域では感染率が30~50%という所も少なくない。米国での陽性率は合計2万4千人の調査で平均 7.7%(0.3~34.1%)、同性愛男性180人では52%。わが国でも病院患者の0.8~3.8%、知的障害者施設などでは17.2~53%に感染がみられたとの報告がある。_x000b__x000b_2.形態・生活史・感染経路_x000b_糞便に検出される形態はほぼ球形。大きさは同一検体中でも非常に変化に富み、直径は5~50マイクロメーター。中央部は液状または顆粒状の大きな中央液胞 central vacuole で占められ、複数個の核やミトコンドリアを含む細胞質は周辺に押しやられ指輪状を示す。偽足をもつアメーバ型、液胞型、シストなどの発育期がある。2分裂で増殖するが、シゾゴニーや有性生殖による胞子形成も考えられ、発育史の詳細はまだ不明。感染はシストの経口摂取による。_x000b__x000b_3.診 断_x000b_下痢便から多数の虫体が検出され、他に下痢起因病原体(原虫・蠕虫・細菌・ウイルスなど)や原因が見当たらない場合は本症と診断される。一方、下痢患者以外からも虫体がよく検出されるので、本原虫は非病原性であると主張する研究者もある。しかし、最近の遺伝子解析による研究では、ヒトから分離される株には数タイプあることが明かになっており、また人獣共通感染株も存在するので、ヒトに対する病原性に差があっても不思議ではない。_x000b__x000b_4.検 査_x000b_下痢便は直接塗抹・ヨード染色か MIF液による固定・染色、有形便はホルマリン・エーテル法を行いヨード染色して鏡検する。虫体はヨードでよく染まる。固定前の糞便を水で希釈すると虫体が崩壊するので、生理食塩水を使用する。反復検査や、アメーバ用の培地で糞便を培養すれば検出率が高くなる。_x000b__x000b_5.治 療_x000b_メトロニダゾールが用いられるが効果は不定。処方は赤痢アメーバ症に準ずる。_x000b_効果判定は投薬終了の2週間から1カ月後に糞便検査を行う。_x000b_ (成人量):750mg/日,分3,毎食後,10日間_x000b__x000b_以上です。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_上記のお尋ねの件のうちブラストシスチスについてお答えいたします。ブラストシスチスの病原性についてはまだ確定されたものではありません。しかしながら、ブラストシスチス感染による腸炎は確かに存在するようです。私どもの報告例は、堀木ら(1996)日本消化器病学会誌93巻655を参照してください。日本における疫学的調査についてはHoriki et al. (1998)Am.J.Trop.Med.Hyg. 56: 370-374を見ていただくと分かりますが、日本では健康人では大変に感染率が低いものです。_x000b_検査の件ですが、糞便を遠心すると大変に検出率が低下します。直接塗抹法をお奨めします。_x000b_治療については、metronidazoleが使用されていますが、私どもの経験では完治することが少なく、再発をします。ST 合剤をその後使用してもやはり完治することはないようです。目下治療薬については研究中です。従って症状が出ていない感染者は薬剤の投与は必要がないと思います。_x000b_9/8/1999原虫小形アメーバ ブラストシスチス
47ヒトブラストシスチス近医より、ヒトブラストシスチスの患者を紹介されました。_x000b_(メトロニダゾールで皮疹がでたため、投与中止となったとのことです。)_x000b_現在、自覚症状はないのですが、治療の必要性、およびもし治療が必要な場合はどのような薬を使用すべきか御教授いただければ幸いです。_x000b__x000b_回答1_x000b_Blastocystis hominisの治療については、私も現在苦慮しております。消化管症状のある場合に治療をするには問題はないと思いますが、自覚症状のないものをどの様にするかです。_x000b_以前、この問題についてA先生が、Blastocystisは人以外の動物にも認められ、いくつかの株が存在することを書かれておりました。そこで、Blastocystisについても、赤痢アメーバのように病原株と非病原株とが存在するのではと推測しているのですが如何でしょうか。消化管症状を持たない人の場合にはこのような非病原株の感染であると考えることが出来れば、治療方法はより整理されるのではと思います。先日、B先生は無症状のものについては治療を必要としないとコメントされておりましたが、これが一番無難な対処法かと思います。因みに、私は、主治医に対して次のようにコメントしました。患者さんに、糞便中にBlastocystisが見られたことを説明する。無症状の場合には、1)この原虫が病原性を持つとの報告があり、そのために治療をすることも1法である。2)しかし、現在無症状なので、このまま治療をせずに経過を見て、1ヶ月後に再検査をする。とし、1または2のいづれかの選択は患者さん自身に任せることとすることにしました。勿論、その際に、1を選択した場合には、薬物による副作用の可能性についても十分に説明するように話してあります。_x000b__x000b__x000b_回答2(以前の回答を利用)_x000b_ ブラストシスチスの病原性についてはまだ確定されたものではありません。しかしながら、ブラストシスチス感染による腸炎は確かに存在するようです。私どもの報告例は、堀木ら(1996)日本消化器病学会誌93巻655を参照してください。日本における疫学的調査についてはHoriki et al. (1998) Am.J.Trop.Med.Hyg. 56: 370-374を見ていただくと分かりますが、日本では健康人では大変に感染率が低いものです。_x000b_検査の件ですが、糞便を遠心すると大変に検出率が低下します。直接塗抹法をお奨めします。_x000b_治療については、metronidazoleが使用されていますが、私どもの経験では完治することが少なく、再発をします。ST 合剤をその後使用してもやはり完治することはないようです。目下治療薬については研究中です。従って症状が出ていない感染者は薬剤の投与は必要がないと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3(以前の回答を利用)_x000b_治 療_x000b_メトロニダゾールが用いられるが効果は不定。処方は赤痢アメーバ症に準ずる。_x000b_効果判定は投薬終了の2週間から1カ月後に糞便検査を行う。_x000b_ (成人量):750mg/日,分3,毎食後,10日間_x000b_9/24/1999原虫ブラストシスチス
48大腸バランチジウムBalantidium coli感染の2歳児をみています。3ヶ月前に粘血便と腹痛がしばしばありましたが、最近はゼラチン様の粘液が時々排泄されるのみです。この粘液中にBalantidium coliを見出しました。_x000b_過去の臨床例(特に小児)と治療法について御教示下さい。_x000b_ 大腸バランチジウムの国内からの症例報告はほとんどなく,私の知る範囲では以下の論文しかありません。_x000b__x000b_健常な16歳男性日本人に発症した大腸バランチヂウム症の1例_x000b_加納正嗣(県立岐阜病院),外3名_x000b_日本小児科学会雑誌 97巻 2号 Page468 (1993.2)_x000b__x000b_ 上記は学会抄録です。感染症学会誌に論文として掲載されているようですが,確かではありません。たぶん67巻(1993)。_x000b__x000b_ 国内で屠殺されるブタの疫学調査ではかなり濃厚な感染が全国的にみられるとの報告がありますので,人体症例があってもおかしくないとは思っております。_x000b_9/24/1999原虫大腸バランチジウム
49無鉤条虫と有鉤条虫の鑑別トルコ旅行後虫体が便に認められ、回虫卵に似た虫卵を検出し、コンバントリンを反復投与したが駆虫できないという症例の相談を受けました。出てきた虫体を10%ホルマリンで固定して送ってもらい、観察したところ無鉤条虫が有鉤条虫の体節であると思われました。_x000b__x000b_大きさは縦10~12mm、横5mm、きれいな長方形ではなく1端は2~3mmと細い。_x000b_割と肉厚で半透明ではないので、どちらかといえば無鉤条虫である思います。_x000b__x000b_無鉤条虫と有鉤条虫を鑑別するのに子宮内に墨汁を注入して観察したいのですが、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。_x000b__x000b_御教示の程よろしくお願い致します。_x000b_ よくこの鑑別をしなければならないはめになるのですが,いつも生の虫体使っています.非常に神経を使って行いますが,ツベルクリン用注射器で墨汁を虫体に注入しております.注入後ガラス板2枚で少し圧平しますと子宮の分枝状強がよく見えます.ホルマリン固定している場合,白く固定されているので見にくくなりますがそれでも同様にすれば見えます.蛍光灯などの光にかざすと尚見えやすくなります.いつも有鉤嚢虫を想定してP3内で操作をしております._x000b_9/27/1999条虫有鉤条虫 無鉤条虫
50好酸球増多、腹水、水様性下痢現在診断に苦慮している症例があり、ご相談したいと思います。_x000b__x000b_患者さんは、50歳の男性で、平成11年10月17日の夕食に冷蔵庫に1年程前の豆板醤をまーぼ豆腐にかけて食べて、1時間ほどより腹痛、嘔吐、水様性下痢出現。_x000b_その後も1日5-6回の下痢持続、近医受診も診断つかず、10月後半より腹部膨満出現。_x000b_11月4日本院受診、入院となりました。_x000b__x000b_入院時著名な腹水と水溶性下痢を認める以外、発熱・呼吸器症状・神経筋症状などはなく、検査データーではWBC 20,000で好酸球60%と好酸球増多を認める以外著変なし。_x000b_CRP 0.4 肝機能・腎機能正常。腹水は、侵出性で細胞数7,000(Eo 96%)。_x000b_初回の便および十二指腸液では、虫卵陰性。便細菌培養陰性。_x000b_GFでは、十二指腸下行脚の襞の腫大と発赤を認め、生検(結果はまだですが)してます。_x000b__x000b_現在寄生虫疾患を疑い検査中ですが、どういう寄生虫疾患を考え、今後の検査を進めていくか、ご教授いただければ幸いです。_x000b__x000b__x000b_回答に対する経過報告_x000b_回答のメール有り難うございます。_x000b__x000b_本当に診断に苦慮した症例で、藁をもつかむ思いで、インターネットにて検索し、寄生虫学会のホームページを見て、さらにConsultationできることを知り、本当に助かりました。_x000b__x000b_その後の症例の経過ですが、便・十二指腸液・腹水中の虫卵検査でも陰性で、胃及び十二指腸粘膜の生検でも、虫卵及び虫体陰性、好酸球の浸潤も少なく、非特性炎症の診断でしたが、小腸および大腸の生検では、虫卵および虫体は陰性ですが、好酸球主体の炎症細胞浸潤で好酸球性胃腸炎が考えるという病理のコメントでした。_x000b_さらに胃透視、GF,CFの所見も考慮し、好酸球性胃腸炎(特に筋層及び奬膜主体)を考え、11月11日よりプレドニゾロン20mgで治療を開始しました、経過は良好で腹痛及び下痢も改善し、腹水も減少傾向です。_x000b__x000b_先生方にはお世話になりました。_x000b__x000b_回答1にご指摘のあった好酸球性胃腸症かと考えております。_x000b_私ごとですが、大学時代寄生虫学の講義も受けたのですが、卒後十数年経つとほとんど忘れてしまい、今回学生時代の寄生虫学の本を読み返しました。_x000b_最近本院でも寄生虫疾患が増え、肺吸虫やブタ回虫そして糞線虫の症例と、診断に苦慮する症例が続いてます。_x000b_今回の症例では、著名な腹水で入院となり、本当に悩みましたが、先生ご指摘の如く腹水中の細胞の96%が好酸球と著増しており、寄生虫疾患よりアレルギー疾患を考える症例だったかと考えております。_x000b__x000b_回答2のご質問の件ですが、_x000b_家族もマーボ豆腐は食べていますが、豆板醤は本人だけで、IgEは正常域、蛋白尿(+)でした。既往にはアレルギー疾患はありませんでしたが、今考えれば食後1時間という短期間に発症しており、感染よりもアレルギー疾患を考えるべき症例だったかと考えております。_x000b__x000b_今回は本当にお世話になりました。学会のホームページに相談コーナーがあるというのは素晴らしいです。_x000b__x000b_今回の如く寄生虫疾患の経験が少ない私たちにとって、インターネットを通じて、即座に回答を得られるというのは本当に素晴らしいことだと、今回の件でつくづく感じました。_x000b__x000b_好酸球増多の症例は、予後不良の疾患も多く、早めにステロイド使用してしまいがちになります。_x000b_まずは寄生虫疾患の否定が大事だと考えております。(本院でも最近肺癌末期の患者の不明熱と喀血に対しステロイド使用、残念ながら亡くなられ、剖検にて糞線虫の感染による重症化の症例を経験し、反省させられています。)_x000b_回答1_x000b_WBC 20,000で好酸球60%、 滲出性腹水 で細胞数7,000(Eo 96%)と非常に激しい好酸球増多があり、反復性の水様性下痢、しかも虫卵陰性ということから、寄生虫疾患というよりも特発性の好酸球性胃腸炎eosinophilic enterocolitisが強く疑われます。 好酸球性胃腸炎の一部の例では腸管寄生虫に対する抗体陽性で、寄生虫抗原によるアレルギー反応として説明される症例も見受けられます。数年前に抗ブタ回虫抗体強陽性の好酸球性胃腸炎を経験し、症例報告したことがあります。_x000b__x000b_SRLにて血清・腹水の抗体スクリーニングが可能です。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_大変に興味のある症例ですが、いくつか質問とコメントがあります。_x000b_1)症例は、食事との関係のみで書かれておりますが、それ以外には原因と考えられるものはないのでしょうか_x000b_2)回答1に書かれておりますコメントとも関係しますが、既往歴にアレルギー性疾患はあるのでしょうか_x000b_3)食事の中身ですが、トウバンジャンをマーボドウフにかけて食べたとのことですが、本人だけが食べたのでしょうか。他の家族はどうだったのですか。また、自家製ですか、それとも出来上がりでしょうか。また、魚介類や肉などはどうだったのでしょうか。_x000b_4)もしも、大豆によるアレルギーであれば、大豆に対する抗体価の上昇があるのでしょうが如何ですか。またIgEの値はどうなのでしょうか。_x000b_5)腎機能(タンパク尿や、Igの排泄)は異常ないのですか_x000b_6)文面を独断的に解釈すると、寄生虫疾患は否定されるような気がいたします。_x000b_11/7/1999その他
51日本住血吸虫症 突然、御相談させていただきます。_x000b_9月中旬より発熱と肝機能障害があり、当科入院となった患者ですが、以前より原発性胆汁性肝硬変と診断されていたため、先月29日肝生検を行いました。その検体より、門脈系に石灰化した虫卵と異型多核巨細胞が認められました。認められた場所より日本住血吸虫症と考えておりますが、超音波など他の画像診断では特に異常所見等なく、また、感染の機会も不明(転居歴や海外渡航歴も無し)のため、現在の状態が不明です。そのため、活動性を調べられる検査法があれば、ご教授願いたいのと、当院にはいっている検査会社(SRL)にはスクリーニングの抗体検査しかなく、特異抗体を調べられるところがあれば是非教えていただきたいと思います。_x000b_ またもし活動性の日本住血吸虫症であれば、その治療法はPraziquantel投与でよろしいでしょうか?_x000b_ 以上、長くなって申し訳ありませんが、よろしく御教授お願いいたします。_x000b_回答1_x000b_ 日本住血吸虫の専門家は多く、卵の鑑別、抗体検査もかのうです。_x000b_少なくとも、患者の住所歴が必要で、これも大きな決め手になります。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_既に回答1で指摘されており、重複しますが、以下の点について質問があります。_x000b_1.患者さんの年齢と出身地;最後の流行地と言われる山梨・甲府盆地(韮崎市・八田村・白根町)でも昭和40年代の中頃が最後の患者発生ですので、それよりも後の出生であれば、何かの間違いでしょう。_x000b_2.患者さんの年齢が50才以上であることを想定して日本住血吸虫症としますと、病理所見で異形多核巨細胞が見られたとのことですが、亜急性期にはランゲルハンスの異物巨細胞は虫卵周囲には良く認められます。しかし、虫卵の石灰化像が顕著な場合には、あまりこのような所見は見られなかったのではと思います(手持ちの、標本を再見してみます)。もしも、そうだとすると、他の疾患との合併を考えるのがよいのではないでしょうか。_x000b_3.日本住血吸虫の成虫の寿命がどれ程かは、正確には知りません。しかし、一般的には長くても十数年のものでしょう。従って、国内感染例であれば、現在虫体が生きている可能性はないものと思います。ですから、治療の対象にはならないでしょう。_x000b_11/12/1999吸虫日本住血吸虫
52髄膜炎突然お便り申し上げます。_x000b_ 現在40歳の男性で、8月より原因不明の髄膜炎を発症し、10月に当院へ紹介入院となった方がいます。_x000b__x000b_ 今までにも抗生剤や抗真菌剤、抗結核薬などを投与しておりますが、全く改善の兆候を認めません。_x000b__x000b_ 海外渡航は新婚旅行でニューカレドニアへ行っています。_x000b_ 最近、寄生虫の抗体を検査したところ、「肝蛭の抗体」が陽性なので精査を...というコメントがありましたが、何を検査していいのか、また蛭による髄膜炎があるのかもわかりません。_x000b__x000b_ もし何かご存知のことがあればお伺いしたいと思います。_x000b_ よろしくお願いいたします。_x000b__x000b__x000b_追加質問_x000b_原因不明の髄膜炎のことでコメント頂きありがとうございます。_x000b_髄液中の好酸球の増加は認めません。細胞数とタンパクは高値、糖は低値です。_x000b_Facsiola hepatica抗体(+)でしたが特に精査はしていません。_x000b_結核菌PCRや真菌の抗体は陰性なのですが、抗結核剤と抗真菌剤を併用しております。_x000b_先日ついに脳ヘルニアを起こしかけたため脳室 drainage を施行しましたが、ドレーンから出てくるリコールは全く正常でした。_x000b_血液一般、生化学では特記すべき所見はなく、CRPも陰性です。_x000b_CTで傍側脳室に数センチ大の石灰化を認めますが、これも何かはわかりません。_x000b_症状は軽快せず、むしろ徐々に悪化しているような印象です。_x000b_Facsiola hepaticaで、肝機能に影響を与えず、直接髄腔内に寄生する場合もあるのでしょうか?_x000b_教えていただきたいです。_x000b__x000b_回答1_x000b_ニューカレドニアと脳炎症状と聞きますと、線虫のAngiostrongylus によるEosinophilic meningoencephalitis を思い浮かべますが、可能性はないのでしょうか。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_以下の点について、質問があります。_x000b_1. 現在40歳の男性で、8月より原因不明の髄膜炎を発症し、10月に当院へ紹介入院となった方がいます。_x000b_  質問1.髄液の性状はどのようでしたか、(例えば、好酸球の増加はありましたか。また、髄液中の蛋白量や糖量はどうですか。_x000b_  質問2.一般血液および血清検査での検査値になにか気になる値はありませんか_x000b_  質問3.頭部レントゲン写真(単純およびCT・MRI)で所見はありませんか_x000b_  質問4.全身所見、意識状態、神経学的な検査での所見はどうですか_x000b__x000b_2. 海外渡航は新婚旅行でニューカレドニアへ行っています。_x000b_  質問1.旅行時期はいつ頃ですか、最近であれば旅行との関係は考慮する必要があります。たとえば、手長エビによる広東住血線虫の可能性_x000b_  質問2.既往歴や家族歴になにかありますか_x000b_      例えば、結核などは、またツベルクリン反応はどうでしたか_x000b_  質問3.職業はなんですか_x000b_      酪農をやっていると、肝蛭の可能性もあるでしょう_x000b_ _x000b_3. 最近、寄生虫の抗体を検査したところ、「肝蛭の抗体」が陽性なので精査を...というコメントがありましたが、何を検査していいのか、また蛭による髄膜炎が_x000b_  コメント1;肝蛭の抗体検査は、国内の寄生虫学教室で行ってもらえると思います。再検査をされたら如何でしょうか。また、もしも必要ならば、ウエスタンブロティングなどの精査も可能なのではないでしょうか(どこの大学にお願いできるかは私自体は知りません)。ある先生の話ですと、CRP陽性者では、色々の寄生虫抗原との間にクロス反応で陽性を示すことがあるようです。_x000b_  コメント2;寄生虫の抗体検査ではクロス反応を示すことが、かなりの頻度であり得ます。そのためにも、他の寄生虫の抗体価検査も有効なのではないでしょうか_x000b_  コメント3;肝蛭の異所性寄生も報告はありますが、脳内への寄生例は私は知りません。但し、臨床所見としては頭痛などはかなりの頻度では見られるようです。_x000b__x000b_回答3_x000b_ 患者さんはいつニューカレドニアに行かれたのですか。もしAngiostrongylus cantonensis 広東住血線虫感染の場合は脊髄液中に好酸球増加が認められ、血清学的な検査法も可能です。ただし、広東住血線虫感染の場合8月から11月まで症状がずっと続くかどうか疑問です。経過はどうですか。肝蛭の抗体が陽性とありますが、なぜ肝蛭を調べられたのですか。吸虫類であれば脳の肺吸虫症も予想され、こちらの検査を行うと思いますが..... いずれにしても好酸球造増多についてはどうですか。_x000b_ もし、脊髄液中に好酸球増加が顕著であればもう一度Consaltationに質問お願いします。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答_x000b_肝蛭が髄膜腔に迷入する可能性はゼロではありませんが、unlikelyと思います。_x000b_特に、髄液中の好酸球の増加が見られないということで、まず、否定してよいだろうと思います。_x000b_Dot-ELISAでFacsiola hepatica抗原は頻繁に偽陽性反応を呈します。本症例の原因として肝蛭は取り敢えず除外して良いだろうと思います。_x000b__x000b_Virus, Acanthoamoebaなどの可能性についてはどの程度検討されているのでしょうか。_x000b_詳細なデータがないので、よくわかりませんが、granulomatous amebic encephalitisの可能性も考慮に入れる必要があるように思われます。_x000b__x000b_11/12/1999線虫広東住血線虫
53ケニアの毒虫実は、私の両親が、11/13~27まで、ツアーでアフリカ旅行をしていたのですが、旅行中、11/16にケニアのナイロビで、父が左足を毒虫に刺されました。_x000b_その毒虫は、色・形・大きさともにハエのような虫だったそうです。_x000b_刺された場所は、左足のふくらはぎです。_x000b_刺された直後、父はナイロビ病院で治療を受け、その際、治療にあたった黒人医師が、「しばらくすると足が腫れ、皮膚が自分の肌のように黒くなるが、その後、良くなる。」とおっしゃたそうです。彼は、血清注射等の治療を施したそうです。_x000b__x000b_その後も両親は旅行を続け、最後に南アフリカを訪れたのですが、帰国前に、添乗員がケープタウンの病院で父に診察を受けさせました。_x000b_診察といっても、担当した白人医師は、本当に父の足を見ただけだったようです。そしてその時、その医師は、「足を手術しないと命が危ない。このまま飛行機に乗ると、機内の気圧の変化で、患部の足が破裂し、死ぬかもしれない。」と言ったということです。_x000b_しかし、父は熱も無く、足を引きずりながらも歩くことができましたので、白人医師の勧告に従わず、最初に診てくれた黒人医師の言葉を信じて、11/27に予定通り帰国してきました。_x000b__x000b_帰国後すぐに父は、地元の病院に入院し、現在治療を受けております。病院では、最初の3日間、24時間の点滴を受けていましたが、いまは日中のみの点滴になっています。_x000b__x000b_アフリカ旅行中、一時は左足の膝から下が、象の足のように膨れ上がり、皮膚がどす黒く変色したようです。入院治療で、患部の色は元の肌色に戻りつつありますが、足の腫れはまだひいていません。_x000b_11/16に毒虫に刺されたからすでに半月以上が経っていますし、入院して治療を受けておりますので、命の危険はないと思っておりますが、何分にも、風土の異なるアフリカでの出来事ですので、足に後遺症等が出ないかどうか、家族全員が父の身を案じております。_x000b__x000b_父を刺した毒虫が何であるかは特定できていません。現地のケニアの医師にも、分からなかったようです。_x000b_前述しましたように、色・形・大きさともにハエのような虫ということしか分かりません。入院先の主治医は、「患部を中心に毒出血している。よく分からないが、マムシよりもはるかにひどい毒性だ。」とおっしゃっていました。_x000b__x000b_情報が少ない中で、質問するのも恐縮ですが、父を刺したケニアの毒虫に関して、先生は何か心当たりはないでしょうか。_x000b_毒性がどのくらい強いのか、また、それの後遺症はないのかが、今一番気に掛かっているところです。_x000b__x000b_もし何かご存じでしたら、お知らせいただければ、幸いです。_x000b_突然のメールで、しかも長くなってしまい、本当に申し訳ございません。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの報告_x000b_今日は、お忙しい中、貴重な資料をお貸し頂きまして、ありがとうございました。また、問題の毒虫について、各方面に問い合わせていただいて、心からお礼申し上げます。_x000b__x000b_早速、病院の父母(実は、母もアフリカでの心労から倒れ、一昨日から同じ病院で入院しています。)に先生からお借りした本を見せたところ、写真の蜂に似ていたと言っていました。また、刺された後、一番症状が酷かった時には、症例の写真の、肘から肩にかけてのような色で、もっとパ―ンと膨れていたそうです。_x000b_刺された直後は、母も気が動転し、父の看病に手が一杯で、一番症状が酷かった時の写真は撮っていないのですが、少し落ち着いた頃から、アフリカでの父の左足を撮って来ていますので、後日、本の返却の際に、写真の焼き増しもお持ちいたします。_x000b__x000b_父は、アフリカの自然をこよなく愛しており、今回のシビアな経験の後でも、なおアフリカへの想いを強くしております。_x000b_ケニアの病院でも、父の症例は大変珍しいと言われたそうですので、もし何か研究の参考になればと、父も申しております。_x000b_また、後遺症についても、取り敢えず、今はトイレにも立っていけるようになりましたので、少々足をひきずっていても、このくらい歩ければ構わないと本人は言っております。_x000b__x000b_今回の件では、家族全員、父のことに心を痛めておりましたが、本人が、好きなアフリカでの出来事と、前向きに考えるようになりましたので、少しほっとしております。_x000b__x000b_父も母も、先生のご厚意に深く感謝しております。_x000b_本当に、ありがとうございました。_x000b_取り急ぎ、お礼まで。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加報告_x000b_ 父が毒虫に刺されたのは、ケニア・ナクールのナイバシャ湖の湖上で、ボートで見物していた時に、刺されたそうです。_x000b_ 11/16の朝、被害に遭い、当日の午後、ナイロビ病院で手当てを受けました。ナイロビ病院で受けた治療内容については、父の治療に当たったケニアの医師が、FAXを送って下さいましたので、それは、主治医の先生に渡しております。_x000b_ ナイロビ病院では、とても親切に治療して下さったそうで、父は、足が良くなったら、いつかまたケニアに行って、治療してくれた黒人のお医者さんに、直接お会いして、お礼が言いたいと申しております。また、そのお医者さんは、父の怪我は、とても珍しいケースなので、後日改めて、父が毒虫に刺された現場(ナイバシャ湖)に行って、虫を採取して研究したいとおっしゃっていたそうです。_x000b_回答1_x000b_1)アフリカ全土にスズメバチは分布しない。ということでスズメバチの可能性は全くないとのことです。_x000b_2)アシナガバチはいる。ただし非常に原始的な種で、数も少なく人を襲うことはほとんどない。accidental に刺すことはあっても重傷になるほどの毒はないはずとのことです。_x000b_3)ベッコウバチ類・ドロバチ類は多種類がいる。毒があり、人によってはかなりの重傷になることもあるが、人を襲うことはなく、日本でも洗濯をした衣服の中に入っていて刺されるということは起こる。毎年1-2人の被害はある。_x000b_4)ハキリバチ類はたくさんいる。日本でオオハキリバチで刺された重傷例がある(加納六郎先生退官記念「日本の有毒動物ーその基礎と臨床ー」に記載されている)。ただこのハチも攻撃性のあるハチではないので被害例は非常に少ないとのことです。_x000b__x000b_以上から、ハチ刺されの可能性は低いと言うことになります。「ハエ」に似た刺す虫ということから、アブという可能性があるかも知れませんが、アブは毒ではなくて唾液によるアレルギーでしょうから、初めて刺されてこのような重傷ということはちょっと考えられません。ハンミョウ類のカンタリジンによる皮膚炎とも違うように思います。とすると「ハエ」のような虫が何であったのか思い当たりません。 _x000b_以上です。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ハエのようだったとのことですので,ツェツェバエかもしれませんね。_x000b_ただ,刺されたあとの症状との関連についてはどうかわかりませんが。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_大変興味ある症例だと思います。_x000b_メールを読んで、全く思い当たる刺傷昆虫がありませんでしたが、知人に相談したところ、該当するハチがいることが解りました。大型のハキリバチに刺されて重症化した症例が日本でも報告されております。_x000b_入手しておりませんが、下記の論文がハキリバチの症例報告と思います。_x000b_(吉江治彦、松井 猛(1978):獣篤な蜂刺症の1例、臨皮、32(8):645-652)_x000b_東京医科歯科大学の加納六郎先生の退官記念の出版物「日本の有毒動物ーその基礎と臨床ー」1991年にはオオハキリバチの写真と患者の腕全体が黒く浮腫状態になった写真がPlate 13にのっております。_x000b_アフリカにどのような種類のハキリバチが存在するか解りませんが、多分同様のハチによる刺症と思います。_x000b_写真からの想像ですが、相当強い出血性の毒を持っているです。_x000b_何かの参考になれば幸いです。_x000b__x000b_12/2/1999衛生動物ハエ
54クリプトスポリジウムクリプトスポリジウムの治療薬を教えて下さい。_x000b_クリプトスポリジウム症に有効な治療薬はありません。1/22/1998原虫クリプトスポリジウム
55有鉤嚢虫症の検査国際協力に従事する獣医師です。_x000b_最近訪問したヴィエトナムのハノイで日本から派遣された技術者から8歳になる男児が現地で豚の半生肉を食した可能性があり、寄生虫感染(有鉤嚢虫症)の不安を相談されました。_x000b__x000b_アジアの途上国において本症は感染の可能性が高いと判断します。_x000b__x000b_免疫血清学的診断を勧めたいのですが、途上国においても診断試験を実施しているものでしょうか。また、日本に帰国して受診する場合、相談すべき病院名、専門医師名をお教えいただければ幸いに存じます。_x000b__x000b_その他、検討すべき事項がございましたら、ご教示お願いします。_x000b_ベトナムでの個別事情は全く知りませんが、有鉤嚢虫症の免疫診断は発展途上国でもたいていは可能だと思います。_x000b_12/20/1999条虫有鉤嚢虫
56広節裂頭条虫 以前コンバトリンの効かない蟯虫の駆虫についてメールでアドヴァイスうけた小児科医です。今回は3才の女児、排便時に1メートルぐらいの条虫を排泄。検査の結果、便に沢山の広節裂頭条虫の卵が確認され、虫体は広節裂頭条虫で頭も確認されています。  _x000b_ 頭が確認されているので、もう少しまって便の虫卵検査をおこない、それでも虫卵が確認されればまだ虫がいるとかんがえて、駆虫にふみきればいいのか?その際はどれくらいあけて検査をすればいいのか?親の不安も強くので、駆虫薬が安全のものであれば念のためにすぐ駆虫薬をのませるべきか?まよっています。しらべたところ駆虫薬としてプラジカンテルとパロモマイシンの2つがのっていましたが、こどもの場合どちらがよいでしょうか? 駆虫のさい注意する事などあればお教えください。学生時代の寄生虫講義いらいお目にかかっていないさなだ虫をみてあわてています。ご教示いただければさいわいです。よろしくお願いします。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_ 広節裂頭条虫の駆虫についてご教示いただきましてありがとうごさいました。自然に1匹の条虫が排泄されたあと1週間後に便検査をおこなったところ2回とも広節裂頭条虫の卵と虫体の一部が確認されましたのでプラジカンテルを内服させました。マグコロール内服後30分ぐらいで約2メートルの条虫排泄したとのことです。途中で虫がきれたみたいと母親はいっていましたが幸い虫の頭がでたのでしょうか、駆虫後1週間たってからの便検査では虫卵は確認されていません。3才の女児ですがサケとかマスのなまものはたべさせた覚えはないとのこと。残りの家族3人の検査もしましたが3人とも陰性でした。この女児は2匹の条虫がいて、1匹は自然排泄、1匹は駆虫剤によって駆虫されたということになります。マグコロールは25mg/kg使用しました。ご丁寧なアドバイスありがとうございました。以上ご報告もうしあげます。回答1_x000b_ 1週間後に検便虫卵検査し、陰性ならそのまま経過観察、陽性ならば別個体が感染していると考えられるので、プラジカンテルと塩類下剤による駆虫でよいと思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_1.自然排虫されたのでしょうか、1メートルの虫体が全長とすると、この時点では一般には成熟片節はまだあまり形成されておらず、虫卵は排泄されないかあったとしても少数ではと思います。以前ある研究者が自分自身で体験されておりますが、感染2週目に初めて虫卵が糞便に出てきたため、駆虫して得た虫体が約1メートルで、その時には糞便中に虫卵が糞便1グラムあたり2個です。その後に急速に大きくなり3週目には5メートルで、1グラムあたりの虫卵数は4万個、近くにまで発育しております。_x000b_2.糞便検査ですが、この場合には一匹は頭節を含め虫体排泄があったとの事ですので、可能性としては多数寄生でその他の虫体が残っているかどうかということですから、直ぐに翌日に検査をしても理論上はかまわないものと思います。但し、排虫虫体による虫卵が糞便に残っていた可能性を考えるのであれば、数日間の間隔をおいたのが良いかもしれません。蛇足ですが、頭節の確認が出来なかった場合には、私は3週間後に再検査をするように、担当医には指示しております。_x000b_3.プラジカンテルを小児に用いた経験はありません。広節裂頭条虫の自験例の最少年齢は6才です。その時にはビチオノールを用いて、駆虫しました。ビチンは小児には、飲みにくく、苦労して飲ませて駆虫した経験があります。プラジカンテルは、住血吸虫の治療薬であり、流行地では小児にも使用されておりますので、大丈夫と思います。パロモマイシンは、最近は入手困難になっておりますので、治療にはプラジカンテルを薦めます。_x000b_4.感染源は何が考えられるのでしょうか、また家族内に感染者はいませんか。我々の経験では、子供が感染している場合に、家族が同様の物を食べており、一緒に感染していた例を数例ですが経験しております。_x000b_1/10/2000条虫広節裂頭条虫
57好酸球性髄膜炎京都府在住の13歳男児。12月下旬沖縄旅行。_x000b_その10日後より、頭痛、嘔吐、発熱。_x000b_髄液細胞600-900/mm3程度、うち30-40%が好酸球。_x000b_好酸球性髄膜炎です。_x000b_成書によると広東住血線虫によるものが最も多いとあります。_x000b_当方には経験がありません。_x000b_診断確定の方法、治療方法、最近の総説、についてご教示願えればありがたく存じます。好酸球性脳脊髄膜炎が最も考えられると思います。ただ症状の発症が、誤差範囲かもしれませんがちょっと早い気もします。通常は2週以降です。旅行先の沖縄では、米軍兵士のサバイバル訓練で十数名が広東住血線虫に感染したことが良く知られております。この少年が沖縄でどのような生活をしたのかに興味が持たれます。全身所見があまり記載されておりませんが、末梢血中でも好酸球の増加があり、CRPが陽性なのでしょうか、また意識状態はどうでしょうか。また。脳のCT所見はどの様でしょうか、本学で経験された台湾の症例では、脳圧の亢進に伴う、脳室の拡大がありましたが、この症例ではどうでしょうか。また、CT像で幼虫虫体の寄生部位と思われる所に白色の結節状の陰影はありませんでしたか。診断は、血清及び髄液の血清診断が必要でしょう。予後は、一般には良いと言われておりますが、台湾では死亡例の報告もあります。治療ですが、残念ながら保存的な治療法しかありません。主には、脳圧を下げることが目的です。CT所見で、脳室の拡大が認められるようであれば、ステロイド剤の投与による脳浮腫を抑制するのが良いかもしれません。そうでなければ、頭痛の程度に見合って、髄液をとり、随圧を下げてあげれば症状の改善があると思います。また、2次感染を予防する目的で、抗生剤の使用もあったのが良いかもしれません。駆虫剤が有効には作用しないので、幼若成虫が自然に死亡するのを待つことが大切です。一般には3週間程度で炎症は治まってくれるようです。1/11/2000その他好酸球性髄膜炎
58便の中の白い虫 病院の小児科勤務医をしているものです。寄生虫についてはあまり知識がありません。あまり実物をみたこともありません。恥を忍んでお尋ねいたします。どうかお教えねがいます。_x000b_ 外来に5歳の女の子が来院しました。便のなかに(正確にいえばおしりをふいたトイレットペーパーに)1cm位の長さの白い虫がにゅるにゅる動いていたと母がいいます。半年前と1か月前にも同じ様なことがあり今回で3回目だそうです。なにが考えられますか。どのように診断して治療すればよいでしょうか。回答1_x000b_おそらく条虫(さなだむし)でしょう。_x000b__x000b_診断は、「条虫か否か」と「有鉤条虫か否か」を確認することが重要です。_x000b_(1) 全身の触診(腫瘤の有無)、血液検査(特に好酸球数)など有鉤条虫症を疑わせる所見がないか確認する。_x000b_(2) 母親に「にゅるにゅる動く白い虫」を持ってくるよう指示する。これが届いたら、検査室あるいは大学の寄生虫学教室に検査を依頼する。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 小児の便のなかに出てくる1cm位の長さの白い虫ということになると、蟯虫の可能性が高いと思いますが、稀なケースとして瓜実条虫の可能性も否定はできません。蟯虫は線虫類ですから細長く、瓜実条虫はサナダ虫ですから、扁平な形の体節が出てくるので、形態から区別できると思います。その他の条虫類も考えられないことはありませんが、極めてunlikelyだと思います。最寄りの寄生虫学教室などに虫体を持参されたら同定して貰えます。_x000b_ 蟯虫なら治療はコンバントリン5-10mg/Kg頓用、瓜実条虫ならばプラジカンテル(ビルトリシド)10mg/Kg 頓用し、塩類下剤を2時間後に与えることで、駆虫できます。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 年齢から考えると、蟯虫の可能性も考慮すべきでした。_x000b_蟯虫検査(セロファンテープ)も行なって下さい。_x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_ 瓜実条虫の場合はペットからの感染が考えられますので、この場合にはペットの検査・駆虫も必要になるかもしれません。2/8/2000その他
59フラジール耐性疑いのランブル鞭毛虫フラジール耐性疑いのランブル鞭毛虫駆除について_x000b_患者:31歳,男性.青年海外協力隊で渡航し感染.12月下旬よりフラジール750mg/日,5日間内服し,1月7日当科受信,便検査にて鞭毛虫の嚢子が確認される._x000b_当院にはファシジンがありますが,フラジール耐性にも有効でしょうか.患者は以前にも感染歴があり,その時も駆虫に失敗しているようです._x000b_以上よろしくお願い申し上げます.まずはホームページ内「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引」をご覧ください。薬剤選択はこの順序で良いと思います。_x000b__x000b_フラジール処方後の検査で陽性だったというだけでは耐性と言えません。_x000b_副作用(嘔気、口腔内の金属臭など)のため患者が薬を最後まで飲まない、_x000b_あるいは嘔吐する例が多いようです。まずは、この点を確認して下さい。_x000b__x000b_ファシジンはフラジールと同系統の薬剤(nitroimidazole)です。_x000b_ファシジンの方が側鎖部分が長いだけで、ご指摘の通り、交差耐性も疑われます。_x000b_しかし、これで駆虫できた例も経験しています。まずは使ってみる価値があります。_x000b__x000b_チベラールも同じく nitroimidazole系薬剤です。_x000b_これはフラジール耐性が疑われる症例に使われ、評判のよかった薬です。_x000b_残念ながら現在入手困難で、ここ2~3年は薬を出した経験がありません。_x000b__x000b_アテプリンは全く別系統の薬剤です。交差耐性は問題にならないと思います。_x000b_毒性と入手法が問題で、上記薬剤が無効の場合に検討すべきでしょう。1/23/2000原虫ランブル鞭毛虫
60ランブル鞭毛虫施設にて集団生活をしている18歳、男、_x000b_集団健診の検便にて、たまたまランブル鞭毛虫の嚢子がみられました。_x000b_特に消化器症状は認めません._x000b_本児のみで他の発生は見られません._x000b_国内のみの生活です._x000b_基礎疾患:Mental retardation, epilepsy _x000b__x000b__x000b_メトロニダゾール(フラジール内服錠(250) 3錠 分3)_x000b_または_x000b_チニダゾール(ハイシジン錠(200) 2錠 分2)_x000b_での治療を何クールか行いましたが、一時は便から見られなくなっても_x000b_すぐに再発します._x000b__x000b_今後の対応を教えてください._x000b_1.こうすればジアルジアを駆除できる._x000b_2.これ以上は駆除できない._x000b_3.駆除はできるが、症状がないからほって置く._x000b__x000b_集団生活を送っていますが、他人への感染源となりましょうか?_x000b_なるとすれば、生活上の注意点はいかがでしょうか?回答1_x000b_ 本症例は渡航歴がないことから、施設内での感染が疑われます。_x000b_同居者の検便を行ない、陽性者は同時に駆虫する必要があります。_x000b__x000b_集団生活を送っていますが、他人への感染源となりましょうか?_x000b_なるとすれば、生活上の注意点はいかがでしょうか?_x000b__x000b_欧米では、本症が託児所で集団発生した事例が報告されています。_x000b_本件は基礎疾患として Mental retardationがあるので、問題大です。_x000b_患児が「便いじり」をする場合、放置すれば、感染拡大は必至です。_x000b_生活上の注意だけで感染予防は困難です。駆虫が必要でしょう。_x000b__x000b_メトロニダゾール(フラジール内服錠(250) 3錠 分3)_x000b_または_x000b_チニダゾール(ハイシジン錠(200) 2錠 分2)_x000b_での治療を何クールか行いましたが、一時は便から見られなくなってもすぐに再発します._x000b__x000b_駆虫の要点は、_x000b_(1) 同居者の検便を行ない、必要なら集団治療も考える。_x000b_ スタッフに説明を行ない、各児童の家族から同意を得る必要あり。_x000b_(2) 上記薬剤には嘔気や味覚異常といった副作用が知られている。_x000b_ 患児が薬を飲んだか、吐き出していないか、スタッフが確認する。_x000b_(3) 必要なら、オルニダゾールあるいは塩酸キナクリンの入手を考える。_x000b_これは患児個人の問題ではなく、施設の問題です。_x000b_施設の責任者と話し合った上で、対応を決めて下さい。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 施設の状況と患者の状態(知能障害のための入所か? 家庭の事情での入所か? ADLは?など)が不明ですので一般的な返答となります。_x000b__x000b_駆除は困難と思われます。_x000b_症状がないのでこのままでよいと思います。_x000b_もし、再治療を試みられるならば、フラジール(250 mg/Tab)を1日4回(1回1錠各食後と寝る前 10日間)を行なうとよいかも知れません。1回1錠の1日3回投与よりは治療成績がよいかも知れません。_x000b__x000b_ADLが自立していない人で食事や排便の介助を受けている人ならば、介護者の検便を行ないます。また、入所者全員の検便は不可能でしょうから、せめて同室者や親しい入所者の検便を行ないます。陽性者が発見されれば、再度本人および陽性者の治療を試みる価値はあります。_x000b__x000b_他人への感染源となることがあります。経口感染ですので、患者の排便後の手洗いが重要です。石鹸でよく洗い、その後充分に流水で洗い流します。他の入所者がこの人の便に触らないように注意します。トイレなどの消毒は不要です。共同トイレならば、ドアのノブをたびたび洗浄するとよいでしょう。CDCの院内感染予防の勧告_x000b_に従えば、接触予防策を行なうことになります。2/16/2000原虫ランブル鞭毛虫
61イカの寄生虫、精莢突然のご質問で申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。_x000b_当方、産婦人科の開業医ですが、本日、妊娠5ヶ月の患者さんが、魚の寄生虫を食べてしまったとのことで、相談に見えました。_x000b_3日前に生のいかを、内臓ごと食べたところ、いとミミズのようなものが口腔内にくっついて、驚いて、つまみ出して、吐き出したということなのです。現在にいたるまで腹痛、下痢などの消火器症状は見られていません。_x000b_アニサキスかと思いますが、もし、虫体を飲み込んでしまっていた場合、今後、症状のでる可能性があるのか、また、妊婦、胎児に影響の出る可能性があるのか、ご教授願えると幸いです。_x000b__x000b_寄生虫学、不勉強なため、おはずかしいご質問ですが、よろしくお願いいたします。回答1_x000b_ 私は魚介類の寄生虫を研究しております。イカの「寄生虫」について、私の見解を述べさせていただきます。_x000b__x000b_「口腔内にくっついた」ということから、アニサキスよりも成熟雄イカの精莢の可能性のほうが高いと思います。雄イカは交尾の際、交接腕(十本の足のうちの特化した1本)の先に精莢を付けて、雌の口の周りの膜に植え付けて授精します。長さは約2cmほどで白色です。精巣をそのまま食べると何十本も刺さると思います。私は経験がありませんが、相当痛いそうです。_x000b__x000b_仮にアニサキスだとしたら、発症は食べて数時間後ですから、この人の場合は問題ありません。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 3日前に生のいかを、内臓ごと食べたところ、いとミミズのようなものが口腔内にくっついて、驚いて、つまみ出して、吐き出したということなのです。_x000b__x000b_ 痛みを伴っていたかどうか不明ですが、もし痛みも伴っていたら回答1でコメントされているように、精莢内部の粘着体が反転射出したものの可能性が高いと思います。これが刺さるとピリピリした痛みが走ります (私は経験があります)、形は白っぽく 5-10mm程度で肉眼的には必ず一方の端が太く丸くなっており反対側は細くなっています。_x000b_ 「いとミミズのような」という形から、両端ほぼ同じ太さで白っぽい糸状のものであったなら、アニサキスの可能性が高くなります。アニサキスは細いものではイトミミズ位の太さとみなされるかもしれませんから。_x000b_ 口腔にアニサキスが付着するかどうかについては、私は経験ありませんが、ある先生から私が聞いた症例では、「病院の看護婦さんが食事中口腔内に異物が刺さるような感じがするので取り出したところアニサキスだった」という例があります(痛みを伴っていたと聞いたように記憶していますが定かではありません)。この場合はアニサキスが口腔内に刺さったケースですが、今回のようにアニサキスが口腔壁に付着し、異物と感じられて取り出されるという可能性はあっても不思議ではありません。_x000b_ そのほか可能性が低いですが、少しずんぐりした米粒程度の白っぽいものだったらNybelin条虫の幼虫の可能性もあります。_x000b__x000b_ 精莢(粘着体)とNybelin条虫幼虫の場合は特に人体への影響は問題ないですが、アニサキス虫体を摂取していた場合でも、すでにこのmailを書いている時点で3日+3日以上経ってますから激症型のアニサキス症になる心配はまずないと思います。_x000b_ あとは飲み込んだ虫体の数や活性等にもよりますが、緩和型アニサキス症が起きる可能性は残ります。ただその場合は腹症状がほとんどないでしょうから、自然治癒にまかせ虫体の死滅、吸収を待つということになると思います。_x000b_ 妊産婦の場合に特に注意すべき事はないと思いますが、その点どなたかドクターのコメントがあればと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 先の回答2で充分だと思いますが、ドクターからのコメントをということですので整理しておきます。_x000b__x000b_口腔粘膜に刺入する寄生虫あるいは類縁の生物はアニサキス、イカの精莢、ニベリン条虫の幼虫の3種が考えられます。いとミミズの様な形態ということからアニサキスの可能性が最も高いと思われます。アニサキスの口腔あるいは咽頭粘膜への刺入例については石倉先生が出されたIntestinal Anisakiasis in Japan: Springer-Verlag 1990の中で、吉村裕之先生がClinical Patho-Parasitology of Extra-Gastrointestinal Anisakiasisという章で各1例記載しておられます。_x000b_患者さんは妊娠中ということですが、 アニサキス、イカの精莢、ニベリン条虫のいずれも基本的には粘膜に留まっていますので、胎児への影響はないと考えてよいでしょう。アニサキスが腹腔から子宮筋層に刺入したという症例報告が1例あったと思いますが、そのようなことがおこる確率はゼロに近いと思います。特に、回答2で指摘しておられるように、口腔粘膜への刺入・摘出から1週間経過しており、その間特に症状がなければ、まず消化管外への迷入はないでしょう。2/18/2000その他
62広節裂頭条虫私は医療従事者であるとともに一患者です。_x000b_先日排便時に寄生虫と思われるものが自然排出されたため、内科を受診し検便をしたところ、広節裂頭条虫卵が検出されました。_x000b_その内科医は、広節裂頭条虫について知らなかったようでその場でいろいろと調べ薬剤師などに相談した結果、コンバントリン5錠を処方してくださいました。_x000b_ちょっと不安になり分かる範囲で調べたとところこの治療がベストかどうか確認できませんでした。_x000b_本当にコンバントリンで広節裂頭条虫は駆除できるのでしょうか?_x000b_もし不可能なら何がベストなのでしょうか?_x000b_よろしくお願いします。本件の質問ですが、ホームページに掲載されている「寄生虫症薬物治療の手引」を見るようにコメントしてはいかがでしょうか。_x000b_蛇足ですが、コンバントリンは線虫の治療薬です。3/5/2000条虫広節裂頭条虫
63赤痢アメーバ当科にアメーバ赤痢の患者が入院中であります。二週間前に下血を主訴に当科の関連病院に来院、大腸内視鏡を施行され、潰瘍性大腸炎と当初は診断されました。しかし、生検でアメーバ+であり、当院感染病棟へ転院となりました。フラジールの投与を開始し、当院での便検査上、現時点では鏡検および培養でアメーバを認めておりません。当科転科後に施行した大腸内視鏡上、所見は改善傾向にあり、生検でもアメーバは出ませんでした。現在は一般病棟の個室へ転室してもらっておりますが、用便は個室内で行ってもらっております。お伺いしたいのは、今の状態で大部屋への移動および共同トイレの使用は許可してもかまわないかということです。アドバイスいただければ幸いです。回答1_x000b_ この問題に関する法的規制はどのようになっているのか、以前から疑問を持っておりました。どなたか適切なアドバイスを期待しております。_x000b_ 今回の感染症新法の消毒を見ておりますと、いわゆる第4類の疾患に関しての消毒法は詳細には書かれておりません。手元にある厚生省保健医療局結核感染症課監修の消毒と滅菌のガイドラインにも、原虫としてはクリプトスポリジュウムが書かれているのみです。その内容の項目の患者への対応では、排泄物の確実な処置を行うとし、便器をフラッシングディスインフェクター処理とのみ記載されております。また、医療従事者への注意として、オーシストは、手洗いや器具の消毒に使用されるグルタラールを含めた通常の濃度の消毒薬では死滅せず、病院感染を起こす可能性もある。と書かれております。そして、感染予防法として、手荒い及び手指消毒を徹底すると書かれております。が、具体的な対応策となると、これではちょっと困るのではと思っております。_x000b_ そこで私なりに今回の症例について考えたのですが、原虫が排泄されている期間は、当然のこととしてポータブルトイレを使用し、排泄物を薬剤処理または加熱処理することになると思います。そして、希釈クレゾール液などにより使用便器の清拭と手洗いを行うことで良いと思います。治療後、原虫の排泄がなくなった場合には、正常の生活に戻して良いのではないでしょうか。もしも、心配(多分、心配でしょう)であれば、患者本人に手洗いの励行(消毒薬を使用)と、使用後の便器の便座をクレゾール液などで清拭することにすればよいのではないでしょうか。_x000b_主治医への質問なのですが、使用された内視鏡の消毒はどの様にされたのでしょうか。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_1.大部屋への移動は可能です。_x000b_2.共同トイレの使用も問題はありません。_x000b__x000b_通常の生活では赤痢アメーバは他人へ感染しません。まして、内視鏡で改善傾向にあり、生検で赤痢アメーバが検出されず、フラジール投与中であればなおさらです。_x000b__x000b_私の外来では、最初から入院せずに通常の生活を送っているアメーバ赤痢の通院患者さんもいらっしゃいます。_x000b__x000b_アメーバ赤痢であっても特別な内視鏡の消毒は不要です。当院では他の感染症と同様にサイデックスを使用しております。_x000b__x000b_HIV、TPHA、HBはどうだったのでしょう。アメーバ赤痢患者では陽性の割合が高いです。_x000b__x000b_追伸:4類感染症の全数報告を必要とする疾患ですので、保健所への届け出は必要です。_x000b_3/6/2000原虫赤痢アメーバ
64有鉤条虫の疑い、広節裂頭条虫有鈎条虫の一部が排便時に肛門から出てきた患者さんですが,頭がなく長さもせいぜい20cmくらいです。おそらく体内に残っているような気がします。なお、この有鈎条虫の診断は当院委託の検査会社で染色?で診断をつけてもらいました。治療指針を見てみると有鈎条虫の場合はビルトリシドでは嚢尾虫症を起こす可能性があるから使用は禁忌となっているようで、ガストログラフィン法の使用が勧められておりますが実際にビルトリシドの投薬は危険なんでしょうか?_x000b_また,このような場合はどこに紹介をすればいいのでしょうか?_x000b_以上申し訳ありませんがよろしくコンサルトのほどお願いします。回答_x000b_ 条虫の片節が排出され、検査会社で有鉤条虫と診断されました由、大変興味を持っております。_x000b_ 国内で最も多く検出される条虫は「広節裂頭条虫 (最近は日本海裂頭条虫と呼ばれる)」であり、次に多いのが「無鉤条虫」です。有鉤条虫の成虫寄生例は非常に珍しいものです。_x000b_ お問い合わせに、「長さもせいぜい20cmくらい」と記載されておりますが、無鉤条虫や有鉤条虫が肛門から自然排出される場合、片節が 20cm も連なって出ることは殆どありません。裂頭条虫の場合は普通ですが・・・。_x000b_ また、無鉤条虫と有鉤条虫を片節で鑑別するには、かなりの熟練を要します。_x000b_ もし、虫体の標本を見せていただけるのであれば、虫種を確認させていただきます。_x000b_ その上で駆虫方法をご相談いたしましょう。_x000b__x000b__x000b_回答者からの経過報告およびコメント_x000b_ 本日(22日)、検査会社から回収した虫体を持って相談者が来室しました。虫体はホルマリン固定したもので、長さ約10cm、幅5~6mm。各片節の中央部には暗褐色花紋状の子宮が見られ、やはり裂頭条虫でした。_x000b_(実際に排虫されたのは約1mで、病院に患者が持参したのが20cm 程度とのことです)_x000b__x000b_私には Diphyllobothlium 属であることは判っても、種の同定はできません。何しろ、加茂先生の著書「裂頭条虫の同定のためのハンドブック」には Diphyllobothlium 属に37種も挙げられているのですから。「日本海裂頭条虫」と言ってよいかどうかも判りません。ただ、子宮から採取した虫卵の形態で、マンソン裂頭条虫でないことは確かです。_x000b__x000b_以上のように、この検査会社(名前の通った大手の臨床検査専門の会社です)ではこのような簡単な鑑別すらできず、間違った答を平気で医師に返すのですから、重大、深刻かつ由々しき問題です。_x000b__x000b_同様の間違いは赤痢アメーバやジアルジアなど原虫類の診断にもしばしば見られます。_x000b_例えば、検査会社でアメーバ赤痢と診断(生検材料の病理切片で栄養型を検出)され、それを信じて通常の治療(メトロニダゾールの投薬)を行なっている医師から、「何クール投薬をしても潰瘍が改善しない。難治性だ。どうしたらよいか」との相談を受け、その標本を当方で鏡検しても、新たに採取した血便などを検査しても虫体は検出されず、血清抗体も陰性といったケース。すなわち、誤診です。_x000b__x000b_医師から治療法に関する Consultation の依頼があった場合、安易に治療法を指示することは危険です。今回の場合は、相談内容の記載を寄生虫学関係者が読めば、最初から簡単に間違いを予測できるからよいのですが、そうでない場合が多々あります。_x000b_検体を取寄せ、診断を自分で確認してから指示することが肝要であると考えます。_x000b_以上_x000b__x000b_3/16/2000条虫有鉤条虫
65Cuterebrinae、Rickettsia rickettsii、Ehrlichiia canis私はアメリカの大学の獣医神経科で働いている獣医師です。以下に二つ質問をさせていただきます。どうかご教授ください。1.現在ネコの大脳梗塞の原因として、Oestridae科のCuterebrinaeの脳内迷入をあげる論文があるのですが、日本にはこの寄生虫自体は存在しますか? この論文では、Cuterebraの存在しない国ではネコの大脳梗塞の報告もないと主張しているのですが、私個人の記憶では日本国内の学会誌の中でネコの大脳梗塞の報告はあったように思うのです。もしこの寄生虫が日本に存在しないのなら彼らの主張は覆される可能性もあるわけで、どうかぜひ教えてください。2.Rickettsia rickettsii もしくは、Ehrlichiia canis の日本国内での感染例は、人間、動物種を問わずありますか?_x000b_回答1_x000b_  問2へのコメントです。_x000b_ Rickettsia rickettsiはアメリカ紅斑熱(ロッキー山紅斑熱)病原体で、アメリカ大陸だけに分布しますので、日本では自然感染はあり得ません(別の地域からの輸入例はありますが、アメリカの本菌種によるものは、古く実験室内感染による死亡例を除き通常の輸入例の記録は聞きません)。ただ、近年、日本にはR.japonicaの存在が明らかにされて患者発生は続いてますから、紅斑熱があるかないかというご質問なら、あると申すべきでしょうか。_x000b_ Ehrlichia canisとしてよいような菌株は、近年分離されてますが、人体感染例は、それが疑われるような例も言われつつあるものの、未だ確定ではありません(いずれにしましても、明確でかつ頻繁な発生はないとは言えます)。人に近く住む動物の場合の感染も聞かないのですが、これはよく分かりません。別種Ehrichiaも野鼠やマダニから分離されてますが、病原性は不明です。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ お問い合わせの疾病ですが、下記の小生のお粗末な文献ファイルのコピーでもお分かりのように、昨年の全米獣医学会でもこれに関する講演を聞き、注意してはいるのですが、今の所総合診療科で診た症例の中には見あたらないと思います。 本学の病院全体となると、―中略―よく分かりません。_x000b__x000b_以上、取り急ぎご返事まで。_x000b__x000b_99.8.2     CAT-NEUROLOGY_x000b_K. D. Inzana_x000b_ Feline neuroogy I. Head signs Encephaopathies,vestibular disorders, and seizures in cats   _x000b_Convention Notes and AT's memo, 136th AVMA, New Orleans    1999_x000b__x000b_Topics;_x000b_★猫の神経病 (5/ 7) ◎Feline ischemic encephalopathy(FIE)ねこ虚血性脳症_x000b_ _x000b_★てんかん _x000b_★猫 ★発作 ★脳神経症状 ★脳梗塞 _x000b__x000b_Abstracts;_x000b_§ねこ虚血性脳症;Feline Ischemic Encephalopathy(FIE)_x000b_ ◎病態;大脳、小脳、脳幹への血管の梗塞(1本、希に複数あり)。_x000b_ ◎原因;不明。 最近、Cuterebra(ウマバエの一属)の迷入を原因とする報告あり。_x000b_ ◎症状;発病部と関連した神経症状、夏期の発病が多い、急性で非進行性。_x000b_ ◎診断;進行性の神経疾患の除外。CT,MTIで限局性病変の発見の可能性。_x000b_ ◎治療;抗痙攣薬;痙攣あれば投薬。_x000b_     ○ステロイド;ヒトで罹患率上昇の報告もあり、論議の余地あり。_x000b_     ○イベルメクチン;400 microgram/kg, s.c._x000b_       をジフェニルヒダントイン4mg/kg i.m. かデキサメサゾン0.1mg/kg i.v.を_x000b_       死亡子虫によるアレルギー防止の目的で併用する。3/27/2000その他
66コウガイビル私は東京・新宿の動物開業獣医師です。_x000b__x000b_実は添付画像のような虫体をお客さんから届けられ,一体,どんな虫なのかと問われましたが,今まで見た事の無い虫体で,答えられずに困って,寄生虫の専門家をネットで探しましたら最初に目に入ったのがソチラ様だったのでメールさせて頂きました。_x000b_最初,縮んだり伸びたりと15cmくらい,クネクネと這って移動し,頭部が現れてフタこぶに膨れエイリヤンみたいになり,虫体には筋が現れ,蛭かそれに関係のある種類ではないかと思いましたが“人体の寄生虫ではないか”とも考えられましたので,専門の先生方にお尋ねしてハッキリするのが一番と考えて,画像を送り,同定をお願いすることに致しました。_x000b__x000b_家族構成は 痴呆症の親御さんを抱える40代の子供夫婦の三人住まい,発見場所は,風呂場の水槽の排水口で お湯を抜いた直後に発見,それを持ってきたものです。_x000b_はじめ犬か猫の寄生虫ではないかと思ったのですが,数年前に犬が死亡して以来 動物は飼っていないとのこと,ひょっとしたら人体の寄生虫ではないかと大変心配に考えられましたので,ご相談いたしました。ご指導をお願いいたします。_x000b_虫体は本人がそのまま保存しています。ヨロシク御回答お願いいたします。_x000b_回答1_x000b_ コウガイビルの一種(おそらくオオミスジコウガイビル)です。寄生虫ではありません。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 画像を拝見したところ、コウガイビル(笄蛭)の一種と思われます。毎年1件ほど学外 から本蛭の問い合わせを受けます。寄生虫ではありませんが、日本獣医師会誌27、 321―323(1974)に犬の糞便中に発見されたコウガイビルについての報告があります 。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 写真を見ました。昨年も、同様の質問があったのを思い出し、やはり、動物の社会も春になってきたのだと思いました。虫体は扁形動物門のミスジコウガイビルでしょう。_x000b_ どのような家屋かはわかりませんが、庭があれば、そこらあたりに居たものが、入ってきたのではないでしょうか。人体や動物に寄生する物ではありませんで、自然界に生息し、湿度の高い土を好むようです。これからは、雨上がりには良く見かけられるでしょう。大きくなると、体長が1メートルを超える物の見られます。_x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_ ミスジコウガイビルという和名は使わないほうが良いそうです.東京のものはオオミスジコウガイビルと呼ばれていて,実際,四国のものよりかなり大型のようです(川勝,「遺伝」1983年9月号,p. 52-61)._x000b__x000b_ コウガイビルはカタツムリ等を捕食するので,広東住血線虫のコントロールに利用しようという研究があったようです.一方,食べられた線虫がコウガイビルの体内で生存するため,コウガイビルが同線虫の延長中間宿主的な役割を果たしているという報告もあります(Ash, L.R. 1976. Rev. Biol. Trop., 24: 163-174)._x000b__x000b_ 古い資料ばかりですみません._x000b__x000b__x000b_以前の回答の再転送_x000b_ 記の生物は、扁形動物門、渦虫綱、こうがいびる科に属するオオミスジコウガイビルだと思います。_x000b_この渦虫の頭部は扇のようにひろがり、昔の女性が髪に使用した、笄(コウガイ)の形をしているのでつけられた名前ですが、ヒルではありません。100?cm以上にもなります。頭部には口はなく、体前端から1/4くらい後の腹側に咽頭があります。体は粘液に富み、切れやすく、切れたら頭が再生します。_x000b__x000b_通常は庭のジメジメした所や側溝などにいて、梅雨どきに人目に触れるようです。風呂場やトイレにも出没するようです。_x000b__x000b_目黒寄生虫館ではこの虫の問い合わせが多いことと、扁形動物であることなどで、展示室で飼育して一般に公開しております。_x000b_ミミズを食べさせております。_x000b_4/11/2000衛生動物オオミスジコウガイビル
67サナダムシ最近さなだ虫をお腹で飼っていると、花粉症やアトピー性皮膚炎によく肌がきれいになる、しかもダイエットにも効果があるという話を耳にします。_x000b_さなだ虫という寄生虫は人間の体内に入って回虫のように様々な害を起こさないものなのでしょうか?ご教示下さい。自分自身で感染実験を行っておりませんので、詳細はわかりません。しかし、ある先生方は、数回にわたり実験をされております。その結果では、どうも虫にも選択性があるようで、成虫にならずに自然排虫される場合もあるようです。_x000b_また、自覚症状ですが、かなり強い下痢症状に悩む場合もあるようです。また、腹部症状や違和感で、神経的にもまいって駆虫したと聞いております。ですから、全く無症状とは言えず、また精神的な強靱さも必要になってくるのではと思います。さらに、これにより、アレルギー性疾患の改善につながったと言う話は、経験した症例からはありません。また、ダイエットに有効とのことですが、この条虫の栄養摂取量がダイエットにつながるほど強力なものとは考えられず、私自身はこのような治療は行っておりません。4/25/2000条虫
68好酸球性肺炎患者は6歳の女児。熱発、咳を主訴に来院、胸部レントゲンにて右下肺野に陰影を認め、CRPも4.9と高値のため、細菌性肺炎として入院となりました。パンスポリン静注、エリスロシン内服にてCRPは順調に低下し、解熱傾向もありますが、入院後全身に淡い紅斑様の皮疹が出現しており、また入院時の白血球分類にて好酸球高値(16%)となっています。教科書的には、かい虫症(ascariasis)にて幼虫が肺に侵入する時期にpulmonary infiltration with eosinophilia(PIE症候群)の病態を示すこともある、と書かれていました.何か現時点で寄生虫症を疑って検索しておいたほうが良いことがありましたらご教授下さい.よろしくお願いします。小児で好酸球性肺炎ということですと、ヒト回虫幼虫の肺侵入期のPIE症候群よりも、動物由来の回虫(イヌ、ネコ、ブタなど)による幼虫移行症の可能性のほうが高いと思われます。しかしながら、パンスポリン静注、エリスロシン内服によく反応しているようですので、寄生虫症を考えるよりも、drug allergyなどを考慮したほうが良いかもしれません。いずれにせよ、原因不明の寄生虫症の検索、あるいは除外診断が必要ということでしたら、(株)SRLでmultiple-dot ELISAでのスクリーニングが可能です。5/16/2000その他
69日本住血吸虫症直腸癌で手術をした患者さんの事で質問します。切除した直腸内に日本住血吸虫の虫卵が検出されました。所属リンパ節内からも虫卵が検出されました。現在、手術後二週間が経ちますが、術後経過は良好です。患者さんは、人工肛門を造設しております。今後の治療及び糞便の取扱いにつき、御教示をよろしくお願いします。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_ 色々な貴重な御教示ありがとうございました。_x000b_ 患者さんは、65才女性で、山梨県の出身でした。_x000b_ 海外の渡航歴は無いとの事でした。_x000b_ 初めての症例で、直腸壁内に余りにもたくさんの虫卵を認め、またリンパ節内にも虫卵を認めた為、内科の成書を読み、虫卵を確認したら治療をすると解釈してしまった為に質問させていただきました。_x000b_ 便検査をしましたが、御指摘通り虫卵は認めませんでした。_x000b_ 御意見をいただく前に、ブラジカンテルを二日間使用しました。_x000b_ 御意見からして無効であったと思いますが、患者さんは術後からの身体の所々の痒みが治まったと言われました。_x000b_ 患者さんへは、御教示通り心配ない事を説明し、納得されました。_x000b_ 不勉強な上、急な質問に対し、親切にまた分かりやすく説明していただきありがとうございました。また、なにかの折にはよろしくお願い致します。回答1_x000b_ 以下の質問内容で、幾つかの情報が必要に思います。_x000b__x000b_ まず、この先生は虫卵から他人への感染を考えているようですが、伝播には中間宿主貝の存在が必要で、日本にはまずおりませんので、気になさる必要はないでしょう。_x000b__x000b_ 患者さんに付いて。年令、感染の場所、感染の新旧の推定が必要と思います。国外での新しい感染なら、強力な治療を必要とします。感染の新旧は抗体の力価でも見当がつきます。_x000b__x000b_ 感染場所について、日本の旧流行地のほかに、中国、フィリピン、マンソン住血吸虫を疑えば、中南米、カリブ海、アフリカも考慮する必要があります。_x000b__x000b_ やや突飛な疑いですが、古い腸管住血吸虫症の繊維化、狭窄で直腸癌と間違えていませんでしょうか。アメーバー症を直腸癌と間違えた例もありますので。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 直腸癌ということからしますと,年齢が65歳以上ではないかと思います。_x000b_日本国内で日本住血吸虫に新しく感染することは先ず考えられません。_x000b_過去に居住したことのある場所がかつての浸淫地であり,そこで感染の機会があって卵殻がご質問のような部位に残存していて手術後に検出されるという例がよくあります。_x000b_便には虫卵が出ていないと思いますし,見出された虫卵中に生きたミラシジウムがいるとも考えにくいのです。_x000b_それとも日本国外の浸淫地にゆき,水に素肌が触れるような機会があったのでしょうか。_x000b_日本住血吸虫の場合,卵が感染型ではありません。ミヤイリガイのなかでセルカリアに発育しないと感染できないのです。たとえ糞便に虫卵が出ていても,便から直接感染が起こらないので,病院であれば便は水洗処理で良いと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 最近良く似た症例を数例経験しております。いずれも、幼少時に甲府盆地や筑後川流域での居住歴がある患者さんで手術摘出標本内に偶然日本住血吸虫卵が発見されたものです。今回の症例につき、年齢や居住歴、海外渡航歴などが判りませんので、断定はできませんが、おそらくそのような症例の可能性が高いのではないかと思います。_x000b__x000b_かつての流行地での居住歴があり、手術標本内に日本住血吸虫の 虫卵が検出された場合には、虫卵は全て死滅、大部分は石灰化していますので、治療の対象になりません。_x000b__x000b_最近海外の流行地に旅行して感染したという場合にはプラジカンテル内服治療の適応になります。_x000b__x000b_いずれの場合にも糞便からヒトへの直接感染はありませんし、仮に新鮮な虫卵であっても、近代的な下水処理システムのなかでは虫卵は死滅しますので、患者さんの糞便について、特別な取扱いは必要ないと思います。_x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_ 患者さんの年齢と出身地が書かれておりませんので、どこで感染したのかが決めかねます。愛知県と言うことからすると、静岡県の出身者であれば、沼津地方での感染が考えられます。また、山梨県の甲府盆地も可能性としてはあるかも知れません。これらと関係ないとすると、国外での感染が疑われます。70歳代であれば戦争中に中国に行き感染したことも考えられます。もしも、上記の何れかに関係があるとすると、治療の対象にはならないものと考えられます。虫体が何年間生存するかは不確実な点もありますが、大方の意見は5または6年程度と見なされているようです。ですから長くても10年として良いのではないでしょうか。従って、感染地と感染時期が特定できるのであれば、それに基づいて対応されればよいのではないでしょうか。また、感染時期が特定できないのであれば、組織標本に寄らざるを得ないでしょう。もしも、虫卵内のミラシジュウムがちゃんとした形態を保ち、分泌腺がヘマトキシリンエオジン染色でピンク色に濃染しているのであれば、虫卵は生きている可能性はあります。但し、これから判断することは非常に難しいと思います。以前30年近く前に感染したと思われる症例で、比較的ミラシジュウムの構造が保たれているのを経験したことがあります。_x000b_糞便の取り扱いについてですが、たとえ新鮮虫卵であったとしても、住血吸虫は中間宿主(ミヤイリガイ)を必要としますので、他人に感染する危険性は全くありません。_x000b_従って、トイレなどで、特別な対応は必要ありません。_x000b_蛇足ですが、山梨県にいるときに、多くの大腸癌を見ました。詳細に因果関係について証明することは難しいのですが、感覚的には以前より発癌に関与するのではと思っております。_x000b__x000b__x000b_追加報告に対するコメント_x000b_ 住血吸虫の患者さんの件は解決されて結構でした。_x000b_ 山梨の最後の新感染者は1970年ですので30年前です。_x000b_この患者さんの35の年令です。疑わしき場合は1クールの治療をする方が安全ですので、古い症例への治療が必ずしも間違えとは言えないと思います。5/24/2000吸虫日本住血吸虫
70ハダニアカダニが発生して困っています。_x000b_駆除方法、寄生する場所、人体への影響につき お教えください_x000b__x000b_依頼者からの追加情報_x000b_ 菊につく害虫で今年のように高温乾燥期に発生するとのことですが駆除方法の記載はありましたが 人に対して有害かどうかの記載がありません この点についてお教えいただければ幸いです キクに発生しているのであればハダニの仲間でしょう。「赤ダニ」が体色を意味するとすれば、キクビラハダニとチャノヒメハダニ、カンザワハダニが考えられます。_x000b_ハダニであれば、寄生部位は葉です。人体には影響を与えません。防除薬剤は種々ありますので、ホームセンターで購入して下さい。こんなところでいかがでしょうか。5/25/2000衛生動物ハダニ
71サナダムシさなだ虫感染症の方の治療についてご相談申し上げます。_x000b__x000b_ 処方(1)プラジカンテルのプランで施行したいと思っております。副作用・有効率等は、いかがでしょうか。_x000b_ 感染経路については、時々鮭・マス等の生食がありますのでこれが原因ではないかと考えていますが、家族に対する糞便等の検査は必要でしょうか。_x000b__x000b_もう一件ご相談申し上げます。_x000b_今回腸管条虫症として治療を考えていますが、もし有こう条虫症の場合駆虫薬は、禁忌になっていますが有こう条虫症と他の腸管条虫症とは、どのような方法で鑑別が可能でしょうか。まず、ホームページ内の「学術・教育」寄生虫症薬物治療の手引きをご覧ください。_x000b_その上でご不明な点がありましたら、再度ご質問ください。6/5/2000条虫裂頭条虫
72住肉胞子虫栃木県にて牛・犬・猫を主に診療していますが、最近アルパカ(南米産)牧場の診療を依頼されています。アルパカは昨年末に導入されました。近隣は牛牧場が多く、アルパカ牧場地も以前は牛牧場の跡地でした。_x000b_何頭かが突然起立不能となったり、中には死亡するものもあります。うち1頭を剖検したところ筋肉内より、住肉胞子虫が見つかりました。症状等より本症が疑われますが、有効と思える治療法および対策を教えていただければ、幸いです。新版獣医臨床寄生虫学 1995初版(文永堂出版)によると、以下のようになっています。_x000b__x000b_牛にはSarcocystis cruzi, S. hirsuta, S. hominisの3種が寄生する。_x000b_そのうち、S. cruziが最も病原性が強い。_x000b_症状;S. cruzi感染のシゾント期に症状が認められる。症状は40-42Cの発熱、元気喪失、食欲減退、衰弱、貧血、呼吸困難、下痢、泌乳量の減少、脱毛、流産などである。重篤な感染では斃死が見られる。また新生子牛の斃死も知られている。_x000b_診断;病理組織標本を用いた斃死牛または流産胎児からのシゾントおよび幼若シストの検出が最も確実である。シゾントは毛細血管の発達した臓器で検出しやすく、とくに腎臓の糸球体では検出が容易である。_x000b_治療・予防;アンプロリウム(100mg/kg)の投与が急性症の発症および斃死を防ぐ。発症のあった牛舎の同居牛へ予防的に投与することが効果的である。シストに有効な薬剤はない。予防として、感染源を排泄する犬と牛を隔離すること、犬に生の牛肉を与えないことが重要である。_x000b__x000b_手元にある情報ではこんなところです。6/15/2000原虫住肉胞子虫
73疥癬病院内で疥癬が出ました。_x000b_現在患者は個室管理とし、症状が出ている介護人には治療を行っておりますが患者のケア時の注意点等を教えてください。_x000b_清掃の徹底と、ケア後の手洗い程度でよいのでしょうか。_x000b_また患者が大量発生したときはどうすればよいでしょうか。回答1_x000b_ 基本人体寄生虫学より抜粋_x000b__x000b_ 通常の人に感染するダニの数は1,000以下である。ノルウェー疥癬の患者の場合は100万~200万にもなり重大な院内感染源となる。従ってノルウェー疥癬の患者が発生したら以下のように対応する。_x000b__x000b_・患者の隔離。出入りする医療従事者にはビニール製の予防衣を着用。_x000b_・リネンを熱処理する(50℃、10分間)。_x000b_・部屋の中でダニが付着している可能性のある所へ殺ダニ剤散布。_x000b_・医療従事者をオイラックス(市販されている、オイラックスHは、ステロイド剤が入っているために禁忌)などで予防的に治療する。_x000b_・疥癬は、ヒトから離れると2週間以内に死ぬので、消毒困難なものは、しばらく人から離しておく。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 九段坂病院皮膚科の大滝倫子先生が日本衛生動物学会の雑誌(Med. Entomol. Zool. 49:15-26, 1998)に「疥癬の流行」と題する総説を書いております。その中に「感染経路」、「症状」、「ヒゼンダニの検出」、「治療」、「老人施設での対策」、「ノルウエイ疥癬対策」等詳しく書かれております。_x000b_なお質問に、ケアー後の手洗い・・・とありますが、ノルウエイ疥癬の場合、介護者はビニールまたはゴム手袋をはめる事が必須と思います。6/29/2000衛生動物疥癬
74脳膿瘍 ネパールから来ている留学生で、大脳に寄生虫と思われる病変が見出されている方がいらっしゃいます。ネパールではどのような寄生虫が多いのでしょうか?また、その中で、中枢神経に迷入(?)する寄生虫としては、どのようなものを中心に検査すればいいでしょうか?_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加情報_x000b_1)頭部MRI では右頭頂葉に径1cmほどの中心がT2でやや高信号,その周囲がroundにenhanseされ,まわりにedemaを伴っています.もう一ヶ所は左小脳半球に径2cmほどの同様の膿瘍様病変があり,ここはその3-4倍径の範囲にedemaを伴っています. cisticercosisやmalignancyのmetaが考えられる所見ですが,放射線科はcisticercosis的ではないとも言っています._x000b_2)寄生虫という確たる証拠はありません.ただ細菌性膿瘍を思わせるようないわゆる急性期症状がない(痙攣発作で発症し,画像をとったら上記所見が見つかったもので,本人の自覚症状も神経学的所見も正常です.髄液も正常.発熱・全身の炎症所見もありません.29歳の女性で,ネパールから2ヶ月前に来日,ネパール在住中に下痢があり,便から寄生虫(Giardia lamblia)が検出されています.ネパールで同居の姉がcisticercosis?か何かの寄生虫で同様のbrain abscessがあり,やはり痙攣発作がでて治療を受けているそうです.一見健康そうでconpromized hostとは思えません._x000b_3)緊急というほどではありませんが,小脳病変は第4脳室を圧排しており,できればagentを早く決めて治療を始めたいということと,検討会のためということもあります.回答1_x000b_ 画像的にはやはり脳嚢虫症が一番疑われます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_  最近、K先生が、ネパールのカトマンズ東北の山村のサワガニから肺吸虫を発見され、暫定的にスクリャビン肺吸虫と同定されました。近々、その論文がParasit. Int.にも掲載されると聞いております。_x000b_ また、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、ネパールでは、1965年に当時大学を辞めてネパール住民のためにと医療活動に献身されていたI先生が、タンセン地区において血痰を出す患者178名中17名(9.6%)に肺吸虫卵を証明され報告されています。しかし、この際虫体を見出されることのないまま、今回のK先生の肺吸虫発見まで35年間ブランクの状態が続いていました。私共肺吸虫を手がけてきた人間には、この国のあちことに分布しているはずと思っていましたが、今回の症例を聞き及ぶに至り、素人判断ではありますが、もしかすると肺吸虫かななどと思っておりました。古い資料からですが、ネパールでは宗教的な意味から動物(カニも含めて)の肉はあまり食べないと聞いていますが、ある部族の人達はサワガニを食するようにも聞いております。_x000b_ 長々と書きましたが、要は一応肺吸虫という線からも当たって見ていただきたいということです。6/30/2000条虫嚢虫
75異形吸虫エジプトで異型吸虫類に感染する日本人が近年増加しています。異型吸虫類の中には、虫卵が血管内に侵入して栓塞症状をおこす種類があるとの報告があります。そこで、エジプトで流行している異型吸虫類について栓塞症状をおこす可能性があるかご存じの方がいましたら、教えてください。また可能性があれば虫卵陽性者については全員駆虫を奨めるべきかもご意見を頂ければ幸いです。_x000b__x000b__x000b_回答1に対する追加情報_x000b_1)異形吸虫は、シーボルト異形吸虫のことでしょうか?_x000b_  虫卵を検出して診断しているので、異型吸虫類としか言えませんが、疫学的にエジプトで感染したならシーボルト異形吸虫(Heterophyes heterophyes)と考えるべきでしょうか。この点を教えていただければと存じます。_x000b_2)感染源は、海産魚類なのでしょうか?また、どのような料理を食べているのでしょうか。刺身ですか?_x000b_  感染源の特定は不明です。しかし当地ではボラからカラスミを作り日本人もよく食べるそうです。_x000b_3)診断は、糞便検査で確認されたのでしょうか?、また自覚症状があるのでしょうか?虫卵の排泄は持続して起きているのでしょうか?_x000b_  糞便検査で確認されています。下痢などの自覚症状を持つ方もいるようです。また虫卵の排泄が持続している方もいます。_x000b_回答1_x000b_1)異形吸虫は、シーボルト異形吸虫のことでしょうか?_x000b_2)感染源は、海産魚類なのでしょうか?また、どのような料理を食べているのでしょうか。刺身ですか?_x000b_3)診断は、糞便検査で確認されたのでしょうか?、また自覚症状があるのでしょうか?虫卵の排泄は持続して起きているのでしょうか?_x000b_経験はないのですが、教科書的にはシーボルト異形吸虫は、確かに血管内に塞栓を起こすことがあり、死亡する例もあると書かれております。もしも、虫卵が持続的に排泄されているのであれば、治療をした方がよいのではないでしょうか。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ ボラはシーボルト異形吸虫にとって第2中間宿主です。_x000b_本件についてはかなり有望な感染源と考えるべきでしょう。_x000b_7/6/2000吸虫異型吸虫
76糞線虫糞線虫についてご相談申し上げます。_x000b__x000b_77歳男性、重症心筋梗塞・心不全で軽快中です。中心静脈栄養から経管栄養に変えてしばらくたったところで、糞便中より多くの糞線虫(幼虫・成虫)が発見されました。好酸球は中心静脈栄養の時には実数で10-20でしたが、経管栄養後に500前後に上昇し今はまた100-200になっています。また吸収不良を疑わせる所見もあります。_x000b_この方は沖縄の人ではありませんが、太平洋戦争中にジャワ・スマトラなどを転戦していたとのことでした。_x000b_現在院内にはミンテゾールがありませんので、メベンダゾールで開始する予定です。_x000b_そこでご相談は、このような方がいる場合に、一般病棟での二次感染の予防や院内感染を防ぐための基本方針はどのようなものでしょうか?_x000b__x000b_現在は糞便・尿の処理の場合に医療者が手袋を着用することとしておりますが、それ以外の消毒・処置などありましたら、どうぞご教示ください。患者住所が判りませんから、断定はできませんが、典型的な「戦争糞線虫症」と思われます。_x000b_ 治療について_x000b_ 患者さんの状態と副作用から考えて、また、治療効果から考えて、このような症例ではベンズイミダゾール系の駆虫薬を用いるよりも、イベルメクチン内服の方が良いと思います。_x000b__x000b_ 院内感染予防について_x000b_ 糞線虫症はヒトからヒトへ直接感染する疾患ではありませんので、いわゆる院内感染対策の対象疾患ではなく、隔離や消毒などの特別な対策は必要ありません。一般に糞便に出てくるのは第1期幼虫で、これ自体はヒトへの感染性はありません。重症例では稀に糞便や喀痰に第3期幼虫が出ることがあり、これが皮膚に接触すると感染することがあります。患者さんの排泄物(便、喀痰)に直接触れる機会のある医師、看護婦、検査技師、介護者などが手袋を着用されるだけで安全対策としては充分だと思います。 大学病院ということですので、下水処理なども完備しているはずですから、患者さんの排泄物は直接トイレに流しても問題ありません。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 糞線虫疑いの症例と名和先生のご意見を拝見しました。私は糞線虫(幼虫、成虫)という記載で、成虫と書いてある所で、やや疑問を感じております。_x000b_ 普通の検査者が「幼虫と成虫」を、特に成虫を多数検出する場合は、桿線虫(Rhabditis 属、土壌線虫)寄生の事が多く、もし、若者なら、症状も軽く、軽い下痢くらいです。高齢者で弱い方には有症であっても不思議ありません。_x000b_ 桿線虫寄生でも治療法は同じですので、ホルマリン液に便の標本を取っておき、回答1でご推薦の治療をされるのが良いと思います。治療後でも鑑別の出来る方に標本を見てもらって確認されることをお薦め致します。7/10/2000線虫糞線虫
77蟯虫症蟯虫症のことで質問させていただきます。_x000b_当科のICUに入院中の患者の便中より蟯虫が多数検出されました。治療にはコンバントリンを使用しておりますが、意識がないため尿便の処理は看護婦で行っております。医療従事者と他の患者への感染の可能性はいかがでしょうか。もしあるとすればどのような対策を取ればよろしいでしょうか。_x000b_御教授よろしくお願いいたします。 ご存知のように蟯虫の伝播は肛門周囲に産み付けられた虫卵を、他のヒトが経口的に摂取して感染します。便の中にはほとんど虫卵は含まれません。肛門周囲や下着、さらにもし患者さんが手を肛門周囲に持っていけるので有れば、手を介してさらに、虫卵が拡散されます。患者さんは意識がないようですが、このような手の動きもないのでしたら、患者さんの体、特に肛門周囲を温湯で湿らせたタオルでよくふき取り、このタオル、下着、シーツ等は90℃以上の熱湯に5分間も漬けておけば虫卵は死滅します。7/12/2000線虫蟯虫
78疥癬東京都府中市内、某長期療養型病院の介護員です。_x000b_疥癬にかかっているようなのですが、完治するかどうかがきになってしかたありません。_x000b_手引きにあった薬は処方され、治療を進めているのですが、入院患者の約4割がかかっているのではないかと見られる集団感染で、介護員の私は彼らと接し続けなければなりません。かつ、私も含め、介護スタッフの半数以上がかかっています。_x000b_私自身の現状は、下腹部にそれらしき発疹が5センチ四方にまとまって出ています。今のところはそこだけです。_x000b_ただ、顕微鏡などを使った診断を受けたわけではなく、スタッフ間で「きっと疥癬だから、薬をぬったほうがいいよ」ということで始まっています。私どもの病院には専門医はいません。_x000b__x000b_的確な診断が下せそうな病院施設等をおしえていただきたいのですが、どうか助けてください。回答1_x000b_ 国立感染症研究所昆虫医科学部に相談されるのが、手っ取り早いと思います。_x000b_文献としては、小林先生も推薦しておられた日本衛生動物学会誌(Med. Entomol. Zool. 49: 15-26, 1998)の大滝倫子先生の総説が一番でしょう。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 施設には必ず顧問医師か専属医師がおります。介護者の立場では、介護主任を通して関係医師に状況を訴えるのがよろしいでしょう。経営者は医学的な知識が乏しく、直接訴えにくいと思います。_x000b_ 関連医師から、重い感染者と思われる患者を、皮膚科で診療してもらい、必ず顕微鏡検査によって本当に疥癬であることを確かめる必要があります。その上で全員の治療をすることになります。_x000b_ 今の状況に近い、施設内の多数の人の皮膚掻痒症は入浴で使用している介護用の石鹸類で起こることもあるからです。液体石鹸で、十分洗い落とす必要なしという製品は、介護には便利で利用されますが、これで掻痒症が起こることもあるので、ご留意下さい。7/16/2000衛生動物疥癬
79腟内の線虫様物質寄生虫に関しては全く無知で、通院中の患者さんについて成書を調べても該当するものが無かったので御相談申し上げます。_x000b__x000b_患者は28歳女性、アトピー性皮膚炎の診断で某大学病院皮膚科通院中とのことですが、全身特に外陰・腟の掻痒を訴えて受診。腟分泌物の生理食塩水滴下標本による顕鏡ではカンジダ・トリコモナスなどの一般婦人科感染症は認められませんでしたが、多数の円柱状の断片を伴って線虫様の虫体の構造が観察されました。完全な虫体として観察されたものは、長さ500μm・太さ50μm程度で全長にわたって消化管が明らかです。特徴的なのは先端に2~3の結節が見られること、それに虫体の所々にクビレが見られることです。これに相当する寄生虫が成書でも見当たらなかったこと、検査所に提出した分泌物の(細菌)塗沫検査でそのようなものは見当たらないとの報告でしたので不躾ながらご相談いたします。_x000b__x000b_なお、上記の説明で虫体の特徴を十分表現していないというようでしたら、標本の写真(やや乾燥した標本ですが)と下手なスケッチをお送りします。_x000b__x000b_どういう寄生虫なのかと、今後の検査・最新の治療法をお教えいただければ有難いです。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加情報_x000b_ 皆様方の回答、有難く存じあげます。_x000b__x000b_追加の情報に関しては_x000b__x000b_ 繰り返しの膣洗浄はしていません。_x000b_ ただし、患者さんはタンポンなどの植物性の繊維を腟内に挿入していないとのこと。_x000b__x000b_ 実物が残っているかの問いに関しては生理食塩水の生標本のためものが残っていないという状態です。_x000b__x000b_ それにしても、そもそもできるだけ早く診断をつけて治療を開始したいという意志での緊急の相談というのが多少無理があったのではと今では思い始めました。_x000b_先生方の意見で植物繊維の可能性が高いとのことで、そうかもしれないと思い始めましたが、もう一度じっくりと検査してみようかと思います。_x000b_ その間、ご意見のある先生がありましたら有難く拝聴いたしますが、再検査(糞便・腟分泌物の検査施設への提出)の結果が明らかになりましたら、改めてご報告申し上げます。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_ 以前、寄生虫疾患疑いの患者につきご質問いたしましたものです。ご報告が遅れましたが、回答いたします。_x000b__x000b_該当患者に関し、その後も事ある毎に分泌物検査を施行した結果、以前見られたような線虫様の物質は見られず、矢張り植物繊維であるとの判断で診療を打ち切りました。_x000b__x000b_ご協力いただきました学会会員の皆さんの御厚意に感謝いたします。_x000b__x000b_それにしても、寄生虫病に関する恐怖は前回お受けした回答の内容からも複雑なものであると認識を新たにしました。_x000b__x000b_今後もよろしくお願いいたします。_x000b_回答1_x000b_ 画像を拝見致しました。_x000b_ これは寄生虫ではないように思います。_x000b_理由は:_x000b_1.頭部と尾部の区別が全く見られない_x000b_2.尾端部がテーパーリング(先細り)していない_x000b_3.全体として均等に分節している_x000b_4.全長にわたって中央部に同じ太さの管腔が貫通している_x000b__x000b_おそらく植物線維のようなものではないかと思われます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 不明線虫のスケッチを拝見しました.回答1のご意見のように植物繊維の可能性があると思います._x000b__x000b_ 5年ほど前に,当方に尿中に虫らしきものが見られるということでサンプルが持ち込まれましたことがあります.その時の異物がスケッチとよく似ております.確認のために再度サンプルの採集を病院にお願いしたところ,やはりその異物が認められました.その異物が線虫のようにも見えましたので他大学のH先生に相談いたしました.H先生からは線虫ではないという結論をいただきました.トイレットペーパやティッシュペーパーの繊維が混入したものと考えました.このような紙の繊維がスケッチのように見えることがあります._x000b__x000b__x000b_情報処理広報委員会からの追加情報提供依頼_x000b_ ・線虫様の物は、繰り返し膣洗浄を行っても得られているのか?_x000b_ ・実物は残っているのか?_x000b_などについて、追加の情報をいただけますと、よりハッキリとした回答が得られると思われます。_x000b_8/10/2000その他
80ヒル吸血後の腫瘤 下記の患者について、御意見を伺いたく存じます。疑われる疾患、今後行うべき検査、注意点などを指摘していただければ幸いです。_x000b__x000b_-----------_x000b__x000b_ 15歳男性。川崎病の既往がある。_x000b_ 本年7月30日から8月8日までタイに滞在し、うち8月5日までをジャングルの中で過ごした。ジャングルにてヒルに下腿を数ヶ所吸血され、うち一ヶ所(左足関節内側)が発赤腫脹していた。_x000b_ 帰国後、12日になって左鼠径部の下方5cmに、有痛性の腫瘤が出現し、歩行が困難になったため、13日、当院救急外来を受診。全身状態は良好であった。左鼠径部の腫瘤は、長径3cm前後で圧痛強く、可動性は不良であった。超音波検査にて33mm×8.8mmの周囲との連絡のない空洞がみられ、その中に25mm×4mm×4mmの物体が浮遊していた。血液検査上、CRP 0.27mg/dL, WBC 8,570/uL (Neu 72.2%, Lym 16.9%, Eo 0.7%) と炎症所見はみられなかったが、履歴から熱帯伝染病が疑われたため、当科に入院となった。_x000b_ 入院後、左鼠径部下の腫瘤周囲に発赤が出現し、そこから下降性に、幅5cmの発赤が徐々に広がりはじめ、14日には左足関節内側まで到達した。発赤部には圧痛としびれ感があり、静脈炎またはリンパ管炎を疑われた。同日、左鼠径部の腫瘤は縮小し、翌15日には径1cmの硬結を残すのみとなった。発熱は入院初日に38.6℃の発熱がみられたのみであり、下痢は認められず、便中に虫卵は検出されなかった。_x000b_ 14日、潜伏期間や症候が一致しないものの、フィラリア症が疑われたため、夜間の末梢血厚層標本(2回)を作成したが、虫体は検出されなかった。また腫瘤に対しCT検査を施行されたが、すでに腫瘤が縮小していたこともあり、特記すべき所見はなかった。_x000b_ 血液検査は、14日にCRP 0.64mg/dL, WBC 7,610/uL (Neu 61%, Lym 22%, Eo 1.0%) 、16日にCRP 0.22mg/dL, WBC 6,210/uL (Neu 62.2%, Lym 21.7%, Eo 2.4%)であり、炎症所見と好酸球増加をみたが、著明なものではなかった。_x000b_ 16日、腫瘤はほぼ消失し、左脚の発赤及び疼痛も改善傾向となった。_x000b__x000b_---------------_x000b__x000b_ 16日現在、患者の全身状態は良好で、疼痛も緩和したため、明日一旦退院とする予定です。血清は入院時及び16日のものを保存してあります。_x000b_ どうかよろしくお願いします。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_ 御回答いただいた先生方、またこのconsultationに目を通していただいた諸先生方やシステム管理者の方々、どうも有り難うございました。いただいた回答に対する返答と、現状の報告をさせていただきます。_x000b__x000b_----返答----_x000b_>ヒルに寄生できる寄生虫は何であろうか_x000b_ いろいろ調べてみましたが、ヒルを媒介する寄生虫の情報はありませんでした。_x000b__x000b_>この物体は運動性を持っていたのかどうか_x000b_>他に移動したような所見はなかったのだろうか_x000b_ 触診及びエコー所見上は、運動性はみられませんでした。また現在のところ、他に移動した形跡はありません。_x000b__x000b_>この間にどの様な治療が施されたのか_x000b_ 基本的に輸液のみです。従って、治療による経過の修飾はないと考えます。_x000b__x000b_----現状----_x000b_ 8月16日から3日間、夜間に38℃台の発熱がみられました。咽頭所見は問題ありませんでしたが、血液検査結果は下記のようになりました。_x000b__x000b_ 8/16 CRP 0.22mg/dL, WBC 6,210/uL (Neu 62.2%, Lym 21.7%, Eo 2.4%)_x000b_ 8/19 CRP 0.23mg/dL, WBC 5,170/uL (Neu 40.7%, Lym 34.4%, Eo 1.5%)_x000b__x000b_ CRPが陰性でありリンパ球の増加が認められたため、ウィルス感染によるもの(おそらくは上気道炎)と考えられました。既に発熱は収まっており、初発病変との関連も否定的であることから、21日、退院予定です。_x000b__x000b_ 8月20日現在、新たな腫瘤の形成はなく、初発の左鼠径下部の腫瘤は径5mmの前後の小さな硬結を触れるのみとなりました。またリンパ管炎も軽快し、現在自覚症状はありません。今回の疾病に関しては、現在のとこ_x000b_ろ「ヒル吸血による2次感染またはヒル外分泌液による急性リンパ節炎及びリンパ管炎」と考えております。回答1_x000b_ この症例は、私にとっては難問です。可能性のあるものを列挙して、その後に消去するより方法を知りませんので、羅列してみます。_x000b__x000b_ 15歳男性。川崎病の既往がある。_x000b_ 本年7月30日から8月8日までタイに滞在し、うち8月5日までをジャングルの中で過ごした。ジャングルにてヒルに下腿を数ヶ所吸血され、うち一ヶ所(左足関節内側)が発赤腫脹していた。_x000b__x000b_問題点:ヒルに吸血されたことと、関連性を持たせるかどうか。持たせるとすると、多くは細菌の二次感染である。とすると、ひも状の虫体様のものは説明が付かない。ヒルの口腔内に寄生虫の幼虫が居て、これが吸血時に人の皮下に侵入したとすると、ヒルに寄生できる寄生虫は何であろうか。私は知りません。_x000b__x000b_ 帰国後、12日になって左鼠径部の下方5cmに、有痛性の腫瘤が出現し、歩行が困難になったため、13日、当院救急外来を受診。全身状態は良好であった。左鼠径部の腫瘤は、長径3cm前後で圧痛強く、可動性は不良であった。超音波検査にて33mm×8.8mmの周囲との連絡のない空洞がみられ、その中に25mm×4mm×4mmの物体が浮遊していた_x000b__x000b_問題点:この物体は運動性を持っていたのかどうか。運動性があったとすれば、動物の可能性が多く、幼虫移行症と考えられる。_x000b__x000b_血液検査上、CRP 0.27mg/dL, WBC 8,570/uL (Neu 72.2%, Lym 16.9%, Eo 0.7%) と炎症所見はみられなかったが、履歴から熱帯伝染病が疑われたため、当科に入院となった。_x000b__x000b_問題点:細菌性の2次感染とすると、白血球の増加が少なすぎるし、CRPの上昇も少ない。_x000b__x000b_入院後、左鼠径部下の腫瘤周囲に発赤が出現し、そこから下降性に、幅5cmの発赤が徐々に広がりはじめ、14日には左足関節内側まで到達した。発赤部には圧痛としびれ感があり、静脈炎またはリンパ管炎を疑われた。_x000b__x000b_問題点:指摘のように、リンパ管炎の波及した所見に合致する。この間にどの様な治療が施されたのかが、知りたい。_x000b__x000b_同日、左鼠径部の腫瘤は縮小し、翌15日には径1cmの硬結を残すのみとなった。発熱は入院初日に38.6℃の発熱がみられたのみであり、下痢は認められず、便中に虫卵は検出されなかった。_x000b__x000b_問題点:急速に腫瘤が縮小しているが、他に移動したような所見はなかったのだろうか。もしも、無かったとすれば、リンパ節炎の鎮静化と考えられるか。_x000b__x000b_14日、潜伏期間や症候が一致しないものの、フィラリア症が疑われたため、夜間の末梢血厚層標本(2回)を作成したが、虫体は検出されなかった。また腫瘤に対しCT検査を施行されたが、すでに腫瘤が縮小していたこともあり、特記すべき所見はなかった。_x000b__x000b_問題点:指摘のように、感染してから症状の発症までが早すぎて、これは先ず可能性はないものと思われる。_x000b__x000b_血液検査は、14日にCRP 0.64mg/dL, WBC 7,610/uL (Neu 61%, Lym 22%, Eo 1.0%)、16日にCRP 0.22mg/dL, WBC 6,210/uL (Neu 62.2%, Lym 21.7%, Eo 2.4%)であり、炎症所見と好酸球増加をみたが、著明なものではなかった。_x000b_ 16日、腫瘤はほぼ消失し、左脚の発赤及び疼痛も改善傾向となった。_x000b__x000b_問題点:これをヒルによる吸血と関係ないものとすると、どの様なものが考えられるか。やはり、幼虫移行症が可能性の高いであろう。とすれば、患者はどのような食事を現地で行ったのであろうか。野生動物の肉を生で食べたりしたので有れば、マンソン孤虫症のようなものが上げられるであろう。だとすると、その後に他の部位に皮下腫瘤が出てくる可能性もあるのではないだろうか。時期的に早期のために、好酸球の増多が起きていないと解釈は可能かどうか。_x000b__x000b_検討事項:血清学的に寄生虫抗原に対する抗体の上昇を見てみる。今後の、引き続き症状の発現に注意する。また、幼虫移行症であると、今後抗体の上昇があるかも知れないので、さらに2または3週後に血清を採取し抗体価の変化を調べる。_x000b_結論:疑問点は多くあるが、細菌の2次感染と考えるのが、もっともリーゾナブルと私には思われます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ ヒルに下腿を数ヶ所吸血された部位からの細菌感染、あるいはヒルの外分泌物質による急性リンパ節炎、およびそこから波及した下行性のリンパ管炎で問題ないと思われます。_x000b_ 超音波検査にて左鼠径部の腫瘤には、周囲との連絡のない空洞がみられ、その中に25mm×4mm×4mmの物体が浮遊していた、という点ですが、逆行性リンパ管炎を起すぐらいですので、鼠径部リンパ節で一過性に強いリンパの鬱滞あるいは出血があったと考えられます。そのために辺縁洞が開大して、カプセルと実質の間が開き、物体が浮遊している様な超音波像になったのではないでしょうか。_x000b_ 血液検査上、CRP 0.27mg/dL, WBC 8,570/uL (Neu 72.2%, Lym 16.9%, Eo 0.7%) と炎症所見はみられなかったということですが、局所の炎症のみであれば、この程度の数字は不思議ではありません。抗生剤を使用せずに自然治癒したのであれば、細菌感染ではなく、ヒル由来物質による一過性の炎症反応とも考えられます。それならば、なおさら、血液検査で炎症所見が出ないでしょう。_x000b__x000b_ 寄生虫症の可能性は極めて少ないものと思われますが、どうしても御心配ならば抗寄生虫抗体スクリーニングが可能です。ただし、抗原パネルは主に日本国内で遭遇するものに限られ、熱帯の特殊な寄生虫は含まれておりません。_x000b__x000b__x000b_経過報告に対するコメント_x000b_ 基本的に輸液のみで対処され、抗生剤を使用しておられないにも拘わらず、数日の内に寛解している事から考えて、二次感染よりも、ヒルの外分泌液による急性リンパ節炎及びリンパ管炎と考えるのが妥当かと思います。8/16/2000衛生動物ヒル
81ハリガネムシ寄生虫について質問したいのですが、どこにきけばよいのかわからなくて、このページに辿り着きました。_x000b_ _x000b_本日、帰宅したところ、台所の水道の蛇口から5cmほどの糸のようなものが垂れ下がっていました。_x000b_よくみると、糸状の虫で、水を出したら体長30cm位の肌色っぽい糸状の虫が出てきました。_x000b_ _x000b_水道からこんな虫が出てくることは問題ではないのでしょうか?_x000b_あわててその虫を捕まえてビンに入れましたが、とても元気で激しく動いているので、気持ちが悪くなり漂白剤をビンの中に入れました。 漂白剤を入れてもまだ勢いよく動いていましたが30~40分位で死んでしまったのか、動かなくなりました。_x000b_ _x000b_私はこれが回虫だと思い、水道を使うのが気持ち悪くなり、保健所に電話をかけると、水道局に聞けと言われ、水道局の方に電話をして来てもらいました。_x000b_水道局の方の説明によれば、これは「はりがね虫」というもので、かまきりや、かまどうまに寄生する種類の虫だそうです。沢の水などによくいる虫だそうです。 私の住む市の水は、川や沢の水を使っているので、この虫が消毒工程や、ろ過処理などを十分にしたにもかかわらず何かのまちがいで入り込んでしまったもので、非常に稀な例だと言われました。(数年前に一度同じような例があったそうです。) 水中で卵を産んで繁殖する、ということはないので、もう出ることはないと思います、とおっしゃっていました。 また、人体にはまったく害のない虫で、きれいな水にしか生息できないので、水についてはなんら問題ないので、安心するように、との説明をし、びんに入れて殺した虫を持ち帰ってくれました。_x000b_ _x000b_しかし、はりがね虫、というのも属名っぽく、あの虫の正体はいったい何だったのか、とても気になりますし、このままあの水道を使うのが少し不安です。_x000b_もしよろしければ、はりがね虫、というものについて、詳しく知りたいのですが、正式な学名もわかりません。 もし何かわかりましたら教えていただけないでしょうか。 よろしくお願いいたします。_x000b_回答1_x000b_ 1993年10月に水道の蛇口から大きな虫が出て来たと相談を受けました。この水道水は谷水をタンクにため、消毒して各家庭に配水しているいわば簡易水道のようなものです。持参された虫は生きており体長35センチ、幅約0.8ミリで、ニホンザラハリガネムシ Chordodes japonensis と判断致しました。カマキリに寄生していたハリガネムシが秋になり、カマキリから脱出して水中で生活するために、なんらかの理由で水道水に混入したものと考えられます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ ハリガネムシという名前は俗名のように感じられるかもしれませんが、正式名称です。このハリガネムシについての日本語の本は少なく、以下の単行本がハリガネムシについてやや詳細に書かれています。_x000b__x000b_動物系統分類学 4巻 袋形動物 中山書店 192-220_x000b__x000b_この本は大きな図書館に行くとあるかもしれません。_x000b__x000b_インターネットでハリガネムシで検索しても日本では適当なホームページはないようです。_x000b__x000b_アメリカのyahooでは検索に、Chordodes、Gordiacea, Nematomorpha、horse hair worm, hair worm などのキーワードで検索は可能と思います。9/9/2000衛生動物ハリガネムシ
82ソウメン状の線虫私は4月から長野の山の中で生活を始めました。水は湧き水を自分で引いています。ところが水源の土壌にはソウメン状の線虫がたくさんいて、水取りタンクにはいってきます。極力排除しているのですが、取りきれません。人体に対する影響について教えて下さい。また参考資料や駆除の方法などについて、アドバイス願えれば幸いです。_x000b_回答1_x000b_ 先週三重県内のある役場から似たような相談をうけました。市民が魚の飼育用の水槽を水道水で洗っていたら線虫様の虫をみつけ、水道水から出てきたと役場に届けました。私が見た3匹(市民がみつけたのは全部で3匹)の虫は、活発に延び縮みしますので正確な長さは不明ですが、5mm から1cmで幅は約0.3mm(以下)、少し白っぽくみえて顕微鏡で見ますと体の腹側と背側に剛毛がはえておりました。みずみみず科のミミズと判断いたしました。この種のミミズはいずれもきれいな水の中に住み、時に大量発生をするそうです。種によって長さがちがいますが普通3ミリから12ミリぐらいまであるようです。この例では、コップに水道水をくんだら入っていたというわけではないので、本当に水道水からでてきたのか、使っていた水槽にいて、水道水を入れたときに舞い上がって見えたのか不明です。今回の相談のソウメン状の線虫の大きさが不明ですが、上記の虫を透明容器に入れ、横からみると、大変短いですが、表現としてはソウメン状の線虫になりますので、長さがにておればみずみみず科のミミズと思われます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ ご質問には線虫と書かれていましたが、回答1に書かれているように、ミミズは伸び縮みしますが、線虫は伸び縮みしないのでこれでほぼ区別できます。土壌線虫として以下の回答を書かせていただきます。これらの線虫は自由生活の線虫で、土壌中で増殖し、寄生虫ではありません。_x000b_ 水道水中にもしばしば線虫が混入していることは世界中の水道関係者は良く知っていますが、水道水中の線虫数はあまり多くありません。私の住んでいる北海道の水道水でも時折混入しています。これを飲むことによる健康被害は報告されていないようです。実験的にマウスに経口投与した実験では害は認められなかったようです。もしあったとしたら、日本でも大問題になると思います。しかし、大量の線虫が混入した場合の被害については私は知りません。飲料用以外の水はそのまま使用しても害はないかもしれませんが、飲料用にする場合は、沸かしてのんだほうが良いのかもしれません。もしくはフィルターの使用はどうでしょうか。なお、水道水のための浄水場では迅速濾過などで、凝集・沈殿・砂濾過すると多くの夾雑物は除くことが出来ますが、線虫は泳ぐためか出てくるようです。砂濾過は効果がないように推測できます。_x000b_ 寄生虫学関係者ではなく、水道水の関係者に相談されてはどうでしょうか。_x000b_9/9/2000その他
83糞線虫疑い、線虫類のラブディチス型幼虫 78歳女性。6月に下痢や食思不振を訴え来院。対症的に治療し症状は改善致しましたが、たまたま便を検査したところ、糞線虫が検出されました。(20年ほど前に沖縄旅行したらしい)。_x000b_ その後、再三糞便を調べておりますが、検出されません。文献を見て培養を行ったところ陰性で、寄生虫の抗体価を調べ(SRL)陰性でした。現在この患者さんの問題点は、尿失禁と軽度の痴呆による行動で、消化器症状は殆どありません。_x000b_御相談致したいのは以下の点についてです。_x000b_1)このように一度でも糞線虫を検出した場合、症状が明らかでなくても治療を開始すべきでしょうか?_x000b_2)患者さんは軽度の痴呆のため、糞線虫が検出された検体がご本人のものであったか疑わしい点もあります。あるいは、家畜(犬を飼っている)の糞を患者さんが持参した可能性も考えております。当地(岩手県)で、犬などの家畜から検出される可能性はあるでしょうか?_x000b_3)糞線虫の種類を特定すべきでしょうか?(当院では今回糞便は検査業者に依頼しております、その業者は特定不能とのことでした。)種類を特定することで、今回の検体が家畜の糞便である可能性は否定できるのでしょうか?_x000b_4)痴呆と糞線虫症の関連はないでしょうか?_x000b_5)もし治療を行った場合、その効果の判定はどうすれば良いのでしょうか?_x000b__x000b__x000b_依頼者からの画像送付_x000b_ Consultationに対するお返事をいただき誠にありがとうございます。御専門の先生方の御意見を承り、大変参考になり心強く思われました。また、このようなsystemを運営管理されている皆様に感謝致します。_x000b__x000b_ 今回の患者さんの虫体の写真がありますのでお送りしてみます。あまり良い写真ではないと思いますが参考にしていただければ、と思います。_x000b__x000b__x000b_追加の画像送付_x000b_ ホルマリン固定していたという検体の写真を検査業者の方から受け取りました。_x000b_5枚あり、すべて(88×126mm>の写真をスキャンしたものです。_x000b_スケールはありませんが、倍率が記載されていましたので、そのままここに記載します。_x000b_No1   対物レンズ x10  中間レンズ  x2.5_x000b_No2           x20           x2.5_x000b_No3           x20           x2.5_x000b_No4           x40           x2.5_x000b_No5           x40           x2.5_x000b__x000b_スケールが必要でしょうか?_x000b__x000b_『日本における糞線虫と糞線虫症(九州大学出版)』に載っている写真と少し違うようにも思われますが、いかがなものでしょうか?_x000b__x000b_ ピントが合っていないものもあり、当方のスキャンの方法が不充分なためか、あまり良い画像ではないかもしれませんがお送り致します。_x000b__x000b__x000b_追加画像についての回答をふまえた追加質問_x000b_  先日お送りした写真で、No5が違っていました(No2と同じものを添付しておりました)。_x000b_No5のみ訂正してお送りしてみます。当方の手違いで大変失礼いたしました。_x000b__x000b_ No1~No5までの写真は、同じ個体のものということでした。当初顕鏡したときには虫体は多数認めたとのことですが、ホルマリン固定してあった検体ではやっと1個くらいしか見つからなかったとのことです。また、尾部の長い尾のようなものは、最初の顕鏡では『これほど長いとは感じなかったものの、なにか尻尾のようなものはあった』とのことでした。_x000b__x000b_1)今回患者さんから出たものはヒト糞線虫ではなく、他の線虫であった(可能性が高い)と考え、治療に関しても今回は行わず経過を見ることと致します。_x000b__x000b_2)可能であればこの虫が何なのか知りたいという気持ちはありますが、御示唆いただいたように、形態分類の専門家の先生方に送付して鑑別していただく価値があるものか?(臨床的、学術的にも。また、現在残っているホルマリン固定の標本が残り少なく、充分な固体を取り出せるか不明であることも含め。)_x000b__x000b_ 検体の保存が充分か? ご紹介頂いた先生方に御迷惑をおかけするのではないか? 等々考えております。_x000b__x000b_3)もし検体を同定する意味があり、お願いをする場合、御連絡をどのようにすれば良いのでしょうか?_x000b__x000b_ 再三申し訳ございませんが、2)3)につきまして教えていただければ幸いでございます。_x000b__x000b_ お陰様で、今まで未知であった糞線虫というものが問題となり、今回この患者さんにどのような方針で臨めば良いのか混乱しておりましたが、教えていただき助かりました。_x000b_私のような、何の知識もない者に、いろいろとご教示いただき本当にありがとうございます。改めて感謝申し上げます。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの鑑別結果報告_x000b_ 先日、大分医大のH先生にホルマリン固定をしていた検体をお送りいたしました。その後返事をいただきましたので御報告させていただきます。_x000b__x000b_いろいろとありがとうございました。_x000b__x000b_H先生からの御返事:_x000b__x000b_『お申し越しの,糞便に見られた線虫(観察に耐える虫体は雌雄各2虫のみ)は,これまでの観察の結果,ラブジチス目Rhabditida,科Diplogasteridaeの属Mononchoidesに属するものと思われます._x000b_本属線虫は腐食性の自由生活をしていると考えられ,従って今回の場合は,一過性に寄生したものか,あるいは排便後に混入したものかと存じます._x000b_種まで決定できるかどうかは,この属に関する文献を集めてみないと分かりません.国内で入手できない文献もあります._x000b_このような症例でいつも問題になるのが,真の寄生であったかどうかという点で,もし確実に寄生していたことが証明されれば,寄生虫関係の専門誌に載せることが可能です.(一部省略)』_x000b__x000b_追伸:今回の貴学会へのconsultationの経験を、『水沢医師会報』という当医師会誌に簡単に記載することをお許しください。回答1_x000b_ 1)問題は主治医の指摘しておられる糞便が患者の物かどうかです。_x000b_ 質問2)患者さんは軽度の痴呆のため、糞線虫が検出された検体がご本人のものであったか疑わしい点もあります。あるいは、家畜(犬を飼っている)の糞を患者さんが持参した可能性も考えております。当地(岩手県)で、犬などの家畜から検出される可能性はあるでしょうか?_x000b_*岩手県に疫学的なデーターが存在するかどうか知りません。しかし、可能性は有るのではないでしょうか?_x000b_もしも、心配ならば飼育されているイヌの糞便検査をされてみたら如何でしょうか_x000b_2)20年前に沖縄旅行をしたとのことですが、旅行により感染した例は我々の経験でもあります。しかし、その場合には比較的長期に数度滞在した事のある人でした。勿論、一回の旅行での感染も否定は出来ないでしょう。_x000b_3)糞便で見つからないとのことですが、患者さんに内視鏡検査や十二指腸液の採取が可能でしょうか。もしも、可能であれば、これらの検査が有効かも知れません。_x000b_4)便検査で糞線虫が見つかったとのことですが、数匹いたのでしょうか、それとも一匹のみであったのでしょうか。もしも、一匹のみであれば、何らかのコンタミも疑われるのではないでしょうか_x000b_5)これまでにも、同様な症状を数回引き起こしたことがあるのでしょうか。もしもそうだとすると糞線虫の可能性はかなりあるようにも思います。_x000b_6)もしも、今回が始めてであるのならば現時点では治療は行わなくてもよいのではと私は思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 質問1)について_x000b_ このケースでは、治療を開始する必要はないと思われます。_x000b_質問2)、3)について_x000b_ 一度だけ糞便検査で糞線虫陽性、その後の培養検査などでは陰性、血清抗体も陰性ということで、糞線虫症の可能性は極めて低いと思われます。検査業者への外注検査で、糞線虫や赤痢アメーバはしばしば誤判定のことがあります。特に治療もしないのに再検査や反復検査で検出されない場合は検査の判定ミスの可能性を考えられたほうが良いのではないでしょうか。現時点で動物由来の便の可能性まで詮索する必要はないと思います。_x000b_患者さんが再度消化器症状を呈された時に、反復して糞便検査をされたら充分でしょう。_x000b_質問4)について_x000b_ 痴呆と糞線虫症のあいだに因果関係はないと思います。_x000b_質問5)について_x000b_ 糞線虫症の治療効果の判定は、基本的に糞便検査(寒天平板培養を含む)での幼虫検出によります。補助的に血清抗体価測定も使われます。本症の様に、最初から糞便検査陰性、抗体陰性のケースでは仮に治療しても効果判定の方法はなく、症状の改善だけが指標になります。このことも含めて、現時点で急いで治療を開始する必要はないと思われます。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 糞線虫(おそらく幼虫)が検出された症例ですが、その虫は鉤虫の幼虫とは違っていたのでしょうか? イヌまたはヒトの鉤虫幼虫が、便採取後時間がたつことで、hatch outして便中に出て来ることは、頻繁にあると思います。_x000b__x000b_自治医大ではせんだって、尿沈査に鉤虫の幼虫が1匹認められて、同定およびそこ(尿沈査)に至る経路の推定を依頼されました。_x000b__x000b_自然界の糞線虫ですが、文献上では日本の犬にも感染が認められております。ただこれは沖縄県での調査で、岩手県をはじめ他県での調査状況については、実施したことがあるかどうかを含めて、私には分かりません。_x000b__x000b_なお栃木県日光の野生ニホンザルの便からは糞線虫幼虫が出ています(2検体/27検体)_x000b_  松岡裕之ほか:日光周辺における野生ニホンザルの腸管寄生虫調査 _x000b_  自治医大紀要 21: 51-56, 1998_x000b_高田伸弘先生の調査では、下北半島のサルにも糞線虫が認められていますので、東北地方でも野生のサルには糞線虫を持ったものがいると想像されます。というわけで可能性としては道端に落ちている動物の便から糞線虫が出てもよいとは思いますが、その場合同時に他種の寄生虫卵も出てくるのではないでしょうか。_x000b__x000b__x000b_画像1(P02624_0.jpg)に対するコメント1_x000b_ 写真を拝見しました.線虫類に見えます.長さと幅の計測値が記載されていないので,明確には意見を出せません.長さと幅を forum に書いて下さい._x000b_ 私の活躍したのは古い時代で,意見を控えたい一面もありますが,矢印が4こあり,長短さまざまなものではないでしょうか._x000b_ 一番右の物は太くて長そうです.一番左のは短そうです.この左の線虫の右前の食道の形からは,食道球が2こありそうです.また,口腔が明瞭に見えるようです.私には土壌線虫に見えて仕方がありません.これならば,一過性の通過ですから,あとで見つからなくても当然でしょう.その虫ならば,野菜でも,土の混入物を食べても一時的に寄生は起こるでしょう._x000b__x000b__x000b_画像1(P02624_0.jpg)に対するコメント2_x000b_ 撮影・引伸の倍率や、長さ・幅などの計測値についての情報がないので、判断が難しいです。また、虫体はこれだけだったのか、それとも同じものが多数見えたのか、という情報も知りたいところです。撮影時にこれらの虫体(?)は動いていたのでしょうか。_x000b__x000b_2枚組写真の左側の写真の矢印のものは線虫類のラブディチス型幼虫の前半部分であることは間違いないと思います。田中先生が御指摘されているように食道球が2個あるように見えますが、ちょうど食物残渣の線維状物体と重なっており、断定はできません。土壌線虫の可能性は充分に考えられます。_x000b_右側の写真の3つの矢印の物体について、私は食物残渣ではないかと思います。特に、右側の下から上に向かう矢印の2つは、その可能性が高いと思います。理由はこの2つが左写真の虫体と比べて太く長いこと、さらにこの2つは淡黄褐色に着色していること、中央のものには線維状の剥離が見られることです。それよりも、もし、これらが虫体ならば、顕微鏡写真を撮るときに、焦点や撮影部位を変えて、頭部なり尾部なり、もっとムシらしい顔つきのところを撮影できたのではないかということです。_x000b__x000b_結論として、もし、虫体が左写真の1個体だけしか見つかっていないのであれば、偶然に混入した土壌線虫という説をとりたいと思います。_x000b__x000b__x000b_追加の画像(P02624_1からP02624_5)に対するコメント_x000b_ 写真拝見致しました。_x000b_ いずれも線虫のラブディチス型幼虫というところまでは判るのですが、肝腎の食道球や尾端がはっきり判る画像が少なく、同定は困難です。印象としてはヒト糞線虫の幼虫とは異なるように思います。_x000b_No.3の尾端に異常に長い糸状の尾部が見えますが、他の個体にも同じものがあったのでしょうか。もしそうであれば、これだけでヒト糞線虫の幼虫ではないと云えそうです。_x000b_また、ヒト糞線虫感染で、便にこんなに多数の幼虫が検出されるのであれば、その後の検便で全く検出されないということは考えられません。_x000b__x000b_もし、ホルマリン固定標本が保存されているのであれば、形態分類の専門家に送付して鑑別して貰われたらどうでしょうか。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答_x000b_ 御質問の件についてお答えいたします。_x000b_2)自由生活性の線虫類の幼虫や成虫が食物に混ざって一過性に便のなかに出現したり、偶然に尿路系に侵入して尿中からみつかったりすることはしばしばあるようです。しかし、そのような話の大部分が伝聞や個人的な経験談の範囲でとどまっており、きちんとした症例報告は少ないようです。その意味では仮に完全な種の同定ができなくても、自由生活性かヒト寄生性か、あるいは動物由来か(反復検便検査で見つからないことから、自由生活性の可能性が高いと思います)ということだけでも判れば、寄生虫学的にも臨床的にも報告される価値はあると思います。_x000b_3)ご紹介した先生方も、このようなパズルはお好きですので、お二人とも真剣に見て下さると思います。_x000b_取り敢えずお二人のe-mail addressをお知らせしますので、これまでのいきさつを簡単に記して、どちらかに、あるいは両方に相談されたらどうでしょうか。_x000b_9/26/2000線虫糞線虫
84眼科領域の寄生虫日本における眼科領域の寄生虫にはどのようなものがありますか? 眼科領域の寄生虫感染症に関する一般的な知識を得たいとということであれば,とりあえず以下の成書が参考になると思います。_x000b__x000b_1. 臨床寄生虫学カラーアトラス(南江堂)1980年:眼,皮膚などといった感染部位別にまとめられており,多数のカラー写真も掲載されています。_x000b__x000b_2. Color Atlas/Text of Ophthalmic Parasitology(IGAKU-SHOIN) B.H. Kean, Tsieh Sun, Robert M.. Ellsworth 1991年:文字通り眼科領域の寄生虫感染症が網羅されています。_x000b__x000b_ 以上の成書を参考にされてもなおご不明な点がありましたら,再度ご相談ください。10/15/2000その他
85回腸粘膜上皮に見られた寄生虫クローン病(54才・男性、寿司調理師)の回腸粘膜上皮に見られた寄生虫の同定をお願いします. 回答1_x000b_ クチクラ層が見えない、消化管(食道、腸管など)が見当たらない、内部が均一で疎な結合組織で構成されている、などの所見から条虫類ではないかと思います。画面上方に大きなくびれがあることから、裂頭条虫類の頭部横断面ではないでしょうか。コッサ染色で石灰小体を確認すれば条虫類の証明になります。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 角皮表面に小さな小棘が並んで見られることから,横川吸虫を含む異形吸虫類の口吸盤あたりのごく浅いところが薄切されているという風に解釈することもできるかと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 手元に小腸に寄生していた横川吸虫のスライドがありますのでお送りいたします(P02661_1.jpg、P02661_2.jpg). 標本の場所が適当であるかどうか分かりませんが,参考にして下さい._x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_ 角皮下に一層に並んでいる構造が,条虫の上皮細胞の核にしては大きすぎる気がします.角皮に spine が確認できるのなら吸虫でしょう.しかし,できれば上皮(角皮)の拡大像が欲しいところです._x000b__x000b__x000b_回答5_x000b_ 私のところにも横川の重症例の病理組織標本があったので改めて見直してみました。_x000b_ 確かに回答2の先生が云われるように、横川あるいは異型吸虫の口吸盤あたりで切れたらこんなふうにみえることがありますね。一枚の画像だけで診断するのは難しいので、回答4で指摘されたように、角皮の拡大図、吸盤?の拡大図があればもう少し判断が楽にできるかと思います。_x000b__x000b__x000b_回答6_x000b_ 本日、京都府立医大名誉教授Y先生が特別講義に来られたので、画像を見て頂きました。_x000b_ 基本的には回答2の見解と同じで、横川/異型吸虫など微少な腸管寄生性吸虫の口吸盤のところが浅く斜断されたのではないかということでした。コッサ染色で石灰小体の有無を確認すること、虫体体表部分の強拡大で皮棘の有無の確認をすることと、もう少し切り込んだ切片で消化管や生殖器、虫卵などの構造を見つけることで、はっきりするでしょうとのコメントがありました。10/16/2000その他
86サナダムシいわゆるさなだ虫(広節裂頭条虫、日本海裂頭条虫)の治療法を教えていただきたい。宜しくお願い致します。お問い合わせの事項につ きましては寄生虫学会のホームページ「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引き」をご参照ください。10/26/2000条虫裂頭条虫
87糞線虫、十二指腸潰瘍当大学関連病院検査部より、以下の患者さんの病理組織切片に虫卵ないし原虫様構造が認められるため見てもらえないかとの問合せがありました。_x000b__x000b_ 検鏡したところ、組織中に、線虫の輪切り状の構造と思われるものが多数観察されました。(1)~(6)の6枚です。横断面と思われる構造の直径は45ミクロン程度です。十二指腸潰瘍があり、その部分の組織切片ということです。検査報告では下記11/20糞便検査における線虫を、実は、「糞線虫と思われる」と言及しておられるのですが、この時期では確定できるとは思えません。ただし、以下の所見から、糞線虫症の疑いは濃いと思いました。そこで病理切片のほうですが、このような輪切り像が果たして糞線虫のものであるのかどうか、色々調べてみましたが分かりません。山口富雄(1980)「臨床寄生虫学カラーアトラス」(南江堂)に、3枚ほど、糞線虫の病理組織切片像が掲載されております。山口(1980)の写真の虫体縦断面像の混じったものは、本検体写真「(3)虫体部」の右側の像に似ています。本検体写真横断面の、筋細胞層と思われる部分が、山口(1980)の写真の横断面像に比べ、薄いようです。しかしこれは、横断部位の違いによるのかも知れないと思いました。また本検体写真では、リング状の、虫体角皮と思われる部分のはっきりしたものと、単に円形の空洞があって、内部に円形あるいは不規則形の細胞塊が2つ、あるいは3つ見られるものとがありました。これは死んだ虫体ではないかと思いました。以上の輪切り構造は、ほとんど、絨毛様の組織中に入り込んでいるようでしたが、絨毛様組織の内部の空洞中にあるものもありました。また虫体(と思われる輪切り構造の)横断面は、縦方向に直角ではなく、少し斜めに切れているものが多いと見られました。「(1)切片全体像」の青い矢印は、全ての輪切り構造に付けたわけではありません。_x000b__x000b_ 質問は、_x000b_・本病理切片標本で、糞線虫の特徴は認められるのでしょうか?_x000b_という点ですが、他の関連コメントでも結構です。_x000b__x000b_ どうぞよろしくご教示のほどお願い申し上げます。_x000b__x000b_======================================================================_x000b_XXOO、36歳、男_x000b_ 沖縄出身(18歳まで)。H12、11/1、タール便、全身倦怠感出現。Hb7.4。上部消化器内視鏡にて、2nd portion (Vater乳頭前後)に浅い十二指腸潰瘍を認め、易出血性であった。腹部CT上、潰瘍部の腸管の浮腫と、胆管気腫を認めた。抗潰瘍剤投与するも全く改善なく経過。_x000b__x000b_ 潰瘍部病理検査にて、虫卵または原虫様構造を認めた(病理より)。_x000b__x000b_ なお、11/20糞便検査にて、体長250ミクロン程度の線虫を多数認めたが、虫卵は見いだせなかった(臨床検査部)。_x000b__x000b_ 他の症状としては、下血、貧血があり、臨床検査所見は以下の通りです。_x000b_主として(L)、(H)記載のものを挙げます。_x000b__x000b_【血液検査】_x000b_●11/2             ●11/28_x000b_----------------------------------------------------------------------_x000b_RBC 330 x10^4 (L)        442_x000b_HGB 6.5 g/dl (L)         10 (L)_x000b_HCT 20.2 % (L)          30.1 (L)_x000b_MCV 61.1 μ^3 (L)        68 (L)_x000b_MCH 19.6 Pg (L)         22.7 (L)_x000b_MCHC 32.1 % (L)          33.3_x000b_RDW 17              27.3 (H)_x000b__x000b_PLT 67.2 x10^4 (H)        62 (H)_x000b_MPV 7 μ^3 (L)          7.9_x000b__x000b_(自動血球計数器)_x000b_MO 6.3 %             8.9 (H)_x000b_EO 5.7 %             2.7_x000b__x000b_ANISO:              X_x000b_MICRO: X             X_x000b_HYPO:  X             X_x000b_POIK:               X_x000b__x000b_(血球分類)_x000b_AtyLym: 1%            2%(ATL cell様のものもある)_x000b_-----------------------------------_x000b_ANISO:大小不同赤血球出現の可能性あり_x000b_MICRO:小球性赤血球出現の可能性あり_x000b_HYPO: 低色素赤血球出現の可能性あり_x000b_POIK: 奇形赤血球出現の可能性あり_x000b__x000b_●11/28_x000b_ATL(+)_x000b_HTLV-1抗体 4,096 倍以上_x000b__x000b_【生化学検査】_x000b_●11/2             ●11/28_x000b_----------------------------------------------------------------------_x000b_TP 5.1 g/dl (L)        5.8 (L)_x000b_T-BIL 0.17 mg/dl (L)       0.29_x000b_γ-GTP 10 IU/l (L)        - (検査せず)_x000b_Ch-E - IU/l          170 (L)_x000b_CK 339IU/l (H)        -_x000b__x000b_【免疫・血清検査】_x000b_●11/28_x000b_IgG 783 mg/dl (L) 参照値 870-1700_x000b_IgE <35 mg/dl (L) 参照値 <350_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_  担当医はO先生にご相談しておられるようです。_x000b__x000b_ ”幼虫を培養し、F型を確かめてから確定診断”(O先生)とのことですが、昨日から試験管濾紙にかけております。昨日糞便をいただいた段階で調べたところでは、生きている幼虫も見られました。_x000b__x000b_ 患者さんの状態はそれほど悪くなく、出血も止まり、潰瘍も悪化はしていない、ということでした。_x000b__x000b_ 今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。_x000b__x000b__x000b_追加の経過報告_x000b_ 試験管濾紙培養の結果ですが、糞線虫 F 型幼虫が確認できました。体長約450ミクロン、被鞘末端が裁断状、食道が体長の約1/2、で間違いありません。回答1_x000b_ 先生の指摘されているように糞線虫に間違い有りません。腺窩内のものは、発育途上の虫卵ではないでしょうか。細胞塊となったものが認められたとのことですから、虫卵内の発育のものと思います。多数の虫体および虫卵が認めらる事より、十二指腸の粘膜はビラン状になっているのではないでしょうか。_x000b_十二指腸液や糞便からR型幼虫やF型幼虫が認められることと思います。_x000b_Hbが7.4と低下しておりますが、十二指腸の潰瘍部以外にも、小腸上部に広範囲のビランがあるもの思います。_x000b_11/20糞便検査にて、体長250ミクロン程度の線虫を多数認めたが(糞線虫R型またはF型幼虫でしょう)。_x000b_Lym: 1%            2%(ATL cell様のものもある)_x000b_ATL(+)との合併例でしょう。_x000b_既に指摘されていることですが、ATLの陽性者に糞線虫の陽性率が高いことは指摘されております。_x000b_TP 5.1 g/dl (L)と低蛋白血症です。 _x000b_症状は、かなり悪いものと想像いたします。至急に治療を開始されるのが良いのではないでしょうか。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 病理組織だけでなく、患者さんの出身地、検便で幼虫が検出されていることからも、糞線虫という診断で問題ないとおもいますが。_x000b__x000b_糞線虫症の腸管病理組織像の詳細についてはArmed Forces Institute of Pathologyから出ている「Pathology of Tropical and Extraordinary Diseases」を見られたら良いと思います。_x000b_琉大の佐藤先生が九大出版から出された「日本における糞線虫と糞線虫症」にも詳しい解説があります。11/30/2000線虫糞線虫
88アメーバ性髄膜脳炎本学内科に自由生活アメーバによる亜急性髄膜脳炎が疑われる患者が入院してきました。_x000b_髄液検査でリンパ球95%、蛋白軽度上昇。_x000b_ウイルス、細菌についてはいずれも検査で否定されているようです。_x000b_アメーバ検出については、東海大のK先生のところにお願いする予定で手配中です。_x000b_診断・治療について、特に治療に関して、どのような情報、ご助言でも御提供頂けたら助かります。アメーバ性髄膜脳炎の診断は、低速遠心分離した髄液を検鏡することで可能です。我々の経験したNaegleriaによる症例でもそうでしたが、活発に運動するアメーバを検出できます。_x000b__x000b_Naegleriaによる原発性アメーバ性髄膜脳炎(急性・劇症型で健康な若者に多く発症)の場合、今までに3例の救命報告があり、いずれもAmphotericin Bを静注内(1mg/kg/day)と髄腔内(0.1mg/day)へ大量投与しています。また、TetracyclineとRifampinは、Amphotericin Bの作用を増強するとされており、Rifampinは救命例で使用されていました。ただし、Amphotericin Bそれ自体に強い副作用があるため、大量投与時は注意が必要です。_x000b__x000b_Acanthamoebaによるアメーバ性肉芽腫性脳炎(慢性で免疫低下等の基礎疾患あり)の場合、有効な薬剤は報告されていません。(動物実験ではKetoconazoleが有効との報告があるようですが・・・)12/18/2000原虫ネグレリア
89イヌ蛔虫幼虫移行症疑い、好酸球性肺炎患者さんの件でご相談・質問したい件があります。43歳の男性でインドネシアに約2ヶ月滞在していました。野菜や果物をよく食べ、滞在後1週間程下痢をしたそうです。帰国後約3週頃から息切れの増強を認め入院となりました。胸部単純写真で浸潤影あり低酸素血症を認めました。末梢血中好酸球増加あり、気管支カメラの結果からも好酸球性肺炎と診断しました。Multiple-dot ELISAでイヌ回虫に対して陽性との結果でした。本症例ではその他に好酸球性肺炎をきたす原因は指摘できませんでした。現在のところ肝臓や眼の異常は認めていません。イヌ回虫の血清中抗体陽性率は数%はあると思いますが、本症例はイヌ回虫の感染に伴う好酸球性肺炎と考えて治療を進めていいのでしょうか?また、そうでないとすると更にどんな検査をどこに依頼すればいいでしょうか?教えていただけると幸いです。宜しくお願いいたします。回答1_x000b_ イヌ回虫抗原に対して陽性とのことですが、熱帯性好酸球増多症の可能性はどうなんでしょうか。この場合、種々の線虫粗抗原と交差反応が見られます。フィラリア抗原に対する結果は陰性だったんでしょうか? _x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 先日、このConsultationと非常に良く似た症例の検査依頼をやはり茨城県の病院から受けました。_x000b_ こちらが経験した症例は患者さんが40歳ということと、消化器症状についての記載がないということを除くと今回の症例とそっくりです。インドネシア(ジャカルタ、バンドン)での約2ヵ月の滞在歴があり、帰国後に呼吸困難を訴えて受診し、好酸球性肺炎と診断されております。SRLおよび当教室のdot-ELISAでイヌ回虫に対して弱陽性、どちらの検査でもイヌ糸状虫やその他の寄生虫には陰性の判定でした。同一患者ではないと思いますが、同一グループである可能性も考えられます。_x000b__x000b_ この症例とは直接に関係ないかもしれませんが、昨年1例鉤虫症(便の直接塗沫で虫卵陽性、便培養で幼虫確認)で激しい好酸球性肺炎の症例を経験しました。この症例の血清はdot-ELISAで12種の蠕虫の全てに完全に陰性でした。鉤虫感染では免疫反応が抑制されるのか、それとも鉤虫抗原に対する抗体は特異性が高く、他の抗原と交差反応を全く示さないのか、情報を提供して頂けるとありがたいです。ヒトの鉤虫症の免疫診断が可能なラボがあれば、もっと助かります。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ インドネシア帰りの好酸球性肺炎の症例のことですが、tropical eosinophiliaであれ、イヌ回虫幼虫移行症であれ、治療は同じプロトコールで対処できると思います。取り敢えず、線虫類による内臓幼虫移行症疑いに対する診断的治療として、ジエチルカルバマジン(スパトニン)とステロイドの内服で治療を始められて良いのではないでしょうか。1/22/2001線虫イヌ回虫
90肺吸虫症疑い肺吸虫症で当院より紹介し、他院で2回プラジカンテルの投与を受けた患者の治療についてお教え下さい。_x000b_ 患者は45歳男性。C型肝炎で加療経過観察中でした。平成12年10月頃よりUSにて胆嚢の壁肥厚腹水の貯留がみられ、CTでは腹腔内も含め全身ののリンパ節の腫脹が認められました。症状は発熱と倦怠感、耳鳴、食欲不振、リンパ節の疼痛です。_x000b_ 好酸球とIg-Eの上昇が著しく、抗寄生虫抗体検査にてウエステルマン肺吸虫(+)でした。_x000b_ 12月13日ビルトリシド錠(600mg)4T 2×昼、夜2日間の内服を行いました。症状も改善に向かっていましたが、平成13年1月中旬よりまた症状悪化し2月9日にCT再検し、治療前に比べ著しい改善が認められました。Ig-Eの低下も見られましたが、本人の愁訴は軽減せず、再度プラジカンテル投与(前回の倍量投与)が行われました。内服中と直後は症状改善に向かいましたが、最近また悪化してきているとの訴えがあります。患者本人はもう少し内服を継続すれば良くなるのではないかと内服の再投与を希望しています。薬の継続は危険であると説明してあるのですが、患者は非常に苦にしており、どのように対処すればよいか悩んでおります。_x000b_ ご教示よろしくお願い申し上げます。回答1_x000b_ 1)肺吸虫の診断は、抗体検査でウエステルマン肺吸虫の抗体が陽性であったのみでしょうか。もしも、ウエステルマンであれば、肺に病変があり、寄生虫疾患が疑われるのが普通と思われます。従って、この症例では、肺病変あるいは胸水の貯留があったのでしょうか_x000b_2)病歴を読みますと、胆嚢壁の肥厚と腹水さらに全身のリンパ節の腫大を記載されておりますが、これと肺吸虫をどのように関連させてお考えなのか分かりません。通常ですと、肺吸虫ではこれら症状はありません。もしも、胆嚢壁の肥厚があるとすると、肝吸虫や肝蛭を考えるのが、寄生虫学的と思われます。ひょっとして、肺吸虫と肝吸虫の間違いでしょうか。もしも、肝吸虫であれば、糞便または胆汁液の中に虫卵を検出することが大切ではないでしょうか。しかし、その場合でもリンパ節腫大は関連性が薄でしょう。_x000b_3)他の、検査データーが書かれていないのですが、リンパ球の異形や増加、あるいは腫瘍マーカーの増加などはないのでしょうか。_x000b_4)C型肝炎で加療経過観察中とのことですが、インターフェロン療法をおやりになってはいないのでしょうか。これに伴う、好酸球の増加やイムノグロブリンの変化は十分に考えられると思います。_x000b_5)プラジカンテルは比較的副作用のない薬ではありますが、極度に増量することは薦められませんし、投与期間も吸虫の種類により変更することが大切です。_x000b_従って、現在は、確定診断を先決に行われるべきものと思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 1.好酸球とtotal IgEの上昇が著しく、抗寄生虫抗体検査にてウエステルマン肺吸虫(+) ということですが、回答1で指摘されているように、病変が胆嚢壁あるいは腹膜の炎症ということで、肝蛭などとの鑑別をきちんとする必要があると思われます。肺吸虫症でも、腹腔内迷入や肝臓内迷入ということもあり得ます。_x000b_2.腹腔内も含め全身ののリンパ節の腫脹が認められるということで、肺吸虫症とリンパ腫あるいは白血病との合併の可能性については慎重な検討が必要でしょう。_x000b_3.ビルトリシド錠(600 mg)4T 2×昼、夜2日間の内服を行ったとのことですが、この量ですと体重60 kgとして40 mg/kg/day for 2 days ですから、肺吸虫症の治療には不十分です。肺吸虫症を中途半端な量のビルトリシドで治療すると、こじれることがあります。2月に倍量投与されたということですが、1日投与量を倍にされたのか、それとも投与日数を倍にされたのか不明ですので、その点を知らせて頂きたいと思います。確実な治療効果を期待するならば、75 mg/kg/day for 3daysが望ましいです。また、肝蛭症ですとビルトリシドは無効のことがあります。2/14/2001吸虫肺吸虫
91剖検脳組織にみられたアメーバ様細胞 今回コンサルテーションさせていただきます症例は、左脳梁外套縁動脈脳出血で死亡した剖検例です。簡単に病歴を紹介しますと、症例は78才1ヶ月の男性で、生前高血圧症(無治療)を指摘される以外生来健康で、現役のボイラー技師として働かれていました。_x000b_平成12年9月20日22時頃、昏睡状態でボイラー室に倒れている所を発見され、当院救急外来を受診、頭部CT検査で左前頭出血と脳室穿破を指摘され、内科的に治療されましたが、徐々に脳ヘルニア徴候が増悪し、同月28日4時に永眠されました。_x000b_ 死後5時間で解剖しました。開頭しますと左脳梁外套縁動脈周囲に約50gの血腫形成と脳室穿破、左鉤ヘルニア、両側小脳扁桃ヘルニアを認めました。右脳梁外套縁動脈周囲にも少量の血腫を認めましたが、両側前大脳動脈分枝に明らかな動脈瘤は見られませんでした。組織学的に、多少変性が加わっているかもしれませんが、脳梁外套縁動脈の血腫周囲にハローを伴う核小体を持つ細胞体と嚢子様形態を示す細胞体と急性炎症細胞浸潤が見られます。この細胞体は、PAS染色弱陽性で、CD68陰性、GFAP陰性でした。以上、急性アメーバ感染症に伴う感染性動脈瘤からの脳出血を否定できない状況です。しかし、患者血清は処分され、形態的にも細胞体の同定が困難です。そこで、この細胞体の同定につきコンサルテーションさせていただきたくメールいたしました。何らかの御助言がいただければ幸いに存じます。ご指示いただければ、未染色切片などの資料をお送りいたしたいと存じます。_x000b_ なお、検索した範囲に嗅脳病変、髄膜炎所見はなく、また、全身諸臓器にもこの細胞体による感染は認めませんでした。また、脳出血周囲以外に全身諸臓器に明らかな感染巣がなく、抗生物質を投与されていたにも関わらず 、患者の血液検査データでCRPが、入院時4.9から死亡前日26.1と著増しています。非常に難しそうな症例です。血清が残っていないとのことで、血清診断は無理でしょう。そうすると、組織標本を中心に、検討するより他はないのでしょう。_x000b_1)本症例では、脳の所見が書かれておりますが、他の所見が不明です。もしも、赤痢アメーバを考えるのであれば、消化管や肝臓の病変の有無が気になります。もしも、これらが無い場合には、赤痢アメーバによる腸管外アメーバ症としての脳アメーバ症の可能性は低いと思います。_x000b_2)自由生活性のアメーバの感染であるとすると、臨床症状を伴わないことが気になります。大部分の症例では、早期に髄膜炎様の症状を伴っていると思いますが、本症例ではこれらはないようです。また、Naegleria fowleriであるとすると、病巣内には嚢子は認められません。一方、Acanthoamoebaであれば、他臓器(肺など)にも、病巣が形成されることが多いと思います。また、脳内の病変でも、多数の嚢子が確認されると思われます。_x000b_3)これら、原虫感染が、脳出血の原因となったかの可能性ですが、可能性は少ないものとは思いますが、具体的には解りません。_x000b_4)嚢子などの大きさが記載されておりませんが、もしもお教えいただけると、参考にはなると思います。また、脳の病理所見があると、議論できると思います。_x000b_5)国内のどの機関で、これら病理標本を用いて、アメーバ類の抗体の染色が可能かは、残念ながら知りません。2/16/2001原虫アメーバ
92ブタ蛔虫幼虫移行症疑い20歳台の男性で、好酸球増多、肝多発腫瘤(hypoechoic,loe density)のある患者が豚回虫の抗体が陽性でした。_x000b_肝生検は禁忌でしょうか?_x000b_豚回虫の駆除方法は普通の回虫と同じでいいのでしょうか?_x000b_ご教示ください。回答1_x000b_ 正確な診断には、食事歴を含め、もう少し詳しい現病歴、検査所見が必要かと存じます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ どのような検査をされたのかわかりませんが、イヌ、ネコ回虫幼虫の肝臓寄生で類似の症例をいくつか経験していますし、用いられた豚回虫の抗原にもよりますが、粗抗原ですとイヌ、ネコ回虫症とも強く交差反応します。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 1)肝生検は禁忌でしょうか?_x000b_寄生虫学者としては、肝生検により虫体を見つけて欲しいという願望が強いのですが、患者さんの立場から考えると、そこまでしなくても、、ということです。これまでに何例も肝生検組織を見せて貰っておりますが、なかなか虫体は検出されず、好酸球性膿瘍の所見だけです。禁忌ではありません。_x000b_2)駆虫は、内臓幼虫移行症ですので、普通の回虫(ヒト回虫の腸管寄生)とは異なります。_x000b_経験的にはアルベンダゾール(商品名エスカゾール:スミスクラインビーチャム)10-15 mg/kg/day for 4-8 weeksが有効です。好酸球増多が強いケースではステロイド併用が有効なことがあります。2/19/2001線虫ブタ回虫
93赤痢アメーバ今年の初めになるのですが、当院でHIV感染に合併して、赤痢アメーバ感染が発見された症例がありました。本症例では、初めに肺の嚢胞穿刺液から赤痢アメーバが発見されたのですが、その後、便中からも検出されました。どちらも病理検査室で処理し、パパニコロー染色を施行しました。その結果、どちらも赤血球の捕食が認められるので、栄養体であると推定できますが、大きさ(体長)が、嚢胞中のものに対し便中の方が約2倍ほど大きく観察されました。この原因について、何かアドバイスをいただけないでしょうか。回答1_x000b_ 私は日常、赤痢アメーバを見ている者ではありませんし、 パパニコロー染色で赤血球がどう染まるかも知らないもので、以下恥を忍んでお尋ね します。_x000b_1.嚢胞中から得られた原虫と、便から得られた原虫の測定上のサイズを教えてください。_x000b_2.失礼ながら、嚢胞中から得られた原虫は実はシストで、捕食しているように見える赤血球はシストのもつ複数の核だった、ということはないのでしょうか?_x000b__x000b_次に両者がともに Entamoeba histolytica の栄養体だとして、1)栄養状態の違い、2)浸透圧の違い、などを考えたいと思います。_x000b__x000b_我々が継代している Entamoeba invadance を見ている経験で申しますと、栄養状態が悪くなると、栄養体といえどもサイズは小さくなります。嚢胞中のアメーバは、居住環境があまりよくなかったのではないでしょうか。次に、Entamoeba invadance の栄養体を蒸留水に入れてみましたところ、体長は1.5倍ほどに膨れるものもありますが、それ以上大きく膨れるものはなく、多くのアメーバは細胞膜が破れてしまいました。低浸透圧に耐えられなかったものと考えられます。ですから2)の可能性は低いと思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 実物を見ていないので断定的なことは言えませんが、一応コメントします。_x000b__x000b_ 今年の初めになるのですが、当院でHIV感染に合併して、赤痢アメーバ感染が発見された症例がありました。本症例では、初めに肺の嚢胞穿刺液から赤痢アメーバが発見されたのですが、その後、便中からも検出されました。どちらも病理検査室で処理し、パパニコロー染色を施行しました。_x000b__x000b_ 赤痢アメーバの栄養形と判定する場合、_x000b_・ 生鮮標本で、運動性を確認する。_x000b_・ コーン染色などで、核の形を確認する。_x000b_いずれかの方法をとるのが通常です。_x000b_パパニコロー染色での同定は一般的ではないと思われます。_x000b__x000b_ その結果、どちらも赤血球の捕食が認められるので、栄養体であると推定できますが、大きさ(体長)が、嚢胞中のものに対し便中の方が約2倍ほど大きく観察されました。この原因について、何かアドバイスをいただけないでしょうか。_x000b__x000b_ 古くから、組織内の虫体(tissue parasites)と糞便内の虫体(lumen parasites)は多くの点で異なると言われています。_x000b_赤痢アメーバは培養条件が悪くなると、巨大な多核細胞が出現します。そして、培養成績から判断する限り、糞便中の虫体の方が viabilityが高いようです。_x000b_大小関係が逆なら説明可能かもしれません。_x000b_ただし、組織中のアメーバは丸くて運動性が低いものが多く、糞便中のものは活発に運動して細長い形がみられます。両者の違いは単純なものではないと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 1)どちらも病理検査室で処理し、パパニコロー染色を施行しました。とありますが、どのような処理をされたのか分かりません。即ち、一般の病理標本のように、ホルマリン固定してあるのか、細胞診のような塗沫標本を固定してみたのかが分かりません。_x000b_2)赤痢アメーバの栄養型とされたとのことですが、赤血球の捕食以外には、根拠が記載されておりません。また大きさを議論されていながら、いずれの大きさも記載されておりません。_x000b_以下は一般論_x000b_3)一般に、組織標本で見ますと、原虫の栄養型はかなり収縮してみられます。また、同一標本内でもかなりの不同は認められます。4/30/2001原虫赤痢アメーバ
94ズビニ鉤虫診断、治療に関する質問ではないのですが、どうしても分からず、ご教示いただけたらと考えて質問させていただきます。私、乳幼児の貧血のスクリーニングを行っているのですが、貧血児が見つかった際、ズビニ鉤虫に対してどのくらいの留意が必要か分かりません。文献検索したのですが、見つかりませんでした。ここでお尋ねさせていただく内容でないことは承知しておりますが、藁にもすがる思いでお願いさせていただきます。現在の日本での乳幼児のズビニ鉤虫の頻度はどのくらいなのでしょうか?それについて調べた文献などございますでしょうか?もしもご教示いただけましたら大変ありがたいです。乳幼児に限定しての糞便虫卵検査のデータは最近はとられていないと思います。 したがって、御質問の乳幼児での鉤虫症の頻度に対する直接的な回答ではありませんが、(財)日本寄生虫予防会が刊行している「予防医学ジャーナル」No. 359, 平成12年10月15日 特集:資料号40-41ページの表では、同会が行った平成11年度の糞便検査(幼稚園から事業所、地域社会を含む)約40万検体で鉤虫卵検出者はゼロです。年度別の表でも、平成6年から11年まで毎年40万件以上の検査で、鉤虫卵が検出されたのは平成10年に1件のみです。したがって日本での鉤虫感染の機会は極めて低いと推測されます。一般論としていうならば、乳幼児の貧血の原因として、鉤虫症というのはまず考えなくてよいと思います。しかしながら、鉤虫症が日本から完全に消滅したわけではありません。当教室では昨年から今年にかけて2例の鉤虫症を経験しております。ともに、九州山地の奥深くに居住しておられる方で、もちろんトイレは水洗になっておらず、人糞を自家菜園の肥料として使用されているというような生活環境です。御質問をされたドクターのスクリーニングにこのような環境の住人が含まれているのであれば、貧血の原因として鉤虫症も考慮する必要があるでしょう。都市部での場合には、海外(発展途上国)での感染の可能性を考慮する必要があるかもしれません。いずれにせよ、現代の日本で、鉤虫症というのは1例報告に価するぐらい珍しいと思います。5/9/2001線虫ズビニ鉤虫
95蟯虫5歳の子供です。肛門から白い虫がいます。ぎょうちゅうでしょうか?どのように対処すればよろしいでしょうか?「ぎょうちゅう」は、体長8 -13 mm(雌)あるいは2-5 mm(雄)の白い線虫です。雌雄ともに、頭部が膨らんでおり、雌は両端が尖っていて、雄は尻尾が曲がっています。虫卵は柿の種のような形をしています。治療はピランテル パモナイト(商品名;コンバントリン)の服用です。家族内感染が考えられるので、駆虫は家族一斉に行います。予防として、部屋の掃除を充分に行い、下着や敷布/シーツを清潔にし、爪を切り、手をきれいにする習慣をつけることです。幼児の肛門から出る白い虫として、条虫(駆虫薬が異なります)も考えられます。虫の形態、虫卵の特徴などから出てきた虫の同定を行い、対処して下さい。5/14/2001線虫蟯虫
96疥癬疥癬の消毒方法を教えてください。_x000b_疥癬発症時には病室でバルサンを使用しています。治療には安息香酸ベンジルローション、オイラックス軟膏を使用しています。消毒薬にグルコン酸ヘキシジン・エタノール含有製剤で対処しています。これよりもよい方法があればご教授ねがいます。疥癬の治療、対策などについては九段坂病院皮膚科の大滝倫子先生により、詳細な情報が日本衛生動物学会誌Med. Entomol. Zool. 49: 15-26, 1998に掲載されております。5/21/2001衛生動物疥癬
97蛔虫の自然吐出初めて質問いたします。本日、76歳の女性が、のどにつかえるものがあったので、指を入れたところ何かにさわり、引っぱり出したところ20センチ程度の虫体が出たとのことで来院されました。虫体は処分されてしまいました。海外渡航歴はありません。とりあえず、便中の虫卵検査を同居している家屋を含め、することとしましたが、それでよいでしょうか。また、今後の治療法(駆虫薬の種類、投与量など)につきご教示いただければ幸いです。回答1_x000b_ 多分90%以上の確率で回虫の自然吐出だろうと思われます。何も処方しないと患者さんは不安がられることが多いので、検便虫卵検査の結果に拘わらずコンバントリン5-10 mg/kg頓用(成人で5錠が目安)を出しておかれたら良いとおもいます。家族については検便で虫卵が陽性の者に対して、駆虫剤を出すことで良いのではないでしょうか。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 最も可能性が高いのは回虫だと思われます._x000b__x000b_ 最近の五年間に当方へ10例の回虫虫体の同定依頼があり,そのうち3例は口から吐き出されたものでした._x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 極めてまれですが、昆虫由来のハリガネムシや魚類のフィラリア(フィロメトロイデス)などを吐出したケースもあります。虫体が乳白色~淡黄褐色で5mmぐらいの幅の太いものならば、回虫の可能性が大です。虫体が暗褐色で細いものならば、ハリガネムシや魚類のフィラリアの可能性があります。ハリガネムシや魚類フィラリアならば、アクシデンタルなものですから、駆虫薬投与の必要はありません。5/31/2001線虫回虫
98好酸球増多、胸水、心嚢水貯留好酸球増多・胸水・心嚢水貯留の患者がいます。好酸球は最大2万まで上昇しましたが,自然に改善。現在,3000まで低下しています。肺炎像は認めていません。好酸球上昇の原因として寄生虫も考えています。便の虫卵は認めていませんが,血清学的に診断は可能でしょうか?アスカリス等を調べるのにはどのような検査が必要でしょうか?このような症例では、やはりまずSRLあるいはその他の寄生虫症免疫診断が実施可能なラボでの抗寄生虫抗体スクリーニングが第1かと思います。_x000b_ どれぐらいの時間経過で好酸球増多が自然に改善したのか不明なので、はっきりしたことは云えませんが、もし駆虫薬も使わないのに短時間で改善したのならば非寄生虫性の可能性も考えられます。_x000b_ 非寄生虫性疾患で好酸球性胸膜炎の原因として私共が多く経験しているのは、外傷性胸膜炎、ついで自己免疫性疾患の部分症状としてのものです。重症の薬剤アレルギーに伴うケースもありますが、多くの場合肝機能障害や皮膚症状を合併しています。稀ですが、結核性胸膜炎や胸膜中皮腫で好酸球性胸水貯留を見ることがあります。6/8/2001その他
99マラリア5年前にアンゴラに滞在し、発熱し血液検査もなくマラリアと診断されメフロキンを飲みました。 発熱患者の半数がマラリアと診断されていたため、別にそうでなくても飲んでていいかなと思いそうしました。 熱は一日で下がり、その後も発熱は見られませんでした。 帰国後、献血時、一生献血は出来ませんといわれました。 マラリアであったかどうかも疑わしいのですが、今現在何かマラリアでなかったことを証明できることができるか、もしくはマラリアであったとしても体内には原虫は絶対いないという事は証明することができないでしょうか。マラリアの流行地ではこのような話が多くて困ったものです。現地では確かにマラリアが多く、時間と金をかけて検査をするよりも、マラリアの薬剤を服用してしまう方が得策と考えるのでしょう。しかし一方では、発熱してマラリアのスタンバイ治療を行ったドイツ人旅行者を後から抗体検査したら、そのうちマラリアであった人は 10%程度しかいなかった、とのデータもあります。我々の多くは、薬剤の副作用もありうるし、マラリア以外の疾患であることもありうるので、検査をしてから薬剤の服 用を決めるべきであると思うでしょう。なかにはキニーネの注射までされてしまう人もあります。_x000b__x000b_このようなことにつき、マラリアの簡易迅速キットを旅行者自身が使うのはどうかについて、旅行医学の世界では検討されています。今のところ、キット自体の信頼性は 100%でなくてもかなりいいものであるが、一般人が説明書を読むだけで自己診断を行うのは間違いが多いことから、かえって危険であろうとの意見が多く出されています。先月インスブルックで開かれた国際旅行医学会議でも、その問題が独立したセッションで取り上げられ、肯定論者と否定論者が意見を述べて、全体でもディスカッションするのが行われました。個人的には、検査の原理を理解し、このような検査に習熟している人であれば、使うことによるメリットが充分ありうるものだと思います (木村、他:日本熱帯医学会雑誌 28:1, 2000)。_x000b__x000b_本題に対してですが、マラリアの抗体を測定して、5年前の感染であれば抗体は必ず残っているはずだ、との前提があれば、それで決着が付くかも知れません。たとえば国際医療センターに相談されては如何がでしょうか?_x000b__x000b_それにしても一々抗体測定をすることなしに、何とかならないものかとも考えますが、日赤では安全な血液を供給する義務があり、「疑わしきは罰する」方式で行かざるを得ない事情もあります。あやふやな既往歴をもとにするのでなく、血液を高感度の検査でチェックしてから使うかどうかを決めていくようになればいいのですが、コストの問題も馬鹿にならないところまで来ているでしょう。6/12/2001原虫マラリア
100妊婦へのプラジカンテル投与、肺吸虫による好酸球性胸水貯留肺吸虫による好酸球性胸水貯留を発症した妊娠6ヵ月の症例について、治療法の相談を受けました。_x000b_プラジカンテルの添付説明書には「妊婦への安全は確認されておらず、投与しないことが望ましい」となっております。_x000b_このケースでどのように対処すればよいか、至急アドバイスをお願い致します。妊婦の薬物治療は、_x000b_(1) より安全な代替薬があれば、そちらを検討する。_x000b_(2) 胎児毒性が明かなら、Abortionを前提に投薬を検討する。_x000b_(3) 毒性の根拠が希薄なら、妊娠継続を前提に投薬を検討する。_x000b_(4) 治療を急ぐ必要がなければ、分娩まで経過観察。_x000b_それぞれの妥当性を検討することになります。_x000b__x000b_この場合、「(1)代替薬」は考えにくいと思います。_x000b_ただ状況によっては、ステロイド投与の必要があるかもしれません。_x000b__x000b_次に(2)です。プラジカンテルの胎児毒性について調べたところ、_x000b_・ プラジカンテルの添付文書_x000b_  ご指摘通り、「安全性は確立していない」_x000b_・ GUIDE TO HEALTHY LIVING IN THAILAND (THAI RED CROSS)_x000b_  - S(Safe) --- Penicillins, Erythromycin, Chloroquine etc._x000b_  - SS(Seems safe but information limited) --- Mebendazole etc._x000b_  - A(Avoid if possible) --- Ciprofloxacin, Primaquine etc._x000b_  - C(Contraindicated) --- Tetracyclines, Aminoglycosides etc._x000b_  の4ランク中で、プラジカンテルはAとされています。_x000b_・ FDA category_x000b_  - A: Adequate studies in pregnant women, no risk_x000b_  - B: Animal studies no risk, but human not adequate or Animal toxicity but human studies no risk_x000b_  - C: Animal studies show toxicity, human studies inadequate but benefit of use may exceed risk_x000b_  - D: Evidence of human risk, but benefits may outweigh it_x000b_  - X: Fetal abnormalities in humans, risk greater than benefit_x000b_  の5ランクの中で、プラジカンテルはBとされています。_x000b_・ Drugs which have been taken by only a limited number of pregnant women and women of childbearing age, without an increase in the frequency of malformation or other direct or indirect harmful effects on the human fetus having been observed. Studies in animals have not shown evidence of an increased occurrence of fetal damage._x000b_胎児毒性の根拠は希薄なようです。「(2) Abortion」は非現実的です。_x000b__x000b_そこで「(3)妊娠継続を前提に投薬」の妥当性です。_x000b_・ 危険性は低ランクなので、必要なら投薬が許される。_x000b_・ リスクを説明した上で、患者が合意すればありえる選択。_x000b_ただし、肺吸虫症の治療を急ぐ必然性がなければいけません。_x000b__x000b_最後に、「(4)分娩まで治療保留」の妥当性です。_x000b_・ 万が一、胎児に影響が出た場合、事は重大である。_x000b_・ 妊婦にあやしい薬は使わないのが原則である。_x000b_最も無難な選択は、分娩まで待つことです。_x000b__x000b_患者と担当医が話し合って決めることだと思いますが、大筋の論理はこんなところかと思います。6/20/2001吸虫肺吸虫
101ランブル鞭毛虫ランブル鞭毛虫につきお尋ねいたします。_x000b_学校健診・検便にて6歳女児が上記を検出されました。_x000b_臨牀症状は認めず、家族を含め渡航歴などありません。_x000b_貴HomePage含めジアルジア症の治療は理解しましたが、このようなケースでの治療が必要なものなのであるか、浅学の為判断に苦慮いたしております。_x000b_お手数をおかけしますが、家族への対応含めご教示いただければ幸いです。_x000b_よろしくお願いいたします。回答_x000b_ ジアルジア症は4類感染症で、無症状でも保健所への届出が必要です。_x000b_シストは耐塩素性で、スイミングプールなどでの集団感染が起こりやすいので、症状がなくても治療すべきでしょう。_x000b_入浴などによる家庭内感染も起こる可能性があるので、家族をふくめて検査を実施することをお勧めします。_x000b_<参考文献> 井関基弘:クリプトスポリジウム症,ジアルジア症.小児科診療 64 (7):1061-1065,2001._x000b__x000b__x000b_情報処理広報委員会から依頼者への追加コメント_x000b_ なお、保健所への届出についてはメーリングリスト上で議論がなされましたが、結局、専門家・行政においても法律の解釈で見解が分かれております。従いまして、先生が保健所に届けられたとしても「症状がないなら」必要ないと言われる可能性がある点をご注意下さい。_x000b__x000b_ お恥ずかしい話しではありますが、今回の先生からのご質問のお蔭で、何らかの統一見解をまとめるように活動していくことになりました。_x000b_6/29/2001原虫ランブル鞭毛虫
102蟯虫症とプール実は小学校の養護教諭の先生から「ぎょう虫卵陽性の生徒のプール指導をどうすればいいか?」という質問を受けました。_x000b_私にはよくわからなかったので地元の小児科医たちに訊いてみましたが対応はバラバラのようでした。_x000b__x000b_そこで、以下の中から答えるとすればどれが適当でしょうか?_x000b_もしよろしければご回答いただきたいと存じます。_x000b__x000b_1.駆虫後陰性を確認してからOK出す。_x000b_2.駆虫剤投与後ならOKとする。_x000b_  2-1:1回投与後OKとする。_x000b_  2-2:2回投与後OKとする。_x000b_3.虫卵陽性でもOKとする。_x000b_  3-1.注意事項なし。_x000b_  3-2.入水前にお尻をしっかり洗えばOK。_x000b__x000b_PS:ぎょう虫がプールで感染する或いはしたという報告があるものなのでしょうか?回答1_x000b_ 小学校の養護教諭の先生から「ぎょう虫卵陽性の生徒のプール指導をどうすればいいか?」という質問を受けました。_x000b_ 蟯虫卵は粘着性があり、手、タオル、食器などを介して伝播します。_x000b_プールの水を介して間接的に伝播する可能性は低いと思います。_x000b__x000b_3.虫卵陽性でもOKとする。_x000b_  3-2.入水前にお尻をしっかり洗えばOK。_x000b__x000b_ 午前中にお尻を掻くことで、蟯虫卵は手指に移動します。_x000b_・プールが午後だったら、もはや肛門周辺に虫卵はほとんどない。_x000b_・肛門に残っている場合、水洗いで確実に落ちるとは断言できない。_x000b_という理由から、あまり効果が期待できないように思います。_x000b_むしろ、更衣時にタオル等を介して感染する可能性が問題です。_x000b__x000b_1.駆虫後陰性を確認してからOK出す。_x000b_2.駆虫剤投与後ならOKとする。_x000b_  2-1:1回投与後OKとする。_x000b_  2-2:2回投与後OKとする。_x000b_ プールが危険というなら、教室内での接触はもっと危険です。_x000b_管理上の判断はともかく、合理的とはいえません。_x000b_どこまでリスクを許容するかという判断になるかと思います。_x000b_(1) プールを禁止するなら、教室での接触も制限する必要あり。_x000b_(2) 更衣を他の子供たちと別にする条件で、プールを許可。_x000b_(3) 教育的配慮を優先する場合でも、タオルの共用だけは禁止。_x000b_あとは先生方が判断することだと思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 本件に関してメーリングリストのメンバーから下記質問が寄せられた件の回答。_x000b__x000b_ もう1点疑問がございます。「ぎょう虫に効果のある塩素濃度」についてです。_x000b_この点については資料もなく困っております。_x000b__x000b_ 水系感染する病原体は、塩素消毒の有効性が問題となります。塩素消毒は細菌やウィルスに有効であるが、原虫類には効果が低いとされています。_x000b_Escherichia coli: 0.2 mg Cl/l x 15 min --> 99.996-99.998%不活化_x000b_Campylobacter jejuni: 0.1 mg Cl/l x 5 min --> 99.98-99.998% 不活化_x000b_rotavirus: : 0.1 mg Cl/l x 0.5 min --> 99.9% 不活化_x000b_hepatitis A virus: : 0.5 mg Cl/l x 6.5 min --> 99.99% 不活化_x000b_Giardia lamblia: : 2.5 mg Cl/l x 19-16 min --> 90% 不活化_x000b_Cryptosporidium: : 30,000 mg Cl/l x 18 hrs --> less than 95%_x000b_(飲料水の微生物学、技報堂出版、p.298-299から抜粋)_x000b__x000b_蟯虫卵に対する塩素消毒の効果は、「細菌やウィルスに対するものと同等の効果は期待できない」と推測されますが、確証はありません。_x000b__x000b_ 蟯虫に関して最近小児科医から聞いた話でちょっと問題だと思った事が有ります。 長野県内のある幼稚園で、プールがはじまるからと陽性陰性の区別なく園児に薬を配ったとのことです。陽性者が居た場合、一斉に投与するのが一番効果的なのは分かりますが、ほぼ強制的に飲ませたのは問題ではないかと思います。こういった事は広く行われている事なのでしょうか?_x000b__x000b_回答:背景が良く分かりません(幼稚園での陽性率など)が、一般的には現在集団投与は行われておりませんし、また父母からの了解も得られないことより困難と思っております。長野県ではまだ可能と言うことでしょうか。ただ、現在の蟯虫検査の精度にも問題はあります。神奈川予防協会のデーターでも解りますが、7回連続法の精度に比較すると2回法の精度は約40-50%程度です。ですから、陽性者を駆虫しても、残りの半数は未治療のままです。もしも、この幼稚園の陽性率が20%であったとすると(通常、このように高いことはあり得ませんが)、父母の了解も得られたのなら集団駆虫も可能かもしれません。_x000b__x000b_ 蟯虫症で病院にいったのですが、医者にいくと1回分しか薬をくれません。小児科の先生達に聞いてみてもやはり1回分しか出してないとのことです。教科書的には3ー4週あけて2ー3回薬を飲むのが基本だと思っていたのですが・・・_x000b__x000b_回答:現在の保健制度では、1回投与が原則です。地域によっては、同一月に2回処 方されると、審査会で査定されるところ(過剰診療と見なし、保健費用の不払い)もあると聞いております。しかし、寄生虫学的に見ると、先生も書かれておりますように3回投与が基本です。私の関与できうる医療機関には3回の処方をお願いしております。但し、その場合も1回に3度分の薬を処方はしません。3度に分けて、処方をして貰い、その後 1ヶ月後に蟯虫検査法(出来たら4回法)を指示しております。_x000b__x000b_ 飲み方が悪いのか、保育園でまたうつってくるのか、なかなか治りません。そのへんはどうなってるのでしょうか?_x000b__x000b_回答:勿論、保育園での感染が強く考えられますが、家族内感染もありますので注意して下さい。経験では、祖母と孫が感染していた例(普段は別居であるが、週末に泊まりに来て、祖母の布団に一緒に寝ていた)もあります。一度、家族検査をおやりになってみたら如何でしょうか。7/10/2001線虫蟯虫
103Acanthamoeba、Balamuthia1)AcanthamoebaとBalamuthiaを分子生物学的に鑑別することは可能でしょうか。_x000b_2)剖検脳で形態学的に(電顕,免疫組織化学,ISH等)鑑別することは可能でしょうか。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加質問_x000b_ ありがとうございました。私の知る限り,Balamuthiaに関する論文は全てVisvesvara, GS.の間接蛍光抗体法に基づいています。ボスのMartinez, AJは電顕でも区別できると書いているのですが,私は自信がありません。しかし,Martinez, AJはPCRやプローブでは鑑別できないと書いています。_x000b_私はBalamuthiaの存在自体に疑問を抱いているのですが,間違いでしょうか・・・。上記の件に関してですが、形態学的な同定は必ずしも容易ではないと思います。_x000b_ご存知のように、米国では蛍光抗体法を用いた同定が行われております。_x000b_(J. Euk Microbiol 40(4):504-514, 1993.)_x000b_当方では病理切片(未染色標本)を試料としてPCRを行い、特異バンドを検出した経験を持っております。8/14/2001原虫アカンソメーバ,バランチジウム
104赤痢アメーバ石川県の田舎の総合病院の内科勤務医です。_x000b__x000b_教えていただきたいことがあるのです。_x000b_どうぞよろしくお願いいたします。_x000b__x000b_83才で、HIV感染のリスクなく、リンパ球減少もない患者さんです。_x000b_(ただし、HIV抗体を検査してありません)_x000b_海外渡航歴もなし。_x000b__x000b_下血(軽度)で受診。_x000b_大腸内視鏡で上行結腸にアフタ性病変。_x000b_生検で典型的なE. histiolytica invasive colitisと診断。_x000b_肝膿瘍なし。_x000b_ある大学で特異抗体で染めてもらっても陽性であったとのこと。_x000b_感染経路は不明。_x000b__x000b_メトロニダゾール250mgx3/日x10日ですみやかに軽快。_x000b__x000b_その後、数ヶ月で再発。内視鏡でも確認。_x000b__x000b_ということで相談を受けました。_x000b__x000b_750x3が標準とすれば、今回の再発は、量の問題?とも思うのですが、、、、_x000b_その後、おこなうべきerradication of the intraluminal encysted organismのためのparomycin, or iodoquinolを投与しないことも問題でしょうか?_x000b_とすると、それは日本で手に入るのでしょうか?_x000b__x000b_1)250x3で、もっと長く治療_x000b_2)500x3くらいで、10日_x000b_3)1)あるいは2)に加えて、上記のいずれかを投与_x000b_4)家族内キャリアーがばらまいている可能性(今回は、再発ではなく再感染。)を考えて、調査_x000b__x000b_もし、3)なら、_x000b__x000b_どこか、分けて頂ける施設はあるのでしょうか?_x000b_なぜ、日本にこの薬が販売されていないのでしょうか?_x000b_日本の教科書では3)について触れられていないものが多いようですが、なぜ?_x000b_実際にはメトロニダゾールだけでほとんどが治癒するからでしょうか?_x000b__x000b_どうぞよろしくお願いいたします。回答1_x000b_ 赤痢アメーバによる大腸炎の場合、英国ではメトロニダゾール750 mgを1日3回、5~10日間使います。したがって、1日の量としては3倍です。5日間というのは短いようですが、ロンドンのHospital for Tropical Diseases内部での治療マニュアルにはそうなっています。「日本人では毒性が強いから少量で..................」と言う人がありますが、根拠があるのか私は知りません。根拠がないとしたら、いつまでもこういうrecommendationを出すのは問題です。_x000b__x000b_また、メトロニダゾールの後には、luminal drugとして非吸収性薬剤であるフロ酸ジロキサニド500 mgを1日3回、10日間使用します。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 今後の治療_x000b_1.メトロニダゾール500 mg x 3 で10日間、または250 mg x 4 で10日間の追加治療でよいと思います。_x000b__x000b_ このような症例は当院でもまれに経験しますが、いずれもメトロニダゾールの再投与で改善(治癒)しております。Paromomycin やIodoquinolの投与は不要です(入手も不可ですが)。_x000b_ 再発の原因は不明です(当院の症例でも)。_x000b__x000b_2.実際にはメトロニダゾールで治癒する症例がほとんど全部と思います。_x000b__x000b_3.家族の検便をするとよいと思います。9/1/2001原虫赤痢アメーバ
105ジエチルカルバマジン治療とアレルギー性脳炎フィラリア症治療におけるスパトニンの副作用として、 アレルギー性脳炎と失明のリスクについて薬剤説明書にも記載してありますが、具体的な症例の文献、最近の事例についての資料などを教えて頂きたいと思います。_x000b_また、死滅した虫体タンパクで人間にアレルギー反応を起こすようですが、詳しいメカニズムについてわかっていれば教えていただきたく存じます。Diethylcarbamazine(DEC)は極めて安全な薬剤といわれており、WHOが集団治療に推奨しています。とくに重篤な副作用が報告されているのは次の2つの場合くらいではないでしょうか。_x000b_(1)オンコセルカ症。副作用が大変強く(マゾッテイ反応)、眼症状も悪化することがある。_x000b_(2)ロア糸状虫症。重篤な脳炎が報告されている。_x000b_以上のことよりWHOはオンコセルカとロア流行地ではDECを用いないようにしています。副作用の正確な機序に関しましては不勉強のためよくわかりません。最近注目されているのはフィラリアに寄生するWolbachia というリケッチア類似の細菌です。グラム陰性でendotoxin(-like)を放出する可能性があり、これが治療による副作用の原因の一つと考えられている様です。手持ちの文献としては_x000b_Five cases of encephalitis during treatment of loiasis with diethylcarbamazine. Am J Trop Med Hyg. 1991 Jun;44(6):684-90._x000b__x000b_Wolbachia bacteria of filarial nematodes. Parasitol Today. 1999, 15: 437-442._x000b__x000b_多分良さそうな(読んでいません)文献としては、_x000b_Dadzie KY, Bird AC, Awadzi K, Schulz-Key H, Gilles HM, Aziz MA. Ocular findings in a double-blind study of ivermectin versus diethylcarbamazine versus placebo in the treatment of onchocerciasis. Br J Ophthalmol. 1987 Feb;71(2):78-85.10/18/2001その他
106ブタ蛔虫幼虫移行症42歳女性で微熱、好酸球増多症にて入院中の方がいます。_x000b_宮医大の寄生虫学教室で血清診断していただきブタ蛔虫感染症と考えています。肝 CT、エコーでも移動性の肉芽腫らしき病変も認められています。_x000b_治療薬としては何を使用すべきでしょうか?_x000b_ご教示下さい。動物由来の回虫の幼虫による内臓幼虫移行症の治療は、アルベンダゾール10-15 mg/kg/day for 4-8 weeksを標準にしています。好酸球増多が激しいときにはステロイド併用をすることもあります。11/21/2001線虫ブタ回虫
107好酸球増多を伴う皮疹29歳女性です。10日前からの両下肢腫脹を主訴として来院されました。発熱その他全身症状はありません。両下肢はかなり腫脹していますが、圧痕形成はそれほどではなく、疼痛、熱感、皮膚色調変化はありません。下腿足関節上部に小水泡を伴う暗赤色皮疹を多数認め、掻痒感があり、掻破によるKruste形成を認めました。血液検査で白血球増加、特に好酸球増加が著明です。20000/mm3でEosinoが55%でした。その他の所見としてはLDHの上昇がみられるのみで、肝腎機能、貧血などはなく、CRP、血沈も正常範囲でした。寄生虫症が疑われるように思いますが、今後の検査、確診法につきご教示頂ければ幸いです。なお、海外渡航歴はないとのことでした。よろしくお願い申し上げます。寄生虫感染の可能性も否定はできませんが、症状および検査データから見て、Eposodic Angioedema with Eoshinophilia (EAE) が最も疑われます。念のために、SRLでの抗寄生虫抗体検査を実施され、それで陰性であればEAEとして、抗アレルギー剤あるいはステロイドで治療されたらよいでしょう。_x000b_今年1年間で5例ほど、寄生虫症疑いということで、EAEの症例が当教室に持ち込まれております。12/5/2001その他
108下痢60歳、女性。農家。1ヶ月間下痢を間欠的に繰り返し、受診。近医では腸管感染症の原因病原体は検出されていない。腹部理学的所見はない。血液ではHb10と若干の貧血。好酸球が15%を占めています。総WBCは8000。腸管寄生虫を考え、虫卵検査を行いますが、そのほか血液学的に抗体他検査内容はあるでしょうか。1ヶ月間下痢を間欠的に繰り返しているということで、やはり検便虫卵検査が大事だと思います。_x000b_直接塗沫法だけでなく、沈殿あるいは浮遊法による集卵法も併用するべきです。虫卵だけでなく、糞線虫幼虫にも注意が必要。さらには、原虫類について、集シスト法も考慮する必要があります。_x000b_それだけやって陰性であれば、血清抗体スクリーニングということでしょうか。もちろん、検便虫卵/シスト検査と並行でも構いません。スクリーニングはSRLで可能です。_x000b_検便でも、抗体検査でも寄生虫感染症が否定されたら、IBDやeosinophilic colitisを疑って大腸内視鏡検査ということになるでしょう。12/26/2001その他
109糞線虫症疑いお世話になります。治療方針についてのご指導よろしくお願い申し上げます。_x000b__x000b_症例は70才女性で、とくのしま出身、S31年より大阪府在住の患者です。_x000b_H11年ごろより皮膚の掻痒感が出現し近医皮膚科でフォローされていました。血液検査で好酸球増多を認め、H13年3月当科紹介受診されました。当院での血液検査でWBC 9200、Eo. 30%(2760)、IgE 2000を認め、原因精査施行したところ、糞線虫抗体が陽性であり、これによる好酸球増多症を疑いました。便からの虫体の証明を、普通寒天平板法にて数回に渡り試みたのですが、すべて陰性の結果でした。糞線虫感染で自然治癒はほとんどないとのことなので、おそらく原因と思われるのですが、証明ができません。_x000b_一旦皮膚の掻痒感も落ち着いていたので、このまま経過観察していくつもりだったのですが、最近再び掻痒感が強くなってきています。それ以外の症状は今のところありません。_x000b_Eoの高値は依然持続しており、治療的診断として、寄生虫駆除を試みるべきかどうか判断に苦慮しております。よろしくご指導お願いします。回答1_x000b_ 患者さんの年齢、出身地、好酸球増多、IgE上昇、血清抗体検査などの結果から考えて、糞線虫感染の関与は否定できないと思います。_x000b_ 皮膚病変がはっきりせず、掻痒感のみが出没するということですと、幼虫の皮下移行による、いわゆるlarva currensを考えるよりも、systemic allergyによる症状ではないでしょうか。_x000b_ 普通寒天平板法による幼虫検出を数回試みたがすべて陰性ということですが、免疫能が正常なヒトで、極めて少数の自家感染で糞線虫感染が維持されている場合には、必ずしも全例で幼虫が検出されるわけではありません。_x000b__x000b_ ここからは賛否両論、意見が分かれるところかと思いますが、私の個人的な考えではイベルメクチン内服による治療的診断を試みても良いと思います。理由は、1)患者さんが繰り返す皮膚掻痒感で悩んでおられること、2)イベルメクチンは極めて副作用が少なく、2週間間隔で2回内服のみで済むこと、3)内服前後のペア血_x000b_清(2-4ヵ月間隔)の抗体価の比較により、治療効果判定が可能であることです。_x000b__x000b_ 極めて稀なケースと思われますが、皮疹、好酸球増多、IgE上昇、糞線虫抗体陽性で、反復しての検便では糞線虫が検出されず、フォローしているうちにlymphomaやmyelodysplastic syndromeなどの血液悪性疾患がみつかったという症例を経験したこともありますので、血液疾患の可能性についても常に念頭に置いておく必要はあ_x000b_ります。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 糞線虫の検出法について一言._x000b_ 寒天平板法を数回行い陰性だったということですが,下記のような濾紙培養法もあります._x000b__x000b_1)一般的な試験管濾紙培養法を26-28度程度で2-3日間行う._x000b_2)37度程度の温水を試験管の口まで注ぐ(数分内に濾紙から感染幼虫と自由生活型成虫が,温水中に遊出する)._x000b_3)数分後に試験管から便を塗布してある濾紙を抜取る(便ができるだけこぼれ落ちないように注意する)._x000b_4)試験管を静置し,虫が底に沈むのを待つ._x000b_5)虫を取りだし,顕微鏡で観察._x000b__x000b_ 濾紙培養法は寒天平板法よりも検出感度が低いといわれますが,上記の方法は自由生活型成虫を数匹でも確実に見つけることができ,相当に高感度だと思います._x000b_1/4/2002線虫糞線虫
110瓜実条虫、プラジカンテル一歳の小児に対し瓜実条虫の駆虫目的で、プラジカンテルを投与したいが小児への使用経験はどうでしょうか?経験があるようでしたら小児用量を教えていただけないでしょうか。_x000b_よろしくお願いします。10年近く前ですが、7ヵ月の小児の瓜実条虫症に対して、プラジカンテル10 mg/kg屯用、下剤を併用して駆虫した経験があります。詳細は、Watanabe T, Horii Y, Nawa Y.: A case of Dipylidium caninum infection in an infant - The first case found in Miyazaki Prefecture, Japan - Jpn J Parasitol 42: 234-236, 1993 をご覧下さい。2/8/2002条虫瓜実条虫
111赤痢アメーバ、肝膿瘍肝膿瘍を合併する赤痢アメーバーの症例につきご相談申し上げます。_x000b__x000b_58歳 女性 平成14年1月6日、39℃の発熱と腰痛にて発症し1月9日、当院へ紹介入院されCT,エコー上、肝右葉に6cmの肝膿瘍を認めPTAD(肝膿瘍ドレナージ術)を施行し排液より赤痢アメーバーが検出されました。そこで、フラジール9T 3×1  の内服を開始し、連日PTADの生理食塩水による洗浄を続けましたところ、便中にアメーバは検出されなくなりましたが、PTADの排液には栄養型アメーバが検出され続けており、3月中旬よりミノマイシン100mgで連日PTAD内に注入しておりますが、アメーバは依然として検出されております。CT上は肝膿瘍は殆ど内腔は認めなくなりカテーテルの留置スペースのみとなっております。_x000b_患者は現在のところ発熱もなく肝機能も正常であり、下痢もなく便中にアメーバは検出されません。そこで相談申し上げるのですが_x000b__x000b_1.PTADチューブは排液中にアメーバが検出されなくなるまで抜去できないものでしょうか_x000b__x000b_2.もし、抜けないとすればPTAD内に注入できる駆虫薬は日本で入手できる方途はないでしょうか_x000b__x000b_以上2点についてお伺いします回答1_x000b_ 「PTADの排液からアメーバは依然として検出されております。」_x000b_とありますが、検出の方法は? 誤認の可能性は?_x000b__x000b_「便中にアメーバは検出されなくなりましたが、」_x000b_とありますが、最初は便中にアメーバが検出されたのですね?その時は粘血便があったのでしょうか? アメーバに対する抗体価は?_x000b__x000b_「PTADチューブは排液中にアメーバが検出されなくなるまで抜去できないものでしょうか」_x000b_ 2ヶ月以上PTADをつけたままの患者も気の毒です。一度とって経過をみた方が良い気がします。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b__x000b_58歳 女性_x000b__x000b_ 赤痢アメーバ症患者の約90%は男性です。_x000b_感染エピソードは確認されましたでしょうか?_x000b__x000b__x000b_平成14年1月6日、39℃の発熱と腰痛にて発症し1月9日、当院へ紹介入院_x000b__x000b_ アメーバ性肝膿瘍患者の多くは、亜急性に発症します。発熱は38℃台が多く、発病から1週間以上たって受診することが多いようです。_x000b__x000b_当院へ紹介入院されCT,エコー上、肝右葉に6cmの肝膿瘍を認め_x000b__x000b_ アメーバ症なら、腹部CTスキャンで確認される肝膿瘍のサイズは通常8cm以上です。_x000b__x000b_ここまでの経過を拝見する限り、アメーバ性膿瘍より細菌性膿瘍を疑うべき症例と思われます。_x000b__x000b__x000b_PTAD(肝膿瘍ドレナージ術)を施行し排液より赤痢アメーバーが検出されました。_x000b__x000b_ 膿汁は、イカの塩辛に似た色調(しばしば血性)で、無臭でしたか?_x000b__x000b_典型的な症例ではないようなので、血清抗体あるいは遺伝子の検出で診断を確認して下さい。以下、それが前提となります。_x000b__x000b__x000b_そこで、フラジール9T 3×1  の内服を開始し、_x000b__x000b_ フラジール投与量は9T(2,250mg/day)で十分かと思います。_x000b__x000b_フラジールの添付文書には1T/day(250mg、分1)となっていますが、_x000b_海外の文献では3T,tid(2,250mg、分3) となっています。_x000b_ちなみに、私は2T,tid(1,500mg、分3)で処方します。_x000b__x000b_連日PTADの生理食塩水による洗浄を続けましたところ、便中にアメーバは検出されなくなりましたが、PTADの排液には栄養型アメーバが検出され続けており、3月中旬よりミノマイシン100mgで連日PTAD内に注入しておりますが、アメーバは依然として検出されております。_x000b__x000b_ ひょっとして2ヶ月もフラジールを続けているのでしょうか?_x000b_アメーバ症肝膿瘍なら、通常フラジール投与は2週間までです。_x000b__x000b__x000b_CT上は肝膿瘍は殆ど内腔は認めなくなりカテーテルの留置スペースのみとなっております。患者は現在のところ発熱もなく肝機能も正常であり、下痢もなく便中にアメーバは検出されません。_x000b__x000b_ 「アメーバが検出されている」という点を除いて、順調な経過というわけですね。_x000b_だとすれば、_x000b_ - フラジールは中止する。_x000b_ - 診断を再確認する。_x000b_のが通常の判断かと思います。_x000b__x000b__x000b_1.PTADチューブは排液中にアメーバが検出されなくなるまで抜去できないものでしょうか_x000b__x000b_ 腹部皮下(ドレナージ抜去部位?)に赤痢アメーバが膿瘍を形成した例があります。本当に赤痢アメーバが検出されているなら、慎重な判断が必要でしょう。_x000b__x000b_ただし、まずは赤痢アメーバの存在を確認すべきかと思います。_x000b_(1) 赤痢アメーバの検鏡写真をみせていただけませんでしょうか?_x000b_(2) 膿瘍排液から赤痢アメーバ特異DNAを検出することでも診断できます。_x000b_(3) 血中の抗アメーバ抗体で診断を確認することもできます。_x000b__x000b_2.もし、抜けないとすればPTAD内に注入できる駆虫薬は日本で入手できる方途はないでしょうか_x000b__x000b_ いくつか事例は存じておりますが、その必要性と有効性の評価は難しいです。私見ですが、赤痢アメーバ症に関する限り、膿瘍内に駆虫薬を注入するのはあまり意味がないと思っています。_x000b__x000b_ もし膿瘍液から赤痢アメーバが確認されたら、株を分離してまず薬剤感受性を調べる必要があると思います。3/20/2002原虫赤痢アメーバ
112皮下腫瘤からの紐状の虫患者さんの診断に関してご助言いただければ幸いです。_x000b__x000b_30歳女性 タイ出身。_x000b_12年前から日本に在住。_x000b_2年前より左大腿に約1cmの皮下腫瘤が存在。_x000b_局所麻酔下に切除したところ切除検体から白色の約10cmの紐状の寄生虫?が摘出されました。_x000b_ホルマリンにつけている虫体?を専門家に見て診断にていただきたいのですがどうすればいいでしょうか?_x000b__x000b_よろしくお願い致します。_x000b_回答1_x000b_ 病変部位、記述された虫体の性状等からマンソン孤虫の可能性が高いと思われます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ ホルマリン浸漬された約10cmの紐状の寄生虫?ということですので診断はそう難しくないと思います._x000b_近くにある医科部の寄生虫あるいは医動物学教室に相談すればいいと思います._x000b_4/3/2002条虫マンソン孤虫
113サナダムシお忙しいところ申し訳ございませんが、下記につき治療方針ご教示いただきたメールさせていただきます。_x000b__x000b_48歳男性。以前、さくらますを生食したことがあった。昨年春、肛門より虫体が排出あり、近医でサナダムシと診断され投薬受ける。その後の便中虫卵検査陰性。その後、再び虫体の排出あり当院受診される。メベンダゾールを投与するも、3ヵ月後再び虫体の排出あり、メベンダゾールとガストログラフィンの投与を行った。しかし、4ヵ月後再び虫体の排出が認められる。_x000b__x000b_今後の治療薬として、今度は何をどう投与したらよいのか治療方針につき、ご教示いただければ幸いです。排泄された虫体から種類を同定する必要があります。_x000b_文面からは、いわゆる広節裂頭条虫の可能性が大です。_x000b_有鉤条虫(本症例ではその可能性は少ないと思います)以外の条虫であれば、第1選択薬はプラジカンテル(商品名ビルトリシド:バイエル)でしょう。_x000b_メベンダゾール等のベンズイミダゾール系駆虫薬は効かないのではないでしょうか。_x000b_教科書的には、プラジカンテル10 mg/kg頓用、2時間後に塩類下剤を与え、排便をできるだけ我慢させて約2時間後に一気に排便させるとよい、ということになっています。4/10/2002条虫サナダムシ
114蟯虫、コンバントリン耐性蟯虫症についてですが、コンバントリン内服後、2週してから再検査でまた陽性でした。寝具などのケアも指示し、再投与しましたが、コンバントリン耐性の蟯虫はあるのでしょうか?_x000b_また、ほかの薬剤はありますか?_x000b_よろしくお願いいたします。蟯虫の薬剤耐性は有るようです._x000b_この問題は(財)大阪予防医学協会が独自に行った「蟯虫根絶プロジェクト」の過程で見られたように思います._x000b_詳しくは,財団法人大阪予防医学協会,大阪市西区京町掘2ー14ー20,電話;06ー6447ー0431,にお問い合わせ下さい._x000b_以上_x000b__x000b_但し,二週間程度のインターバルでは駆虫時に成虫になっていなかった蟯虫(幼虫)が生き残った可能性も考慮する必要があり,また.生活環境(感染機会が多い)等も慎重に考慮すべきかと思いますが...6/29/2002線虫蟯虫
115疥癬突然で失礼いたします。_x000b_実は、当院で疥癬と思われる皮膚病が蔓延中です。_x000b_看護婦が感染し、皮膚科で診断されたそうです。_x000b__x000b_そこで、お尋ねですが、なんとか「メクチザン」を入手出来ないでしょうか?_x000b_宜しく、ご教授いただければ幸いです。回答1_x000b_ 当教室もふくめて、厚生科学研究費「熱帯病に対するオーファンドラッグ開発研究」研究班の薬剤保管機関から供給可能です。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 治療薬の入手については回答1のお答えでよろしいとして、疥癬の診断はどの程度確定しておられるのでしょうか? 皮膚科の先生は疥癬虫(ヒゼンダニ)の虫体もしくは虫卵を確認しておいででしょうか? 臨床症状とその拡がり方から見て、疥癬症は臨床診断はつけ易いのですが、もし虫体・虫卵を確かめておられないようでしたら、患部皮膚の落せつを一片取られて、顕微鏡でご覧になっておいたほうがよいと思います。_x000b_7/5/2002衛生動物疥癬
116犬便からの線虫初めてのしつもんです。宜しくお願いいたします。_x000b_犬の糞便を直接鏡検したところ、微小な線虫が検出されました。_x000b_大きさは、ちょうど、回虫卵からふかしたばかりの幼虫くらいです。_x000b_虫卵はなく、虫体のみ十数匹発見されました。集中法でも検出されません。_x000b_幼虫のみでも観察されうる寄生虫、またその鑑別法があったら教えていただけないでしょうか。治療としては、回虫または糞線虫を疑って進めています。可能性の高いものでは,糞線虫,鉤虫,土壌線虫が挙げられます._x000b__x000b_糞線虫については,ヒトに感染するStrongyloides stercolarisがイヌにも感染することが知られていますが,日本では奄美,沖縄と暑い地域以外で見るのはめずらしいはずです.一方イヌやネコに感染するStrongyloides planicepsは最近は調査していないのでわかりませんが,以前は京都の野犬でもときどきみつかりました._x000b__x000b_鉤虫は,虫卵がでるはずですが,今は暑いので便を1日も放置すれば孵化して幼虫がでてきてもおかしくありません._x000b__x000b_土壌線虫は,どこからか混入した場合._x000b__x000b_いずれも,便を濾紙培養して感染幼虫が見つかれば鑑別がつくと思います._x000b_回虫卵の可能性はほとんどないと思います.7/10/2002その他
117ピンク色の虫体74歳男性。アルコール肝炎で通院。平成14年6月7日マッチ棒大の太さで長さ 15cm位でややピンク色のものが大便のとき排出した。動いていて気持ち悪いの で流してしまった。小学校と高校生の時も同様のことがあった。胃痛などの自覚症 状はない。カツオやマグロはよく食べる。と訴えています。7月8日9日便虫卵 (-)。7月2日に申告の為検査が遅れました。肛門のところが痒かった。4日か 7日後に虫が出たと話しています。_x000b_このまま経過観察で良いか、なにか駆虫薬を服薬させた方が良いか御教示ください。回答1_x000b_ 蛔虫の可能性が高いと考えます。排虫後に虫卵は検出されていないので、単数寄生で既に排虫されたものと考えますが、念のためにコンバントリンで治療 (10mg/kg、1回頓用)をすることをお奨めします。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 虫体の太さがマッチ棒大ということですので,回虫のオスの可能性が一番高いとは思いますが,ヒトの回虫以外に,アニサキスのpreadultという可能性もあるのではないかと思います。_x000b_7/9/2002その他
118トキソプラズマ症、妊娠私はイタリアで今年4月23日に女児を出産しました。_x000b_妊娠中に(おそらく5,6ヶ月目だったと思いますが)トキソプラズマに感染したことが判明し、すぐに抗生物質(rovamicina)による治療を開始して出産しました。_x000b_感染判明後すぐに羊水検査をして問題はないとお医者さんに言われました。_x000b_娘の血液検査結果は_x000b_ _x000b_4月24日IgG46、_x000b_5月15日IgG30、_x000b_9月2日IgG44、_x000b_9月23日IgG90_x000b_ _x000b_と増加してしまいました。_x000b_トキソプラズマ抗体は一貫してネガティブです。_x000b_ _x000b_娘は出生後すぐ上記の抗生物質による治療をしています。_x000b_出生後2回脳の超音波検査をしましたが問題はありませんでした。_x000b_(イタリア語で説明されたためよくわからなかったのですが、右と左の水路が左右対称ではないといわれましたがトキソプラズマとは関係がなく特に問題はないそうです。)_x000b_ _x000b_IgGが90と上昇したのはなぜなのか、これからの治療としてはどのようなものがあるのか、よく説明を理解することができず不安です。_x000b_ _x000b_インターネットで検索したところ、そちらの研究所のサイトを拝見し説明頂けないものか、またはどちらか相談できるような所をご存知ではないかと、メールをさせて頂きました。先ず、「妊娠中に(おそらく5,6ヶ月目だったと思いますが)トキソプラズマに感染したことが判明した」とのことですが、どの様な診断法とその検査結果から判明したかお分かりになりますか?もし、イタリアのドクターの診断基準がわかれば、新生児の治療や予後について考えやすいです。_x000b__x000b_いずれにしても、妊娠中にrovamicina(spiramicina) の処方を受け治療していますし、お嬢様も同様の治療を既に受けており、トキソプラズマ抗体が陰性、かつ画像診断でトキソプラズマ症を考えさせる所見がないとの診断がされている症例ですので、おそらく他の臨床所見も異常がないものと考えます。_x000b__x000b_なお、今後トキソプラズマ症の可能性を考え、眼科領域症状、小児神経科領域症状、発育などに配慮すればいいと思われます。_x000b__x000b_質問のIgGの上昇ですが、生後4、5月を最低値(IgG; 170-1100mg/dl IgG1; 158-392, IgG2; 24-132, IgG3; 6-68 mg/dl)として、以後、15才位まで上昇(IgG; 640-1400 mg/dl)していく過程を考えると正常範囲です。これは母親の由来の免疫グロブリンIg の減少と新生児自身が抗体産生を始めることによる生理的カーブです。9/26/2002原虫トキソプラズマ
119宮崎肺吸虫症膿胸化した宮崎肺吸虫症例について御教授下さい。_x000b_ 右横隔膜上に胸水貯留を認め、ドレナージ液および胸壁生検組織より吸虫卵を得ました。プラジカンテル3600mg/日3日間投与を8月より4週間隔で3回試みましたが、いまだ虫卵を認めます。5月22日胸水穿刺液培養にて結核菌を認め7月13日よりINH300mgRFP450mgEB750mg内服を併せて施行中です。 全身状態は良好で熱発等も認めませんが、排液は50-70ml/日、膿性です。_x000b_ 膿胸壁掃把術等を考慮しておりますが、今後の方針治療法等につき宜しくお願いします。プラジカンテル反復投与にもかかわらず、宮崎肺吸虫症が治癒しない原因として投与量が不十分である可能性が考えられます。肺吸虫症に対するプラジカンテル投与量は75 mg/kg/day for 3 daysです。これは添付文書よりも多い量ですが、この量でほぼ100%の治癒率が得られます。また胸水貯留がある場合も薬剤が希釈され、その効果を低下させる原因の一つですので、投与前に胸水をできるだけ抜いておくことが重要です。_x000b__x000b_ 私達も膿胸壁掃把術に至った肺吸虫症例を経験していますが、この例では肺吸虫特異的抗体価も低く肺吸虫感染そのものはアクティブな状態ではありませんでした。ご相談の症例では虫卵がいまだに検出されており、アクティブな肺吸虫症であろうと考えられますのでプラジカンテル内服で軽快する可能性もあると思います。10/25/2002吸虫宮崎肺吸虫
120裂頭条虫、妊婦の治療30歳女性で妊娠17週の方ですが、排便時に扁平半透明で20cmほどの虫体がでたとのことで当センターの相談にみえました。現物はないのですが、広節裂頭条虫か、日本海裂頭条虫ではないかと思います。_x000b_妊娠中であり安全に行える治療法があれば(あるいは出産まで待って治療した方が良いのか)、ご教示頂ければ幸甚です。 条虫の駆虫に使うプラジカンテル(商品名ビルトリシド)は、「妊娠中の投与に関する安全性が確認されていないので、使用しないことが望ましい」となっています。長い虫体として出たので、広節裂頭条虫あるいは日本海裂頭条虫の可能性が高いでしょうが、それであれば糞便中に虫卵が出やすいので、確かめておくのがいいでしょう。サケなどを生に近い形(ルイベなど)で食べたでしょうか? 糞便中に虫卵が見つからないならば、これから虫体や片節が出て来ないか十分に観察してもらい、出たら捨てないで同定しておくべきでしょう。_x000b_ いずれにしても、妊娠中にプラジカンテルを使う必要はまずないと思います。10/30/2002条虫裂頭条虫
121好酸球浸潤のある乳房腫瘤タイ出身の30代女性が、乳房腫瘤を主訴に来院しました。触診、エコーなどで通常遭遇する乳腺腫瘤とは異なる所見が得られたためせ刺吸引細胞診を行ったところ好酸球、好中球を含む炎症性細胞とともに肺吸虫の卵を思わせる構造物がわずかに認められたという報告書が届きました。腫瘤は乳房の皮下脂肪織あるいは乳腺組織に存在すると考えられます。_x000b_この場合、寄生虫感染を疑って検査を進めるべきでしょうか。この女性は10年以上前に日本人男性と結婚しており日本在住で、最近は魚介類などの生食は控えめに_x000b_しているとのことです。また、乳房腫瘤には数ヶ月前に気がついたとのことでした。_x000b_この患者さんに対して行うべき検査、考えられる診断・治療についてご教示ください。病理所見で好酸球浸潤が見られると言うことから、寄生虫感染の可能性は十分考えられると思います。皮下腫瘤を呈する寄生虫として肺吸虫も考えられますが、それ以外の寄生虫の可能性もあります。したがって、吸引細胞診標本中の構造物が本当に虫卵なのかどうかもあわせて検討する必要があるのではないでしょうか。1/15/2003その他
122無鉤条虫、分娩時の変節排出突然の相談で申し訳ありません。_x000b_当院の産婦人科医より相談を受けました。_x000b_出産時に糞便より片節が2個排出され、検査に出したところ無鈎条虫とのことでした。_x000b_本人の自覚症状はないのですが、駆虫の必要性はありますでしょうか。_x000b_手元の資料では、プラジカンテルという薬剤を飲んで下剤をのむ、とありますがあまり詳しくは載っていないので駆虫の必要性があれば具体的に日数、用量などご教授をおねがいします。また効果判定の方法ややっておくべき検査あれば教えていただけないでしょうか?また、出産後であり授乳への影響等もあるかと存じますので宜しくご考慮願います。回答1_x000b_ 私たちは同様の「分娩時発見された無鉤条虫症の一例」( Clinican parasitology 12:43-44, 2001)を経験しました。産褥2日目にプラジカンテル2000mg( 10-50mg/kg)1回投与。糞便中に虫卵、片節の排出を認めた。初乳がプラジカンテル投与後26時間後に始まったので授乳許可としました。_x000b__x000b_ 以後、片節の自然排出がなければ授乳のことも考え経過観察で良いと思います。なお、患者様(母親)には、感染源(生の牛肉やレアステーキを食べて感染すること)や、無鉤条虫症は時に軽度の炎症性消化器症状やアレルギー反応が起こることはあるがほとんどが無症状であること、人から人(赤ちゃんや家族)へは感染しないこと、治療法が確立されていること、薬(プラジカンテル)の副作用の説明およびその副作用が少ないこと、治療24時間後の授乳で赤ちゃんに影響が大変少ないこと、を充分説明し、不安を起こさせないことが大事です。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ プラジカンテル単回投与の時の量ですが、私は東大医科研時代に国内での文献の記載に従って25-50mg/kgを使ってきました(実際は30-40mg/kg)。ところが、欧米では10mg/kgと少量のことが殆どです。私自身は両者を比較することはできませんが、少量で済めば望ましいでしょう。_x000b_添付文書では、プラジカンテル服用当日および72時間後までは授乳を避けること、と記載されています。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ プラジカンテル投与後の授乳に関しては、その血中濃度が9時間後に99.5%(20mg/kg投与時)以下になることから、初乳の重要性を考え24時間後を一つのめどとしましたが、最近、プラジカンテルにはいくつかの変異原物質や発ガン物質との共同作用により変異原性を示唆する報告も出ていますので(疑問視されてはいますが)、添付書に従い投与後72時間は母乳は搾乳廃棄にするべきでしょう。なお、妊婦に対する安全性は確立されていませんので禁忌であることを、念のために申し添えます。2/8/2003条虫無鉤条虫
123蛔虫15才の以前エチオペア在住の少年ですが、3週間前に他院での検診にて便回虫卵陽性のためコンバントリンの治療を受けましたが二日前に自宅で便に回虫らしきものを発見。当院での虫卵集卵検査では陰性でしたが、再度コンバントリン等での治療が必要でしょうか?_x000b_よろしくお願いします。コンバントリンを再投与されても良いのではないでしょうか。_x000b__x000b_コンバントリンは組織移行性が悪く、腸管内に寄生している虫にしか効き目がないと思います。3週間前に治療した時に、肺などにいた幼虫はコンバントリンで駆虫されませんので、それらが腸管に到達し成長したものが2日前に見つかった虫でしょう。他にも虫がいるけれども未成熟虫だったため、虫卵検査陰性だったとも考えられます。_x000b__x000b_駆虫薬1回投与後しばらくして、再び虫が見つかったということは多数の虫が感染している可能性もありますし、コンバントリンは頓用ですしそれほど副作用のない薬剤ですので、念のため再投与しても良いと考えます。_x000b__x000b_また家族の検査・治療も必要かもしれません。2/26/2003線虫回虫
124広節裂頭条虫肛門より虫が出た由にて検査しましたところ,広節裂頭条虫でした。薬は何がよろしいでしょうか。ご教示くだされば幸いです。患者は53歳の元気な男性です。広節裂頭条虫であれば、以下の駆虫法です。_x000b__x000b_朝食を絶食させ、プラジカンテル(商品名ビルトリシド;バイエル)10mg/kg服用。_x000b_約2時間後に塩類下剤を投与し、なるべく我慢してもらって一気に排便させる。_x000b_(吉田幸雄著 図説人体寄生虫学 第6版より)_x000b__x000b_駆虫後、かならず虫体の頭節を確認することが重要です。頭節が一緒に排出していれば駆虫は成功です。もし確認できない場合、腸管に残存している可能性があり1-2か月後に体節の排せつが見られるかもしれないと患者さんに説明して下さい。また、食品媒介性寄生虫症ですので感染源になる食品を食べた際に同席者がいた場合、その方に体節の排出がないか、必要であれば検査(検便)をされた方が良いと思います。4/10/2003条虫広節裂頭条虫
125旋尾線虫Type X感染によるイレウス例線尾線虫幼虫type Xによると考えられたホタルイカ生食後のイレウス例を経験しました。_x000b_特徴的なCT所見かどうか判りませんが、限局性の小腸壁の肥厚と造影剤による濃染がありました。臨床報告例を調べていますが、うまくみつかりません。正確な英文名と報告例があれば教えてください。尚、この症例は血清学的な判断のみで、画像所見から推測し保存的に改善いたしました。ホタルイカ以外で宿主として他にありますか?旋尾線虫Type X感染によるイレウス例について_x000b__x000b_今回の症例で見られた画像所見は、おっしゃる通り旋尾線虫Type X感染に特徴的なものではないと思います。旋尾線虫症の診断は、症状および食歴、補助診断としての血清学的診断に頼らざるを得ません。ホタルイカ以外ではスルメイカ、ハタハタ、スケトウダラ、ホッケなどからも幼虫が見つかっているようです。_x000b__x000b_病名ですが旋尾線虫幼虫移行症 spiruroid larva migrans、と日本寄生虫学会用語委員会では記載されています。症例報告では、A case of ileus caused by a spiruroid nematode. (Kagei N, et al. Int J Parasitol. 22; 839-841, 1992)、あるいはA case of ileus by the infection of type X larvae of the suborder Spirurina after eating raw firefly squids.(腸閉塞症状を来した旋尾線虫type X感染例、吉川正英ら、奈良医学雑誌54;43-47、2003)などと表現されています。また、長谷川先生がお書きになった『旋尾線虫感染症』(日本における寄生虫学の研究第7巻、511-520、1999)も参考になると思います。4/16/2003線虫旋尾線虫
126キシメン様虫体の排泄寄生虫症と思われる疾患で診断、治療に苦慮している症例があり、ご教示いただければ幸いです。_x000b__x000b_ちょうど1年前に急性腹症(上腹部痛、背部痛)で他院入院歴のある28歳女性です。その時は原因不明の急性膵炎との診断をうけ保存的治療にて軽快いたしました。その後も軽い腹痛があり、当院外来にときどき通院されていました。今回も1年前と同様な腹痛と高度の下痢症状があり当院外来受診、現在当院に入院中です(4月15日入院)。_x000b__x000b_当初は経過から急性膵炎を疑っていましたが、腹部CT検査では膵の腫脹はそれほで強くなく、昨年高値を示した血清アミラーゼも正常でした。ただ上部小腸の腸管膜は著明に腫脹しており、リンパ節腫脹も伴っておりました。投薬、補液にて経過観察していたところ、17日に虫体様の排泄がみられました。残念なことにその時点でトイレで流されてしまっており、虫体を確認したのは患者本人と看護師1名のみでした(性状をうかがったところ、きしめん様で節はあったかどうかは判然としません。約40センチあったとのことです)。たまたま私の実家に広節裂頭条虫と思われるアルコール固定の標本があったので、標本をもってきて確認していただいたところ、良く似ているとのことでした。_x000b__x000b_虫体排泄後、大腸内視鏡検査で虫体を求めましたが大腸内には認めませんでした。その後ガストログラフィンにて小腸造影いたいしましたが、虫体は確認できませんでした。(このときの大腸洗浄液での虫卵検査は陰性でした。)_x000b__x000b_21日にビルトリシド600ミリグラム2錠にて駆虫試みました。下剤内服後に排泄物を全て確認してもらいまいたが、虫体はみられませんでした。22日も再度同じ内容で駆虫剤ないしていただきまいたが、やはり同じでした。_x000b__x000b_血液生化学検査はCRPが一時少し高値を示した以外、全て正常でした。好酸球、IgEも正常でした。_x000b__x000b_条虫でも急性腹症様の症状をしめすことがあるのでしょうか?_x000b__x000b_前回の発症時も今ぐらいの季節だったとのことですが、季節との関連はあるのでしょうか?_x000b__x000b_激しい下痢症状を伴っていたのですが、現在ほぼおさまっており、腹痛も軽減しており虫体は排出されたあとと考えた方が良いのでしょうか?_x000b__x000b_血清抗体等で虫卵、虫体を確認する以外に確定診断行う方法はありますでしょうか?_x000b__x000b_お忙しいところ恐縮ですが、ご教示よろしくお願い申し上げます。回答1_x000b_ この話で思い出しますのは、腸の上皮が全周にわたって剥離し、腸の内容物をのり巻きのように包んだまま肛門から排出された症例です。外見は、条虫にそっくりです。ただし、片節のようなものは見えません。この場合は、寄生虫症の証拠は何も得られませんでした。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 保存的治療と虫体?排せつの17日のエピソード以後、症状が軽快していることから裂頭条虫であった可能性も考えられます。また回答1でコメントされているように、虫体でない可能性もあります。激しい下痢を伴い、長いフィブリン塊が排せつされたケースを私たちも経験しています。_x000b__x000b_しかし、症状および今回のCTでみられた小腸壁の腫脹を寄生虫感染で考えるならば、アニサキス、旋尾線虫などもあり得ます。また季節性を考えると旋尾線虫症の可能性が高いと思います。感染源となるホタルイカの漁期がちょうど今の時期で、その時期に患者の大部分が発生しています。_x000b__x000b_裂頭条虫、アニサキス、旋尾線虫いずれにしても感染源となる食品の摂取がないかどうか問診することが重要であると思います。(サケ/マス/サバ/イカ/ホタルイカ)_x000b__x000b_裂頭条虫症の場合、診断は虫体/虫卵の同定に依存します。旋尾線虫/アニサキス症の場合、免疫診断が役に立つことがありますので、サバ/ホタルイカの食歴があった場合検査されてはいかがでしょうか。_x000b__x000b_その他の寄生虫の可能性が考えられる場合、SRLで12種類の寄生虫抗体についてスクリーニング検査が可能ですので、ご相談下さい。4/22/2003その他
127Q熱の血清診断Q熱の血清診断についておしえてください。_x000b_国内で検査されているところあるでしょうか?御存じのとおり、Q熱は4類感染症に指定されており、IFA法による抗体検査が報告基準の1つにあげられています。_x000b_当然、各地の衛生研究所および国立感染症研究所で対応できる体制となっているはずです。_x000b_Q熱が疑われる患者がおられるなら、これらの機関にご相談いただくのが確実かと存じます。_x000b__x000b_民間の検査センター(いわゆる外注検査を受けるところ)でも検査を受けつけている場合があります。_x000b_特にQ熱が疑われるのでなければ、まずは検査センターに確認してみられてはいかがでしょうか?5/1/2003その他Q熱
128脊髄炎突然恐れ入ります。症例は59歳の男性(職歴調理師、数年前までレバーの生食あり)で、本年2月、肺結核の治療中に脊髄炎を発症しました。精査致しましたが原因は不明で、病巣は頚髄、胸髄、腰髄と不連続に拡がっております。ステロイドパルス療法 5回施行し、内服ステロイド療法も行っていますが、症状は階段状に悪化し現在四肢麻痺の状態です。入院時より好酸球の増多はありませんでしたが、4/28に測定した寄生虫抗体スクリーニングにてブタ回虫クラス2、イヌ糸状虫、イヌ回虫、アニサキス、顎口虫、糞線虫クラス1の陽性でした。プレドニン30mg内服中でのこの結果は脊髄炎の原因としての寄生虫を示唆しうるものでしょうか。御多忙中恐縮ですが、ご教授頂きますようよろしくお願い申し上げます。ステロイドが抗体産生に影響を与える可能性は否定できませんが、寄生虫抗体スクリーニング検査の結果、職歴、食歴からはブタ回虫感染による脊髄炎が考えられます。_x000b__x000b_症状が進行性で、病変が脊髄の広範囲に渡っており、寄生虫以外の可能性もありますが、寄生虫については精査をお勧めします。検査には髄液を用いた方が有用なこともあります。_x000b__x000b_末梢血好酸球は増多していないようですが、髄液ではいかがでしたでしょうか? また、最近のレバー生食歴はございませんでしょうか。5/6/2003その他
129蛔虫 有機野菜嗜好で、アジアからの輸入品で有機野菜なども買うことが多くなってきました。_x000b_ 回虫というのは、野菜を加熱して食べる場合でも、問題がありますか?野菜の加熱も、煮込みでなくて、短時間でちょっと炒めるなどの調理法もあります。_x000b_ また、お茶などの加工品については、飲むだけでなく、そのまま料理に使用することもあります。こういった加工品でも、回虫の危険性は多少あるのでしょうか?回答1_x000b_ 回虫卵の抵抗性については「日本における寄生虫学の研究4巻」に森下薫先生が詳しく記載されています。「感染媒体としての野菜対策」についての項もあります。_x000b__x000b_ お茶の葉に付着した回虫卵についての記載はありませんが,お茶の葉を焙煎する過程で直射日光による乾燥や,高温乾燥などの工程が入るので,どの段階で虫卵が付着するかによっても変わってくるかとは思いますが,葉の摘み取り時にすでに付着していた虫卵はこれらの工程中に死滅すると考えてもいいのではないかと思います。_x000b__x000b_ ある程度乾燥させた茶葉は粗製茶として完成品となる一段階前に「手もみ」の工程があるそうで,このときの手指に虫卵がついていると次の「熱と風による乾燥」では死滅しない可能性はあるかもしれません。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 出典は覚えていないのですが,韓国産キムチから回虫の感染虫卵が検出された報告があったように記憶しています.漬け物は意外と注意しないのではないかと思います._x000b_ また,タイ料理では最後に香菜(パクチー)を生のまま添えることがよくあるので,それも盲点かもしれないと思います._x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 韓国の寄生虫感染パターンは年間3回あると言う報告が以前からあり(日本は春と秋の2回)。これはおそらくキムチの所為だろうと考えられておりました。 _x000b_文献は旧京城大学(Seoul Univ.) 医学部寄生虫学教室、現在のDept. of Parasit., Seoul Univ., Med. School. (Prof. Chai) に問い合わせたら入手が可能かも知れません。_x000b__x000b_追伸:回答1の先生のご指摘でほぼ充分ではないかと思いますが。6/2/2003線虫回虫
130アメーバ性肝膿瘍70歳男性で、アメーバ肝膿瘍の患者様の担当をしています。_x000b_PTADで得られた膿より、検鏡でアメーバを発見し、メトロニダゾール750mg×3/日、10日間にて治療を行いました。_x000b_現在は、発熱も見られず、WBC5000、CRP1.0と炎症に関しては終息を見せており、患者様の状態も回復に向かっています。_x000b_ところが、アルカリフォスフォターゼとγ-GTPの値のみが、いまだに上昇しています。_x000b_5/30を最後に、37度以上の発熱は見られていません。_x000b_メトロニダゾールは6/5まで使用していました。_x000b_    5/26    5/28    5/30    6/2    6/4    6/6    6/10_x000b_ALP  646     756     1035   1591    1732   1995    2149_x000b_γ-GTP 268     436     753    1420    1499   1807   1609_x000b_腹部CTでは、肝膿瘍以外の病変は発見されていません。_x000b_また、特に原因となるような基礎疾患も見られません。_x000b_当院でも、胆道系の精査は行うつもりですが、肝膿瘍の治癒過程において、これらの高値は意味のあるものであるのかどうか、また、教科書などをあたると、ALPは高値を取ることがあると記載されていますが、具体的にどれくらいの値まで上がることがあるのか、ご教授願えれば幸いです。ご参考までに、AMEBIASIS( Editor J.I.Ravdin, Publisher WILEY MEDICAL, 1988 ), p.518, Liver Function Tests ( Extraintestinal Amebiasis )の記載を引用します。_x000b__x000b_The alkaline phosphatase is elevated in more than 75% of patients. Absolute levels tends to correlate with the duration of illness. Transaminase levels are elevated in more than 50% of patients, most frequently those with acute diseases or complications._x000b__x000b_After treatment, transaminase levels usually fall to normal within several days, while alkaline phosphatase may remain elevated for up to 6 months as the abscess slowly resolves.(Katzenstein et al. : A new concept of amebic liver abscess derived from hepatic imaging, serodiagnosis, and hepatic enzymes in 67 consecutive cases in San Diego. Medicine 61(4):237, 1982 ) Serum alnumin and cholesterol are decreased in most patients with established abscesses._x000b__x000b_アメーバ性肝膿瘍の肝機能検査で、ALP上昇は最もよくみられる所見です。_x000b_症例によっては、かなり高い値を示すこともあるようです。_x000b_ただし、この患者さんでは、ALP、γ-GTPとも非常に高いので、胆汁うっ滞の病態も疑う必要があると思います。6/10/2003原虫赤痢アメーバ
131肝被膜下膿瘍血腫、皮下結節患者さんは43歳女性タイ出身で2年前に来日した方で去年の10月に右季肋部痛で当院総合診療科に来院されました。その際施行した腹部CTにて肝被膜辺縁に沿って肝を三日月状に圧排するような低吸収の病変(読影の読みでは肝被膜下血腫)があり、両側(左>右)に胸水の貯留を認めました。また血液検査ではWBC13200 (lymph11.0%, mono2.9%, neut22.8%, eos63.1%, baso0.2%) RBC389万, Hgb10.4g/dl(正球性正色素性貧血の慢性炎症パターン)。その後followのCTでは肝の血腫と思われる部分は増大しており、左胸水穿刺では外観は黄色混濁, PH7.2, 比重1.033, Rivalta反応(+), 好中球9%, リンパ球91%の滲出性胸水の所見を得ました。その後季肋部痛は改善したということで3ヶ月後に来られなくなりました。しかし今年の4月に左季肋部あたり(肋骨上)に硬結のある直径約2cmのしこりとその表面に湿疹ができそう痒感があるとの事で再度来院されました。_x000b__x000b_以上患者さんの病歴と所見です。もし何か考えられる疾患、寄生虫などありましたらアドバイスお願い致します.本症例、当方にダイレクトでのコンサルテーションがあり、回答が遅れました。_x000b_主治医からの連絡で、SRLでのスクリーニング検査でウエステルマン肺吸虫に抗体陽性でした。_x000b_肝被膜下膿瘍と皮下結節はともに肺吸虫症で説明がつくと思います。_x000b__x000b_肺吸虫による肝被膜下膿瘍(Heptatic capsulitis)については、Sasaki et al. Active hepatic capsulitis caused by Paragonimus westermani infection. Int. Med. 41: 661-663, 2002 で症例報告をしております。6/11/2003吸虫肺吸虫
132肝腫瘍、好酸球増多この度は大変お世話になります。御相談したい症例があり御連絡させて頂きます。_x000b_まず簡単ではありますが、患者さまの現病歴を下記に記します。_x000b_(患者)62歳、女性_x000b_(主訴)心か部不快感・発熱・乾性咳_x000b_(現病歴)本年5月下旬より心か部不快感を自覚するが放置。6/6の市民検診の結果にて肝機能障害(GOT 87, GPT 87, LDH 717, ALP 364, γGTP 61)、白血球増加・好酸球上昇(WBC 12100, eosino 60%)を指摘され、又同日より38度を超える発熱・咳も認められた。腹部CTではSOL・肝門部リンパ節腫大を認めたため精査目的で6/12当院入院となる。_x000b_(入院時血液検査主なもののみ)WBC 20400 (esoino 71 %), Hb 11.0, Plt 25.5万、IgE 5180、CRP 0.3_x000b_(入院後経過)_x000b_入院後、悪性腫瘍・寄生虫疾患他を疑い精査を開始しました。胸腹骨盤部CTでは肝腫瘍、肝腫大、肝門部リンパ節腫大のみで胸部に特に異常は認められませんでした。消化器内科にconsultし胆道シンチ・MRCP・胃カメラ・注腸造影・小腸透視施行しましたが明らかな異常は認められませんでした。腫瘍マーカー(AFP, CEA, CA19-9)も正常でした。寄生虫疾患疑い便虫卵数回調べましたが陰性で、エヒノコッカス抗体(EIA)、アニサキス抗体(ELISA)、肺吸虫(EIA)、CAP-包虫を測定しましたがすべて陰性でした(測定は大塚アッセイ、BMLで測定しております)。入院後は薬剤使用することなく自然に解熱し、また血液検査については徐々にWBC, eosino低下し1ヵ月後にはWBC 6000, eosino 30%となりました。最近の旅行暦は無く食事に関しても特記事項は認められませんでした。飼育暦は数年前に犬を飼っていたそうです。興味ある事に、平成11年に肝腫瘍と好酸球増多症で他院入院されており当時も精査されましたが明らかな異常認めず、経過でも自然に軽快ししばらくは外来通院されていたそうですが、半年後に?は肝腫瘍も認められなくなり中断されたそうです。その時に肝生検も施行されておりますが特に異常を認められませんでした。フィルムをお借りし、今回と見比べましたがSOLの場所は違っておりました(前回S6,今回S8)。当院も7/10に一時退院して外来通院して頂いております。_x000b_私としては寄生虫疾患の疑いが完全にぬぐいきれませんが、その証拠になる結果も出ておりません。寄生虫疾患で何か疑われるものがこのような経過でありますでしょうか?また今後寄生虫疾患を疑った場合検査の進め方がありますでしょうか?乱文申し訳ありません。可能であれば御教示宜しくお願い申し上げます。御不明な点がございましたら御連絡宜しくお願いします。SOLのサイズがそれほど大きなものでなければ(径2 cm程度まで)、発熱・好酸球増多・肝腫大などからイヌ回虫あるいはブタ回虫幼虫による内臓幼虫移行症の可能性が考えられます。また、SOLサイズが大きい(3cm以上)の場合、肝蛭症も考えられますが、自然緩解している点が合わないように思います。いずれにしろこれらの寄生虫症の診断/除外には、免疫学的検査が有用です。7/14/2003その他
133シャーガス病 JICA健康管理センター顧問医として、主に青年海外協力隊の方の健康管理のお仕事をさせて頂いております。このたび、ボリビア事務所から、シャーガス病についての質問を受け、判断に困りましたので、先生方よりアドバイスを賜りたいと存じます。_x000b_ 青年海外協力隊は、御存知のとおり、現地の生活にほぼ溶け込んで仕事をしている者も多く、シャーガス病の流行地区でも広く活動しています。生活様式・住居も、地元住民と変わりません。そこで、隊員から、「住民の多くがシャーガス病に感染しているから(事実不明)、帰国時の健康診断のときに、シャーガス病の抗体検査をしてほしい。それで陽性ならば治療してほしい」とお願いがありました。_x000b_ しかし、無症状の時期に抗体検査をして、治療をすることは、必要なのでしょうか。_x000b_ 実は、協力隊では、流行地からの帰国後に住血吸虫の抗体検査を全例施行し、陽性ならば治療するようにすすめているのですが、疑陽性で治療している場合が多く、治療適応の基準に疑問を感じることがあります。また、旅行医学の専門家では、住血吸虫の抗体検査は、スクリーニングとして行うべきではないとおっしゃる方もおり、迷ってしまいます。_x000b_ 無症状の方に対する抗体検査の考え方について(特に、シャーガス病)お教え頂きたいと存じます。何卒よろしくお願い申し上げます。_x000b_回答1_x000b_ シャーガス病は初期症状を示すものは1-2%にすぎず,青年協力隊の年令では無症状に経過するでしょう。_x000b__x000b_ 彼らが言う通り無症状でも抗体か原虫検出法で感染が認められれば,当然治療すべきです。疑陽性の問題がありますので,現地生活をする前のコントロール血清は用意しておくこと,帰国後抗体陽性ならば,血中の原虫を培養法か,PCRで検出すればスクリーニングできます。抗体のみ低力価陽性で原虫検出できなければ経過観察すべきです。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 麻疹とか風疹などのHI抗体の場合には、抗体測定の意義付けがある程度示されており、世界共通で話しあうことができますが、寄生虫の抗体測定の場合には、それぞれの研究室で開発したものであることが殆どであり、一般論として話すことは困難でしょう。その方法がワンポイントで陽性、あるいはペアで陽転した場合にどう意義づけるかについては、その測定の開発者が丹念に臨床的データを取っていて、検査結果の評価を自信をもって言えるかどうかにかかってきます。発売されているキットであれば、その点はっきりと記載されているでしょうが、記載されていても「○○の様な結果の場合の評価は明らかになっていない」と言う場合もあるでしょう。_x000b_ 私も「旅行医学」に携わっている者の一人ですが、住血吸虫症の抗体検査はヨーロッパでは、アフリカから帰国した旅行者で、特に淡水に接触した記憶がある者(かなり多い)にはスクリーニングとして行なっているところもあります。もちろん抗体陽性に出た場合には即治療でもなく、検尿その他の必要な検査を頻繁に行い、可能性ある病変を発見するよう務めます。しかし、ビルハルツ住血吸虫症で言うと、時には(あるいは早期には)検尿で血尿を検出するのが困難なこともあります。仮に不顕性感染であっても、プラジカンテルの1~2日程度の治療では副作用によるデメリットがさほど大きくないでしょうから、抗体陽転のみでも治療することもあり得ます。_x000b_ シャーガス病の場合には、薬剤の副作用がプラジカンテルよりは問題になるでしょうから(毒性も強く、期間も長い)、抗体陽転だけで使うのはためらわれます(どのみち現在、日本には薬剤がありません)。流行地での調査で、抗体陽性は多数見つかっても、症状のある者はほんの一部であり、不顕性感染のまま終わる例がかなりある筈です。ただ、その時病変はなくても、感染した人の一部がいずれ病変を起すと仮定すると、シャーガス病の病変は深刻ですから、治療しておきたくもなります。しかし結局は、抗体陽転だけでは即治療を行なわずに“注意深く観察”をするのが一般的であろうと思います。_x000b_ 私はフィールドでこれらの疾患を扱った者でありませんので、上記返答に自信がある訳ではありません。他の方からの御意見を期待しています。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 当方BOLIVIAにて長らくChagas病の現状に接しております,現地ではかなり広範囲にT.cruzi(病原体)を保有したサシガメが生息しており,市街地にも見られるのが現状です,協力隊,青年ボランテイアのかたがたが仕事をする現場などでは,サシガメとの遭遇は当然考えられます._x000b_ @まずは,帰国前に現地の信頼できる検査機関での抗原抗体反応でIgG抗体およびIgM抗体の検査を受けてください,もしも抗体陽性と判定された場合は抗体価がどのくらいかを確認してください?(通常は現地では+またはー)のスクリーニングしかいたしません.抗体価1024倍以上であればXenodiagnosis媒介体診断を受けてください(Bolivia-Santa cruzであればCENETROPで),結果が出るまでは2~3ヶ月かかります._x000b_ @@治療はあくまでも血液中T.cruziが証明された時(Xenodiagnosisでは1回でも病原虫が検出されれば,PCRの場合は複数回陽性)に行っています.薬は町の薬局で入手可能です(RochoのRochagan)これも成人の場合は60~90日かけて毎日飲まないとなりません,副作用の多くは発疹発作,吐き気,めまい,などが人により異なりますが,ほとんどがPolaramineの服用で収まっているようです._x000b_ @@@また,帰国後は治療は別問題として,抗原抗体反応など(IHA.IFA.ELISA),PCR検査は可能です._x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_  ボリビアのシャガス病と住血吸虫治療に関する質問について,回答2のK先生と回答3のM先生の立派な回答で,尽くされていると思います.2,3の意見を加えます._x000b__x000b_ 1.シャガス病について.WHOと中南米医療関係者はすでに90%以上を駆除し,輸血も心配なくしたと胸を張っております.私は回答3のM先生と同様に懐疑的で,現地で輸血が受けられるほど安全とは思いません._x000b_ かつてJOCVには,輸血による隊員の感染が一例ありました.一時帰国中に分かったので,そのまま帰任させ,任期も十分取って現地で治療を受けて,完治させた経験があります.この例も Santa Cruz の平地だったと思います._x000b_ 症状を出してからの治療開始は間違えで, too late になります.まわりの教科書にもそのような事は否定してあります._x000b_ 隊員や日系青年協力の方が帰国してからでは対策が遅れます.ボリビアなら Santa Cruz に日本が協力した熱帯病センター CENETROP があるのですから,帰国前に現地で抗体検査などを済ませた方が経済的でしょう.問題があれば,現地での確定診断も,治療もできます.日本では申し出のように血清診断は受けられますが,その後が続かないでしょう._x000b__x000b_2.住血吸虫は抗体の定量成績が来ていると思います.始めての検査なら,擬陽性でも治療すべきです.回答2のご意見通りです.経過を追跡中ならば,治療をするかしないかは,各個に決められます.一律に陽性なら治療,擬陽性なら非治療にはなりません._x000b__x000b__x000b_回答5_x000b_ シャーガス病に関しては専門ではありませんので、はっきりしたことは申し上げられませんが、私どもももし症例に相遇した場合にはご相談申し上げる先生方ですので、これまでに回答された先生方のご意見通りでよろしいのではないかと存じます。_x000b_ 住血吸虫症に関しましては回答4のT先生が顧問としてJOCVに関係されていた後を受けて、私が結果の通知をしておりますので、少し説明させて戴きます。_x000b_ 現在隊員の住血吸虫症の血清反応の検査に関しましては、その結果に基づいて陽性、疑陽性、あるいは疑陽性限界近似値を示した方に関しては、各隊員宛てにJOCVの事務を通して成績とともに意見書を付して通知しておりますことはご存知の通りです。_x000b_ 回答4で記されているように、住血吸虫症に関しましては現在は赴任先別にマンソン住血吸虫とビルハルツ住血吸虫、日本住血吸虫とメコン住血吸虫に分けて、それぞれの抗原を用いてELISA法により定量的に検査を実施しており、その成績により一人一人に個別に書いて結果を同封しております。その内容は陽性、疑陽性を問わずに主治医を訪ねて検便と検尿をして戴くように記し、また参考までに各住血吸虫症の症状も付記して、経過観察のための血清検査をされるように主治医の先生宛てにお願いすることを勧める文書です。最初の集団検査の折にはこれらの返書はJOCVの医務室を通して出しておりますが、経過観察に関しましては7年前からJOCVの医務室からの申し出により直接主治医から私どものところに検体が送られ、検査を実施するようにしております。_x000b_ 事実、多くの症例は各主治医の先生方から直接血清が送付され、抗体価の変動をみながら治療の有無に関する方針をお知らせしながら相談しております。これらの主治医との返書も参考までにJOCVの医務室に送付し、連絡をしております。疑陽性だからと云って1回のみの検査でその多くが治療をしているとは思えませんが? 現在でも抗体価が上昇せず経過観察中の症例もかなりおられます。検査は東大の医科研時代から検査を担当をしておられる某医大のM教授が現在も実施しておりますので、技術的には問題がないと思います。なお以前は補体結合反応、Ouchterlony法、免疫電気泳動法、COP法や一部市販されているマンソン住血吸虫症診断用の赤血球凝集反応のキットなども同時に実施しておりましたが、赤血球凝集反応はSensitivityに問題があり、最終的にELISA法が定量的に抗体価が測定出来、また抗原量も経済的であることからELISA法で実施するようにした次第です。外国の流行地における検査例も含めてこれまでに約200例の虫卵陽性例について経験しておりますし、検査の総数は約8,000例に及んでいます。_x000b_ ご承知のごとく住血吸虫症の場合は検便および検尿による形態学的証明での診断は容易ではなく、血清学的検査が補助的診断法として大きな意義を持っております。従いまして、住血吸虫症では経時的な検査により抗体価が上昇している場合には感染している可能性が示唆されますので、初期のスクリーニングの一方法として無意味ではないと判断しております。技術的にやや複雑であること、抗原作成に手間がかかることなどから住血吸虫症の血清診断を専門とする方々以外の一部には確かに血清反応を実施することに疑問を呈する方もおられますが、外国においても住血吸虫症の場合には血清反応が広く実施されておりますことを申し添えます。_x000b_ なおもし主治医の判断で疑陽性例でもプラジカンテルによる治療を行われた場合には回答2や回答4で記しておられるごとく、副作用によるデメリットが殆どありませんので問題はありませんが、原則としては経過観察をして判断することをお勧めしております。_x000b_ 以上余計なことも記したかもしれませんが、ご理解を戴ければと存じます。10/3/2003原虫トリパノソーマ
134アニサキス今回メール致しましたのは日常臨床中にアニサキス・アレルギーが疑われる症例に遭遇致しました。その診断(スクラッチテスト・沈降抗体)に際して一般医にも入手可能なアニサキスの標準抗原などはあるのでしょうか? あるいはアニサキスそのものの商業的な入手方法はあるのでしょうか?_x000b_ご教示賜りましたなら幸甚に存じます。回答1_x000b_ アニサキスアレルギーをお考えでしたら、抗原特異的IgEの検出が有用かと思います。アニサキス特異的IgE抗体の測定は、外注の検査機関(SRLなど)でCAP RAST法により測定可能です。CAP RAST用キットやアニサキス標準抗原が市販で手に入るかどうかは、申し訳ありませんが分かりません。_x000b__x000b_血清中抗アニサキスIgG/A抗体価測定用ELISAキット(PARA CHECK ELISAアニサキス)は、Kishimoto Clinical Laboratory Groupから市販されています。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ アニサキスの標準抗原はありません。アニサキス抗体(IgG+IgA)については札幌イムノ・ダイアグノスティック・ラボラトリー (〒001-0922札幌市北区新川2条2丁目12-20 Tel: 011-762-3610, Fax: 011-764-2042 Email: webmaster@sidl.co.jp)で測定可能です。しかし,IgE抗体は測定していないようです。_x000b__x000b_アニサキス幼虫そのものを入手したいのなら,これからの時期にいくらでも手に入るタラの内臓を調べれば手にはいると思います。10/12/2003線虫アニサキス
135有鉤嚢虫症急なんですが、明日ユウコウジョウ虫症の患者様の手術があります。手術室の対応として、どうしたらいいでしょうか。例えば、患者様と接するときは、ガウン、手袋着用とか、使用後の部屋に対して何か消毒が必要などあるでしょうか。アドバイスお願いします。(私は看護師です。)手術は有鉤嚢虫(ユウコウジョウチュウの幼虫)を摘出する手術でしょうか?_x000b_その場合、有鉤嚢虫は肉眼で見える程大きく、摘出した虫を飲み込まない限りヒトへは感染しませんので、特に消毒などの必要はありません。消毒するとしても手洗いの励行、熱湯消毒で十分です。10/21/2003条虫有鉤嚢虫
136尿に見いだされた線虫当院脳外科入院中の58才男性患者(びまん性軸索損傷)の患者の尿より線虫が検出されました。10・15の検尿に多量に認められましたが、10・17の検尿では全く検出されません。また、10.15以後検便にて虫卵も検索しましたが認めておりません。尿沈査でも虫卵は検出しておりません。_x000b_文献を検索しましたが、尿に検出される線虫としては尾久線虫という記載がありましたが、生活史・治療方法は確認できませんでした。_x000b_尾久線虫の生活史・治療、尿より検出される可能性のある線虫につき御教授頂きたいと思います。また、線虫の一般的な治療の方針についてですが虫卵が検出されず臨床症状のない場合は治療の適応とあるのでしょうか。合わせて御教授いただきたいと思います。宜しくお願いいたします。この例のように尿に線虫が混じる場合、多くは自由生活性線虫が一時的に外陰部などで繁殖したことが考えられます。_x000b_ このような場合は、寄生虫研究者より、土壌生物や淡水生物あるいは植物寄生線虫の研究者の方が的確な同定をすることができます。_x000b_ 私が経験した尿からの検出例では、1例はMonochoides属、もう1例は目Tylenchidaで、いずれも種の同定には至りませんでした。_x000b__x000b_ 本例のような場合、糞線虫などの人体寄生虫でないことが確認され、かつそれに起因する臨床症状がなく、一過性で検出されなくなったのであれば、特に治療は必要ないと思われます。10/22/2003線虫自由生活性線虫
137日本住血吸虫フィリピン出身で日本在住15年、35歳女性。肝生検で日本住血吸虫の虫卵が確認されました、便虫卵は集卵法で5回陰性でした。今後駆虫を予定していますが、効果判定はどうしたらよいのでしょうか。抗体価は効果判定に有用なのでしょうか、またどこで測定しいただけるのですか、御教授ください。抗体価の意義ですが治療前に高ければ効果判定に有用でしょう。12/10/2003吸虫日本住血吸虫
138無鉤条虫実は私自身のことなのですが、3年前台湾に行って帰ってきてから大学の寄生虫講座(当時はS教授)で無勾条虫症と診断されました。しかし第一選択薬のpraziquantelがなく、腹痛も軽度のためしばらく我慢していました。ちょうど1年前にタイのバンコクに行く機会があり地元の病院を訪れたところpraziquantelがなくalbendazoleを処方されましたが結局効果ありませんでした。教科書的には無害と書いてあり私自身も医師で忙しかったためそれからは放置しているのですがそろそろ治したいと思っております。現在仙台に出向中なのですが仙台市か関東地方の病院で治療できるところはないでしょうか?よろしくお願いします。回答1_x000b_ 治療に関しては直接のコメントは医師でないので控えますが、こちらではニクロスアミド(ヨメザン)で簡単に落ちる場合となかなか落ちない場合があります。現在最も確実に駆虫できるのはプラジカンテルでしょう。アルベンダゾルは幼条虫症(嚢虫症、エキノコックス症)の治療薬として有用ですが、消化管寄生条虫症に有効だとい_x000b_う報告は聞きません。_x000b_ 台湾にはアジアジョウチュウ(仮称)と呼ばれる形態学的にはムコウジョウチュウ(無鉤条虫)とほとんど区_x000b_別できない条虫が分布しており、遺伝子解析が必要です。ブタの内臓を食べて感染します。どこで治療されるにしても、排出さえた虫体の種を確定にすべきであると考えております。このアジアジョウチュウを含めた条虫の問題についてはIto A, NakaoM, Wandra T. 2003. Human taeniasis and cysticercosis in Asia. Lancet 362,_x000b_1918-1920 (Dec. 9, 2003)をお読みいただければ、アジアにおける無鉤条虫症は遺伝子解析で種を確認する必要があることをご理解いただけるかと存じます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 小生自身の感染の経験を申しますと、時と所を選ばず片節が出て来ます(その時は肛門にくすぐったいような、変な違和感があるとおもいますが)、 _x000b_ 小生自身は生存年数を確かめる目的もあり駆虫は行ないませんでした。 _x000b_その結果27年8ヶ月の共生?(当方にも目的意識があったので寄生とは考えませんでした)をすることに成た次第です。 _x000b_ この間、片節内の虫卵による環境の汚染防止には神経を使いましたが、特に体調には異変も無く過ぎました。 _x000b_ 小生の感染場所はエチオピアでアフリカ由来のものです。嚢虫症の恐れが無いとされていたものすが、近年台湾を含むアジア由来の無鈎条虫は嚢虫症を引き起こすととも言われているようですので(このことに関しては学会内の専門家からアドバイスがあると思いますが、、)。 _x000b_ いづれにしても、片節排出時には不快感が有ると思いますので駆虫された方がよろしいでしょう。 _x000b_ アドバイスとは申せませんが、ご参考迄に。12/14/2003条虫無鉤条虫
139裂頭条虫小学6年生の男児です.約1ヶ月前に排便時に紐状のものがひっぱってもひっぱてもでてきた(1m近い?)とのことで,恐くなってはさみで切って,そのまま水洗に流しております.その後,相談を受け条虫の可能性を考えております.検便では虫卵はなく,血液検査(好酸球増多なし)や症状も特記すべきことはありません.この場合,再度,虫体がでるまで待った方がよいのか,それとも積極的に診断も兼ねて,ガストログラフィン等で虫体排泄を試みた方がよいのか,迷っております.子供ということであまり侵襲的なことはしたくはないのですが,何かよいアドバイスがありましたらお教え下さい.回答1_x000b_ 恐らく裂頭条虫の感染が最も疑われます。今後虫体の一部の排出が確認された時点で、寄生虫の確認のために、排出物を専門家に送付し、その後でプラジカンテルで駆虫すればよいと考えます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 感染源の記述と実物の観察が無いので寄生虫で有るか無いかも含め、確実なことは言えません。まず感染源の特定と実物の観察が必要でしょう。 _x000b_ しかし、仮に寄生虫であれば、引っ張ても切れ無いと言うことは、無鈎条虫とは考えにくいと思います。 _x000b_ 小生の経験では、通常無鈎条虫は激しい下痢をした時以外に連接した片節が排出されることは無く、90%以上1片節づつ出て来ます。 _x000b_ 仮に条虫であれば、むしろ列頭条虫類を疑うべきでは無いでしょうか?。 _x000b_ いづれにしても次回片節が排出される迄待って鑑別してから治療の方法を決めるべきとおもいます。 _x000b_ 治療法に関しては専門家からアドバイスが有ると思いますが、感染者の年令等を考えるとあまり患者に負担をかける方法は為さらない方が好いのではと思います。12/16/2003条虫裂頭条虫
140下腹部痛、回腸末端から上行結腸に好酸球浸潤症例は、30歳男性です。2003年11月中旬から下腹部痛出現し、腹部レントゲン上、小腸ガス(+)。経過観察しておりましたが、改善なく、腹部CT、US、大腸内視鏡、上部消化管内視鏡施行しました。CT上、小腸の若干の浮腫を認め、また内視鏡では肉眼的に明らかな所見を認めませんでしたが、生検にて回腸末端から上行結腸に好酸球浸潤を認めました。小腸造影では、明らかな所見を認めませんでした。血液検査では、好酸球が最高で2000μlまで上昇(経過中常に1000μl程度の高値持続)、CRPなどの炎症所見はほとんど認めませんでした。また、便寄生虫検査陰性、各種アレルギー検査陰性でした。千葉県出身で一年以内の海外渡航歴ありませんでしたが、寄生虫疾患を疑い、SRLの抗寄生虫抗体を12月22日に提出しました。その結果、ブタ回虫 クラス3(抗体陽性)、肝てつ クラス2(抗体弱陽性)でした。下腹部痛が強かった為、結果を待たず、好酸球性胃腸炎として、12月23日よりプレドニン30mgより開始、現在漸減し、症状は落ち着いています。_x000b_ 以上のような経過ですが、免疫血清検査等の必要性、今後の治療について御高診頂ければ、幸いです。回答1_x000b_ 本症例、検便虫卵検査陰性ということで、消化管寄生虫感染の可能性は低いと思います。_x000b_ ブタ回虫抗体陽性ですから、内臓幼虫移行症の可能性は否定できませんが、好酸球性胃腸炎という臨床症状と直接結びつかないように思われます。念のため、肝エコ_x000b_ーで多発性症結節性病変がないか、確認する必要はあるでしょう。_x000b_ステロイドによく反応しているようですから、駆虫薬の投与などは必要ないと思います。_x000b__x000b_ 少し前になりますが、本症例と類似した好酸球性胃腸炎で、ブタ回虫に抗体陽性という症例を経験して、症例報告として発表しておりますので、それを参考にされたら如何でしょうか。好酸球性胃腸炎は原因不明のことが多く、寄生虫アレルギーとの関連も論議されております。_x000b__x000b_Takeyama Y, Kamimura S, Suzumiya J, Oh K, Okumura M, Akahane H, Maruyama H, Nawa Y, Ohkawara T, Kikuchi M.: Eosinophilic colitis with high antibody titre against Ascaris suum. J Gastroenterol Hepatol 1997; 12:204-206_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 私たちが経験し、症例報告したケースと非常に良く似ています。その症例では駆虫薬は用いず、ステロイドのみで対処いたしました。_x000b_(詳細は"Case report: eosinophilic colitis with high antibody titre against Ascaris suum." Takeyama Y et al. J Gastroenterol Hepatol. 1997 Mar;12(3):204-6. )_x000b__x000b_本症例もステロイド投与されていますので、このまま経過観察で良いと思います。1/3/2004その他
141腹痛、鉄欠乏性貧血、好酸球増多、腸間膜リンパ節腫大初めて相談します。お忙しいところ誠に申し訳ありませんがよろしくお願いします。_x000b_5歳男児で寄生虫感染を疑っています。間欠的な腹痛、鉄欠乏性貧血、好酸球増多があり腹部の腸間膜リンパ節が腫大しています。便鮮血は陰性でした。便の虫卵検査を行いましたが陰性でした。骨髄検査も行い悪性腫瘍などは否定しています。腹痛以外は下痢嘔吐などの消化器症状は認めません。IgEなども検査中です。寄生虫が疑われると思うのですが1回の虫卵検査陰性で寄生虫は否定的として良いのでしょうか? 繰り返ししたほうがいいのか、またそのほか寄生虫感染を示唆する検査がありましたらご教示下さい。回答1_x000b_ おそらく鉤虫などを疑っておられると思います。その他の腸管寄生虫感染でも同じですが、1回の検便で虫卵陰性だったからと言って、寄生虫感染を否定できないと考えます。_x000b__x000b_ 患児の生活歴で有機野菜の食歴、海外渡航歴/海外から移住してきたなどのエピソードが有れば腸管寄生虫感染の可能性が考えられます。腸管寄生虫感染では虫卵/幼虫の検出が確定診断ですので、反復検査あるいは間隔をあけて再検査する必要があります。また、直接法だけでなく集卵法も試みられたでしょうか。_x000b__x000b_ メールに記載されていた以外の検査所見で異常所見はありませんでしょうか。肺・肝に異常陰影があるなど。腸管寄生虫以外の寄生虫感染の場合、免疫診断が有用なことがあります。その場合にも生活歴、食歴、海外渡航歴などの情報が診断に役立ちます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ もちろん、寄生虫感染は否定しませんが。_x000b__x000b_ 5歳男児,間欠的な腹痛、鉄欠乏性貧血、好酸球増多。臨床的な症候診断名では、消化管の組織診は無いものの、好酸球性(胃)腸炎かとおもいます。この原因には多種(寄生虫も含め、炎症性腸疾患、膠原病、悪性腫瘍、原因が見当たらぬものまで)あります。_x000b__x000b_ しかし、子供で多いのは、やはりアレルギー、次に感染だとおもいます。食物アレルギーは無いか、アトピー素因は無いか、そして最終医の前にかかりつけた医院での抗生物質投与(薬剤アレルギー)は といったところが気になります。_x000b__x000b_ 感染としても、寄生虫である頻度は少ないのではないかとおもいます。通常の非寄生虫(細菌、ウイルス)感染でも、小児は好酸球増多の表現型が出やすいですから。_x000b__x000b_ 寄生虫を疑うとすれば、検便繰り返す(潜血 ほんとにマイナス? 貧血の原因は消化管失血ではない?)、血清保存(症状からピタッとくるものはピンときませんがまずは血清保存されておく。イヌ回虫などの幼虫移行症に伴う過剰TH2 reponseの可能性もあるでしょうから。これは、回答1のごとくです。)3/18/2004その他
142有鉤嚢虫症疑いステロイド服用中で今回細菌性髄膜炎疑いで入院した70才女性患者において頭部MRIでGdで余りenhanceされない多発性小粒状像を認めましたのでおたずねします。_x000b_患者は70才女性、既往歴で多発性筋痛症があり現在もPSL 5mg/day 服用中。急性発症の意識障害、発熱で当院救急を受診しCTで異常なくCSFで多核優位の細胞増多及び蛋白上昇を認め髄膜刺激徴候も認め細菌性髄膜炎疑いで4日前当科に入院。抗生剤投与後解熱しCSF所見も改善するも遷延性意識障害のため頭部MRIを施行。Gdで余りenhanceされない多発性小粒状像あり。また肺でも左上葉に不整形の腫瘤あり。末梢血(救急外来)ではWBC 20800 (Neutro 81.1%, Eosino 0.1%)でした。肺癌(?)の転移、感染性心内膜炎なども考えましたが、MRI画像においてT1WIで腫瘤が余りenhanceされない点、浮腫が周囲に限局して軽度である点、T2WIで内部がhigh,腫瘤近傍がhighでその間に表面平滑でlowなカプセル?を認める点、(FLAIR像ではカプセルは不明で内部はiso~ややhigh)より寄生虫の可能性を考えております。写真集にある有鉤嚢虫症にも似ているのですが好酸球増多症はありません。長期のステロイド服用による免疫寛容状態で感染し又好中球増多により好酸球の変化がマスクされてしまった、と考えられるでしょうか?渡航歴等は不明です。_x000b_ご教示いただければ幸いです。回答1_x000b_ MR像をみないとわかりませんが、有こう嚢虫症と似た画像を示した症例で、Actinomyces israeliiによる脳膿瘍例がありました。_x000b__x000b_ Actinomyces israelii(放線菌)は口腔内嫌気性常在菌で、compromised host で、歯科疾患あるいは口腔内手術で、深部侵入し下顎膿瘍、あるいは肺、肝、脳にも膿瘍をつくります。菌糸集塊をつくりますので、粒状もありえます。鑑別のひとつにお入れください。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_  有鉤嚢虫症を疑っていらっしゃるようですが、小生の経験上感染経路の調査がまず第一だと思います。かなりご高齢の女性だということで、若い頃有鉤嚢虫症の流行地(戦前の沖縄県、旧満州、朝鮮半島など)に居住していたことや、条虫症既往などの問診が重要であると思います。その辺はいかがでしょうか。おたずねします。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 多発性の嚢虫症であれば、確実に抗体検出できるでしょう。好酸球増多は必発するものではありません。医学書院から発行されている臨床検査48巻3月号335-340ページ(2004年)に脳嚢虫症の概説を試みましたのでご笑覧ください。ご参考になれば幸いです。_x000b__x000b__x000b_追記:MRI像は依頼者より後日送付されてきたが、その後の回答はない4/18/2004条虫有鉤嚢虫
143蝿蛆症本年3月、JALの新人がブラジルに行って、脇の下にできものが出来たようです。_x000b_皮膚には穴が2つあったようで、疼痛を伴い赤くはれあがっていたようです。 虫体は間点状(ゼリー状)で、長さ3cm太さ1mmとのことです。主治医は蠅蛆症を強く言い張ります。先生のご意見をお聞かせ頂ければ幸いです。同様の症例を経験し、Jounal of Dermatology vol. 23,125-128, 1996 に 筆頭著者 Yoshiki Taniguchiで掲載しておりますので参考になればと思い、お知らせします。5/18/2004衛生動物ハエウジ
144Onchocerca、イヌ結膜下の腫瘤私、岐阜県で動物病院を開業しております。_x000b__x000b_私、動物の眼科を専門的に診療しておりまして実は先日、外国から来日したジャーナリストにお供して来た犬の結膜下に腫瘤があるということで来院されました。_x000b__x000b_診察しましたところ確かに左眼の結膜下に大きな腫瘤がありました。_x000b_また、こちらの眼には強い虹彩炎、網脈絡膜炎などがみられました。_x000b_オーナーの希望もあって結膜下の腫瘤を外科的に切除しましたところ、腫瘤は周囲組織(強膜)と非常に強固に固着しておりまして、分離に苦労しました。_x000b_腫瘤を周囲組織からほぼ分離し終わった頃にその腫瘤と強膜の境界部位より寄生虫の虫体が5~6隻摘出されました。_x000b_病理組織検査の結果、腫瘤は寄生虫感染による炎症性の結節性病変であるとのことでしたが、知り合いの某大学の専門家に寄生虫の同定を依頼しましたが、その寄生虫が同定できませんでした。_x000b__x000b_個人的に調べましたところOnchocercaの症状に酷似している気がします。_x000b_(網脈絡膜炎、虹彩炎、結膜下結節)_x000b_残念ながら虫体はすべて同定を依頼しました先生の元に送ってしまったのですが、症例の外眼部所見、術中所見、虫体の写真を送りますので、一度御査収いただきましてコメントいただきたく存じます。_x000b__x000b_この寄生虫がOnchocercaである可能性はあるか。_x000b_私の調べた限りでは本邦では牛に寄生例が確認されたという報告は見ましたが犬にも寄生例の報告があるのか。_x000b__x000b_もし、情報がございましたら何でも教えていただきたいと思います。_x000b_不躾なお願いですがよろしくお願いいたします。たいへん興味ある症例とおもいます._x000b_動物onchocercaのイヌへの感染例は米国で報告があり,寄生部位はやはり目です._x000b_写真からフィラリアであることに間違いないとおもいます.属や種の同定には虫体を詳細に観察する必要があります.また,このイヌが外国のどの国から来たのかなどの情報も約にたちます.6/18/2004線虫オンコセルカ
145蟯虫、プール始めまして。大阪市住吉区の開業小児科医です。_x000b__x000b_学校検診でぎょう虫卵陽性の児が検査で陰性化するまでプールに入れないといってきましたがこのような制限は必要なのでしょうか。小児科医を25年やっていますが今まで_x000b_このような対応を見たことがありません。どうぞご教授よろしくお願い申し上げます。回答1_x000b_ これまでにも同様のご質問や相談を何度か受けたことがあり、法律を調べたことがあ りますので紹介します。_x000b_ 昭和33年に定められた「学校保健法」と、これを実施するための「学校保健法施行 規則」があり、各学校は後者の施行規則(これまでに24回改正)に準拠して対応することになります。_x000b_ 以下に、学校保健法施行規則のうち、関係する条文を抜粋します。(下線は筆者が追加したものです)_x000b__x000b_第一章(健康診断)_x000b__x000b_第二節(児童、生徒、学生及び幼児の健康診断)_x000b__x000b_第三条(時期) ・・・の健康診断は毎学年、六月三十日までに行なうものとする。_x000b__x000b_第四条(検査の項目) ・・・の健康診断における検査の項目は次のとおりとする。_x000b_ 一 身長、体重及び座高_x000b_ 二 栄養状態_x000b_ 三 脊柱及び胸郭の疾病及び異常の有無_x000b_ 四 視力及び聴力_x000b_ 五 眼の疾病及び異常の有無_x000b_ 六 耳鼻咽頭疾患及び皮膚疾患の有無_x000b_ 七 歯及び口腔の疾病及び異常の有無_x000b_ 八 結核の有無_x000b_ 九 心臓の疾病及び異常の有無_x000b_ 十 尿_x000b_ 十一 寄生虫卵の有無_x000b_ 十二 その他の疾病及び異常の有無_x000b__x000b_ 4.・・・第十一号に掲げるものは小学校第4学年以上は検査の項目から除くことができる。_x000b__x000b_第五条(方法及び技術的基準)_x000b_ 8 ・・・の寄生虫卵の有無は直接塗沫法によつて検査するものとし、特に十二指腸虫卵(註.鉤虫卵のこと.筆者加筆)又は蟯虫卵の有無の検査を行なう場合は十二脂腸虫卵にあつては集卵法により、蟯虫卵にあつてはセロハンテープ法によるものとする。_x000b__x000b_第七条(事後措置) ・・・健康診断を行つたときは二十一日以内にその結果を児童、生徒又は幼児にあつては当該児童、生徒又は幼児及びその保護者に・・・通知するとともに、次の各号に定める基準により、法第七条の措置をとらなければならな い。(下線は筆者が追加)_x000b_ 一 疾病の予防処置を行うこと。_x000b_ 二 必要な医療を受けるよう指示すること。_x000b_ 三 必要な検査、予防接種等を受けるよう指示すること。_x000b_ 六 学習又は運動・作業の軽減、停止、変更等を行うこと。_x000b__x000b_ ここからは筆者のコメントと情報です。_x000b_ 昭和20年代、寄生虫の保卵率は全国民の70~80%でした。学校保健法による集団検便・集団駆虫に加え、化学肥料の普及と上下水道など衛生環境の整備が進み、寄生虫の感染率は激減しました。しかし、蟯虫は現在でも園児や学童の約1%に感染がみられます。ちなみに、_x000b_ ●東京都学校保健統計(平成13年度)によると、東京都の1年生から3年生の虫卵検出率は 0.94%、_x000b_ ●石川県予防医学協会によると、石川県の蟯虫の陽性率は平成14年度(実施者数 121,672名)は1.09%、平成13年度(実施者数125,584名)は1.18%です。_x000b__x000b_ ご存じのように、蟯虫は雌虫が夜間に肛門から這い出して、1匹が約1万個の卵を肛囲に産みつけます。加えて、感染経路がシンプル(虫卵は数時間後には感染性を持ち、経口摂取で感染する)で、家族内感染や集団感染がおこりやすい寄生虫です。_x000b__x000b_ したがって、学校保健法からみても、虫の生態からみても、陽性者のプール使用を学校が制限するのは当然ですし、全国の学校でそのような対応をしていると思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 同様な質問は毎年この時期になると必ずありますが、養護の先生には「蟯虫に感染しているからといってプールを禁ずることはない。」と申しています。_x000b__x000b_ 感染児童がお尻に付けている蟯虫卵がプールで遊離し、他の児童の口から入る確率は極めて低いと考えられます。_x000b_ 学校保健法の「事後処置」は当然行なうべきですが、それをプール禁止に結び付けるのは酷というものです。_x000b_(このことは現在学校で流行している「シラミ」感染にも言えることで、厚生労働省の統計に見られるシラミ感染の場としてプールは極めて少ないあります。)_x000b__x000b_ しかし、感染の危険性を疑う人がいるならば蟯虫の生活史を利用してプールのある日は感染児童は朝起きた時、シャワーを使って肛門周囲を洗っておけば蟯虫卵は流れ去り、感染は完全に遮断できるはずです。但し、プール横に備えてある「腰洗いの水」を使用しての感染遮断は無意味です。_x000b__x000b_ 「蟯虫感染でプール使用を禁ずる」ことの最大の害はその対象となった子供に対する、今あちこちで起こっている「いじめ」や「差別」を招くことであり、これこそ学校保健法の精神である「心身共に健康な児童の育成」から逸脱することであると考えます。_x000b_ 以上、蟯虫感染者は当然駆虫の対象とならなければなりませんが、その感染でプールを禁止することは行き過ぎで、せめてプールのある日は朝起きて肛門の周囲を洗った上で参加させるべきだと思います。6/23/2004線虫蟯虫
146サナダムシいわゆるサナダ虫に感染している幼児四歳が受診しました。_x000b_必要な治療、検査、集団生活(保育園)上での制限を御教授いただけると幸甚です。_x000b_初歩的な質問でもうしわけありません。_x000b_感染経路は不明でした。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_ 大変ありがとうございました。_x000b_ その後勉強したら桜鱒などの中間宿主を経てその摂取での感染がほとんどの様子だったので保育園のプールも大丈夫と判断しました。_x000b__x000b_このへんは桜鱒などの川魚を洗いにして生食するので、そこから感染したのかと思われます。どのような根拠で条虫症と診断されたのか存じませんが、まずは虫種の同定が重要かと思います。_x000b_排出された片節、あるいは糞便の検査で寄生種を特定して下さい。_x000b_以下、診断の確認を前提に話をすすめます。_x000b__x000b_条虫症は、有鉤条虫症など、僅かな例外を除き、ヒト~ヒト感染しません。_x000b_原則として、生活上の注意は不要です。_x000b__x000b_駆虫には、通常、プラジカンテル(商品名ビルトリシド)を使用します。_x000b_条虫の駆虫(成人の場合)については、ホームページ「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引き」をご覧下さい。_x000b_7/21/2004条虫サナダムシ
147広節裂頭条虫4歳の女児です。_x000b_近医での虫卵検査で広節裂頭条虫と診断され紹介となりました。_x000b__x000b_1泊入院での駆虫を考えております。_x000b_当方の医動物学教室の話では前日より下部消化管内視鏡のときに準じて、前処置をしたあとプラジカンテルを内服。_x000b_2時間後に下剤をかけて排出させるとの事でした。_x000b_前処置はニフレックでよろしいのでしょうか。_x000b_4歳なので内服が困難と思われますが、教科書的には前処置の事は書かれておらず、通常先生方はどのようにされているのか御教授いただけたらと存じます。 先生からご依頼のありました広節裂頭条虫症の治療についてですが、残念ながら現在まで寄生虫学会員からの回答がありません。ただ、先生のご依頼の直前に4歳幼児の虫種未同定の条虫症についてのコンサルテーション依頼があり、以下の回答が得られております。_x000b_ 先生のご質問に対する直接の回答にはなりませんが、リンクの資料を参考にしていただけますと治療方針を立てる上でご参考になるのではないかと思います。_x000b_ 資料をお読みになって疑問点等ございましたら、再度お尋ねください。_x000b__x000b__x000b_回答_x000b_ どのような根拠で条虫症と診断されたのか存じませんが、まずは虫種の同定が重要かと思います。_x000b_ 排出された片節、あるいは糞便の検査で寄生種を特定して下さい。_x000b_ 以下、診断の確認を前提に話をすすめます。_x000b__x000b_ 条虫症は、有鉤条虫症など、僅かな例外を除き、ヒト~ヒト感染しません。_x000b_ 原則として、生活上の注意は不要です。_x000b__x000b_ 駆虫には、通常、プラジカンテル(商品名ビルトリシド)を使用します。_x000b_ 条虫の駆虫(成人の場合)については、ホームページ「学術・教育」の「寄生虫症薬物治療の手引き」をご覧下さい。8/5/2004条虫広節裂頭条虫
148肉芽腫性腫瘤お忙しいなか誠に申し訳ありません。当科で手術をした症例です。_x000b_症例は4歳の女児。母親が数ヶ月前から両側の鼠徑部膨隆が気になり、当科外来受診となりました。予想通り、両側鼠徑ヘルニア診断、当科にて両側鼠径ヘルニア根治術を施行しました。_x000b_その際、左鼠徑部に還納不能の直径約1.5cm大の腫瘤を皮下に認め、当初卵巣の鼠径管への逸脱と考えておりました。しかし、術中所見では、鼠径管内部との連絡は全く無く、純粋に皮下腫瘤でありました。_x000b_術後の病理結果は肉芽腫性腫瘤と診断されましたが、結核のものとは異なり、もしかしたら寄生虫性の肉芽腫の可能性があるとの診断でした。_x000b_念のため、横浜市大病理学教室のN先生に御相談申し上げたところ、寄生虫は否定はできないが、自分ひとりの意見ではなく、寄生虫学会のホームページにコンサルテーションのページがあるので、そこに投稿するように_x000b_とのお言葉でありました。_x000b_なお、入院前の飲食歴や海外渡航歴は聴取できておりません。また、血中の寄生虫の抗体価もチェックできておりません。_x000b_もし、病理学的にやはり寄生虫が疑わしいとの結果でありましたら、患者さんをもう一度病院へ呼び出し、アナムネの取り直しと血中抗体価をチェックしようと思っています。スライドを添付してお送りいたしますので、お忙しい中でありますが、何卒よろしく御高診お願い申し上げます。回答1_x000b_ 画像を拝見しますと,線虫の可能性が大きいと思います。線虫であれば糸状虫類が最も疑われるのですが,今回提示された画像だけでは分かりかねます。_x000b__x000b_ 直接病理組織標本を拝見できればもう少し確定できるかと存じます。なお,パラフィンブロックが残っている場合は,これ以上切片を作成せず,パラフィンを融解して組織をアルコールあるいは水まで戻し,残余虫体を組織から取り出すことをお勧めいたします。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 回答1の糸状虫類の可能性についてのコメントに全面的に同意します。8/13/2004線虫糸状虫
149ヒトブラストシスチス55歳,男性._x000b_大腸がん検診の便潜血検査で,偶然に寄生虫の虫体が確認されました._x000b_Blastocystis Hominisとのことです._x000b_症状はありません._x000b_駆除の必要はありますでしょうか?_x000b_その場合,治療法を御教授下さい.回答1_x000b_ 私どもの検査施設での、ここ数年間の糞便材料による寄生虫卵及び原虫検査で最も検出率の高いのが、ヒトブラストシスチスです。_x000b__x000b_ 治療法は「日本における寄生虫学の研究6」の中で山田稔先生が記載してあります、_x000b_ メトロニダゾール(2~2.25g/day,分3,3~5 )又はチニダゾール(同量)を、担当医師にお伝えして駆虫の判断はおまかせしております。ただ、下痢などの症状がある患者に対しては症状の改善効果があるようですが、無症状者に対して虫体を消失させるまでの効果はほとんど無いように思われます。_x000b__x000b_ 現在、私ども検査施設で検出されるヒトブラストシスチス陽性者のほとんどは無症状者であり、かつ、検査依頼者には食品関連の従事者が多く、駆虫効果もほとんど得られない事から、就業の問題なども含め大変苦慮しております。_x000b__x000b_ 今回コンサルテーションでは、大腸がん検診の便潜血検査で,偶然に寄生虫の虫体が確認されました。との事ですが、大腸がん検診の便潜血検査の手順の中に、鏡検の検査は含まれていないはずですので、検査のどの過程でヒトブラストシスチスが検出されたのかは疑問に思います。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ この方は海外へ行かれたことは? 純粋に国内で感染することがあるのかどうか、私は知りません。_x000b_ これが出ても無症状のことが殆どですが、これが見つかって下痢を起こしている症例につき、メトロニダゾールを使ったところ、プラセボ群に比べて下痢の改善が有意であったことから、下痢を起こすことはありうるとの結論でした(下記)。ただし、プラセボでも下痢が改善し、原虫が検出されなくなった例もあります。_x000b_ 問題は、今回のような無症状の症例につき、そのために将来下痢を発症することがあるかどうかですが、この判断材料となるデータは知りません。どなたかご存知ですか?_x000b_ 最終的に、詳細な経過観察でも良し、メトロニダゾールの禁忌がなければたたいてみても良し、と言ったあいまいな結論かと思いますが、何度か出るようであれば、たたくのを考えたくなります。_x000b__x000b_Journal of Travel Medicine_x000b__x000b_Volume: 10 ● Issue: 02 ● 2003 ● March ● Page: 128_x000b_BRIEF COMMUNICATIONS_x000b_A Placebo-Controlled Treatment Trial of Blastocystis hominis Infection with Metronidazole _x000b_------------------------------------------------------------------------_x000b_Luciano Nigro, Licia Larocca, Laura Massarelli, Ildebrando Patamia, Salvatore Minniti, Filippo Palermo, and Bruno Cacopardo_x000b_Luciano Nigro, MD, DTM&H, MSc, Licia Larocca, MD, HSc, Laura Massarelli, MD, Ildebrando Patamia, MD, Salvatore Minniti, MD, DTM&H, Filippo Palermo, Bruno Cacopardo, MD, DTM&H: Infectious Diseases Unit, University of Catania, Italy._x000b_------------------------------------------------------------------------_x000b__x000b_Blastocystis hominis, previously considered a harmless yeast, is now classified as a protozoan inhabiting the human intestinal tract. The pathogenicity of B. hominis remains controversial and is currently the subject of extensive debate. 1- 5 As a result of the uncertainty surrounding the pathogenic role of B. hominis , large-scale treatment trials of B. hominis infection have so far been lacking. In spite of this, several drugs have been reported to be active against the parasite. 6-8 The present study was carried out in order to evaluate the efficacy of metronidazole treatment in inducing clinical remission and parasitologic eradication in immunocompetent individuals with B. hominis as the only evident cause of diarrhea. _x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ Blastocystis hominisそのものは、非病原性の腸管寄生原虫です。_x000b_駆虫の必要はありません。_x000b__x000b_ただし、健康診断で検出された場合、以下の判定(要経過観察)を下しています。_x000b_1.日常生活で注意を心がけること_x000b_   経口感染症の一種ですから、衛生管理に何らかの問題があると疑われます。_x000b_2.体調に異常を感じるなら、医師に相談すること_x000b_   特に赤痢アメーバとの混合感染がしばしば問題になります。_x000b_   (この場合、赤痢アメーバが見逃される可能性がある)_x000b__x000b_基本的に、「消化器症状がなければ放置してよい」と考えます。8/22/2004原虫ブラストシスチス
150幼児の爬行疹1歳7ヶ月女児(インドネシア、ジャカルタ在住)、約10日前から肛門部に紅班が生じ、数日のうちに左上方向に蛇行移動したそうです。現症は肛門粘膜部から長さ約6cm、幅4~7mmの暗光色の浸潤を伴う紅班がs字状に存在。末端には軽度糜爛、カサブタを形成しています_x000b_掻痒感もあるようです。乳児であり、魚類、生食の既往歴もなく、屋外をはだしで歩く事もないとのことです。(砂場遊び、プールでの水泳はあり。)診断治療に関し適切なご指導をいただきたく、何卒宜しくお願い申し上げます.回答1_x000b_ 爬行疹ということですが,肛門部が出発点という点では,糞線虫のいわゆるlarva currensに似ているように思います.(私自身は経験したことはありませんが)_x000b__x000b_糞線虫はしばしば大腸内で感染幼虫にまで発育し,それが肛門付近から皮内に潜り込みかなり早い速度で爬行疹を生じるものを指すようです._x000b__x000b_とりあえず検便や糞線虫のための便培養法で感染の有無を見て,糞線虫ならイベルメクチンの投与を早く行うべきだと思います.糞線虫でないなら免疫診断しかなさそうです._x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ この症例は、先ほど私たちの教室に相談があった症例です。_x000b_ イヌ鉤虫感染や糞線虫を考え、まずは検便で幼虫が検出できるかどうか調べて下さいとアドバイスしました。生検は難しいようです。さらに治療に関してはイヌ鉤虫、糞線虫いずれにしてもイベルメクチンが有効であると返事いたしました。_x000b__x000b_それに追加して_x000b_1.同じような幼児の症例を経験し、生検の結果から動物由来の鉤虫感染症と診断しました。血清学的にはイヌ鉤虫抗原に対する抗体陰性でした(J Dermatol 29, 104-111, 2002)_x000b_2.動物由来の鉤虫感染症でしたら、内服治療なしに自然治癒します。_x000b__x000b_10日間で6cmと移動速度が遅いことから他の寄生虫の可能性もあるかと思います。_x000b_他にもアドバイス頂けましたら幸いです。8/23/2004その他
151原因不明の脳炎診断に苦慮している1症例について相談させて頂きます。_x000b__x000b_症例は11歳の女性です。_x000b_生来特に問題なく、健康に育った方です。_x000b_自宅で亀を飼い、犬が好きで、飼ってはいませんが触ることは多かったようです。_x000b_平成16年7月26日から3日間、奈良県天理市の天理教の団体で過ごしていたようです。_x000b_平成16年8月6日~8月9日、地域の少年団の行事で長野県鹿嶺高原にキャンプに行きました。_x000b_そのあたりには、たぬき・犬・鹿・いたち・熊などが生息しているとのことです。_x000b_河原で野菜を洗ったり、生水を飲んだり、『うんこ探検』という企画で動物の糞を採取・観察していたようです。_x000b_アブ、ブヨもおり、虫刺され跡も残っています。_x000b_平成16年8月14日~8月16日、地域の行事で山梨県丹波山村の東キャンプ場でキャンプを行っています。_x000b__x000b_平成16年8月16日頃から頭痛を訴えるようになりました。_x000b_当初は自制内でしたが、徐々に頭痛が増強し8月24日には最強となり泣き出していました。_x000b_8月25日の早朝5時前から不穏、意識障害が出現し、訳の解らないことを口走りながら家の中を歩き回っていました。_x000b_直ちに救急車を要請し、近医に搬送されましたが、脳炎と判断されて当院へ転院搬送されました。_x000b__x000b_入院時、やはり著しく不穏で、臥床させようとしても訳の解らないことを口走りながら起き上がってしまう様子でした。_x000b_しかし、翌日からは昏睡状態となっており、現在まで続いています。_x000b_血液検査データに異常所見はなく、心拍、呼吸、血圧も落ち着いており、通常の脳炎・脳症としては奇異な経過が続いております。_x000b_入院時のCT、MRIでは異常所見はありませんでした。_x000b_入院時の髄液検査で、初圧40mmH2Oと脳圧は高く、細胞数は182/μlでそのうち好酸球が7%検出されました。_x000b_髄液で細菌培養・ウイルス分離なども行いましたがいずれも陰性でした。_x000b_また、9/8の髄液細胞数は18/μl(100%単球)で、本日(9/15)の髄液細胞数は5/μl(100%単球)と改善傾向があります。_x000b_しかし、意識の改善は全く見られず、9/10から痙攣発作も出現しております。_x000b_9/11の頭部MRIでは、小脳半球に若干の異常域を認め、MRI診断では小脳炎の所見です。_x000b_しかし、この病変と現在まで続く意識障害が合致しない印象を持っています。_x000b__x000b_経過と上記所見から寄生虫の感染症も疑われ、検索を行いました。_x000b_キャンプ中に採取した動物の糞便や、8/30の患者様血清、及び9/6の患者様の便で蠕虫類については実施しておりますが、いずれも陰性でした。_x000b_また、依託にて髄液や血清でネグレリア、アカントアメーバなどの検査を実施して頂きましたがいずれも陰性でした。_x000b__x000b_患者様は現在も昏睡の状態で、時に不随意運動、時に痙攣(部分発作)を認めています。_x000b_他の鑑別疾患としてトリパノソーマも挙がってきておりますが、先生方の知見から、トリパノソーマについて(診断法も含め)ご教授いただければと存じます。_x000b_また、その他考えられることがございましたら情報を頂きたく存じます。_x000b_診断を急いでおります。ぜひとも宜しくお願い申し上げます。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_ この度は、コンサルテーションの返信をありがとうございます。_x000b__x000b_ ・背景: 基礎疾患なし。最近の海外渡航歴なし。_x000b_→ありません。_x000b__x000b_ ・症状: 高熱の経過はなく、神経学的所見を認めない。_x000b_→入院前は微熱程度。入院後2週間くらいからは間欠的に38度台となっています。感染の影響、もしくは脳炎による体温調節中枢の障害も疑っております。_x000b_  _x000b_ ・画像: 明らかな mass lesionは認めない。_x000b_→ありません。_x000b__x000b_エンテロウィルス抗体の上昇は認められなかったのでしょうか?_x000b_→髄液、血液のウイルス分離ではnegativeでした。_x000b__x000b_ガンビア・トリパノソーマ症_x000b_ 意識障害を特徴とする疾患ですが、最近1年以内の海外渡航歴がなければ、まず考えられないと思います。_x000b_→臨床像が似てなくはないのですが、渡航歴・・・ありません。_x000b__x000b_広東住血線虫症_x000b_→これも臨床像が似ていますが、委託による検査では血清・髄液でnegativeでした。_x000b__x000b_ありがとうございました。_x000b_今後とも宜しくお願い申し上げます。_x000b__x000b_追伸:実はこの患者様、現在重症腸炎から敗血症性ショックになってしまい非常に荒れております。この状態を脱することができましたら、また脳炎の検索をすすめていくつもりです。回答1_x000b_ 専門外になりますが、広東住血線虫は鑑別疾患に含まれているでしょうか?_x000b_沖縄ばかりでなく、本土でも症例があります。_x000b__x000b_IASR Vol.18 No.5 May 1997 に吉村堅太郎先生の報告があります。_x000b_因にIASRは、国立感染症研究所感染症情報センターのホームページでご覧いただけます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 専門外ですが、ロシア春夏脳炎の可能性について北海道大学獣医学部のT教授にお聞きしましたところ、参考文献として症例報告をご紹介頂きました.以下です._x000b__x000b_神経内科, 43: 251-255, 1995 _x000b_竹澤周子ら ロシア春夏脳炎の一例 _x000b__x000b_患者;37歳、女性_x000b_主訴;発熱、頭痛、嘔吐_x000b_現病歴;1993年10月27日より全身倦怠感、発熱、頭痛、嘔吐を認め、近医を受診し投薬を受けたが改善せず、10月30日に当院へ紹介され入院した._x000b_入院時現症;37度台発熱のほか、一般内科的には異常なし.神経学的に意識は清明で髄膜刺激徴候は認められなかった.脳神経領域、四肢運動系、小脳系および知覚系にも異常はなかった._x000b_入院時検査成績;好中球優位の白血球増加ならびにCRPの上昇、赤沈の亢進を認めた._x000b_----以下省略---_x000b__x000b_ご参考下さい._x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 念のため確認したいのですが、_x000b_ ・背景: 基礎疾患なし。最近の海外渡航歴なし。_x000b_ ・症状: 高熱の経過はなく、神経学的所見を認めない。_x000b_ ・画像: 明らかな mass lesionは認めない。_x000b_という症例ですね。エンテロウィルス抗体の上昇は認められなかったのでしょうか?_x000b__x000b_ガンビア・トリパノソーマ症_x000b_ ・感染: アフリカへでツェツェバエに刺されて感染する。_x000b_ ・症状: 頭痛と発熱をくりかえし、肝脾腫やリンパ節腫脹が出現する。数ヶ月の経過後、意識障害にいたる(睡眠病)。_x000b_ ・検査: 腫脹リンパ節、末梢血、あるいは髄液から、トリパノソーマ原虫を検出する。_x000b_ ・経過: 中枢神経の感染が持続し、放置すれば、死にいたる。_x000b_意識障害を特徴とする疾患ですが、最近1年以内の海外渡航歴がなければ、まず考えられないと思います。_x000b__x000b_広東住血線虫症_x000b_ ・感染: ナメクジの生食で感染する。_x000b_ ・症状: 約2週間の潜伏期の後、軽度の発熱と頭痛が出現。髄膜刺激症状がみられる。ときに神経学的所見を伴う。_x000b_ ・検査: 髄液の細胞増加と好酸球増多が特徴。髄液沈さに幼虫を検出すれば診断が確定する。_x000b_ ・経過: 脳炎自体は一過性(幼虫の迷入)。濃厚感染では、致死的、あるいは後遺症を残す場合がある。_x000b_本症例のように遷延する経過(意識障害)は考えにくいですが、除外診断は重要でしょう。9/18/2004その他
152口腔内異物トルコの臨床病理医から口腔内異物の同定についての相談が舞い込みました。_x000b_患者さんは40歳 女性、海外渡航歴なし。_x000b_トルコ南部のTauros山の泉の水を飲んだ直後から口腔から首にかけて激しい疼痛を感じて耳鼻科医を受診。_x000b_口腔内から添付の写真の異物を摘出し、痛みは軽快したとのことです。_x000b_Fig. 1はマクロの写真で長さ1.2cm、巾0.1-0.2 mm、無染色で茶褐色。Fig.2,3の切片で判るように扁平です。_x000b_Fig. 2は長軸方向のパラフィン切片HE染色標本、Fig. 3はその拡大図です。_x000b_切片写真はたくさんありますが、どれも似たり寄ったりで、5層ほどの層状構造になっており、外側の層板様のところが茶色に着色、内側の敷石状のところは石灰化?_x000b__x000b_当初の情報では患者さんがspicy-savour foodsを食べたあとで痛みがでたということで、イカの精莢などを考えて本学の水産学の先生に相談してみました。彼らの意見では小さなコウイカのフネではないかということで、イカの専門家に画像を送って見てもらいましたが、結局は不明、、_x000b_現地のドクターは植物の種子の可能性も考えているようです。_x000b__x000b_とても私の手には負えませんので、皆様のお知恵を拝借したいと思います。回答1_x000b_ ご指摘の「内側の敷石状のところは石灰化?」という部分は,細胞壁があるからこのような見え方をするのではないでしょうか.つまりなんらかの植物のトゲでは?_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 回答1の先生のご意見に賛成です。_x000b_これは植物で、おそらく種子ではないでしょうか。9/28/2004その他
153トキソプラズマ症疑い患者は65歳男性で東京出身で、不動産販売の方です。ハワイとカナダに旅行はしたことはあるようですが、北海道、東北、南方の旅行は特になく、家族の知りえる範囲では、有機野菜や生肉の生食は特にないようです。ペットで鳥とウサギはいます。血液生化学で特に異常なく、好酸球増加もなく、ADA,βDグルカンも陰性で、髄液でも細胞蛋白に異常ありません。HIV検査も陰性で、血清でトキソプラズマ抗体は陽性ですが、力価は高くなく変化もありません。昨年末よりふらつき、性格変化で気づかれ、3月に当院を受診しています。来院時には小脳に輪状造影を伴う多発性の大脳深部白質病変があり、次第に造影される病変が増えてきておりました。10月のMRI検査で、以前造影されなかった病変も多発性に輪状造影され、造影病巣が大きくなってきました。小脳の病変はむしろ小さくなっているように思われます。何らかの感染性病変、特に寄生虫を疑っています。何が考えられるか、診断法を含めて御高診をお願いいたします。記載されている臨床症状や検査結果のみから、寄生虫症の確定診断へ持っていくのは私には難しいですが、検査項目でトキソプラズマ抗体が陽性とのことですので、鑑別診断あるいは確定診断としてトキソプラズマ症の診断に関していえば以下のように考えます。血液、髄液のPCR、また頭部のみならず深部リンパ節を含めた画像診断と異常所見が認められた場合、生検可能なら(臨床的に意義があるなら)生検試料のPCRと病理診断が検査項目として考えられます。また眼底所見によってはERGの検討も考慮下さい。メールでは画像が添付されていませんが、当然ながら腫瘍の可能性も含め、小脳と大脳の造影病巣が同じものかを見極めて行く必要があります。トキソプラズマ抗体価の高低は必ずしも診断に有用ではありません。治療に関してはどのようにされているのでしょうか。10/16/2004原虫トキソプラズマ
154魚の寄生虫インドネシアのWHOと提携して仕事をしている臨床医から魚の寄生虫?の同定依頼です。_x000b_現地では多数の住民が皮下腫瘤をもっており、魚からヒトへ感染する寄生虫を疑っておられます。_x000b_残念ながら、ヒトの皮下腫瘤の病理組織はありません。_x000b__x000b_魚の腫瘤の中に1cm前後の袋状の寄生虫?が数個入っており(シャーレ内)、表面は石垣状。_x000b_割面で中央部は黒褐色です。_x000b_切片では外被と粗性結合組織が見られ、中央部消化管?に変成した血液ではないかと思われる黒褐色の色素が充満しています。_x000b_Monogeneaではないかと思われますが、どなたか知恵を貸して下さい。回答1_x000b_ おそらくは寄生性甲殻類のSarcotacesの雌と思います。付属肢は退化消失しています。ただし、虫体を包む「袋」に存在するエオシン好性の構造物が何なのかはわかりません。また、甲殻が組織切片であのように見えるのか、疑問は残ります。参考までに日本の魚(キホウボウ)に寄生するSarcotacesの図を添付します(図1が雌、図2が雄)。袋の中に小型の雄がいたはずです。_x000b__x000b_ なお、鑑定結果については、甲殻類分類の専門家である広島大学のO先生も同意見でした。_x000b__x000b_ この鑑定が正しければ、この甲殻類は魚固有の寄生虫(おそらくは、特定の魚種)を含む肉の部分を刺身で食べたとしても、人に感染することはありませんから、今回の住民の皮下腫瘤とはまったく関係ありません。Monogenea(単生類、単生虫)は多くは魚類の外部寄生虫で、形態も今回の寄生虫との類似性はありません。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ メッセージを読んだときに最初に思ったことは皮下腫瘤と嚢虫症の関係でした。インドネシアのWHOはインドネシアにおける嚢虫症をかなり把握しているはずですが、この臨床医の方が見ている皮下腫瘤を持つ住民が住んでいる島あるいは地域はどこなのでしょうか?インドネシアで豚肉を食べる地域では多かれ少なかれ嚢虫症があるはずです。現在、バリ島での嚢虫症は本当に少なくなりましたが、イリアン・ジャヤの嚢虫症は世界最悪です!今回の同定依頼と無関係に素朴な疑問を抱いております。この当たりの情報を教えていただければ個人的にはありがたいです。年内にジャカルタに出向く予定がありますから、もう少し詳しい情報をお教えいただければ勉強になります。よろしくお願いいたします。10/13/2004その他
155幼虫移行症の疑い「幼虫移行症」の疑いのある患児のことでご相談です。_x000b_当該患児は11歳男児で海外渡航歴なく、家族と新潟県長岡市在住のご家族です。犬、猫等のペットも飼育ありません。_x000b_ 肉類、魚貝類等の生食について質問すると、約1ヶ月前に馬肉の刺身を長岡市内の割烹で家族と食べたことくらいでした。(当地では馬肉は常食しません。)_x000b_ 先週ある日の夜、患児の前胸部の皮下にミミズ張ったような外観の腫脹があり、触知されたそうです。一部皮下でとぎれた外観の(一連でU字状と推定される)太さ径3ミリ前後、長さが3-4cmと4と4-5cmの2カ所が皮下にひも状に触知されたそうです。_x000b_ さわられると「びりびりしてちょっと痛い」と患児は返答したそうです。_x000b_ 翌朝にはあとかたもなく消失してしまっていたがと近医小児科を受診されました。_x000b_ 身体所見に異常なし。(肝脾腫やリンパ節腫大もありません。)もとがアトピー性皮膚炎をおもちなので検査所見も格別ではないかもしれません。_x000b_ 貧血なし。白血球5300(好酸球8%)CRP0.00, GOT/GPT=34/21_x000b_エコーやCTなどの画像検査は部位の特定ができそうもないので未検です。_x000b__x000b_質問です。_x000b_ なにが寄生虫として我が国であやしいのか?_x000b_ 抗体検査もなにをどこへどうすればよいのか?_x000b_ 他になにか対応手だてはあるのか?_x000b_等について_x000b_ よろしくご教示をいただければさいわいです。寄生虫の幼虫による皮膚線状爬行疹、それも巾3ミリ前後、3-5cmもの病変が一晩で跡形なく消失するというのは考えにくいと思います。幼虫移行症ですと、虫体の分泌物や侵入に伴う機械的破壊などで炎症反応がおこりますので、たとえ虫体が別の部位に移動したとしても、すくなくとも数日は病変が残存するはずです。_x000b__x000b_ 本症例は蕁麻疹や皮膚描画症(皮膚が過敏なヒトでは、軽く引っ掻いてもその後がミミズ腫れとして見られることがあります)などを優先して考えて良いのではないでしょうか。10/20/2004線虫幼虫移行症
156多発性の脳病変 ご多用のところ度々大変申し訳ありません。入院中の患者について行き詰まっておりまして、ご助言をいただきたく御連絡させていただきました。MRIの写真を添付させていただきました。_x000b__x000b_ 患者は65歳男性で東京出身で、不動産販売の方です。昨年末よりふらつき、性格変化で気づかれ、3月に当院を受診しています。来院時には小脳に造影を伴う多発性の脳病変程度でしたが、次第に造影される病変が増えてきておりました。なかなか病院にこられない方で、入院も拒否され、5月より来院されず、10月に来院され今回MRI検査で、以前造影されなかった病変も造影され、造影病巣が大きくなってきました。小脳の病変はむしろ小さくなっているように思われます。_x000b_ 血液生化学で特に異常なく、好酸球増加もなく、ADA,βDグルカンも陰性で、髄液でも細胞蛋白に異常ありません。HIV検査も陰性で、血清でトキソプラズマ抗体は陽性ですが、力価は高くなく変化もありません。ファンシダールを3週間ぐらい使用しましたが、嘔吐、吃逆が出現し、画像上も変化がありませんでした。_x000b__x000b_ SRL抗寄生虫IgG抗体スクリーニング検査では糞線虫抗体陽性判定2、有鉤嚢虫抗体陰性判定0でした。包虫症に関しては北海道衛生研究所で検査をしてもらいましたが陰性でした。_x000b_ ハワイとカナダに旅行はしたことはあるようですが、北海道、東北、南方の旅行は特になく、家族の知りえる範囲では、有機野菜や生肉の生食は特にないようです。ペットで鳥とウサギはいます。_x000b_ 脳MRI、脳シンチ、PETからは脳腫瘍ではなく何らかの感染で包虫症、有鉤嚢虫症あたりを疑っておりました。_x000b_ 好酸球増加なく、髄膜炎所見もなく、糞線虫が感染源とは考えにくいように思っています。診断治療にいきづまっておりまして_x000b_御高診をお願いいたします。_x000b_MRIの写真を添付させていただきました。_x000b_添付画像を拝見しました。_x000b_ 包虫症や有鉤嚢虫にしては、病変のサイズや数の変化があまりにも急激なように思われます。敢えて寄生虫で説明するなら、極めて稀な例ですが、マンソン孤虫の脳内迷入か?? 奈良医大の吉川先生が臨床寄生虫学会で報告された症例(Clinical Parasitology, 2002, vol.13(1); 129-131)が参考になるかも知れません。_x000b__x000b_ 画像的に脳腫瘍らしくない、とのことですが、これまでに数例、脳腫瘍らしくない画像所見で寄生虫感染が疑われ、寄生虫抗体検査陰性で、結果的には開頭したところ脳腫瘍だった、という症例も経験しております。脳腫瘍の可能性は否定できないのではないでしょうか。また、これも稀ですが、真菌感染の可能性も考えておかねばならないかと思います。_x000b_10/26/2004その他
157恙虫病恙虫症を疑っている症例ですが検査結果の理解に苦しみましたのでご相談させていただきます。_x000b__x000b_症例:3歳 男児_x000b_主訴:虫刺症_x000b_病歴:本年8月中旬に福岡県内のキャンプ場にてマダニ(確認済み)に噛まれたとして来院。_x000b_   来院時発熱なし。虫刺痕に特徴なし。来院の趣旨は、_x000b_   TV番組(たけしの本当は怖い家庭の医学)で放送された「致死性のダニ」に似ているから_x000b_   とのことでした。_x000b_   リケッチア感染症の可能性をこの時点で考慮しましたが日曜日の当直帯であったことから_x000b_   翌日に再来するよう伝え、マクロライド経口内服開始。_x000b_   翌日に血液検査施行するも、炎症反応陰性、肝機能異常なく、全身状態良好。_x000b_   熱研内科に電話consultするも「症状なければ経過観察」とあまり相手にしてもらえなかったので、_x000b_   長崎県の衛生公害研究所に連絡し「日本紅斑熱orつつが虫症」の可能性を考慮している旨連絡し、_x000b_   血清を検体を採取(8月16日)しました。また虫体をご家族が持ってきておられたので虫体も送りました。_x000b_   1週間後に39~40℃台の発熱出現し、再来院。_x000b_   肝脾腫などは認めませんでしたが、肝機能上昇傾向を認め、再度CAM開始。_x000b_   10日目にKato株のIgM抗体価160倍との連絡あり。再度家族に連絡。_x000b_   熱は下がってきていましたが、肝機能はやや上昇していたため、_x000b_   テトラサイクリンを10日間処方に変更。以降は下熱、治癒しました。_x000b_   ご家族の協力のもと9月2日に採血。ペア血清として評価を衛公研に依頼しました。_x000b_   注)最初にマクロライドを使用したのはテトラサイクリンの副作用あること、また_x000b_     ネルソン小児科学によるとセカンドチョイスとして上がっていたため。_x000b__x000b_   質問の本題はここからなのですが、_x000b_   ・日本紅斑熱は否定されています。_x000b_   ・ペア血清の結果はkawasaki株のIgGが初回20倍、2回目160倍(なぜかIgMは初回調べられていない。)_x000b_    Kato株ではIgMが初回160倍、2回目160倍、IgGは初回2回目とも40倍で不偏だった。_x000b_   ・虫刺痕は(頭皮も探しましたが、)特徴的な刺し口なく、虫体もマダニだったこと。_x000b__x000b_   ?結局Kawasaki株の恙虫症との診断になるのですが、_x000b_    Kato株には不顕性感染していたのか?エラーなのか?ということ。_x000b_   ?刺し口は見落とした可能性も否定できないですが、_x000b_    マダニも媒介しうるのか?ということ。_x000b_    上記2点が非常にひっかかっております。_x000b__x000b_よろしくお願い致します。_x000b_回答1_x000b_ つつが虫病の血清診断では、多くの場合で血清株間で交差がみられます。福岡県、長崎県を含めて九州地域でのKato株の存在は知られていませんが、他の血清株と交差する場合は考えられます。ここまででは、つつが虫病と診断して良いと思われますが疑問も残ります。海外渡航でもあれば別ですが、九州地域で8月につつが虫病が発生するかと言うことです。ゼロではないでしょうが聞いたことがありません。マダニ刺咬の場合では、日本紅斑熱とライム病が関係しますが(他にエーリキア症、紅斑熱群リケッチア症ム日本紅斑熱と交差もある)、つつが虫病と日本紅斑熱との交差は知られていないと思います。そこで、保存血清があれば再検査をされてはいかがでしょうか。IgM, IgGの双方で検査されることをお勧めいたします。_x000b_ マダニはつつが虫病を媒介いたしません。つつが虫病を媒介するツツガムシ幼虫は、0.2-0.3mm程度ですから肉眼で確認することはできません。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 知るかぎりでは、マダニではツツガムシ病は起こらないと思います。ツツガムシ病の抗体のパターンもちょっと説明しにくいですね。同一施設でペア血清を1回に測定したものかどうかがわかりません。またこの文章では、紅班熱はどのように否定されたのかがはっきりしません。今回の虫刺されとは無関係な発熱で非特異的に抗体が出た可能性もあると思います。_x000b__x000b_ ただ先日も当院小児科でわからない発熱の患者(赤ちゃんだったと思います)でツツガムシの抗体があがっていたという話があり、もちろん野外にはでないので説明に苦しみました。ただし文献上は鉢植えにいたダニに小児が刺された例の報告もあるようです。10/27/2004衛生動物恙虫
158脾腫と脾臓内の円形、ぶどう房状の低吸収域基礎的な質問で申し訳ないのですが、64歳の女性で子宮癌が既往にある方で、胆道系酵素の上昇、ALP600,γーGTP300を認め、腹部CTを施行したところ、脾腫と脾臓内に円形、ぶどう房状の低吸収域を認めました。原疾患の根治からみて、転移は考えづらく何らかの寄生虫疾患を疑っております。今後の診断方法、加療にてご教示頂ければと思います。どうぞよろしくお願い致します。 この症例が寄生虫感染であるならば、本来は別の臓器へ寄生する寄生虫が脾臓へ入り病変を作った稀な症例と思われます。複数感染やムシの体内移行過程であれば、今後、別の病変(本来の寄生部位における病変)が出現してくるかもしれません。画像所見だけから考えられる寄生虫は肝蛭、肺吸虫、エキノコッカス、アメーバなどがあげられます。_x000b__x000b_ 治療薬がそれぞれ異なりますので、まずは血清で寄生虫抗体の検査をされてはいかがでしょうか。11/17/2004その他
159住血吸虫症疑い初めまして。アレルギー疾患、膠原病を専門としている内科医師です。他科から相談を受けた患者さんについてなのですが、早速質問させていただきます。_x000b__x000b_ 患者さんは83歳の女性で、若い頃に住血吸虫を持っていたという既往があります(本人は痴呆で家族からの話のため、正確な時期や治療の有無など詳細は不明です)。_x000b_ ここ十数年については、海外渡航はなく、普段は外に出るにしても庭いじり程度で、屋外の水に触れる機会は特になかったそうです。最近も特に症状なく過ごされていたようです。_x000b_ 今年に入って内視鏡にて胃癌を指摘されました。11月12日に部分切除術を受けましたが、その後から微熱と軽度の好酸球増多(500~800/μL)が続いているとのことで、昨日(12月14日)私が相談を受けました。好酸球増多を示す疾患は多いですが、各々の疾患に特徴的な症状に欠け、また使用している薬剤も少なく、今のところ強く疑われるような原因は挙がっていません。一方で、切除された胃の腫瘍直下のリンパ節から、日本住血吸虫の卵が認められたとの報告がありました。ある外科医の話によると、山梨では切除組織から住血吸虫の卵が見つかることは時々あるとのことで、その場合には過去の感染の既往と考えるのが一般的なようですが、本例のように好酸球上昇を示した場合は活動性の感染があると考えるべきでしょうか?なお、その他今までに行われた検査結果を箇条書きすると:_x000b_ 血液検査・・・肝機能障害はなし~軽度、黄疸なし、腎機能障害あり、血尿なし、炎症反応陽性、腹部CT・・・肝・脾に異常所見なし、大弯リンパ節の腫大、両側腎萎縮、肺内に結節(肉芽腫か)、また、症状としては微熱のほかに腹痛、食欲不振があります。_x000b_ 住血吸虫症としての症状も乏しい印象ですが、手術などの侵襲や宿主の抵抗力低下に伴い、寄生虫が再び暴れだして急性期に似た症状を呈している可能性もあるのかと勝手に想像しております。活動性の感染をより明らかに示すことができるような検査手段もあれば教えて頂きたいです。_x000b_ 以上長くなりましたが、ご専門の先生方の貴重なご意見を賜ることができれば幸いです。_x000b__x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_ ご返信ありがとうございました。大変参考になりました。念のため便中の虫卵を検索してみたのですが、こちらは陰性でした。症状はあまり変わっていないようですが、再燃がないとすると、病歴から寄生虫感染は疑いにくいかもしれません。抗寄生虫抗体の測定は、当院がSRLと交わした契約に入っていないようで時間がかかりそうですので、当面は他の原因を探そうかと思います。また何かありましたらご相談させていただくかもしれませんが、その時はよろしくお願い致します。 本症例は居住地、既往歴、年齢から考えて、陳旧性の日本住血吸虫症があることは、多分間違いないと思います。_x000b_ 再感染は考えられないので、問題は、高齢あるいは手術侵襲などの免疫力低下によって、再燃することがあり得るかと云う点だと思います。教科書的には日本住血吸虫の寿命は3~6年となっておりますので、状況判断として、再燃はあり得ないのではないでしょうか。_x000b_ ご心配であれば、再燃の可能性について、血清抗体価でチェックすることは可能です。また、原因不明の好酸球増多ということで、蠕虫感染全般を疑っておられるのであれば、SRLにて抗寄生虫抗体スクリーニングが可能です。12/15/2004吸虫住血吸虫
160ウシバエウシバエ症例に関しての質問があります.国内でウシバエ幼虫症の診断特にELISAを行ってくれる施設はありますか? 動物,人いずれでもかまいません.ありましたらご教授ください.獣医学の先生から聞いたところでは、ウシバエは家畜の法定伝染病に指定されており、国内にはない(ことになっている)ため、抗原も陽性コントロール血清も入手が困難だろうとのことです。中国で流行しているようですが、検疫の問題があるため、抗原や陽性血清を輸入できないようです。3/8/2005衛生動物ウシバエ
161孤虫症御世話になります。患者さんは67歳男性です。2000年に胃癌で胃全摘術を施行され、その後、follow-upを近医でされていました。2005年1月腹壁の皮下腫瘤を自覚され、同医に入院。生検で, Sparganosisと診断されました。同時期の検査で汎血球減少を指摘され、当科(血液内科)へ紹介となりました。骨髄異形成症候群と診断し、抗癌剤による化学療法を予定しております。身体所見では、そのほかに皮下腫瘤などは認めません。ヘビ、カエルの食歴がありました。その他に、マンソン条虫症として、施行すべき検査(消化管、CT,血清診断など)、また内服治療などの必要性の可否につきまして御教授いただけましたら幸甚です。よろしくお願い申し上げます。大変遅くなりましたが、会員よりの情報をまとめまして情報処理広報委員会よりコメントをいたします.ご参考下さい._x000b__x000b_ 今回の症例は、状況からマンソン孤虫症と考えるのが妥当かと思われます.しかしながら、汎血球減少など免疫不全の状態にあり、可能性は極めて低いものの芽殖孤虫症も否定できないところがあります。この場合予後は良くありません.鑑別診断は摘出虫体を用いた分子遺伝学的検索法をとることになります.必要でしたら、その旨お返事下さい._x000b_ 患者さんが虫体残存の不安を訴えられるのであれば、念のために内服治療することも考えられます.治療はプラジカンテルの内服になります.詳しくは本学会ホームページ内の「寄生虫症薬物治療の手引き」をご参照下さい._x000b_ 生検で虫体の全摘出がなされたのであればいいのですが、まだ感染している可能性が否定できない場合、生検の直前か直後の血清と術後2-3ヶ月の血清とをペアで抗体検査することで、治療効果あるいは複数寄生や虫体残存の可能性を調べることができます.抗体検査は当学会ホームページ内の「寄生虫症の検査案内」をご参照下さい.また、マンソン孤虫症の場合も他の寄生蠕虫感染と同様に末梢血好酸球増多が認められることがあります.生検された際に好酸球増多が認められていた場合、その推移を検討されてもよいかと思われます._x000b__x000b_以上です.ご質問、お問い合わせ等ございましたらまたご連絡下さい.3/28/2005条虫孤虫
162条虫症、妊婦の治療以下の症例についてご質問です。27歳女性、現在妊娠33週目の方です。2週間前に排便時条虫の虫体らしいものが出てきたとのことです。1週間後の便中に虫卵陽性で、残存していると考えられます。今のところ症状としては便秘程度です。駆虫したほうが良いのでしょうか。またその場合、どのような方法が適しているのでしょうか。ご教授いただけないでしょうか。よろしくお願いいたします。回答1_x000b_ 妊娠33週ということで、駆虫薬の胎児に対する毒性はそれほど大きな問題にならないかもしれませんが、 基本的に駆虫薬は妊婦および胎児に対する安全性が確立されておりませんので、現時点で駆虫薬を積極的に使用することは薦められません。駆虫に依る下痢が早産を誘発するリスクも考えなければならないでしょう。妊娠中の駆虫は、寄生虫に対する治療が母子の生命の維持や安全に必須(例えば重症の熱帯熱マラリアの場合など)と判断される場合に限ると思われます。そうでない場合は分娩後の駆虫という判断でよいのではないでしょうか。現在特に有害な症状があるということでもなさそうですし、、_x000b__x000b_今回の症例では条虫の種類が判らないので何とも云えませんが、有鉤条虫であれば判断が難しくなります。_x000b_それ以外の条虫ならば、分娩後治療でよいのではないでしょうか。_x000b__x000b_分娩後授乳時の駆虫薬使用については、以下を参照してください。_x000b_--引用 --_x000b_プラジカンテル投与後の授乳に関しては、その血中濃度が9時間後に99.5%(20mg/kg投与時)以下になることから、初乳の重要性を考え24時間後を一つのめどとしましたが、最近、プラジカンテルにはいくつかの変異原物質や発ガン物質との共同作用により変異原性を示唆する報告も出ていますので(疑問視されてはいますが)、添付書に従い投与後当日を含め72時間は母乳は搾乳廃棄にするべきでしょう。なお、妊婦に対する安全性は確立されていませんので禁忌であることを、念のために申し添えます。_x000b_--引用 --_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 1)検出された虫卵の同定を行う;有鉤条虫症の鑑別診断が必要です._x000b_ 2)患者さんが至急の治療を望めば、プラジカンテルの妊婦への安全性が確立されていないことに同意した上で治療を行う._x000b_ 3)もし至急の治療を望まなければ、出産後に治療を行う.その場合、乳汁への移行を考慮して(治療後72時間は授乳させない)治療を行う._x000b__x000b_ 治療に当たっては、当学会ホームページにあります「寄生虫症薬物治療の手引き」をご参照下さい.尚、プラジカンテル単回投与時の量は、5-10 mg/kgが無鉤条虫症のみならず、有鉤条虫症にも推奨されています.4/1/2005条虫治療
163Bodo鞭毛虫 この度はお世話になります。_x000b_ 当院は650床の療養型病院なのですが、脳梗塞後遺症、糖尿病(コントロール良好です)、盲腸癌(中分化型腺癌で、再発兆行なし)術後で入院中の60代女性の尿からBodo鞭毛虫なるものが検出されました。_x000b_ 学生時代の教科書を繰ってみても記載がなく、インターネットで検索すると「植物でも動物でもない自由生活をする」キネトプラスト類とのことでしたが、_x000b_1)病原性はあるのでしょうか。あるとすれば症状はどんなものがあるのでしょうか。_x000b_2)治療を要する場合、薬はどのようなものをどのように使うのでしょうか。_x000b_3)他の患者や職員への感染性はあるのでしょうか。オムツ交換時に手袋をするのでよろしいでしょうか。_x000b__x000b_ 以上、ご教示頂きたく、よろしくお願い申し上げます。かなり以前に類似症例に遭遇しました._x000b_Bodoは尿検査で稀に見いだされる鞭毛虫です.通常自由生活性で,水たまりなどに生息しています.尿中に莫大な数が見られることがあるために,病原性があるのではないかと思われがちですが,外陰部で繁殖するらしく,通常は無害のようです.入浴させ,次の日に検査すると陰性であることが普通です.陰性化した場合は治療は不要と思います._x000b__x000b_これに関して,大鶴正満(1985):尿中に出現する原虫の臨床的意義.臨床検査29(1): 100-102がありますので,ご参照下さい.4/9/2005原虫Bodo鞭毛虫
164頭部左側の結節、リンパ節腫大、皮膚隆起初めておせわになります。通院されている患者のことでご相談です。60歳男性でアルコール性肝硬変、C型慢性肝炎です。5/9に左眉部に結節10mm出現、8日後に左頚部リンパ節腫大出現、同時に左顎の歯ぐきあたりに粘膜の隆起出現15mm、5/20ごろから左前額部に扁平な隆起出現しました。現在、左眉部の結節は、ほぼ消失。頚部のリンパ節も縮小傾向です。前額部の盛り上がりが、広くなっています。症状は、軽い圧痛程度でほとんどありません。5/17採血では、肝硬変で白血球2300、抗酸球10%でやや上昇あり、got79,gpt48,LDH540の異常値あります。炎症反応は、陰性です。抗生物質投与中ですが、効果はあまりないようです。ペットは、犬。淡水魚の生食なし。そこで質問なのですが、積極的に幼虫移行症を考えるべきか。それならば、犬関連の寄生虫か。寄生虫が、否定的ならば何か最後にやっておく検査などはないか。ご教示いただければ幸いです。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告と追加質問_x000b_ このたびはお世話になっております。先日コンサルした患者について寄生虫抗体スクリーニング検査を施行しました。その結果は、イヌ糸状虫、イヌ回虫、ブタ回虫、アニサキス、顎口虫、糞線虫、肝てつ、肝吸虫が、クラス1でした。ウエステルマン、宮崎、マンソン、有鉤条虫は、クラス0です。この結果から寄生虫は、除外してよいのでしょうか。それとも、クラス1でも可能性残るのでしょうか。ちなみに好酸球は135/μlと正常化しました。患者の症状は、あいかわらずで最近では頭部に結節が出来たりしています。初期のころの結節は、順次消退しています。部位は、顔面、頭部、頚部に限局しております。_x000b_お忙しいところ申し訳ありません。よろしくお願いいたします。回答_x000b_  血清スクリーニングの好適例ではないでしょうか(commercially available by SRL, 4000円ぐらい)。スクリーニング対象の12寄生虫種のなかにtoxocaraもはいっていたとおもいます。_x000b_ 首より上、左側ばかり のエピソードを考えれば、”幼虫移行”も当然”想定の範囲内”におかねばならないと思います。_x000b__x000b_ もし、それらで線虫系抗原、とくにイヌ回虫に陽性でしたら、つぎに再度精査を依頼されればいかがでしょう。_x000b_ toxocariasisでは、もっと著しいeosinophiliaが炎症所見とともに見受けられるのが一般に多いようにおもいますが、これらが無いからといって否定の根拠にはならないでしょう。_x000b_ Liver cirrhosis(GOT>GPT)があるので、HCC発見の観点から、US/CTは定期的に施行されているとおもいますが、肝臓・肺も皮膚(皮下)とならんでmigrationの多い臓器ですので、念のためにしらべられるといいとおもいます。また、眼底も一度。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答1_x000b_ 臨床症状、抹消血成績、抗体スクリーニング成績より寄生虫疾患の可能性は低いと思います。線虫の移行症であれば、もっと激しい症状やEosino増加がありそうにおもいます。移行症のあるマンソンやウェステルマン肺吸虫としても小さい皮下結節が次々に出ては消退するという臨床症状はピッタリしませんし、血清成績は まったく陰性です。総合的に寄生虫疾患の可能性は低いと考えます。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答2_x000b_ わたしは追加質問に対する回答1とは異なった意見を持っています。この方の場合,線虫一般に対する抗体はわずかですがあると評価します。大昔回虫を持っていたと思われる年齢ですからそのせいかもしれませんが,犬を飼っているということですので,その犬が座敷犬かどうかということは重要な問診項目ですが,それはおいて犬回虫症は疑ったほうがよいと思います。SRLの犬回虫抗原の由来が分かりません(ひょっとして成虫抗原?)が,犬回虫の幼虫に対する抗体はきちんとみておいたほうがよいでしょう。また眼底に所見がないかどうかも必ずみておいたほうがよいと思いいます。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答3_x000b_ 追加質問に対する回答1および2のどちらのおっしゃることももっともだと思います。私もこの症例が寄生虫感染の可能性は低いとは思いますが、SRLの検査はあくまでもスクリーニング検査ですので、除外診断のためにも免疫学的検査は追加する必要があると思います。_x000b__x000b_患者さんの状態もそれほど悪い訳ではありませんが、最初の相談から時間が経っています。トキソカラチェックの結果に主治医の先生が迷うかもしれません。5/30/2005その他
165トキソプラズマ症婦人科より検査の相談を受けました。_x000b_ 妊婦さんはインドネシアの方で、IgG,IgM抗体値からしてトキソプラズマの感染を受けた可能性は大のようです。妊娠前の抗体検査をしていないので、先天性トキソプラズマの確率の予想はできません。外来主治医は、しばらくしたら羊水が採れるようになるから、羊水中の原虫を検出したいといっています。検査センターに問い合わせたところ出生前の羊水の検査は倫理上の理由でできないと断られました。_x000b_羊水中のトキソプラズマの検査を行っている施設があれば教えていただきたいと思います。よろしくお願いします。先天性トキソプラズマ症診断における羊水検査は、Current Medical Diagnosis & Treatment ( LANGE, 2004)などの欧米書によると、最も役に立つ診断法の一つにあげられております(陽性率はさておいて)。_x000b_ただ今回の照会では、トキソプラズマ抗体測定のために実際に用いた測定法と具体的なデータに関する記載がなく、また妊婦検診および画像診断を始めとした臨床所見や検査結果が述べられておらず、「トキソプラズマの感染を受けた可能性は大」とする根拠がはっきりしません。産科(婦人科ではないと思いますが)の医師が、何を目的にした羊水検査を考えているのか、その診断目的が不明です。同時に患者様との間で、羊水検査に関するインフォームドコンセントをどのようにとっているかも不明です。6/10/2005原虫トキソプラズマ
166イヌ便の摂食大阪で開業している小児科医です。乳児が道に落ちていた犬の糞を食べたと相談を受けました。このような場合どのような対応をしたらよいかご教示ください。犬の糞を直接食べてかかる寄生虫疾患は、あまり多くありません。_x000b_イヌ蛔虫は糞便内の虫卵が土壌内で一定の発育を遂げてから感染性をもちます。_x000b_その他、イヌの腸管寄生虫でヒトにかかるものは、同様に土壌内での発育を要するものがほとんどです。_x000b_よって今回の糞便を食べたことで、寄生虫に感染した可能性は低いののと考えます。_x000b__x000b_ただし、万が一、感染をおこした場合の対応もしておくことは必要でしょう。_x000b_こうしたイヌの寄生虫がヒトにかかった場合、消化器系ではなく皮膚や内臓などに病変をおこすとが多いようです。そこで、下記の対応を約1ヶ月後にしておくことをお薦めします。_x000b_1.糞便の寄生虫卵検査_x000b_2.血液の検査(血算・・とくに好酸球数、CRP、肝機能)_x000b_3.胸部レントゲン検査_x000b_以上の検査で異常があるようでしたら、あらためて本メーリングリストまでご連絡ください。6/15/2005その他
167脳生検組織中の原虫様虫体神経内科の先生から当教室へ相談があった症例についてです。簡単な経過は以下に示しますが、脳生検の組織/電顕像から神経病理の先生は原虫感染を疑っておられるそうです。_x000b__x000b_私の知識の範囲にある原虫はあてはまりそうにありません。そこで寄生虫学会の先生方のご意見を伺いたく投稿いたしました。まず原虫かどうか、原虫であれば何か、それを検査できる施設があるかどうかなどアドバイス頂けましたら幸いです。よろしくお願いします。_x000b__x000b_==症例==_x000b_47歳 男性_x000b_【主訴】健忘_x000b_【現病歴】H16年12月半ばより痴呆症状出現しその後徐々に進行.H17年1月に近医でアルツハイマー病との診断._x000b_【検査】末梢血、血液生化学 特記事項なし。感染症についての検査:血清/髄液とも種々のウイルス/真菌感染を示唆する所見なし_x000b_【頭部MRI】FLAIR, T2WIで両側の側頭葉内側面・島回皮質直下・前頭葉白質に高信号域。その他、脳全体に散在性に高信号域。側脳室は拡大し脳室周囲に高信号域。両側側頭葉に萎縮があり、特に海馬傍回周辺で著明。 基本的には辺縁系脳炎に矛盾しない所見。白質病変・萎縮が進んでいる印象あり。_x000b_【脳生検病理所見】皮質の血管周囲のリンパ球浸潤、白質にもリンパ球浸潤あり。(T細胞主体(CD8優位)microgliaが多数(microglia結節)あり。髄鞘は保たれている。_x000b__x000b_※捕捉※ 原虫?と思われるものは血管周囲に限局。膿瘍の形成はないとのこと。直径8-10μm。PAS陽性、グロコット陽性。電顕像でオルガネラと思われる像が観察される。_x000b_【治療経過】_x000b_ステロイドパルス療法(2回)および大量免疫グロブリン療法を施行したところ,症状は著明に改善した.さらにストレプトマイシン,セフトリアキソンの2週間投与後,S/T合剤の投与を開始した.また,病理所見より,高度の炎症が示唆されたことからステロイドの内服を増量した.徐々に健忘症状は改善中である.議論のきっかけに間違いを恐れずに意見を言うなら,Encephalitozoonのようなmicrosporidiaでは?_x000b_PASの写真はものがEndothelの中にあるように見えますが,そのような部分が電顕で当たればもっとよく分かるかもしれません.特異抗体などで免染で調べられるのでは?6/28/2005原虫
168日本住血吸虫症突然のメールお許しください_x000b_当病院に於いて腸管粘膜から日本住血吸虫卵が検出された件についてお尋ねいたします_x000b_患者さんは過去利根川流域において鯉を養殖していたそうです。_x000b__x000b_1970年代より本虫卵の検出がないと聞いておりますが、疫学的見地からして治療、治癒した場合そのままでよろしいでしょうか?日本寄生虫学会ホームページのなかの「寄生虫症薬物治療の手引き」をダウンロードしていただくと,その中に住血吸虫の治療方針が書いてあります。それに沿っていただくなら,本症例は治療の必要はないということになります。また虫卵はすでに死滅していると考えてよく,さらに我が国では中間宿主である宮入貝の生息域が極めて限られています(公式には絶滅したと言われている)から,糞便もそのままトイレに流していただいて構いません。看護にあたる人たち他に感染するということもありません。7/9/2005吸虫日本住血吸虫
169犬リーシュマニア症PCRでLeishmania infantumのkDNAが陽性ですが、原虫が検出されていない症例がいます。_x000b_確認するために犬のリーシュマニア症の血清抗体を測りたいのです。_x000b_よろしくお願い致します。市販キットとウエスタンブロット法で抗リーシュマニア抗体の検出が可能です。7/12/2005原虫リーシュマニア
170東洋毛様線虫愛知県春日井市の小児科開業医です。よろしくお願い致します。_x000b_4歳、女児。_x000b_保育園の検便で、東洋毛様線虫卵が見つかり、来院しました。_x000b_腹痛その他の自覚症状なし。指しゃぶりはよくする。_x000b_医学辞書によると、生野菜などに付着した卵の経口感染とあり、治療にはコンバントリンでとありました。雑誌等の寄生虫症の特集をみても、東洋毛様線虫は出てきません。学生時代(約30年前)にこの虫の名前を聞いた覚えがある程度です。_x000b_この虫は、現在でもかなりあるのでしょうか?_x000b_あまり人体に害をしないように思えますが、そう考えておいてよろしいのでしょうか?_x000b_どのような発育史をとるのでしょうか?_x000b_人-糞便-野菜-人と回虫に似た発育史でしょうか?それとも蟯虫に似て、下着からこぼれた卵を口にしての感染でしょうか?_x000b_国内でも多いのか、輸入野菜についていることが多いのでしょうか?_x000b_蟯虫のように家族感染は多いのでしょうか?家族も検便した方がよろしいのでしょうか?_x000b_再感染しないように今後の指導はどのようにしたらよいのでしょうか?_x000b_いろいろ、疑問ばかりです。よろしくお願い致します。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告_x000b_「回答1に対して」_x000b_ 週末になり、保育園、検査センターに確認できません。週明け早々にそれぞれ確認してみようと思います。_x000b__x000b_1.通っている保育園は、蟯虫検査の他に、いわゆる検便(便を持参させて)も行っているようです。_x000b_2.園とか家庭での動物飼育確認していません。_x000b_3.東洋毛様線虫卵は、見つけにくいように書いてありましたので、私も本当にそうか疑ってはいました。でも、検査センターがすることでありと思い、検査センターに確認はしてありませんでした。_x000b_ 検査センター、家族に上記について確認しましたら、追加メール致しますので、よろしくお願い致します。_x000b__x000b_「回答2に対して」_x000b_ アドバイスありがとうございます。_x000b_ まずは、虫卵が確実に東洋毛様線虫卵かということが大事ですね。母校でもある名古屋市立大学に一度確認をお願いした方がよさそうですね。週末になりましたので、週明けにいろいろ確認したいと思います。その上で、追加メールします。回答1_x000b_ お答えというより、質問です。_x000b__x000b_ 現在は東洋毛様線虫の感染者はかなり稀であると思われます。むしろヤギやウサギなどに寄生する別種が感染している可能性が大きいのではないでしょうか。その女児とそのような動物との関連はないのでしょうか(例えば幼稚園でそれらを飼育しているなど)。_x000b__x000b_ また、今回の場合は、まずどのようにして同定されたか(検査方法)を説明していただきたいと思います。幼稚園では蟯虫検査は行っても、検便は普通行わっていないように思いますので。_x000b__x000b_ なお毛様線虫類は幼虫の経口感染が主とされますが、経皮感染も起こりえます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 回答1でもコメントされていますが、東洋毛様線虫症は日本では稀です。2003年の臨床寄生虫学会で荒木先生らが報告された毛様線虫症例は海外感染例でした。_x000b__x000b_ 今回の例では動物との接触歴、幼稚園で実施された検便の方法、虫卵同定の確実性を含め、本当に東洋毛様線虫症なのかどうかきちんと評価する必要があると思います。そうすることが疑問と思われていることへの答えにつながると考えます。_x000b__x000b_ お近くの寄生虫学教室へ検便を依頼されてはいかがでしょうか。11/4/2005線虫東洋毛様線虫
171イヌ・ネコ便の摂食 大阪市において外科、内科、小児外科で開業をしています。_x000b_ 1日前に公園に落ちていた少しやわらかい(コチコチではなくまだ軽度の弾力性がある)便を口に入れてしまいすぐに母親が取り出したが、その時に一部が奥歯に挟まったままの状態を発見、取り出したが心配であると1歳過ぎの子どもを連れて来院された方がいました。1日経過した現時点においては特に症状はないとのことです。このような方についての対処方法はどうしたらよいでしょうか?食べた便は捨ててしまいありません。この方が保健センターに連絡されたら経過観察を指導されたようですが、、、_x000b_取り留めのない質問ですがよろしくお願いします。イヌあるいはネコの糞便を幼児が口にした場合、雑菌による胃腸炎の可能性がありますし、寄生虫としてはトキソカラ症(イヌ、ネコ回虫の幼虫による幼虫移行症)や瓜実条虫感染などのリスクが考えられます。しかし、いずれも緊急性を要するものではありませんので、保健センターの指導のように、当分は経過観察でよく、何らかの症状が出た場合に小児科受診をされたらいいでしょう。2/23/2006その他
172腹痛発作、胆石、好酸球増多 診断に関して質問させていただきます。_x000b_ 5歳女児で半年ほど前より時々(1週間に数回、1回5~10分ほど)臍周囲の疼痛を訴える患者さんです。超音波検査にて胆石を認めました。血液検査状は、好酸球増多(WBCの27%)を認めるほかには、肝胆道系逸脱酵素の上昇やCRPの上昇など認めません。便培養陰性、便鏡検上虫卵は検出しません。発熱はなく、全身状態は良好で症状としては時々生じる腹痛発作のみで重症感はありません。CTはこれから施行する予定です。便鏡検以外にどのよう検査をすべきでしょうか。また、胆管炎や膵炎、黄疸を呈さない寄生虫感染によると疑われる胆石症は手術の適応になりますでしょうか。_x000b_ すみませんが、ご教示いただきたく存じます。宜しくお願いいたします。_x000b_回答1_x000b_ 質問された方は,好酸球増多があることから寄生虫感染の可能性を考えておられるのだと思います。寄生虫疾患を想定してお答えしますと,まずは寄生虫抗体の検査(SRL)をおすすめします。寄生虫抗原の刺激により好酸球が産生されているなら,感染している寄生虫に対する抗体も上昇していると思います。ただこの検査は結果の評価が容易ではありません。交差反応性によるものと思われますが,感染した寄生虫とは無関係な寄生虫に対する抗体の上昇がみられることがあります。_x000b__x000b_ 虫卵検査ですが,頻度の高い寄生虫として蟯虫があります。スコッチテープ法により少なくとも2回,できれば数回この方法で虫卵を検査されることをお勧めします。他の土壌性寄生虫の可能性については,ご家族の検便もやっていただくとよろしいと思います。たとえばこの方が回虫の感染を受けているとして,同じものを食べている家族にも感染が及んでいる可能性があるからです。_x000b__x000b_ ところでこの方の症状は胆石によるものでしょうか? 憩室炎とか虫垂炎の可能性はないですか。回虫の胆嚢への迷入の可能性も確かにありますが,蟯虫の虫垂への迷入による慢性虫垂炎のほうがもう少し高頻度にあるように思います。_x000b__x000b_ 胆嚢摘出の手術適応ですが,これは一般の胆石症に対する手術適応と同じだと思います。痛みの原因が胆石によることが明らかで,薬物によるコントロールが出来ず,胆嚢炎の併発による穿孔の可能性があるようでしたら,手術適応でしょう。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 安曇野の症例、面白いけど難しいです。_x000b_そもそも5歳児の胆石、、_x000b__x000b_ 主治医は胆石を肝臓内寄生虫迷入によると考えて、好酸球増多と結びつけて考えておられるようですが、迷入寄生虫による胆石では好酸球増多はまず見られない(陳旧性となっているため)と思います。_x000b_ 胆石、腹痛、好酸球増多を無理に一元的に説明しない方がこの症例を正しく理解できるのでは、、、_x000b_ 薬剤アレルギーによる好酸球増多も考慮する必要がありそうですし、原発性の好酸球性胃腸炎も、、_x000b__x000b_ 寄生虫の関与をr/oする意味で、SRLでの抗体スクリーニングはやってみる価値はあると思います。6/12/2006その他
173躯幹・四肢の散在性潰瘍患者:43歳、男、ポーランド人_x000b__x000b_患者住所:目黒区_x000b__x000b_病名(主訴):躯幹・四肢の散在性の潰瘍_x000b__x000b_現病歴・現状・検査所見・治療経過・現在の処方_x000b_ 平成18年5月8日、顔面・躯幹・四肢の径1cm大の潰瘍を主訴に当科初診されました。以前ヨーロッパでイベルメクチンを処方され、その時は一旦軽快したとのこと。現在も潰瘍からは虫?が出てくるとのことで、糞線虫などによる寄生虫性の疾患を考えイベルメクチンを処方しました。_x000b_ その後来院せず、御本人が独自にインターネットなどであちこち情報を得ていた様です。_x000b_ 6月10日来院時、発症の性状は変わりませんが、この潰瘍からリーシュマニア症についてはどうかと質問を受けました。私は残念なことにリーシュマニア症の経験が全くありません。写真を同封の上、御相談する次第です。発症は潰瘍で、軽快・増悪をくり返します。渡航暦は、ポーランド(年1回は必ず里帰りするとのこと)、その前に昨年はエジプトに行っています。_x000b_ 自損傷などでもこの様な潰瘍を形成することはありますが、御本人の手の届かない所にも潰瘍があり、否定的と思われます。大変御多忙中のところ不躾で申し訳ございませんが、御教示の程よろしくおねがい申し上げます。_x000b_ なお、当方、常勤医は私1名のため、もしこの疾患がリーシュマニア症だとすると、他医紹介を考えておりますが、先生が御存知の医療機関がございましたらお教え下さい。回答1_x000b_ 教科書的には皮膚型は顔面ないし四肢に限局し、免疫不全等の場合に汎発型となる、とあります。この症例が皮膚リーシュマニアとすると、全身に潰瘍がありますので、免疫能も含めた精査が必要なのでは、、、、_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ この皮膚病変で、糞線虫症というのは無茶な診断だと思います。潰瘍から虫?が出てくるというのも奇妙な訴えです。_x000b_ 皮膚科の先生は、自傷の可能性はすくないと云われますが、病変はいずれも手が届くところのようです。_x000b_ いわゆる「寄生虫妄想」「寄生虫恐怖症」の可能性も十分に考えられるのではないでしょうか?_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 全身に潰瘍のある患者さんの写真を拝見しました。_x000b_典型的な皮膚リーシュマニア症の潰瘍とは違うようです。_x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_ 文面と臨床写真を拝見いたしました。比較的新しい潰瘍周囲やその辺縁は隆起せず、境界が非常に鮮明なで、体幹四肢に潰瘍が散在性にみられます。潰瘍底には膿や壊死は付着せず、潰瘍周囲に軽度の発赤がみられます。またほとんどの潰瘍が背中央上部にはなく、手が届く範囲に分布しています(主治医は手が届かないと申しているようですが、実際に手が届くかどうか本人に潰瘍に触ってもらってもよいと思います)。_x000b_ 皮疹のみからは肉芽腫の症状(潰瘍辺縁は隆起していない)を呈していないことから「リーシュマニア症」は考えにくいと思います。主治医の病歴の聴取から「現在も潰瘍からは虫?が出てくるとのことで」とありますように、また主治医も「自損傷」を疑っているようですが、小生も臨床症状および病歴より、「自傷性皮膚炎」を考えました。もし、肉芽腫を呈する疾患や他の疾患を除外するには、皮膚生検を行ってもよいかと思います。あるいは、帰国した時に症状が軽快するかどうかなどうまく病歴を聞き出すことも大事かと愚考しております。6/19/2006その他
174蛔虫の胆嚢内迷入突然のメールで失礼いたします。東京厚生年金病院の研修医1年です。_x000b_回虫の胆嚢内迷入によって胆管炎を起こしたと考えられる症例の診断についてご相談したく、メールいたしました。_x000b_74歳男性、C型慢性肝炎で15年前より受診しており、今回はインターフェロン目的で入院していました。入院後に発熱・黄疸が出現し、胆道系酵素およびCRP上昇していたため急性胆管炎が疑われました。このときの腹部エコー・MRCP・DIC-CT上で虫体様の像を認めたため、回虫の迷入を疑いました。インターフェロン投与は中止し、抗生剤投与により発熱・症状軽快いたしました。胆嚢摘出を考慮していたのですが、フォローのエコー上で胆嚢内異物を認めなくなり、追加で施行したMRCP・DIC-CTでも異物消失しておりました。虫卵検査は陰性であり、以降症状認めておりません。_x000b_当方では胆嚢内で死んで排出されたことを推定しているのですが、診断の鍵となる画像に確信を持てずにおります。そこで不躾なお願いで恐縮ですが、寄生虫学を専門とする先生に画像を見てご指導いただきたいと希望しております。画像診断の相談に乗っていただける先生をご紹介いただけないでしょうか。よろしくお願い致します。 諸画像診断で、胆嚢内に虫体様像を認めたとのこと。回虫なら長い索状のはずで、それに合致する像となるはずです。過去に胆嚢内に迷入し、死んでしまったのであれば、長い年余のうちに分断され、石灰化されることもあります。_x000b__x000b_ さて、C型肝炎で観察中の患者様ですから、US検査は何度もされているでしょう。その際、虫様の胆嚢異常像は無かったもとの思います。と、すれば、最近の迷入で、その迷入にともなう胆嚢炎症状でしょう。回虫が、「消えた」とは、もちろんご推察のように「死んで排泄」もあるでしょうが、「生きて胆嚢を抜け出て消化管にもどった」とも考えられます。後者の可能性が高いとおもいます。_x000b__x000b_ 虫卵陰性ということですが、雄単性寄生あるいは未成熟雌寄生では卵は出ません。コンバントリン投与(1錠100mgで10mg/kg投与)をされるといいとおもいます。排出便中に回虫が確認されるかもしれません。_x000b__x000b_ 近年回虫寄生例は、ご報告のように、おそらく単数(単性)の寄生が多く、迷入で発見されることがおおいようです。7/30/2006線虫回虫
175アメーバ性肝膿瘍アメーバ赤痢性肝膿瘍の治療についてご教授いただきたくメール致しました。この度はお世話になります。_x000b__x000b_-症例-_x000b_37歳男性。海外渡航歴複数回あり。前医入院の1週間前頃から40℃近い発熱を繰り返し、細菌性肝膿瘍の診断で7/3入院。経皮経肝膿瘍腔ドレナージ (PTAD)、抗生剤などで治療するも改善なく、腎不全も進行したため7/6当院転院。_x000b__x000b_ CT 画像、抗生剤無効、海外滞在歴などからアメーバ性肝膿瘍を疑いメトロニダゾールを開始しました。腎不全が既に完成し、血液浄化療法と右胸水、無気肺による呼吸不全から人工呼吸管理を余儀なくされました。_x000b__x000b_ 麻痺性腸管のため経腸ルートでの薬剤投与もままならず、「創薬等ヒューマンサイエンス総合研究事業」から頂いた静注用メトロニダゾールを計3週間投与しようやく炎症所見改善を認め、呼吸器、透析療法などを離脱しています。_x000b__x000b_ この間、慶応大学のご協力を頂き、肝膿瘍液から抗体陽性、Entamoeba histolytica PCR陽性など確定診断を得ています。_x000b_ ただ、rareな点として、_x000b_1)臓器不全、特に腎不全の合併が急速であった事。(ANCAはP,Cとも陰性でした)_x000b_2)前医、当院で採取できた肝膿瘍液はいずれも教科書的ではなく、ごく少量で、かつPCR陽性時でさえもほとんど血性といった感じであった事です。_x000b__x000b_ 現在、一般病棟で歩行も可能な状態で食事も取れておりますが、膿瘍サイズの縮小は認めず、加えてここ数日39度近い発熱をみるようになりました。_x000b__x000b_質問は以下の2点です。_x000b_1)肝膿瘍内のドレンは既にほとんど排液がなかったため抜去していますが、肝膿瘍サイズは右葉の8割を占め、CT計測上1600cmX3とかなり大きく超音波上、最近になってようやく中心部が液性になってきたように思います。_x000b_ 以前は、内容が比較的充実性で穿刺、ドレン内洗浄をしてもほとんど排液は見られませんでした。_x000b_ 加えて最近再度CRP再上昇が見られ、血液培養からE.cloacaeが検出され、2次感染と考え抗生剤の再投与中です。_x000b_ 肝膿瘍ドレナージに関してはcontrovercialでありますが、300cmX3以上のアメーバ肝膿瘍はドレナージ群の方が入院期間を短縮できるとのstudyもあり、目下検討中ですが、ドレナージの方針で良いでしょうか?_x000b__x000b_2)このような経過の場合、アメーバの再燃という可能性はありますでしょうか?_x000b_ あるとすれば、後療法としては内服のメトロでよろしいでしょうか?_x000b_ (上述通り、静注用メトロは3週間投与しております)_x000b__x000b_どうぞよろしくお願い申し上げます。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの経過報告と追加質問_x000b_ 早速のご回答ありがとうございました。これまでのご教授に改めて感謝申し上げます。_x000b__x000b_ さて、プレゼンテーションが足りず若干誤解を生じさせてしまったようですので、補足と今少しの質問をさせて頂きたく存じます。_x000b__x000b_補足1.まず、臓器不全合併時に細菌感染はなかったものと考えています。_x000b_  根拠としては、_x000b_  __前医での初回肝膿瘍穿刺液が非膿性でかつ一般細菌培養陰性_x000b_  __E.cloacaeはここ1週間前からの新たなイベントであり、既に呼吸不全、腎不全はいずれも脱却しています。ただ、依然として胸水貯留が収まらず、肝腫大の影響もあり、右横隔膜は挙上したままではあります。_x000b_  __この新たな炎症所見増悪前はCRP1まで低下していました。_x000b__x000b_ もちろん、アメーバの確定がつくまでは細菌性も否定せず、抗生剤(カルバペネム系、クリンダマイシン、一時アミノグリコシド=透析導入後)は併用しておりました。_x000b__x000b_補足2.経過からは今回は細菌性(血培陽性)の2時感染と考えていましたので、ドレナージを強く考慮してはいるのですが、如何せん、転院時から一環してエコー上、膿瘍内容がLowの均一ではなく、モザイク上で、果たして穿刺してもdry tapで終わりそうです。_x000b_  _x000b_ もちろん、試験穿刺を行おうとも考えていますが・・・_x000b__x000b_ なお、フラジールは早速今日から再開しました。_x000b__x000b_*************************_x000b__x000b_追加質問___x000b_ このような追加情報でもやはり穿刺ドレナージをtryすべきと考えて宜しいでしょうか?_x000b_追加質問___x000b_ 何故、教科書的な画像所見、内容液が得られないのでしょうか?_x000b_ _x000b_以上、お忙しいところ大変恐縮ですが、どうぞよろしくお願い致します。_x000b__x000b_回答_x000b_ 本症例の経過は急激な腎不全や呼吸不全などアメーバ肝膿瘍とは合致しない点があり、アメーバ肝膿瘍に腸内細菌の二次感染を合併していると考えられます。その上で、ご質問に対する回答ですが;_x000b_1)ドレナージの可否について_x000b_ 肝膿瘍の大きさや再発、混合感染を考えると、可能であればドレナージは積極的に行ったほうがよいと思われます。治療的意味合いだけでなく、排液のグラム染色や培養で診断的意義もあります。_x000b_2)アメーバの再燃が考えられるか_x000b_ 赤痢アメーバの再燃も十分に考えられます。メトロニダゾールを再度使用しますが、E. cloacaeが検出されているので、メトロニダゾールに併用してカルバペネム系かニューキノロン系 抗菌薬を投与するとよいでしょう。_x000b_ メトロニダゾールは取り敢えず経口で始めて臨床効果を見ながら、駄目な場合には静注に切り替えます。_x000b__x000b_ このような二次感染を起こしている巨大な膿瘍では標準的な治療期間では治癒しないだろうと予想され、投薬期間や投与経路についても効果をみながらということになります。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答1_x000b_ 古い文献ですが、_x000b_Aikat BK et al: The pathology and pathogenesis of fatal hepatic amebiasis --- A study based on 79 autopsy cases. Trans Roy Soc Trop Med Hyg 73(2): 188-192, 1979_x000b__x000b_結果的に治癒した症例と死亡例は病理学的に違うという報告です。_x000b_ ・死亡例では、微小膿瘍が多発する( honeycomb lesion )_x000b_ ・死亡例では、抗体陽性率は30%にすぎない。_x000b_この報告を前堤に考えると、_x000b_ ・重症例では、典型的な画像(大きな膿瘍、辺縁明瞭、内部均一)を示さない。_x000b_ ・こういった症例では、試験穿刺が dry tapにおわる場合がある。_x000b_といえます。_x000b__x000b_ アメーバ症といえど、肝機能(GOT,GPT)が200以上あれば、厳重な監視が必要です。腸穿孔(ボロ雑巾様になる)、肝膿瘍破裂、ARDS、急性腎炎、多臓器不全などに要注意です。(これらの原因がアメーバ単独か、tissue invasionに伴う混合感染かは不明です)_x000b__x000b_ こういった症例は主に、感染症指定病院ではなく、普通の病院で発生しています。発病初期から重篤な症状を示すため、遠方の病院までたどりつけないものと思います。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答2_x000b_ 試験穿刺で膿瘍液がある程度引けるなら持続ドレナージを考慮し、少量あるいはdry tapなら持続ドレナージは不要と考えます。_x000b_ 教科書的な所見が得られない原因は不明です。これから、そのようになってくるかも知れません。_x000b_ 男性同性愛者の可能性があるように思います。HIV、梅毒はいかがでしょうか? すでにお調べとは思いますが。_x000b__x000b_追加質問に対する回答3_x000b_ 「感染症に対する免疫応答には個人差があるから」としか答えようがないですね。Asymptomaticなアメーバ肝膿瘍というものもあるようです。_x000b__x000b_ 詳細な経過がわかりませんし一般論としての話ですが、鑑別診断を考える上で二つの異なる病気が同時に起きることは稀ですので、本症例の全体像はアメーバ肝膿瘍で説明すべきではないかと思います。_x000b_ ただ、先生もご存知のように教科書的には呼吸不全や腎不全の合併症の記載はあまりありません。死亡率は数%くらいあるようなのですが・・・。アメーバ肝膿瘍のReviewが2004年のSouth Medical Journal(Vol. 97, p.673-682)にでています。ご参考までに。_x000b_8/15/2006原虫赤痢アメーバ
176条虫症疑い相談する部署がなく、個人的なことで申し訳ありませんが、ご相談いたします._x000b_私は、41歳の内科医です._x000b_特に体調の変調はなくすごしていたのですが、本日排便時に、ひも状の異物があり、ゆっくりと引き出すと約十数センチに及ぶ幅3mmほどの虫様のものが肛門より出てまいりました._x000b_気が動転し、それを大学の病理部に持ち込んだところ、寄生虫である可能性が高いが、本大学関連では確定が出来ないだろうと言われてしまいました.検体は、ホルマリン固定し現在私の手元に保管しています._x000b_今後の、確定診断、やるべき検査等のアドバイスをいただけたらと思い、ご相談申し上げます._x000b_自分の専門外のことゆえ、わらにもすがる思いで、ご相談申し上げます.杉並区在住で、海外の生活経験や最近の渡航歴はありません.よろしくお願いいたします.回答1_x000b_ 排便時の虫体様物体、長さ十数センチ、幅3mmという記載しかありませんので、可能性としては条虫類か、あるいは回虫の成虫などが考えられます。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 条虫症が疑われますが、まずは保管していただいております排出された検体の同定が必要かと思います。_x000b_ 便中の虫卵検査も必要となりますので、排出された検体とともに糞便を少量採取していただいて、お持ちいただければと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ ご質問の内容から裂頭条虫の仲間だと考えるのが一番妥当だと思います。_x000b_ 人体感染を起こす裂頭条虫にはかなりの種類がありますが、日本海裂頭条虫あるいは広節裂頭条虫といわれるものは日本産サクラマスあるいは輸入のサケ・マス類を食べて感染しますので、最近の海外渡航暦がなくとも国内での感染はあり得ます。_x000b_ 裂頭条虫の類の同定には内部構造を知ることが必要なため、虫体2cm大のものを2個切断し、病理学教室で虫体の横断と矢状断(縦切り)の両連続切片を作成し、HE染色したプレパラートを作ること、5cm位の切断虫体で圧平標本を作ることをお勧めいたします。_x000b_ また、虫卵検査のための検便を行う必要もあります。_x000b_ 感染源推測のため、虫体排出2週間前から1ヵ月前位に鮭かマス(輸入?)の刺身や寿司を食べた記憶が無いか、牛や豚の生肉を食べてないかなどを思い出してください。11/21/2006
177原因不明のEosinophilia下記のような奇妙な一例に関して、皆様よりご意見をいただければ幸甚です。_x000b__x000b_生来健康であった34歳女性が、平成18年10月29日、関東地方の某温泉でdoctor fish(西アジア棲息のコイ科淡水魚:学名Garra rufa)のいる足浴を行った翌日より、右下腿(足浴していた部位に一致して)浮腫、発赤、掻痒感、発疹あり。次第に増強し、近医(整形外科)受診しNSAID処方され、一時的に浮腫が改善したものの、両膝および両肘の関節痛も出現し、11月27日(足浴後約4週間)当院整形外科を受診。血液データから内科疾患を疑われ、紹介されてきました。_x000b_当院内科初診時にみられた四肢(前腕と下腿)の発疹は数日で淡くなり、現在は完全に消失しております。発疹の場所はほぼ毛のうに一致していたとのことです。WBC17,500/μL, 好酸球65%(絶対数11,350/μL,)、AST35, ALT51, LDH399でした。他に特記すべき異常値はありません。便虫卵検査等は陰性です。その他、血管炎やアレルギー等も鑑別すべく、現在精査中です。_x000b__x000b_経過より、住血吸虫症も否定できないと考えるのですが、このdoctor fishのいる浴槽で感染したとすれば、公衆衛生的見地からは、被害は拡大している可能性もあるのでは…と少々当惑しております。_x000b__x000b_そこで、このdoctor fishと住血吸虫(西アジアであればビルハルツでしょうか)との因果関係についてどなかか、何か情報をお持ちではないでしょうか?_x000b_あるいは、ジャグジー毛のう炎など他の感染症も鑑別にあがるでしょうが、他に考えるべき寄生虫を含めた種々の感染症はあるものでしょうか?_x000b__x000b_何卒よろしくお願い申し上げます。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加情報1_x000b_ 大変貴重なコメントやご教示の数々、ありがとうございました。個人的にも大変勉強になりましたし、このようなメーリングリストを通じてのコミュニケーションや連携は、世界的な潮流ですし、種々の観点から今後も大変重要な位置づけになるものと感じ入っております。_x000b_ 一般の病院(高齢者が多い病院ではありますが)で臨床をやっておりますと、フラワーデザイナーの犬回虫症(突然の胸腹水・心嚢水で発症)や、回虫・条虫症などにはまれながら遭遇します。_x000b_ 今回の症例は、住血吸虫というのは少々穿ちすぎか?とは自覚しながらも、生来健康であった方が60%以上もの好酸球増多を示しながら、臨床経過とデータから他の薬剤アレルギーや、コレステリン塞栓症、血管炎含む膠原病などが考えにくい症例でした。そして、背景が今流行のdoctor fish、およびレジャー温泉における足浴と関連しているとあって、一病院における症例経験だけでなく、公衆衛生的なインパクトを無視できなくなったことから、寄生虫学会MLにコンサルテーションさせていただきました。_x000b_ 案の定、当該施設にどこから輸入したdoctor fishか、という質問には回答が得られず、またネットで検索すると、このdoctor fishなる奇怪な魚が、ビジネスとして売り込み作戦がかなり展開されており、1996年堺市のO-157集団感染事件のごとく、単純な医学的見地からのコメントも、各方面から圧力や制限がかかりそうな状況ですので、まずは識者に意見を頂戴したく思った次第です。また、SRLのmulti-dot ELISAや、血管炎・膠原病他の検査はすでに提出済みです。また、結果が判明次第、お知らせする予定です。_x000b__x000b_いろいろなご配慮とご教示、ありがとうございました。_x000b__x000b__x000b_依頼者からの追加情報2_x000b_ 先日、寄生虫学会にコンサルテーションさせて頂いた者です。_x000b_ その後の検査結果が判明しましたので、ご報告いたしますと同時に、抗寄生虫抗体の精査につきお願い申し上げます。_x000b__x000b_11/27(当院内科入院時)_x000b_ 血液検査_x000b_ RBC 451, Hb 13.3, Ht 41.1, MCV 91.2, MCH 29.6, Plt 26.0, WBC 17,500 (St 7%, Seg 15%, Ba 1%, Eosino 65%, Lym 12%),_x000b_ 生化学_x000b_ GOT 35 IU/L, GPT 51 IU/L, LDH 399 IU/L (分画 1:17%, 2:32%, 3:27%, 4:14%, 5:10%), ALP 167 IU/L, γ-GTP 16 IU/L, Alb 4.7 g/dL, BUN 6.7 mg/dL, Cr 0.6 mg/dL, Na 141, K 4.1, Cl 105 (mEq/L), CRP 0.3以下 mg/dL, CK 49 IU/L, BS 102 mg/dL, CH50 50.5 U/mL, C3 91, C4 26 (mg/dL), IgA 122, IgG 963, IgM 158, IgE 135(mg/dL), IgE-MAST すべて陰性, HCVAb (-), HBsAg (-), RPR (-), 可溶性IL-2receptor 1,530 U/mL, コルチゾール19.5 μg/dL, β-D-グルカン6.3pg/mL, 抗ガラクトース欠損IgG <1.0 AU/mL, MMP-3 54.0 ng/mL, RF定量 1 IU/mL, 抗核抗体 <40倍, PR3-ANCA <10 EU, MPO-ANCA <10 EU_x000b_ 尿; 淡黄色、pH 7.5, 比重1.005, 蛋白・糖・ビリルビン・潜血すべて陰性, 細菌(-)_x000b_ 便; 潜血 (-), 虫卵 (-),_x000b_ 胸部CT;異常なし, 眼科的検索;異常なし_x000b_ STL 抗寄生虫抗体 multi-dot ELISAにて、イヌ回虫・ブタ回虫・糞線虫・肝蛭がクラス1でした。_x000b_ 本日(12月11日)当院再診され、症状は皆無で、好酸球数は1,500/mm3程度まで低下しております。_x000b_ 経過より、(Non-)Episodic Angioedema with Eosinophiliaに最もよく合致するように思いますが、念のため、住血吸虫を含めた精査をお願い致したく存じます。_x000b__x000b_ご多忙の折とは存じますが、何卒宜しくお願い申し上げます。_x000b_回答1_x000b_ セルカリア皮膚炎を考えておられるようですが、そうであれば魚類よりも足浴場にヒラマキモドキやヒメモノアラガイなどの淡水産巻貝が棲息しているかどうかの調査が必要でしょう。 足浴場の湯温がどれくらいか判りませんが、常識的には貝の棲息に適した温度ではないようにおもいます。_x000b_ 四肢の浮腫と好酸球増多が同時に見られる疾患としてはEpisodic Angioedema with Eosinophilia が知られていますが、皮疹を伴うかどうかは不明です。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ Garra rufa (Doctor fish)はかなりの温水でも棲息できる熱帯性淡水魚です。_x000b_ 小生の趣味の範囲でしか判りませんが、このDoctor fishが天然物か養殖かで異なります。養殖観賞魚としては餌としてCopepodaの類を生餌として使用します。もちろん乾燥餌もありますが!_x000b_ 今回のケースではGarra rufaを食べたのではなく、Garra rufaが遊泳している浴槽で足浴をして、皮膚炎症状が出たと言うことですね?Doctor fish だとすれば、乾燥Copepoda(ケンミジンコ)あるい は生餌を餌にしていたのではないでしょうか。水槽の掃除のあとなどは良く、水に接した部分に発赤、掻痒感を覚えることは経験しています。一過性に皮膚炎のようなことが生じる可能性は否定できません。_x000b_ Doctor fishと言われる所以 は病んだ皮膚を水でフヤケルのを待ち、食べて掃除をしてくれるからだそうです。_x000b_ 本件の発症とはGarra rufaは直接関係は無いと思います。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_ 魚介類の寄生虫の研究をしているものです。淡水魚に寄生する住血吸虫の中間宿主は、鳥や哺乳類寄生のものと同じく、巻貝です。Doctor fishが住血吸虫の寄生を受けていたかどうかに関わりな く、住血吸虫性皮膚炎とすれば、浴槽内に巻貝がいたことになりますが、その可能性はまず考えられません。_x000b__x000b_ この魚は日本にはもともと分布しません。この魚を含めて、外来魚は原則No checkで日本に入ってきます。その寄生虫も病原菌もウイルスも一緒に国内に入ってくることになります。今回の例が細菌感染であった可能性についてですが、人にも感染する可能性がある病原細菌が数種知られています。ほとんどは食中毒菌で、経口感染です。例外はMycobacterium marinumで、ヒトの皮膚の傷から感染 します。ただし、この細菌は海産です。したがって魚由来の細菌感染症も考えにくいと思います。人にも感染する、魚由来のウイルスは知られていません。_x000b__x000b_今回のケースは、温泉の水が汚れていたための皮膚炎ではないですか?_x000b__x000b__x000b_回答4_x000b_ Doctor fishについては、回答2、回答3で既に解説された通りです。_x000b_ また、住血吸虫によるセルカリア皮膚炎は小川先生が解説されているように、ヒラマキモドキやヒメモノアラガイなど中間宿主となる淡水産巻貝の棲息が必須で、浴槽内にこれらが棲息している可能性はまずないと思われます。_x000b__x000b_ 激しい好酸球増多をともなう四肢の浮腫ということで、Episodic Angioedema with Eosinophilia という疾患の可能性も考える必要がありそうです。但し、皮疹や関節痛がちょっとあてはまりません。これについては山崎詠水、中村(内山)ふくみ、名和行文: 寄生虫症疑いで検査依頼を受けた Episodic Angioedema with Eosinophilia 症例の臨床像について Clinical Parasitology 日本臨床寄生虫学会誌 13 (1):142-144, 2002 が参考になります。_x000b_ また、多発性の関節痛と好酸球増多に注目すると、自己免疫性疾患を考慮する必要もあります。奈良医大の吉川先生が臨床寄生虫学会誌14:74-76で発表しておられる症例「RA類似の臨床経過中に下腿浮腫、好酸球増多、低蛋白血症が出現しイヌ回虫幼虫ES抗原に対して高い抗体価を示した一例」と、共通した部分があります。_x000b_ 寄生虫感染の可能性は少ないように思えますが、念のためにSRLでの抗体スクリーニングをしておかれたらどうでしょうか。_x000b__x000b__x000b_回答5_x000b_ すでに,諸先生方が返答されていますが,あえて,住血吸虫性皮膚炎 cercarial dermatitisも鑑別の1つに入れるべきではないかと思い意見を述べ ます._x000b__x000b_ 野外の足浴なら,そこにLymneaなどの貝が棲息していても少しも不思議でないと思います.たとえば,貝を踏み潰したとかーー.水が暖かく,ダックでも近くに居れば,寒い季節でも生じうるのではないでしょうか._x000b__x000b_ 住血吸虫性皮膚炎にしては直後の症状が強すぎるようですが,症状はexposureの数に比例すると思いますし,過去にもexposureされたことがあるなら,あるいはallergicな体質なら,そのようなこともあるかもしれません.ただ,白血球数の増加の著しい点が,少し否定的かもしれませんが.マンソンか日本住血吸虫の免疫診断をすると,クロスでひっかかる可能性がないのでしょうか._x000b__x000b__x000b_回答6_x000b_ 回答5のお考え、尤もだと思います。_x000b_ 私もセルカリア皮膚炎の可能性を否定するわけではありません。_x000b_ ただ、レジオネラ騒動以降、温泉の水や浴槽の管理が厳しくなっており、たとえ足浴といえども、私の数少ない経験ではどこも磨き上げられていること、また、足浴は案外と湯の温度が高いので、感覚的には貝が棲み難いのでは、と思い、セルカリア皮膚炎の可能性を挙げませんでした。_x000b__x000b__x000b_回答7_x000b_ 症例を拝見しますと、好酸球数が高いようですので、いずれにせよ寄生虫はみておこうという話になると思います。_x000b_12/4/2006
178トキソプラズマ私は獣医師です。妊婦さんより、トキソプラズマに関してよく質問を受けます。妊婦さんが受ける検査、結果の評価などに関して、教えて下さい。先天性トキソプラズマ症では妊婦検診は必要で、早期診断早期治療によって先天性トキソプラズマ症の発症と先天性トキソプラズマ感染を防ぐ化学療法を行う必要があります。_x000b_トキソプラズマ原虫の生活史からも理解出来るように、特にトキソプラズマ抗体陰性の妊婦は猫との接触は避けた方がよい(但し、臨床経験例では、殆どの症例の母親は猫との接触を否定しております)。医療経済の観点から先天性トキソプラズマ症の妊婦検診を不要との説もありますが、フェニールケトン尿症や他の先天性感染症より頻度が低いと言える根拠はありません。_x000b_以下,重要な点について列挙します。_x000b_1)トキソプラズマ原虫が妊婦や胎児に感染した場合の殆どが不顕性である。_x000b_2)臨床症状を呈した先天性トキソプラズマ症の臨床症状は、流産、死産、水頭症、精神・運動障害、網脈絡膜炎、小眼球症、脳内石灰化など多様である。_x000b_3)出生時に臨床症状を呈さない先天性トキソプラズマ感染児の場合にも、成人までに網脈絡膜炎を起こす可能性が大きく、化学療法や経過観察が必要である。_x000b_4)胎児への感染は妊婦の初感染の場合に起きやすい。_x000b_5)早期診断、早期治療で胎児感染や先天性トキソプラズマ症の発症を防止でき得る。6)先天性不顕性感染や先天性トキソプラズマ症の活動期が過ぎると慢性期に入り、脳やリンパ節や筋肉内に嚢子型虫体として終生感染し、日和見感染菌として存在する。_x000b_7)嚢子型虫体に対する化学療法は未確立である。_x000b_8)先天性トキソプラズマ症や先天性トキソプラズマ感染の予防のために妊婦検診が必要である。12/20/1997
179蠕虫症疑い外来患者さんの件で質問します。26歳、女性。肛門から30cmから40cm大の線虫?が一度排出したとの事で外来受診されました。その排出の3から4日前にかなり強い下腹部痛があったのですが、生理痛かもしれないと思って1日、鎮痛剤を内服して徐々に軽快したとの事です。線虫については持参されておらず、アナムネ上は海外渡航歴もなく、なま物は市販されていたお寿司(鮭)くらいで、腹痛前後に胃腸炎様症状はあったようですが、現在はやや腹満感があるだけのようです。同様の症状の方は家族を含めいないようです。患者は2児の母親であり、子供は4ヶ月と1歳9ヶ月なので遠方での治療はかなり難しいと云われており、一応、暁虫症の検査はしているのですが、他の寄生虫疾患(広節列頭条虫など)の検査や治療が必要と思われますし、もし暁虫症であれば家族全員の除菌(4ヶ月児は人工乳のみですが)が必要なんでしょうか?また、近隣の病院(北里・八王子医療センターなど)には専門医が不在との事で、今後どのような対応をすべきか御教授戴きたい。_x000b__x000b__x000b_追加質問_x000b_ 諸先生様。_x000b_ 早速のご回答ありがとう御座いました。虫体が排出したら、お送りします。_x000b_ 患者様のお話では、虫体は”ぜんまい”のような形態であったようです。また、前回のメールでは記載していなかったのですが、患者様の実家に飼い猫が2匹おりまして、そのうち1匹がほぼ放し飼いとの事です。猫よりそれらの寄生虫症に罹患する可能性はあるのでしょうか?幼少の子供たちに同様の寄生虫症を心配しておられ、今のところは2人の糞便からは排出はないようですが・・・。当院では外注の検査施設を利用しており、糞便虫卵検査で同定は可能でしょうか?_x000b_ ご回答頂ければ幸いです。何卒、御教授の程、よろしくお願いいたします。回答1_x000b_ 肛門からの30-40cmの虫体排泄ということですが、虫体がないのではっきりしたことは云えないでしょう。_x000b_ 扁平な紐状でビラビラしていたか、それとも太い針金状で湾曲していたか、そこらが判ればもう少し推測できるのですが。_x000b_ 可能性としては回虫か、広節(日本海)裂頭条虫あたりでしょう。いずれにせよ、虫体を排泄した患者さんの検便虫卵検査は必須です。_x000b_ 1ー2ヶ月後あたりまで、再度虫体が出ないか要経過観察。_x000b_ 蟯虫はせいぜい1cm足らずの小さなムシですので、今回の大きなムシの話とは別になります。大きなムシのほうについては、子供さん達が無症状なら、慌てて検査することもないでしょう。_x000b_ 蟯虫については既に検査を実施しておられるようですので、万一家族のどなたかが陽性であれば、家族全員コンバントリン内服(乳幼児用ドライシロップあり)、3-4週後に陰転を確認。基幹病院でなくとも、乳幼児検診を受けておられる保健所などで検査も可能ではないでしょうか。_x000b__x000b__x000b_回答2_x000b_ 子供さんが小さく来院もままならないとのことですが,この症例は緊急性はないと思われますのでしばらく様子をみていただいたらよいと思います。排出されたムシの大きさからして,回虫(せいぜい30cmまで)や蟯虫(1cm前後)ではなく,日本海裂頭条虫(以前は広節裂頭条虫と呼ばれていた)だと思いますが,そうだとする_x000b_と1-2ヶ月のうちにまた寄生虫が肛門から出て来ますので,こんどは箸を使って虫を採取し,水道水でザッと洗い,ビンにでも入れるて持参してもらうことです。冷蔵庫で保存されるのが望ましいですが,室温保存でも構いません。ムシさえ入手できれば診断もつき,治療方針もたちます。ホルマリン固定とかは不要です。駆虫は大腸内視鏡や注腸X-rayをやっているような医療施設でしたら十分できます。_x000b__x000b__x000b_回答3_x000b_  すでにコンサルテイションがあり、診断の方向が示されているようですが、少々気になるので追加します。_x000b_ 寄生虫の種類の推測の件:30~40センチと言うことですので、ギョウ虫の疑いはない。臨床の先生方には学生時代の寄生虫の教科書を再読されるようお願いする次第。_x000b_ ギョウ虫の感染が始まるのは、子供さんが保育園や幼稚園に入って集団生活を始める頃から、感染の危険がはじまるのが一般的です(家族にギョウ虫感染者が居ればこの限りにあらずですが)。従ってお子さんたちの年齢から考えて、恐らくご家庭の中での生活が主と思いますので、未だ感染していないのでは?(むろん100%とは言えませんが)と推測する次第です。_x000b_ 次に排出された寄生虫体と考えられる物体ですが、仮にそれが寄生虫であったとして、回虫の雄虫の一匹寄生であった場合は、今後検便によって虫卵の検出は出来ず、結局正体不明となります。一方それが裂頭条虫属?であれば、検便を繰り返せば虫卵が検出されると思いますしやがて同じような物体(虫体の片節)が排出されると思います。出来れば虫と思われる物体が排出された時から、2ヶ月前後さかのぼった時点での食生活、例えば ますやサーモン(最近刺身がかなり出回っているので)など、中間宿主として可能性が疑われるものの摂食の有無を調査する必要があるでしょう。_x000b_ 裂頭条虫なら頭節が残っていれば、1~2ヶ月でまた排出される可能性があります。_x000b_ いずれにしろ、検便で結果は判るはずですので、適当な機関に便を送って検査されることをお薦めします。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答_x000b_ ネコの糞便から感染する寄生虫病としては,トキソプラズマ症とネコ回虫症があります。これらの詳細は,寄生虫症薬物治療の手引き 2005年12月第5.5版_x000b_ http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/didai/orphan/HTML/page-DL.html_x000b__x000b_をダウンロードされたうえで,それぞれ18-20ページおよび64-66ページをご覧ください。_x000b__x000b_ どちらの病気も,子供さんを検便して診断をするものではありません。何らかの症状があったときは,抗トキソプラズマ抗体とか,抗寄生虫抗体(SRL社で実施)を調べて感染の可能性を確かめてゆくとよいでしょう。_x000b__x000b_ ついでながら日本海裂頭条虫については41ページに記載されています。母親および子供さんらの検便は「日本海裂頭条虫症を疑っている」ことを添えて依頼してもらえれば,外注の検査施設で対応してくれます。1/7/2007
180線状爬行疹突然のメールにて失礼いたします。以下の症例について_x000b_ご意見いただければと思いメールさせていただきました。_x000b_患者は2歳11ヶ月の男児です。2006年12月27日までマレーシアに_x000b_旅行でいっていたとのことです。以前より刺身はよく食していて_x000b_おり、マレーシアでもイカをたべたが淡水魚等は食べていないとのことです。1月23日にもイカを食べています。1月29日より肛門周囲の掻痒が生じてその後線状になったとのことで2月1日本院を受診されました。肛門より線状にのび臀部では浮腫性の紅斑になており、臨床的には典型的な線状爬行疹であり、寄生虫症のいずれかと考えました。_x000b_本日SRLのスクリーニングの抗体検査を提出し、2月5日に先端と思われる紅斑の切除生検を予定しています。小児および肛囲のcreeping eruptionであり経験がありませんので、その他必要な検査やご意見等いただければと思いメールさせていただきました。_x000b_よろしくおねがいいたします。_x000b__x000b__x000b_追加報告および画像送付_x000b__x000b_早速のお返事ありがとうございます。_x000b_まずマレーシアには10月中旬より12月1日までの_x000b_滞在とのことでした。(前回は12月下旬としてしまい申し訳ありません)_x000b_ビーチにはいって泳いだり等はあったとのことですが、水着は着用の_x000b_上だそうです。ただビーチは裸足では歩いていたようです。_x000b__x000b_また血液検査は白血球が5850で好酸球が7.0%でしたので軽度上昇です。_x000b_病変は先端部はいりくんでいますが、基本的には一本の線状爬行疹だと_x000b_思います。(写真を2月1日のものと2月5日のものと添付します。)_x000b_症状に関しては1月27日におしりが痛いといいだし、29日に肛門のあたりが_x000b_赤くなったので近医を受診され、31日に線状にみられたので2月1日に_x000b_当院を受診したというかたちです。ですのでスピードに関しては推測に_x000b_なってしまいますが、4日で4cm~5cm程度かと思います。本日_x000b_先端部と推測できる範囲を切除生検いたしました。_x000b__x000b_検便の検査は追加いたしました。ただ当院では外注の検査のみであり、MBCと_x000b_SRLでは寒天平板法やろし培養法をやっていないとのことであり、_x000b_取り急ぎ通常の検便をくりかえす行うしかないかというところです。_x000b__x000b__x000b_経過報告と追加質問_x000b__x000b_抗寄生虫スクリーニング抗体の結果はすべて0で陰性でした。_x000b_また今のところ便からの虫体の検出もありません。_x000b_生検した組織像ですが、いまのところ虫体はありません(追加切り出し中です)_x000b_表皮内にも好酸球をふくむ水疱等はありますが、_x000b_表皮から脂肪織の深さまで、ところどころに好酸球の反応がみられています。_x000b_また前回は先端部と思われるところから切除したのですが、_x000b_その側方からcreeping eruptionが再発してきてやはり1センチ/DAYくらいで_x000b_伸びている状態です。_x000b__x000b_追加切除を試みるべきなのか、抗体の提出がはやかったと考えて、_x000b_再検査するべきか、または駆虫薬の内服を試してみるべきかと_x000b_悩んでいます。またはその他検査等でご意見いただければと思います。_x000b_お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくおねがいいたします。_x000b__x000b__x000b_経過報告2_x000b_ いろいろご意見ありがとうございました。イベルメクチン3錠内服1回_x000b_したところ(14Kgのため)内服直後より進展がとまり、発赤もみられなくなり_x000b_ました。もう少し経過観察を外来で行いたいとは思います。_x000b_お忙しい中何度もいろいろと教えていただきありがとうございました。_x000b_今後ともよろしくおねがいいたします。回答_x000b__x000b_ 本症の可能性は以下の3つです._x000b_1。糞線虫が肛門付近の皮膚へ侵入し這ったあと_x000b_2。動物由来の鉤虫が這ったあと_x000b_3。マレーシアでの感染ではなく国内でも感染する寄生虫のcreeping eruption_x000b__x000b_イヌ鉤虫など、動物由来の鉤虫の幼虫による線状爬行疹は感染後数日以内に発症しま_x000b_すので、帰国後症状出現までの時間を考えると1。3。の可能性が高いかもしれませ_x000b_ん._x000b__x000b_追加する検査としては、1。の糞線虫感染を考慮して検便です.糞線虫感染の場合、_x000b_検便は反復して行い、寒天平板法やろ紙培養法を併用すると検出率が上がります.糞_x000b_線虫感染であれば幼虫が検出されてきます.3。については、抗寄生虫抗体スクリー_x000b_ニングで見当がつくことを期待します._x000b__x000b_1。2。は経皮感染ですので、ビーチで裸ですわったりしていないか、泥道を裸足で_x000b_歩いていないかなど、マレーシア滞在中の行動もマレーシア滞在期間とあわせて問診_x000b_して下さい._x000b_また、病変が連続的な一本の線状爬行疹か、あるいは複数の線状爬行疹が見られるの_x000b_か、creeping eruption伸長スピードはどのくらいかについての詳しい情報もご提供_x000b_下さると助かります.末梢血好酸球増多の有無などもお教え頂くと寄生虫感染か否か_x000b_の参考になります._x000b__x000b_2。につきましては以下の症例報告をご参考下さい._x000b_Nakamura-Uchiyama F, Yamasaki E, Nawa Y._x000b_One confirmed and six suspected cases of cutaneous larva migrans caused by_x000b_overseas infection with dog hookworm larvae._x000b_J Dermatol. 2002 Feb;29(2):104-11._x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答1_x000b__x000b_皮疹の様子および抗体検査陰性ということから、_x000b_動物由来の鉤虫による皮膚幼虫移行症の可能性が高いと思われます。_x000b_保険適用外ですが、イベルメクチン200microgram/kg の頓用を_x000b_試みられたらどうでしょうか。_x000b_もうすぐ3歳になられる小児ですから、1錠ないし1.5錠ぐらいかとおもいます。_x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答2_x000b__x000b_学会ホームページの左カラムの「学術・教育」に「寄生虫症薬物治療の手引き」があ_x000b_ります.そこから本年1月に改訂された治療の手引きがダウンロードできますのでご_x000b_参考下さい._x000b__x000b__x000b_追加質問に対する回答3_x000b__x000b_生検標本で虫体を捜される時は、ムシの移動速度も考慮して、_x000b_最も新鮮な炎症部位よりも少し前方を捜されるとよいかと思います。_x000b__x000b_また、「寄生虫症薬物治療の手引き」の糞線虫症の項には_x000b_体重別のイベルメクチンの使用量が表で掲載されております。_x000b__x000b_2/1/2007
181日本海裂頭条虫臨床検査検査センターに勤務しています検査技師です。_x000b__x000b_先週末、虫体鑑別を依頼され、日本海裂頭条虫の片節と思われる旨を報告しました。本日、その患者さんの便(軟便)が提出され、虫卵検出を行いましたが、何度みても虫卵らしきものが認められません(薄層塗抹、集卵法)。_x000b__x000b_そこでお聞きしたいのですが、条虫であれば「薄層塗抹でも確認できるくらい虫卵がたくさんみられる」と教科書には書かれているのですが、虫体が検出されても卵がみられないことはあるのでしょうか。(不排卵期?というものがあるようなことも書かれていましたが・・・)_x000b__x000b_もし治療を行っていた場合、こんなにすぐに卵が認められなくなるものなのでしょうか。_x000b__x000b_いろいろ自分なりに調べてはみましたが、すっきりとした答えが見つかりません。依頼を出された先生に「こういうこともあるようです」とコメントをするためにもご回答、よろしくお願いします。1。日本海裂頭条虫の虫体が検出されても虫卵が認められない事がある?→YES_x000b__x000b_理由(1)成熟した体節が排せつされ、虫卵検査までのタイムラグの間に腸管に残存した虫卵も全て排せつされた。_x000b__x000b_理由(2)排せつされた体節が未熟なため虫卵が検出されなかった_x000b__x000b_上記1。2を見分ける手段として排せつされた体節に虫卵があるかどうか確認を。さらには頭節まで出ているかどうか。_x000b__x000b_虫体が全て排せつされていれば、今後、虫卵が検出される可能性は低い。寄生している虫体は1隻とは限らず、虫体が残存している可能性があるならば少なくとも3ヶ月くらいは外来で検便を行う事が必要。_x000b__x000b_日本海裂頭条虫排せつ後、しばらくは便虫卵が検出されなかったが、検便を繰り返すことで虫体排せつから3ヶ月後に虫卵を検出し、駆虫に成功した症例を経験しています。_x000b__x000b_不排卵期に関する文献は「周期的体節離脱現症に基づく虫卵排出周期性」(寄生虫誌, 35, 53-57, 1986)をご参照下さい。_x000b__x000b_2。排せつされた虫体が日本海裂頭条虫かどうか今一度確認を。_x000b__x000b_理由(1)有鉤条虫や無鉤条虫の場合、便からは虫卵がほとんど検出されないため。_x000b_理由(2)特に有鉤条虫症の場合、プラジカンテルによる駆虫ではなく虫体を破壊しないような方法(ガストログラフィン)による駆虫が必要。また有鉤嚢虫症のリスクあり。_x000b__x000b_虫体の同定にお困りでしたら、今一度、ご相談下さい。状況証拠を固めるため、虫体が出て来たときの状況、渡航歴の有無、食歴(サクラマス、牛・ブタ・ヒツジなどの生食歴がないか)をご確認下さい。4/10/2007
182蟯虫ウスイ式ぎょう虫検査テープは、製造から何年ぐらい、検査・診断に影響しないか教_x000b_えて下さい。ウスイ式蟯虫検査テープの使用可能な期間は保存状況によって左右され、一概に_x000b_言えないと思われます。メーカーにお問い合わせ下さるのが一番と考えます。_x000b_セロファンの青い色が退色していても、あるいはテープをはがして青いスジが_x000b_テープに残るようでも、粘着面に問題がなければ検査自体に支障はありません。_x000b_しかしながら、保護者等からの問い合わせへの対応の手間を考慮しますと新しい_x000b_ものにした方がよいかもしれません。
質問糞便検査でブラストシスチスが検出されました。駆虫の必要はありますか。
回答

回答1

治療法は「日本における寄生虫学の研究6」の中で山田稔先生が記載してあります、

メトロニダゾール(2~2.25g/day,分3,3~5 )又はチニダゾール(同量)を、担当医師にお伝えして駆虫の判断はおまかせしております。ただ、下痢などの症状がある患者に対しては症状の改善効果があるようですが、無症状者に対して虫体を消失させるまでの効果はほとんど無いように思われます。
回答2

無症状のことが殆どですが、これが見つかって下痢を起こしている症例につき、メトロニダゾールを使ったところ、プラセボ群に比べて下痢の改善が有意であったことから、下痢を起こすことはありうるとの結論でした(下記)。ただし、プラセボでも下痢が改善し、原虫が検出されなくなった例もあります。
問題は、今回のような無症状の症例につき、そのために将来下痢を発症することがあるかどうかですが、この判断材料となるデータは知りません。