2024年度 秋季理事会議事録

日本寄生虫学会 2024年度 秋季理事会議事録

日時:2024年10月17日(木)13:00~15:00
開催方法:オンライン(Microsoft Teams)

【出席者(敬称略・五十音順)】
石野智子、岩永史朗、河津信一郎、後藤康之、佐藤宏、辻尚利、所正治、野崎智義、野中成晃、丸山治彦(理事長)、見市文香、山本雅裕、由井克之(PI編集長)
オブザーバー:小久保美緒(庶務委員)、長安英治(庶務委員)
欠席者: 前川洋一、西川義文

I. 報告事項

  1. 会員動向

 会員数は681名(正会員362名、学生会員118名、賛助会員等を含む)で、年会費納入率は43.3%であることが報告された。会員数は横ばい傾向にあるが、未納会員への対応が引き続き課題であるとされた。

  1. 第94回大会準備状況(岩永大会長)

 大阪大学吹田キャンパスにて開催予定であり、参加登録・演題募集が順調に進んでいることが報告された。

  1. 『Parasitology International(PI)』編集・刊行状況(由井編集長)

由井克之編集長より、投稿状況およびインパクト指標等に関する報告があった。

  • 投稿状況
     過去5年間の推移を示し、2024年は投稿数が順調に増加しており、年内にはさらに増える見込みであることが報告された。前年はリジェクション率が高かったが、本年は改善しており、基準変更によるものではなく自然に解消されたとの説明があった。
  • 地域別動向
     投稿数はアジアが最も多く、次いでアフリカ、南米(主にブラジル)であり、ヨーロッパ・北米は少数にとどまる。アクセプト論文もアジアが最多で、次いで南米。国別では投稿数はブラジル、インド、中国、日本の順であり、アクセプト数は日本が最も多く、ブラジル、中国、インド、メキシコが続く。
  • 審査スピード
     初回判定まで平均34日、最終決定まで75日であり、年々改善傾向にある。
  • 被引用数・ダウンロード数
     被引用上位論文は2010年代前半発表の論文が中心で、近年の論文は引用数が伸び悩んでいる。
     ScienceDirectでの年間ダウンロード数は15万件を超え、年々増加。特に2024年発表論文では案浦論文、2023年発表論文では後藤論文のダウンロード数が多く、オープンアクセス論文が上位を占めた。国別では中国、米国、日本、ブラジルの順に多い。
  • サイトスコア・インパクトファクター
     Elsevierによるサイトスコアは2023年4.0から2024年3.4にやや低下。競合誌(IJP、Parasiteなど)に比べ下位に位置している。
     クラリベイトによるインパクトファクターは2021年2.0超→2022年1.9→2023年1.5と低下傾向で、寄生虫学分野でQ3に位置。被引用数も2021年以降減少傾向にある。
  • スペシャルイシュー
     現在2編が進行中であり、担当は野崎理事。後藤論文および美田理事による前回大会内容のまとめが進行している。
  • その他
     エルゼビア担当者ルーシー・ジョーンズが次回大阪大会に参加予定であり、現地での意見交換を予定している。

 

II. 審議事項

  1. 『Parasitology International(PI)』改革ワーキンググループの設置について

 PIの改革を検討するためワーキンググループを設置することが確認された。メンバーは理事長が指名し、機関誌運営委員会と協議のうえで活動を進めることとなった。主な任務はBMC(BioMed Central)も含めた情報収集であり、ジャーナルのスコープ設定、APC(論文処理費用)割引制度の有無、ジャーナル名の扱いなどを調査対象とすることが確認された。

  1. 一般社団法人化に伴う主たる事務所の所在地について

 帯広畜産大学 原虫病研究センターを所在地とする案が示されたが、他候補施設(長崎大学熱帯医学研究所、愛媛大学プロテオサイエンスセンター、大阪大学微生物病研究所)への打診がまだ行われていないことが指摘された。これらの施設長に受け入れの可否を確認する必要性が指摘された。

 

III. 協議事項

  1. 桂田賞顕彰事業の事務取扱いについて

 桂田賞は現在、学会外部で運営されているが、今後学会が運営を引き継ぐことが提案された。学会が基金管理を担うことの妥当性について議論があり、リスクを踏まえた慎重な対応を求める意見もあったが、桂田賞は寄生虫学会員の功績を顕彰する意義深い制度であり、学会として支援すべきとの意見が多数を占めた。当面は顕彰委員会と連携して表彰事業を進め、将来的には桂田賞を学会賞として位置づける方向で検討することが確認された。

  1. 次々回大会の開催地について

 髙本雅哉評議員を大会長とし、長野保健医療大学での開催案が提案された。ただし、運営協力者が限られていることが指摘され、結論は保留とされた。他候補地からの提案も募ることとなった。